ダイレクトリクルーティングは、人材データベースから企業が求職者に直接アプローチする採用方法のことで、新しい採用方法として注目を集めています。
ここでは、
- ダイレクトリクルーティングとは何か
- ダイレクトリクルーティングのメリットやデメリット
- ダイレクトリクルーティングの手法
- ダイレクトリクルーティングサービス
などについて、詳しく説明します。
目次
1.ダイレクトリクルーティングとは?
ダイレクトリクルーティングとは、人材データベースから自社に必要な人材に直接アプローチを行う方法のこと。
従来、企業は採用活動の際、求人媒体などで募集をかける「待ち」の採用を主流としていましたが、それと異なり、攻めの採用といわれます。
言葉の意味
ダイレクトリクルーティングという言葉が持つ意味を解説します。
ダイレクトの意味
ダイレクトリクルーティングの「ダイレクト」とは、介在するものがない状態を示す言葉で、直接やまっすぐといった意味があります。
リクルートの意味
ダイレクトリクルーティングの「リクルート」とは、企業が人材を求めて求人する、企業の求人に応募するなどを意味しています。
ダイレクトリクルーティングの市場規模
「待ち」が主流だった従来の採用活動の方向を大きく変えたのがダイレクトリクルーティングです。少子高齢化や労働力不足が叫ばれる中、ダイレクトリクルーティングが注目されつつあります。
2018年4月のマイナビが発表した「2019年卒 マイナビ企業新卒採用予定調査」によると、ダイレクトリクルーティングを採用手法として実践している企業は3.0%となっており、ダイレクトリクルーティングの市場規模が注目されていることが分かります。
2.ダイレクトリクルーティングの背景
ダイレクトリクルーティングが広まっている最も大きな要因は、日本社会に蔓延する労働力不足です。国立社会保障・人口問題研究所の予想によれば、日本の人口は、「2015年で1億2,709万人」「2065年で8,808万人」と大幅に減少するとされています。
2065年はまだ先の話になりますが、現実に少子高齢化に伴う労働人口の減少は現時点でも確実に進んでおり、働き手の不足は企業の死活問題に発展しかねない状況にあるのです。
そのため、従来の「待ち」の採用だけでなく、積極的にアプローチを行うダイレクトリクルーティングが日本社会でも検討されるようになりました。
3.ダイレクトリクルーティングのメリット
ダイレクトリクルーティングには、いくつかのメリットがあります。
さまざまな求職者とコンタクト
ダイレクトリクルーティングの場合、「良い仕事があれば転職したい」「いつかは転職したい」「自分を必要としている企業があれば転職を考えたい」など、求職活動中の人以外の潜在的な求職者とコンタクトを取ることが可能なため、採用の幅が広がります。
採用コストカット
ダイレクトリクルーティングは、企業が採用したい人材に対し、直接働きかける採用方法です。つまり、人材紹介会社といった外部機関を介すことなく採用活動を展開できます。
そのためダイレクトリクルーティングでは、従来の「待ち」の採用方法で必要とされてきた求人依頼・求人広告といった費用をカットできるのです。
互いに納得できる
ダイレクトリクルーティングは、企業と求職者の間に人材紹介会社などの他社が介入しないため、企業は求職者と直接話すことができます。
業務内容や職場の雰囲気などの実情を、具体例を交えて現実に即した伝えられ、企業も求職者と直接やりとりする中で求職者のニーズなどを把握できます。これにより、相互理解が深まるでしょう。
採用スキルの強化
採用活動には、「自社を理解してもらう」「求職者を理解する」といった双方向のコミュニケーションスキルが欠かせません。そして、求職者とどのようにコミュニケーションを図るかが、ダイレクトリクルーティングを成功に導く鍵となるのです。
企業がダイレクトリクルーティングを行うことで、採用担当者のコミュニケーション能力といった採用スキルが徐々に強化されていくなどもメリットに挙げられます。
4.ダイレクトリクルーティングのデメリット
ダイレクトリクルーティングには、デメリットもあります。
時間が必要
ダイレクトリクルーティングは、「すでに求職中の人材」「潜在的に求職の意思や可能性がある人」も含めて直接企業がアプローチする採用手法です。
人材紹介会社などが商談を進めるように採用活動を行うのと異なり、企業が求職者とのコミュニケーションを重ね、地道に採用活動を行います。そのため、採用活動の期間が長くなりがちです。
コミュニケーションスキルが必要
企業と求職者の間に人材紹介会社などの外部機関が介在すれば、企業の魅力を求職者に、あるいは求職者の魅力を企業に端的に伝えてくれるでしょう。
しかし、ダイレクトリクルーティングは企業が直接求職者と話すため、双方向の意思疎通がうまくできなければ、お互いの理解が進まないまま、採用が不成立で終わる可能性があります。
5.ダイレクトリクルーティングの手法、やり方、プロセス
ダイレクトリクルーティングの手法を5つのプロセスに分けて説明します。
- 企業について情報発信
- コンタクトを取る
- 話し合いは面談を心掛ける
- 上長と話し合い
- 求職者にフィードバックをし、フォロー
①企業について情報発信
経営理念や経営方針はもちろんですが、実際の職場環境や従業員満足度など、求職者が知りたいと考えるような情報も適度に盛り込みながら情報発信していきます。
SNSやサイトなどを活用すれば、効率的かつ継続的に情報発信できます。求職者のマインドに届くような、自社の魅力や情報の発信を心掛けましょう。
②コンタクトを取る
コンタクトを取るといっても一方的に企業が自社の魅力や採用に関する要望などを押し付けるようなことは厳禁です。最初から強烈なアプローチをすれば、かえって求職者にネガティブな印象を与えてしまいかねません。
「求職を決意していない人材もいる」「あくまでファーストコンタクトである」点を強く意識して、求職者の気持ちに沿ったアプローチを行います。
③話し合いは面談を心掛ける
ファーストコンタクトから進展し、企業と求職者の話し合いの場が実現したら、求職者がどのような情報を求めているのかをクローズアップすることに意識を集中します。
そして、面接ではなく面談になるよう注意しながら双方向でマッチするよう、話し合いを継続的に進めていくのです。
④上長と話し合い
企業と求職者の間で条件が徐々に固まってきたら、候補者を絞り込むために上長と話し合いの場を設けます。ダイレクトリクルーティングでは、一人の求職者とコミュニケーションを図るケースばかりではありません。
複数の求職者と同時に話し合いを進めることもあるため、最終的にどの求職者を採用するのかについては、現場の判断だけでなく上長との話し合いの中で絞り込むのです。
⑤求職者にフィードバックをし、フォロー
上長と出した結論を求職者にフィードバックして、その反応を確認します。すんなり採用にこぎつける場合もあるでしょうし、条件の交渉など新たな課題が出てくる場合もあるでしょう。
どちらにしても、企業は最終内定に至るまで、求職者を適切にフォローします。そして、必要に応じて内定通知を発行します。
6.ダイレクトリクルーティングサービスのツール、サービス例
ダイレクトリクルーティングサービスのツールをサービス例と共にご紹介します。
LabBase
「研究を頑張る理系学生のための、就活サービス」を謳っているのは、LabBaseです。理系の学生をメインとしており、さまざまな情報を盛り込んだサービスを提供しています。
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登録前の求職者にも気軽に情報提供しているため、ダイレクトリクルーティングの敷居を低くして幅広い求職者を囲い込むことができます。
キャリセン就活エージェント
キャリセン就活エージェントは、約6万人の利用者を誇るサービスで、就活に関して求職者の良き相談相手となるサービスを揃えています。
- 歴10年のキャリアコンサルタントが個人面談を実施
- 相談は完全無料の個別相談
- 選考後の結果をフィードバックする
「就活は初めて」「大手以外の優良企業を知りたい」「人事の本音を知りたい」「自分に合った企業を見つけたい」といった人にお勧めのサイトです。
サポーターズ
就職活動にかかる費用は、50万円ともいわれます。そこでサポーターズは、学生に支援金を支給するサービスを展開しているのです。
- 交通費の支給
- 人気IT企業からの支援
- オリジナルイベントなどさまざまな情報収集や自己啓発の機会
たとえば、「自ら企業に会いに行く場合」「企業からスカウトをもらう場合」それぞれ支援金を支給するといったように、金銭面も含めたサポートを行っています。
ViViViT(ビビビット)
ViViViT(ビビビット)は、求職者のポートフォリオ投稿をマッチングのきっかけとするサービスです。下記のプロセスで企業と求職者のマッチングを図っています。
- 求職者がポートフォリオを投稿する
- 企業側もしくは求職者側から「話したい」相手にアプローチできる
- チャットを使って気軽にコミュニケーションを図れる
実際の作品によって求職者を評価してもらえるため、実力主義が主流のクリエイターの世界では、特に注目を集めています。
Wantedly Admin
Wantedly Adminは、文章や写真、ブログといった機能をもとに企業側が自社の魅力を求職者に伝達できるサービスです。
給与や職歴といった条件でマッチングを図るのではなく、仕事のやりがいや職場環境といった面で求職者の自己実現を目的としたサービスとして拡大しています。
業種も多彩で、情報通信やコンサルティング、広告、介護、飲食、教育、研究、流通など、さまざまな業種のマッチングの実績が売りとなっているのです。