組織論を語る上で外せない、「創発」や「イノベーション」といったキーワードですが、実際に創造的な組織を構築するためには、注意したいポイントがあります。創造的な組織を構築するために、是非参考にしてください。
創発とは
創発とは、「emergence」(発現)が語源であり、物理などで使用されている用語でしたが、組織論やナレッジマネジメントの分野でも使用されています。
これは、ある一定の要件に基づいた予測及び計画や意図を超えるイノベーションを誘発する様を示しており、自律的な要素が集結して組織化されることで、個々を凌駕するシステムや秩序が生じるからです。
創造的な成果に結びつけるために、個人個人の能力や発想を組み合わせる取り組みとして注目を集めており、多くの企業に取り入れられています。
イノベーションとそれが生み出される環境とは
イノベーションとは、既存のものや情報を組み合わせて、新しい概念や商品を作り出すことです。「技術革新」と翻訳されることもありますが、本来は新しいものを開発するという狭い意味ではなく、従来のものを変革して新たな価値を創造し、社会に変化をもたらすことです。
そして、単純な数字以上のイノベーションを生み出すことを創発といいます。その代表例として挙げられるのは、近年世界中から注目が集まる日本の町工場です。
町工場はたしかに大手企業と比べて単純な数では劣ります。しかし、それらの企業に勝るとも劣らない技術力を持つことができたのは、“1+1”以上の成果を生み出すことができる環境があったからなのでした。
イノベーションとは? 意味や使い方、具体例をわかりやすく
イノベーションは、企業が成長を続ける上で欠かせないものです。革新を起こすようなアイデアや技術、手法について常に思考を巡らせていなければ、新たな製品やサービスは生まれず、市場がマンネリ化してしまい、企業...
創造的な組織を構築するために
創造的な組織を構築するためには、風通しを良くし、意見交換が活発にできる風土を形成するだけではなく、多様な人材や価値観を受け入れる土壌を作ることも大切なポイントです。自由な発想を推奨するだけではなく、失敗を許容することができる組織力をつけることも必要です。
また、リーダーシップをとる人材の選定も、人事が注意を払いたい組織構築のポイントとなります。
長期的な目標(ビジョン)を明確にし、その上でリーダーがメンバー個々の日々の業務へ介入することを極力少なくして、個人個人の能力や主義、ワークスタイルを最大限に尊重します。
それによって、個人の能力を最大限に引き出し、多様な人材とコミュニケーションをとることによって、従来のものや考え方を結びつけ、新しい形を作り出すイノベーションを引き起こすことができます。
そのためには、スペシャリストの育成だけに捕らわれずに、多分野へ挑戦できる人事制度を設け、事業領域に縛られることのない挑戦や勉強ができる環境を整備することも大切です。
ご紹介したように、創造的な組織を構築するために人事ができることは多くあります。単に仕組みを作るだけではなく、そこで働く人材をバックアップし、より良い環境を構築できるように心がけましょう。