営業事務は、営業組織をサポートする仕事です。ここでは、営業事務について、仕事内容や必要スキルなども含めて解説します。
1.営業事務とは?
営業事務とは、社内で営業組織や営業職のサポートを行う仕事のこと。業務内容として、資料作成や受発注データ入力、請求書作成などありますが、企業や営業部門の規模、組織構造や機能によって異なります。
社内業務と社外業務に分かれる
営業事務の業務内容は、社内業務と社外業務に分かれます。
- 社内業務:営業部門や営業職をサポートする内容で、業務内容は社内の会議資料作成や受発注データの入力、請求書の作成や備品管理など
- 社外業務:顧客に対応する内容で、顧客から請求された資料作成や顧客との電話やメールでのやりとりなど
営業事務はこのように、顧客と直接やりとりする業務もあるため、会社の顔ともいえるのです。
一般事務の違い
営業事務と一般事務との違いは、
- 営業事務:営業組織や営業職のサポートのみに徹しており、コミュニケーション能力やチームワーク、書類作成の正確性などが求められる
- 一般事務:特に部門を限定せず幅広く事務全般についてかかわるため、仕事に優先順位を付けたり多種多様な仕事に対応したりする柔軟性などが求められる
2.営業事務の仕事内容
営業事務の仕事内容は、多岐にわたるのです。ここでは、営業事務の業務について下記7つから、ポイントを解説します。
- 一般事務
- 来客応対
- 電話・メール対応
- 書類作成
- 顧客管理
- 商品管理
- データ集計
①一般事務
営業事務における一般事務とは、職場における、事務全般・庶務一般のこと。具体的な仕事内容は、
- 社内の消耗品の発注、管理
- 郵便物の仕分け
- 資料作成
- 見積書や契約書作成
- 電話やメール、来客応対
- ファイリング
- データ集計
などで、ここには一般事務が担う業務も多く含まれています。
②来客対応
来客応対とは、既存顧客や新規顧客、新規見込み客や関係取引先などが来客した際、応接室や待合室、会議室などへ案内し、場合によってお茶を出すといった対応をすること。
来客の旨を営業組織や営業職に伝えるほか、来訪者の帰宅後は部屋の片付けなどを行います。直接、関係先と接するため基本的なビジネスマナーが必須です。
③電話・メール対応
電話やメール対応とは、営業組織が会議中だったり担当営業職が外出していたりする際合、かかってきた電話や送られてきたメールに対応すること。
営業組織は、電話やメール連絡が多くある部門ですので、営業職の離席中は営業事務が電話やメール対応をするのです。簡単な問い合わせに対しては営業事務が回答する場面も見られます。
④書類作成
書類作成とは、業務上必要な書類を作成する仕事で、作成する書類には、見積書や契約書、請求書や社内用会議資料、顧客に対するプレゼンテーション資料などがあります。
顧客とのやりとりに直結する書類を扱ううえ、その書類がないと手続きが進まない場合もあるのです。そのため迅速な対応や書類作成の正確さが、求められます。
⑤顧客管理
顧客管理とは、取引先や新規顧客、見込み顧客など、取引にかかわる顧客情報を管理する仕事のことで、管理する情報は、氏名や名称、住所や電話番号、担当者や取引履歴などです。
更新作業が必要な継続的な取引の場合、「契約期間が満了する前、担当営業職に連絡する」「直接顧客に継続契約の案内を送付する」といった事務も発生します。
⑥商品管理
商品管理とは、在庫が発生するようなメーカーや製造業、販売業といった業種で必要となる業務で、日ごと・週ごと・月ごと・四半期ごとといった一定期間ごとに商品の在庫数の記録や管理を担当します。
在庫管理は非常に重要な業務です。無駄のない生産や発注のためにも、正確な在庫管理が求められます。
⑦データ集計
データ集計とは、営業組織や営業職が必要とするデータを集計すること。
定量化できるデータをもとに営業活動をすると、顧客に信頼を与え、それが成果として表れます。営業に必要とされるデータを集計しておく作業は、地味でありながらも重要な仕事です。
3.営業事務が扱う書類とは?
営業事務が扱う書類にはいくつかあり、それらを用意しなければ商品やサービスの売買は不可能です。よって営業事務による書類作成は非常に重要な仕事といえます。ここでは、営業事務が扱う書類を6種類解説しましょう。
- 契約書
- 見積書
- 発注書・申込書
- 納品書
- 受領書・検収書
- 請求書
①契約書
契約書とは、商品やサービスを売買する際に作成する書類のこと。目的は、「商品やサービスの売買内容について、双方の合意があったと証明する」「契約書がないことによる、後々のトラブルを回避するため」です。
②見積書
見積書とは、自社が販売したい商品やサービスの、名称や価格、取引条件などが記載されている書類のことで、顧客は契約前に見積書を見て、費用や仕様を確認します。通常、営業は見積書をもとに顧客の承認を得て、契約へと話を進めるのです。
③発注書・申込書
発注書や申込書は、契約書と類似した意味を持つ書類で、顧客が商品やサービスを購入する意思表示のために用います。本来は顧客が作成する書類ですが、実務上で営業事務が書類を作成し、顧客に捺印のみを依頼するケースがほとんどです。
④納品書
納品書とは、売買契約を締結後、顧客に商品やサービスを納めたと証明する書類で、契約書の記載通りに商品やサービスを納品できたと示すのです。顧客は、納品書を見ながら、契約内容と納品内容を確認します。
⑤受領書・検収書
受領書・検収書とは、契約書の記載どおりに顧客が商品やサービスを受領したと証明する書類です。通常、営業は納品書とセットにして顧客に提出します。顧客は、納品内容を確認した後、署名・捺印して返送するのです。
⑥請求書
請求書とは、販売した商品やサービスの代金を顧客に支払ってもらうために作成・発行する書類で、納品した商品やサービス価格、数量や振込先口座が記載されています。請求書が送付されないと料金が支払われないため、期日までに発行する必要があるのです。
4.営業事務に求められるスキル
営業事務に求められるスキル7つについて、解説します。
- 事務処理能力
- 作業の正確性とスピード
- PCスキル
- コミュニケーションスキル
- 臨機応変な対応
- タスク管理スキル
- スケジュール管理能力
①事務処理能力
事務処理能力とは、書類作成や顧客からの入金チェックなどの事務作業を、間違えず迅速に処理する能力のこと。高めるためには、「業務を見直す習慣を付ける」「日頃から正確な作業を心掛ける」「目標を設け、効率化に向けて工夫する」などが必要です。
②作業の正確性とスピード
作業の正確性とスピードとは、売買契約に関わる書類の作成や商品やサービスの受発注業務について、ミスなく速く仕事を仕上げること。
具体的には、「日付や金額、数量など書類に記載されている内容を正確に入力する」「契約の締切りに間に合うよう書類を作成する」などを意味します。
③PCスキル
PCスキルとは、データ入力や書類作成などで用いるオフィスソフトを操作するスキルのこと。
PCスキルが必須の仕事は多いため、「vlookup関数やピボットテーブルなどの表計算スキル」「顧客セミナーやイベント資料作成のためのPowerPointスキル」などを知っておくと便利です。
④コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルとは、社内外と意思疎通をスムーズに行うスキルのこと。顧客からは、商品内容や在庫などに関する問い合わせやクレームなど、さまざまな内容が届きます。
営業事務は、営業職に代わって対応する場合も多いため、「顧客との信頼関係を維持、構築する」「顧客の要望に誠意をもって的確に対応する」といったコミュニケーションスキルが欠かせません。
⑤臨機応変な対応
臨機応変な対応とは、想定外のケースでも柔軟な対応を取ること。営業事務には、「顧客からイレギュラーな対応を強く求められる」「顧客から想定外のクレームが届く」など、難しい対応を迫られる場面も多々あります。
どんな場面でも冷静に柔軟な対応で顧客と上手に折り合いを付けていく、そういったスキルは、営業事務には欠かせません。
⑥タスク管理スキル
タスク管理スキルとは、優先順位を付けて内容別に分類し、仕事をスムーズに進めていく力のこと。営業事務の仕事は、複数の煩雑な業務を同時進行していくケースがほとんどですので、進行管理や関係者ならびに担当者の把握などが必要となります。
⑦スケジュール管理能力
スケジュール管理能力とは、タスク管理にもとづいて仕事を円滑に進めるスキルのこと。仕事の優先順位を明確にしたら、日々の業務や週で管理する業務、月次業務などに分けてスケジュールを調整します。
スケジュールが重複した場合は、さらに優先順位を付け仕事が滞らないようにするのです。
5.営業事務に役立つ&スキルアップ資格とは?
営業事務に役立つ資格があり、取得を目標にすればスキルアップできるでしょう。ここでは、5つの資格についてポイントを解説します。
- MOS
- 簿記
- 秘書検定
- TOEIC
- 文書情報管理士資格
①MOS
MOSとは、WordやExcelなどの知識やスキルを身に付けたと証明する資格のこと。マイクロソフト社公認の資格で正式名をマイクロソフト オフィス スペシャリストといいます。MOSを通して、PCスキルを一段と向上させる機会にしてみてはいかがでしょう。
②簿記
簿記とは、日々の経営活動を記録・計算・整理して、経営成績・財政状態を明らかにするスキルのこと。学ぶと、会計知識や財務諸表を読む力などが身に付きます。
営業事務では、経費精算や小口現金管理、売掛金や買掛金に関わる業務もあるため、簿記の知識があると業務も進めやすくなるでしょう。
③秘書検定
秘書検定とは、社会人として知っておくべきマナーを学べる資格のこと。筆記試験や面接試験があり、より実践的なビジネスマナーを身に付けられます。電話応対やメールでのマナーなどを習得するのに役立つでしょう。
④TOEIC
TOEICとは英語でのコミュニケーション力を判定するための世界共通テストのこと。財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会が運営しており、スコアを用いて英語でのコミュニケーション能力のレベルを表示します。
海外の顧客との取引があり英語力を求められる会社で働く営業事務は、スコアアップをスキルアップに活用できます。
⑤文書情報管理士資格
文書情報管理士資格とは、文書管理を行う専門家のための資格試験です。最適な電子保存方法の理解ができ、文書の大切さを伝えられるエキスパートだと証明できるもので、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が認定しています。
- 資料や図面のスキャンによるデータ化
- マイクロフィルムによる書類保存
などのスキルは仕事に役立つでしょう。
6.営業事務で働くメリット
営業事務で働くメリットについて、下記3つの視点から解説しましょう。
- キャリアパスを立てやすい
- パソコンスキルが身に付く
- 退社時刻をコントロールしやすい
①キャリアパスを立てやすい
キャリアパスとは、キャリアアップに向けた筋道のこと。
営業事務は、「より高いビジネス知識やビジネス感覚を、実務を通して身に付けられる」「総務事務、人事や労務事務といった異なる分野の事務にキャリアチェンジしやすい」といった特徴があるため、キャリアパスを立てやすくなっているのです。
②パソコンスキルが身に付く
営業事務の仕事には資料作成やデータ入力などがあるため、パソコン操作は必須です。実務を通してWord・Excel・Powerpointなどのスキルを向上できるでしょう。
③退社時刻をコントロールしやすい
営業事務は、月末や締め日など繁忙期がある程度つかみやすい業務です。またアルバイトや派遣社員などとして営業事務に就く場合、ほとんど残業なしで働けます。