営業のロープレ研修とは? 種類やメリット、やり方を簡単に

営業のロープレ研修とは、商談のスキルを高めるための模擬演習です。メリット、種類、やり方などについて解説します。

1.営業のロープレ研修とは?

営業ロープレ(営業ロールプレイング)とは、実際の商談を想定して行う演習です。具体的には被研修者が営業役を、上司や先輩が顧客役を演じるロールプレイ学習を行います。営業ロープレでは商談スキルの習得はもとより、企業側と顧客側の視点なども学べるため、より双方が満足する商談を行えるようになる効果が見込めます。

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2.ロープレの目的

営業ロープレの目的は、事前の演習で顧客対応の質を上げ、案件の成約率を高めること

営業ロープレでは、ヒアリング、提案、質疑応答の対応、顧客の懸念点への切り替えしなど、商談で想定されるコミュニケーションに対する対策を学べます。営業ロープレで営業力が向上した社員は、商品やサービスの成約率が高まるのです。

実践を模したトレーニングであるため短期間でスキルアップができるため、営業ロープレを繰り返せば商談経験の少ない社員でも早期に戦力となるでしょう。

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3.ロープレのメリット

営業ロープレを実施すると、社員側と企業側の双方にメリットが生じます。ここでは6つのメリットを解説しましょう。

個人の具体的な課題が明確化する

営業ロープレをとおして個々の課題が明確になり、実際の商談を行う前に課題解決に臨めます。

一斉研修でも一定の営業スキルや知識を習得することは可能です。しかし一斉研修では、個々の理解度や習得度を把握するのが難しく、個々の課題を見つけにくくなります。

営業ロープレで各社員の営業スキルをチェックできるため、本人も気が付かなかったような課題を発見できる可能性があるのです。

営業トークが上達し対応力が向上する

営業ロープレでは、上司や先輩が顧客役を演じて実際の商談を想定した会話が行われるため、現場で活かせる営業トークを習得できます。

コミュニケーションスキルの向上では、実践しながら改善を繰り返すことが重要です。とくに営業経験が豊富な上司や先輩であれば、顧客のさまざまな質問や切り返しを再現できるため、被研修者の対応力がより向上するでしょう。

成功者の手法が学べる

高い成果を上げている社員の営業ロープレを見るだけでも、営業スキルの改善に役立ちます。成功するためのコツやポイント、自分の営業方法との違いなどを発見できるからです。ベテラン社員の営業ロープでは、さまざまなシーンで役立つ営業ノウハウを学べるでしょう。

優秀な社員の営業スキルや営業スタイルを取り入れるだけでも、成果を高められる場合があります。

効率的にスキル習得ができる

営業ロープレは少人数で研修が行われるため、ピンポイントで必要なスキルを習得するのに適しています。問題解決、プレゼンテーション、クロージングなど個々の課題に合わせた研修の実施が可能です。

OJT(オンザジョブトレーニング)も実践で学ぶ形式の研修であるものの、実際の商談で OJTを行うわけにはいきません。効率的に社員のスキルを向上させるためにも、営業ロープレを活用するべきです。

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商品やサービス理解へとつながる

営業ロープレをとおして、より商品やサービスへの理解が深まります。

インプットした知識を定着させるためには、アウトプットが欠かせません。営業ロープレは、自社の商品やサービスについて、自分自身の言葉で説明する機会となります。

顧客の信頼や納得を得るために、商品やサービスのポジティブな側面だけでなく、注意点についても把握しておくのがポイントです。

新人研修で活用できる

営業ロープレは、新人研修においても効果的です。

新人の営業担当者に多く見られるのが、一方的に商品やサービスの説明や提案をしてしまうケース。 それでは顧客とのコミュニケーションが成り立たず、効果的な営業はできません。

新人の営業担当者は営業ロープレをとおして、顧客の潜在ニーズや本質的な課題などを引き出す営業トークを効率よく学べます。

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4.ロープレのデメリット

営業ロープレにはデメリットも存在します。とくに研修者の選定や研修内容によってデメリットが生じる可能性もあるため注意が必要です。

同僚同士だと緊張感にかける可能性がある

同僚など同じ立場の社員間で営業ロープレを繰り返すと、メンバーの間で「馴れ」が生じて緊張感が低下する恐れがあります。このような状況ではスキル習得への意欲や、学習の効果が下がりかねません。

緊張感が欠如したまま実際の商談に赴くと、顧客対応に失敗する可能性もあります。上司や講師などを参加させると、緊張感を維持しやすくなるでしょう。

新しい課題発見につながらない

営業ロープレの内容や実施形式がいつも同じだと、課題に気付けないかもしれません。被研修者の新たな側面を発見できるように、営業ロープレの内容や形式を定期的に見直して工夫する必要があります。

たとえば営業ロープレをビデオ撮影し、あとから被研修者と研修者で見直す方法も効果的です。この方法では、被研修者が自分の営業スキルを客観的に評価できます。また研修者を変えるなどの工夫も適宜取り入れましょう。

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5.ロープレの種類

営業には提案から契約までさまざまなシーンがあり、適した営業ロープレの種類も変わります。ここでは4種類のロープレを解説しましょう。

グループ型ロールプレイング

複数人でひとつのグループを作り、営業役と顧客役を交代で務める手法です。営業側と顧客側それぞれの視点や立場を理解するのに適しています。

あらかじめシナリオやテーマを決めておくと、効果的にロールプレイを進められるでしょう。

問題解決型ロールプレイング

過去に発生した、あるいは現在発生中の問題をテーマにして、その状況ではどうすべきかを考える手法です。新入社員だけでなくベテランも交えて多様な視点から問題を探求し、解決策を議論します。

問題解決型ロールプレイングを繰り返すと、同様の問題が発生した際に迅速かつ的確に対応できるようになるでしょう。

モデリング型ロールプレイング

優秀な営業スタッフの営業スタイルを模倣する手法です。実践で役立つ具体的な営業スキルを効率的に習得できます。

個人の優れた営業スキルやノウハウを全体へ共有すれば、全営業スタッフの能力を底上げすることも可能です。

ケース型ロールプレイング

特定の営業シーンを想定し、条件などを細かく指定する手法です。顧客の業種や役職、ニーズや課題、営業する自社の商品やサービスなども決めるため、実際の営業現場と同様の経験を得られます。

ロールプレイ後にフィードバックを行うと、被研修者が自身の課題に気付けるでしょう。

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6.ロープレのやり方

営業ロープレの種類によって進め方が異なりますが、基本的な手順は4つのステップに分かれます。それぞれについて解説しましょう。

  1. 状況やテーマの設定
  2. 役割の決定
  3. 事前準備
  4. ロープレの実施とフィードバックの確認

①状況やテーマの設定

営業ロープレでメインとなるテーマと設定を決めます。営業フェーズ、顧客のペルソナや課題、条件や制約など具体的な設定まで掘り下げるのがポイントです。成約に至らなかった状況などを、そのまま再現するのもよいでしょう。

また参加者全員がロールプレイを行えるように、ひとりあたりのロールプレイング時間や、営業ロープレ全体のスケジュールも決めておきます。

②役割の決定

ケース型ロールプレイングやグループ型ロールプレイングでは、営業役と顧客役を設定する必要があります。役割を交換することで新たな課題を発見する可能性もあるので、どちらの役割も体験させましょう。

さらに上司や講師などがオブザーバー役として参加すると、被研修者に客観的かつ具体的な意見やアドバイスを与えられます。

③事前準備

営業ロープレにおいても、本番と同等の事前準備を行います。

参加者にあらかじめ営業ロープレのテーマや、何回目の商談か、顧客はどのような業種かなどの詳細設定を伝えておき、営業役は事前調査や商品やサービスの提案に必要な資料作成などを進めるのです。

また顧客役やオブザーバーに渡すフィードバック用のチェックリストなども用意しておきましょう。

④ロープレの実施とフィードバックの確認

営業ロールプレイングの実施後は、顧客役やオブザーバーによるフィードバックを行います。

フィードバック内容には、商品やサービスへの理解度、トークの流れ、商談中の表情などに対して、良かった点、改善点などをあわせて伝えるのがポイント。

優秀な社員が営業役を担当した場合は、「なぜこのようなトークや提案を行ったか」も解説してもらうのもよいでしょう。より成果につながる考え方や判断などを学べます。

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7.ロープレ練習を効果的に行うためのコツ

営業ロープレの効果を高めるコツは、目的に合った内容を選ぶこと、実施後は客観的なフィードバックを行うことと、定期的にロープレを行うことです。

ロープレの目的を明確化

営業ロープレの目的を明確にすることで、研修の成果を最大化できます。

目標が定まっていれば、最適なロープレのテーマ、習得すべきスキルや改善すべき項目、参加すべき社員などを決められるからです。

また目標を達成するまでの期間も決めましょう。いつまでにどのレベルまでスキルを高めるかを定めると、営業ロープレの開催日や実施サイクルなどを計画しやすくなります。

オブザーバーをつけてフィードバック

営業ロープレでは、営業役と顧客役のほかにオブザーバーが必要です。オブザーバーの役割は、事前に定めたチェックポイントをもとに客観的な評価を行い、営業役へフィードバックすること。被研修者は、フィードバックをとおして新たな課題に気づきやすくなります。

しかし顧客役がフィードバックを行うと、顧客役は両方の役割を担うことになり、十分なチェックができないかもしれません。営業役と顧客役以外に、上司や教育を担当する社員がオブザーバーとして参加しましょう。

習慣化

営業ロープレで実践的な経験を積めるとはいえ、1回の実施で十分な効果を得るのは難しいでしょう。営業ロープレは習慣化させることが重要です。

ただし毎回同じ内容を反復するだけでは、特定のスキルしか向上できません。先に挙げた4種類の営業ロープレを活用すれば、ひとつのテーマでもさまざまな内容を実施できます。目標や課題を明確に定めたうえで、効果的な営業ロープレを定期的に実施しましょう。

さまざまな状況を想定

営業ロープレでは、実際の営業シーンで起こり得るさまざまな状況を想定した設定を取り入れるべきです。

顧客の業種、役職、人柄、ニーズや課題、顧客へのアプローチ回数、営業フェーズなどが変われば、最適な対応も異なってきます。

多様な顧客へ柔軟に対応してくために、現実的なシーンやシナリオを想定した営業ロープレを実施しましょう。

動画撮影

営業ロープレを録画しておくと、研修の効果を高められます。

教育担当やオブザードからのフィードバックは重要ですが、自己分析も大切です。録画しておけば、被研修者は自身の営業トーク、提案内容、会話のペースなどを客観的に見られるため、自分の課題を発見しやすくなります。

優秀な成果を上げている社員の営業ロープレを録画しておくと、モデリング型ロールプレイングの見本として活用が可能です。

実際の商談で実行できたか確認

営業ロープレ後に実際の商談を行った社員には、商談の記憶が新しいうちに必ず振り返りをさせましょう。

営業ロープレで成功しても、実際の商談では必ず上手くいくとは限りません。振り返りで「うまくいかなかった点と、うまくいった点」「次回の改善点」「不足しているスキル」などを考えさせ、改善策の考案と実施を進めます。