Edtechとは? メリット、手法、補助金制度、サービス分野、導入手順について

「Edtech」とは、教育環境にイノベーションを起こすトレンドを指します。日本でも市場規模が広がり続けているEdtechについて解説します。

1.Edtechとは?

Edtechとは、現在の発達したIT技術を教育の現場に生かして、オンラインでの学習やVRでの疑似体験を通じた学習を積極的に行っていくこと。教育を意味する「Education」とテクノロジーを意味する「Technology」を組み合わせた造語です。

政府もEdtech導入を推進しており、Edtechの導入を支援する補助金制度も設けられました。ここではEdtechの目的や市場規模、そしてeラーニングとの違いについて説明します。

Edtech導入の目的

目的のひとつに、従来型教育の改革があります。従来の教育では「教室に生徒が集まり教師や講師が授業を行う」という形態が当たり前とされていました。

一方インタ―ネットの環境さえあれば場所を選ばずに学習できるEdtechは、環境による教育格差を無くす方法として注目されています。またAIがその人に合った勉強方法を提示できるため、勉強をより効率よく進められるようになるのです。

Edtechの市場規模

現在、Edtech市場にはさまざまな企業が参戦しており、拡大路線を歩んでいます。現在の市場規模は1,700億円ほど。2023年には3,000億の市場規模になるだろうと予想されています。

日本でも2020年から初等教育でのプログラミング学習が義務化されており、今後のIT人材の活躍が期待されているのです。

Edtechとeラーニングの違い

Edtechが導入される以前から、類似分野として「ICT教育」や「eラーニング」が行われていました。

  • ICT教育:パソコンやプロジェクターなどの電子機器などを活用して授業や講義を行うこと全般
  • eラーニング:ICT教育のひとつで、パソコンでのオンライン講座やオンライン教材を利用して学習する形態

Edtechはeラーニングを発展させたもので、受講者はスマホやタブレットを持っていればどこにいても授業を受けられます。また管理者は個々の学習の進捗や理解度などの管理が行えるのです。

Edtechは教育格差をなくすという目的とIT技術の発展によって広がりを見せています。市場規模は拡大傾向にあるのです

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2.Edtechの活用のメリット

学校だけでなく、企業にとってもEdtech導入は大きなメリットがあります。それぞれについて解説しましょう。

  1. 時間や場所を選ばずに学習できる
  2. 社員に合わせたカリキュラムを組める

①時間や場所を選ばずに学習できる

Edtechは学習する場所を選びません。たとえば従来の企業研修では、会場を用意して社員を集め、決められた時間に決められたカリキュラムで研修を行うというのがほとんどでした。

しかしEdtechを導入すれば、社員にとって都合のいい場所とタイミングで研修を受けられます。企業は研修内容の動画教材さえ用意すれば、わざわざ日程を決めて会場を準備しなくてもよいのです。

②社員に合わせたカリキュラムを組める

Edtechの導入によって、社員ごとに最適化された学習内容を提供できます。Edtechでは各社員の成長や能力、学習の記録などを個別に残しておけるからです。

データを活用すれば研修用の資料や教材を用意するだけでなく、各社員に合わせた研修カリキュラムを組めるため、研修をより効率的に行えるでしょう。

Edtechの活用は教育現場にフォーカスされがちです。しかし社員を育成するシーンでも大きなメリットがあるのです

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3.Edtechで用いる手法

Edtechを活用すれば、場所や時間を選ばずに学習できます。具体的にどうすればよいのでしょうか。ここではEdtechで用いる手法について説明します。

VR

「VR(バーチャルリアリティ)技術」による疑似体験をとおして学習する方法です。視覚や聴覚なども使用するため、机上の学習よりも高い学習効果が期待できます。費用や機会などの問題で、実際の体験が難しい内容を習熟させたいときに効果的です。

初期投資はかかるものの、コンテンツを何度も利用できるためコスト削減につながります。人材教育にかかる経費の削減にも期待できるでしょう。

アダプティブラーニング

アダプティブラーニングとは、個々の理解度や進捗に合わせる学習方法のこと。学習を始めるときは全員同じ内容から始め、学習を進めていくなかでそれぞれの習熟スピードやそれまでの学習の得意、不得意などをデータ化します。

これらのデータから不得意な部分だけを抽出して学習する、あるいはその人のスピードに合わせた学習方法を選択していくのです。

LMS(Learning Management System)

「LMS」はインターネットを通じてeラーニングを配信、統合管理できるプラットフォームです。「教材の管理」「学習の進捗度・理解度」の機能があり、受講者全体の状況をまとめて把握できます。

LMSはインターネット普及前のeラーニングの欠点である「受講者の状況管理ができない」という問題を解決した学習管理システムなのです。

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MOOC(Massive Open Online Courses)

「MOOC」とは、インターネット上にて無料配信されるオンライン講座のこと。もともとアメリカの大学で行われる授業を配信するサービスでしたが現在、大学の専門的な勉強だけでなく、英会話やプログラミングなどビジネスで生かせる知識を手軽に勉強できます。

仕事の時間以外でも勉強できる場を提供できるのです。これによりビジネスの知識をさらに深められるでしょう。

Edtechには最新の技術が用いられています。今まで以上の学習成果が出せる画期的な学習方法が多数開発されているのです

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4.Edtech導入の際に利用できる補助金

経済産業省は、Edtechの導入を進める企業に対して「Edtech導入補助金」という制度を用いて援助しているのです。ここではEdtech導入補助金の対象になる事業者や申請区分、対象となるサービスや経費、申請の流れについて説明します。

補助金の対象となる事業者

Edtech導入補助金が対象となる事業者は、中小企業と大企業の場合、また業種によって変わります。

  • 中小企業のサービス業:資本金が5,000万以下で、常時使用する社員の数が100名未満
  • 中小企業のサービス業、ソフトウェア業、情報処理サービス業:資本金が3億円以下で、常時使用する社員が300人以下
  • そのほかの業種:資本金が3億円以下で、常時使用する社員が300名以下
  • 大企業:以上の条件のどれにも当てはまらない場合

補助金の申請区分

Edtech導入補助金制度には、A型・B型・C型の3種類があります。それぞれ経済産業省が認めたIT支援事業者が登録したツールが対象です。

  • A型:30万円から150万円未満のツールが適応され、補助率は1/2
  • B型:150万円から450万円のツールが適応され、補助率は1/2
  • C型:30万円から450万円のツールが適応され、補助率は2/3

なおC型は昨今の新型コロナウイルスの被害に鑑みて設定されたものとなります。

補助金の対象となるサービス

経済産業省から認められたIT支援事業者が登録したツールが、補助金の対象です。そのほか、以下の条件を満たしているサービスも対象となります。

  • クラウドサービスである
  • 導入の効果の検証が可能で、データを開示できる
  • サービスの料金形態がホームページやカタログに記載されている
  • 情報セキュリティ対策が確立されている

補助金の対象となる経費

Edtech導入補助金の対象となる経費は主に5つです。

  1. ソフトウエアサービス費用:Edtechを導入するためにかかるサービスの利用料金の原価が該当
  2. ソフトウエアサービス導入関連サーバー費:サービス導入に必要なクラウドの設置費用
  3. ソフトウエアサービス導入関連サポート費:サービス実施に至るまで行った研修や保守、メンテナンス費など
  4. 外注費と委託費:外部の企業に委託してかかった費用
  5. 宿泊と交通費:サービス導入までにかかった宿泊、交通費

補助金申請の流れ

まずEdtechの事業者ポータルでアカウントを作成し、必要事項を入力します。次に導入予定のEdtechソフトウェアサービスの情報と導入先の企業の情報、そして導入台数を記入し申請するのです。

そのあと申請を受けて補助金の交付が決定されたら、Edtechサービスを導入し、補助金を受け取ります。なおサービスの導入後、どのような効果を得られたか、報告書にまとめて報告しなければなりません。

Edtech導入補助金をもらうためにも、対象となるサービスを理解して申請しましょう。導入後は報告書の提出も忘れずに

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5.主なEdtechサービスの分野

Edtech導入にて日本政府はまず、学校教育での活用を推進しています。しかし教育が行われるのは学校だけではありません。ここではEdtechのサービスを活用している分野とそれぞれの活用シーンをご説明します。

学習教育の分野

学習塾や各種スクールでオンライン講義が行われている点からも、学習教育の分野はEdtechの活用が進んでいるとわかります。

PCはもちろん、スマホやタブレットを使って、場所や時間を選ばず講義を聞けるのです。また好きなタイミングで講義の中断や復習を行えるため、受講者のペースや理解度に合わせて勉強が進められます。

語学学習の分野

幼児から社会人まで需要がある語学学習の分野で、Edtechは広く浸透しています。

語学を勉強する場合、机上だけでなく実際にコミュニケーションを取るのが重要視されるため、Skypeといった無料通話サービスを用いたリアルタイムのオンラインレッスン形態が適しているのです。

オンラインレッスンのほかにも、さまざまな語学アプリケーションが活用されている分野でもあります。

社員教育・管理の分野

Edtechは、企業内の社員教育や管理の分野でも広がりを見せています。Edtechを利用して自社で必要なスキルを習得できる教材やコンテンツを配信すれば、テレワークや出張などで出社していない社員でも空いた時間に学習が進められるでしょう。

教育を管理する場合も、アダプティブラーニングによって個々の理解度が把握でき、それぞれの社員に合わせた学習内容を設定しやすくなるのです。

プログラミング学習の分野

昨今のビジネスシーンで注目を集めるようになったプログラミング学習でも、Edtechが用いられるようになりました。先ほどの学習教育や語学学習の分野と同様、「オンラインでの講義が受けられる」「講師への質問を行える」といったサービスが受けられます。

今までは教室を使って授業をしていた企業が、オンラインに移行するのも少なくありません。

Edtechを生かしたサービスは、学校現場だけではありません。各種スクールの学習や企業の人材育成にも活用されているのです

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6.企業におけるEdtechの導入手順

今後Edtechの導入を検討している企業は、どのような導入手順を踏めばよいのでしょうか。ここでは企業がEdtech導入を成功させるために知っておくべき導入手順と、導入する際の注意点について説明します。

目的を明確にする

まずは学習の目的と手段をきちんと検討し、手段としてEdtechを選ぶかどうかを考えましょう。必ずしもEdtechの導入が最適解とは限らないからです。またどの層にどのような分野の学習を施したいのかなど、目的も明確します。

仕事に必要のないスキルや知識を学習させても意味がありません。Edtechの導入が企業にとって本当に効率がよいかどうか判断して、導入に踏み切りましょう。

ソフトウエアと事業者を選定する

社内でのEdtech導入が決定したら、次はソフトウエアサービスと事業者の選定です。社内で導入したいソフトウエアサービスを選定し、事業者と導入や活用に向けた計画を話し合いましょう。

ポイントは事業者と連携を取りつつ、Edtech導入の準備を進めていくこと。また必要な費用の見積りを取り、Edtech導入補助金を申請しましょう。

中間目標を決める

活用の際には中間目標を決めます。なぜならば最終目標を達成するまでに、Edtechを利用した学習が効果的に機能しているかどうか、確認を取る必要があるからです。

社員に対してアンケートを取るとよいでしょう。その結果から満足度や習熟度を数値化し、改善や修正を行っていくとよりよい結果につながります。

Edtechはただ導入すればよいわけではありません。目的に沿っているのかを考え、導入後の効果を随時確認する必要があります