エレベーターピッチとは、エレベーターに乗っているくらいの短い時間で自分自身や自社のビジネスなどについてプレゼンする手法のことです。エレベーターピッチの特徴やメリットなどについて解説します。
目次
1.エレベーターピッチとは?
エレベーターピッチとは、エレベーターに乗っているくらいの短い時間で自分自身や自社のビジネスなどについてプレゼンする手法のことで、アメリカのシリコンバレーが発祥とされます。
15~30秒という短時間で行うプレゼンは、営業活動だけでなく、自己アピールなどにも活用できるスキルです。しかし短時間ゆえ、伝える内容や順番を整理し、簡潔に分かりやすく話さなくてはなりません。
2.エレベーターピッチの目的
エレベーターピッチの目的は、結論を先に話すような的確で短いプレゼンを行えるようにすること。
もともと、多忙で時間がない投資家に対して短い時間でアピールし、投資を増やしてもらうチャンスをつくる方法として利用されていました。現在でもエレベーターピッチはさまざまなビジネスシーンで活用されています。
3.エレベーターピッチの特徴
エレベーターピッチの特徴は下記の2つです。
- エレベーターで移動する15~30秒ほどの時間を利用する
- 30秒で話せるのはおよそ250文字
30秒という短い時間かつ250文字という短い文字数で、初対面の相手に自身や自社の商品・サービスの魅力を伝えなければならないため、内容を的確に伝える練習が必要です。
4.エレベーターピッチのメリット
エレベーターピッチのメリットとして挙げられるのは、下記のような事柄です。
- どんな場面でも言いたいことを簡潔に伝えられる
- 信頼性が高まりやすい
- 傾聴スキルが上がる
- コミュニケーション能力が上がる
- 考えをはっきりさせられる
- 余計な話を省略できる
- 打ち合わせなどが早く終わる
5.エレベーターピッチの作り方、まとめ方
では、エレベーターピッチの作り方、まとめ方を詳しく見ていきましょう。
話をまとめるための設計図を作る
まず、15~30秒で話をまとめるための設計図を作ります。基本の型となる設計図を一度作っておくと、以降にエレベーターピッチをする際に活用できるだけでなく、その他の場面でも応用できるのです。
- 目的
- 相手側に立って分析
- 目的と相手をつなぐ内容
①目的
自分は何を目的として行動しているのか、意図を明確にします。目的といっても難しく考える必要はありません。目的とは、「~を売りたい」「~を知ってほしい」などの自らの望みです。
会話には必ず話す人の意図があります。事前に自分の話の目的、ゴールを明確にしておきましょう。たとえば不動産営業の場合、「不動産を売って営業成績を伸ばしたい」「もっと顧客のニーズに合った営業を展開したい」というのが自分の目的部分に当たります。
②相手側に立って分析
相手の得たいものを的確に把握することも欠かせません。相手は何をしてほしいのかといった相手側に関する内容をまとめましょう。
相手にとって、話す人の目的は他人事。そこで相手を動かすために、話の目的を相手自身のこととして捉えてもらえるような仕掛けが必要となるのです。
たとえば、「相手の求める不動産が、居住用なのか投資用なのか」と目的を見定めることが把握に該当します。
③目的と相手をつなぐ内容
最後に自分の目的と相手をつなぐための内容をまとめます。
たとえば、相手が投資用に不動産の購入を考えているのであれば、空室リスク対策、駅チカで需要が高い、賃貸相場が上昇している、利回りが良いなど投資メリットを感じてもらえるような内容をまとめる必要があります。
これが、自分の目的と相手が得たいものをつなぐアプローチとなるのです。この3段階を踏むことで、エレベーターピッチの設計図が完成すると同時に成功への近道となります。
フォーマットを作る
エレベーターピッチのフォーマットは3つからなります。
- 話のつかみとなるフック
- 話の要点となるポイント(15秒や30秒など時間に応じて、ピックアップするポイントの数を変える)
- クロージング:相手の行動を促す締めとなる言葉
基本の型に当てはめながら、15秒バージョンと30秒バージョンのフォーマットを作成してみましょう。
フォーマット用に内容をまとめる
エレベーターピッチは、それぞれの事例をフォーマットに落とし込むために、下記5つの手順に沿って内容をまとめていきます。慣れるまでフォーマットを繰り返し作成する場合もありますが、徐々に考え方がシンプルになってコンパクトに話せるようになるでしょう。
- ポイントを洗い出す
- 目的と相手をつなぐポイントを厳選
- クロージングを考える
- フックを考える
- フォーマットにまとめた内容をチェック
①ポイントを洗い出す
厳選は後で行うため、この段階ではひとまず内容を洗い出すことに専念します。ポイントはなるべくたくさん挙げましょう。
たとえば不動産営業なら、「眺望が良い」「駅チカ」「近隣の賃貸相場が上昇している」「投資利回りが良い」「最近修繕が完了した物件」「部屋の間取りが自由に変えられる」「緑が多くて環境が良い」「空室リスクが低い」などです。
②目的と相手をつなぐポイントを厳選
次に、洗い出したポイントから、自分の目的と相手の得たいものをつなぐ内容になるポイントを見つけて厳選します。そして相手が得たいものに最も近いポイントを3つに絞るのです。
人の記憶力の観点から、数多く提案しても覚えてもらいにくいので、3つまでと心得ましょう。
たとえば、上記で洗い出したポイントの中から、「空室リスクが低い」「近隣の賃貸相場が上昇している」「投資利回りが良い」の3つをピックアップします。
③クロージングを考える
相手が話に耳を傾け、決定に動くようなクロージングの言葉を考えます。相手が、「早くしなければ」「決めなければ」と行動を促すようなフレーズを入れるとよいでしょう。
たとえば不動産営業なら、「この物件は、人気があり問い合わせが殺到しているので、明日の午前中までに連絡をください」などのフレーズを入れます。これにより不動産物件を得たいと考えている相手は行動を早めなければと考えるのです。
④フックを考える
話のつかみとなるフックは一言で相手を引き込ませる必要があり、最も難しいものですので、最後に考えます。
不動産営業なら、物件の購入を考えている相手に対し、「あまり市場に出てこない希少物件をご覧になりますか」などと質問型にして反応などを確かめます。これにより、ポイント、クロージングへの流れがスムーズになるでしょう。
⑤フォーマットにまとめた内容をチェック
最後にフォーマットにまとめた内容を、流れが整っているか、量は適切かなどの面からチェックします。相手の興味や注意を喚起し、続きを聞きたい、後で詳細を聞きたいという流れになっているか確認しましょう。
15~30秒という短時間で話せる言葉で、簡潔明瞭かどうかも大切です。しっかりと相手の興味を惹きつけられるかどうか、次につなげる話し方になっているかどうかも重要なポイントです。
これらの観点からチェックすると、より的確なエレベーターピッチになるでしょう。
6.エレベーターピッチの練習
フォーマットにまとめた内容を実際に口に出して話し、練習します。15~30秒程度と時間は短いですが、時間を気にして早口になりすぎないよう注意しましょう。
どんなに内容が良くても、早口で聞き取りづらいと相手には伝わりません。しっかりと抑揚をつけ、滑舌を良くする練習をし、聞き取りやすいプレゼンができるよう心掛けましょう。
7.エレベーターピッチを学ぶ書籍
最後にエレベーターピッチについて学ぶ書籍をご紹介します。
美月あきこ著『15秒で口説く エレベーターピッチの達人――3%のビジネスエリートだけが知っている瞬殺トーク』を読み、実践すると、エレベーターピッチの理解を深めることができます。
本書は、著者が行っているすぐに効果が上がる「売れる営業マン・販売員」研修において扱われているテーマ「エレベーターピッチ」の詳細を解説した書籍です。