エンパシーとは?【意味を簡単に】シンパシーとの違い

エンパシーとは、相手の感情の動きを想像する力のことです。ここではエンパシー能力の特徴や種類、シンパシーとの違いについて解説します。

1.エンパシーとは?

エンパシー(Empathy)とは、自分とは異なる価値観や考え方を持つ他人に自己を投影し、相手が何を考えているのか、どう感じているのかを想像する力のこと。

ギリシャ語の「emphatheia(心の状態)」という単語に由来する言葉で「共感」や「感情移入」、「自己移入」と訳される場合もあります。自己の感情を表現するという意味から、美術や哲学、心理学の世界などで用いられるのです。

他者の視点から物事を見る能力をエンパシーと呼ぶこともあります。

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2.エンパシーの特徴

エンパシーにはどのような特徴があるのでしょう。ここではエンパシーがない人の例を見ながら、エンパシー能力の特徴について説明します。

エンパシーがない人とは

共感できない他者を理解できない、もしくは理解しない人のこと。かのマーガレット・サッチャーは私設秘書から「彼女はシンパシーのある人だったが、エンパシーのある人ではなかった」と評されています。

彼女は側近には愛情深く接しましたが、市政の人には「鉄の女」と呼ばれるほど冷酷になれる人物でした。これはエンパシーの欠如が一因であると推測されています。

エンパシーがない人は、自分とはかけ離れていると感じる人に思いやりを持つのが困難な傾向にあるのです。

エンパシー能力が高いの特徴

エンパシー能力が高い人の特徴は下記のとおりです。

  • 相手の感情に合わせるのが得意
  • 相手の気持ちが手に取るようにわかるため、言葉を飲み込みがち
  • 他人の悩みを自分の悩みのように感じ、一緒に悩める
  • 無意識のうちに相手の隠れた意図を汲み取って行動してしまう
  • 相手の気持ちを想像するあまり、勘違いや思い込みが多くなる

エンパシーは「自分がもし〇〇だったら」を考えるために必要なスキル

エンパシーとは「自分がもし〇〇だったら」を想像して理解する能力のこと。自分と異なる立場の相手を〇〇の部分に入れて、相手の感情や経験などを理解する知的な作業です。

相手の考えに賛同できなくても、まずは自分事として受け止めて「共感」します。この力が立場の違う相手と一緒に仕事を進めるビジネスに必要なのです。

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3.エンパシーとシンパシー

エンパシーとよく似た言葉に「シンパシー」があります。ここではシンパシーの意味やエンパシーとの違いについて説明します。

シンパシーとは

思いやりや同情、共鳴などの意味を持つ言葉で、ギリシャ語の「syn(一緒に)」と「pathos(苦痛)」が由来といわれています。

シンパシーには「気の毒に思う」という意味もあるため、相手を哀れに思うニュアンスが強い言葉です。しかしその根幹には「共鳴」や「共感」の気持ちが含まれています。

相手に共感して意気投合したときや、他社のビジョンに共鳴したときなどに「シンパシー」という言葉を使います。

エンパシーとシンパシーの違い

「シンパシー」と「エンパシー」はどちらも共感の意味を持つ言葉ですが、この共感に至るまでの流れが違います。

  • シンパシー:他人と気持ちを共有する「感情の自然な動き」
  • エンパシー:別の価値観や考えを持つ相手に自己を投影して、相手が何を考え、どう感じているのかを想像する知的な作業

「大変だね」と感情的に声をかけるのがシンパシー、相手が苦しんでいる場所まで心理的に下りて、その気持ちを自分事のように考えるのがエンパシーです。

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4.エンパシーの種類

相手の立場に立って共感するエンパシーには、以下4つの種類があります。それぞれの意味と概要について説明しましょう。

  1. エモーショナル(感情的)・エンパシー
  2. コグニティブ(認知的)・エンパシー
  3. コンパッショネイト・エンパシー
  4. ソマティック・エンパシー

①エモーショナル(感情的)・エンパシー

エモーショナル(感情的)なエンパシーのこと。前述した「シンパシー」ともよく似ているものです。エモーショナル・エンパシーが高いリーダーは、チームのニーズを理解しやすくなります。

チーム一人ひとりの感情を理解するため、メンバーは「自分を評価してくれている」「話を聞いて認めてもらっている」と感じるのです。これは全体のパフォーマンス向上にもつながるでしょう。

②コグニティブ(認知的)・エンパシー

まったくシンパシーを抱けない相手でも、相手の視点を想像して世界を見る能力のこと。日本語では「認知的エンパシー」とも呼ばれています。英語では「他者の靴を履く」という慣用句で説明されるコグニティブ・エンパシーは、非常に知的な作業です。

チームのコミュニケーションを円滑にして業務を滞りなく進めるためには、自分が同情、共鳴できない相手に対してもその人の気持ちや考えを想像するコグニティブ・エンパシーが必要でしょう。

③コンパッショネイト・エンパシー

相手が考えていることを想像、共感したり、相手の感情に同感することに留まらず、さらにそこから何らかのアクションを引き起こしたりすること。

コンパッション(Compassion)とは「思いやり」や「慈悲」を指す言葉で、苦しんでいる人々や動物に対して強いシンパシーを感じ、彼らを助けたいと思う願望です。

相手の感情に自己を重ねるというより、相手の苦しみや悲しみを取り除く問題解決にフォーカスを当てていきます。

④ソマティック・エンパシー

相手の苦しみや痛みを想像して、自分も身体的にその状態を感じてしまうこと。エンパシー能力が高い人のなかには「体調の悪い人と一緒にいると、自分も同じような症状で苦しくなる」という人がいます。

ソマティックとは身体のことです。「共感」や「自己移入」は身体と深いかかわりがあるため、それぞれを独立させられません。身体が発したメッセージに耳を傾ける共感ともいえます。

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5.ビジネスシーンにおけるエンパシーの具体例

ビジネスシーンにて、エンパシーはどのように活用されているのでしょうか。ここでは上司から部下へ、また部下から上司への具体的な会話を例に説明します。

上司から部下へ

上司がエンパシー能力を発揮するためには、日頃から互いに信頼関係を築いておく必要があります。またたとえ部下の話に賛同できなくても、話を否定せず、最後まで聞くことが重要なのです。

部下へのエンパシーが欠如している上司の例

上司のエンパシーが欠如していると、依頼を断りにくいという部下の立場を利用した業務アサインが行われます。例をあげて解説しましょう。

  • 上司A(自分でやっておくつもりだったけど、ほか業務との兼ね合いでできなかった。強めの口調で頼めばやってくれるだろう)
  • 「急ぎで悪いんだけど、明日取引先に提出が必要なデータをまとめておいてくれないかな。できるだけ急ぎでよろしく!」
  • 部下B(今日はもう仕事が手一杯なのに…もっと早く言ってくれれば何とかなったかもしれないのに。でも文句は言えない…)「はい、わかりました…」

部下へのエンパシーを意識している上司の例

エンパシー能力を持った上司は、相手の置かれた状況を想像できます。例をあげて解説しましょう。

  • 上司A(急ぎの仕事を入れたら困るだろうから、私のほうでほか業務の優先順位を調整しよう)「急な依頼で申し訳ないんだけど、今日中にこのデータをまとめてもらえるかな。取引先がどうしても明日中に欲しいらしいんだ。ほかに優先する業務があるならそっちを私が調整するよ」
  • 部下B(急遽明日必要になってしまったのか。今の業務を調整してくれるなら対応できそうだ)「はい、わかりました」

部下から上司へ

部下が上司に対してエンパシー能力を発揮する際のポイントは、上司の知りたがっている内容を想像することです。

上司へのエンパシーが欠如している部下の例

例をあげて解説しましょう。

  • 上司C(ほかの業務を依頼したいんだけど、今の業務進捗はどんな状況だろう)「頼んでおいた議事録作成は進んでいる?」
  • 部下D(上司は慌ただしそうだし、余計なことは伝えないほうがいいだろう)「はい、大丈夫です…。」
  • 上司C(具体的な進捗を確認したかったのになぁ。ほかの業務は誰にまわそうかな)

部下の仕事を管理する上司は、部下が今何をしているのか、仕事は滞りなく進んでいるのかについて、知りたがっています。万が一トラブルが発生した場合、部下が勝手に判断してしまうと後々大きな問題に発展する可能性も高いです。

上司へのエンパシーを意識している部下の例

上司へのエンパシーを意識している部下は、言葉のうえだけでなく上司の背景を考慮できます。例をあげて解説しましょう。

  • 上司C「頼んでおいた議事録作成は進んでいる?」
  • 部下D(進捗の確認が必要なのかな。そういえば新たな発注があったから新しい業務依頼かもしれない)
  • 「はい大丈夫です。8割がた完成しているので、最後にもう一度確認して、今日の15時までにはメールでお送りします」
  • 上司C(なるほど、それなら安心だ。15時までに完成するなら新しい業務についてはそれ以降に相談しよう)

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6.なぜエンパシーが注目されるようになったのか

近年、私生活だけでなくビジネスシーンでもエンパシーという能力に注目が集まっています。それはなぜなのでしょう。エンパシーが注目されるようになった理由を2つの視点から説明します。

AI時代にこそエンパシー能力が必要

「人工知能」という言葉が登場してから半世紀が過ぎました。AIの処理能力は以前に比べて進化し、将来はAIが人間を超えると考える人も少なくありません。

日々進化し続けるAIですが、彼らには「共感する能力」がありません。人間には当たり前のように「相手の気持ちを推し量る力」が備わっていますが、機械やAIにはそもそも「共感」が必要ないのです。

しかし人間が人間でいる限り、共感すなわちエンパシー能力が必要になります。AI時代を生き抜くためには、共感力を養う必要があるのです。

ユーザーのニーズを理解するためのフレームワークとして

ユーザーのニーズをより正確に理解する際も、エンパシー能力が必要です。ユーザーの感情や行動を整理して、ニーズを深掘りするフレームワークを「エンパシーマップ」といいます。

このツールでは特定の顧客をイメージして、その人物の立場から考えていることや見えているもの、聞こえることや言っていることを書き出すのです。

エンパシーマップを活用すれば、ユーザーに寄り添った客観的な判断が前よりできるようになるでしょう。ニーズが具体的にイメージできるため、正確なターゲット分析、マーケティング施策の設計に欠かせないフレームワークです。