アントレプレナー(entrepreneur)とは?【意味を簡単に】

「アントレプレナー」とは、「起業家」や「新事業を起こす人」という意味で使われる言葉です。今回はこの「アントレプレナー」について解説します。

1.アントレプレナー(entrepreneur)とは?

アントレプレナー(entrepreneur)とは、起業家や新事業をゼロベースから起こす人を指す言葉です。事業を経営しているという点では、企業家と起業家は同じ意味です。しかし起業家には「ゼロベースから事業を起こした人」という意味も含まれているため、厳密には意味が異なります。

アントレプレナーの語源

アントレプレナーは英語で「entrepreneur」と書きます。もともとの語源はフランス語で、「Entre(入口)」と「preneur(受け手)」という単語が組み合わさってできました。

たとえばフランスではコース料理の前菜にEntreという単語が使われています。フランスから英語圏へアントレプレナーという語が伝わった当初、各国における単語の意味の違いから「仲買人」という意味で使われたようです。

アントレプレナーになるには?

アントレプレナーになるため特に必要な資格などはありません。ただし資格が必要ないとはいえ、起業するうえで事業にかかる費用を把握しておく必要はあります。そこで簿記といった資格を持っておくとよいでしょう。

いずれにせよ、起業する業種に伴った資格が必要となります。またアントレプレナーには起業家としてのマインドが必要です。このマインドを「アントレプレナーシップ」と呼びます。

アントレプレナーシップとは?

アントレプレナーとマインドを意味する「シップ」が合体した言葉で、日本語では「起業家精神」と訳されます。

ゼロベースから事業を起こそうと思っている人や、将来的に起業しようと思っている人のをアントレプレナーシップがある人と呼ぶのです。馴染みのない言葉ではあるものの、これからのビジネスにおけるリーダー育成に欠かせない要素といえるでしょう。

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2.アントレプレナーが求められる背景

近年、アントレプレナーが求められるようになってきた原因はさまざまです。ここでは背景それぞれについて見ていきます。

  1. 従来の価値観を変える
  2. 新しいビジネスを生み出す
  3. グローバル化

①従来の価値観を変える

アントレプレナーは、昔ながらの経営のあり方を変えるとして注目されています。日本は昔から、終身雇用や年功序列が基本経営の在り方として求められてきました。しかし近年、成果主義や能力主義に切り替わりつつあります。

これからの企業は、主体性をもって改革や革新に挑戦するアントレプレナーのような人材を必要としているのです。

②新しいビジネスを生み出す

。イノベーションによる技術革新やグローバル化により、新しいビジネススタイルが登場するようになりました。たとえばインターネット通販は、ビジネススタイルを大きく変化させた例のひとつです。

新しいビジネススタイルを生み出せれば、企業価値が大きく向上します。ゼロベースから新しいビジネスを創造するには、高い創造性とリスクを恐れない精神を備えたアントレプレナーが必要なのです。

③グローバル化

年々少子化が進み、人口が減少している日本でのみビジネスを展開しても、将来的に企業が残っていくのは難しいでしょう。そこでグローバル化に対応できる、アントレプレナーシップのある優秀な人材を育成する必要があるのです。

アントレプレナーは、近年のビジネスシーンの急激な変化や海外企業進出の影響によって、需要が高まっています

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3.アントレプレナーに必要なスキル

アントレプレナーになるためには起業をする精神はもちろん、さまざまなスキルや知識が必要です。ここでは、アントレプレナーに必要なスキルについて説明します。

  1. リーダーシップ
  2. 責任感
  3. マネジメントスキル
  4. ビジネスに関する知識
  5. 人脈
  6. 創造性

①リーダーシップ

たとえアントレプレナーがよい戦略や企画を思いついても、自分ひとりでの実行は難しいです。自分の戦略や企画に共感し、ともに実行する人を増やさなければなりません。

他者を巻き込んで同じゴールに引っ張っていくリーダーシップは、アントレプレナーにとって欠かせないスキルです。

②責任感

自分の行動に責任を持って行動できる人物でなければ、アントレプレナーは務まらないでしょう。アントレプレナーは未開の市場を開拓していくため、つねに順風満帆とは限りません。

うまくいかないときやミスをしてしまったとき、他責思考にならず自責思考を持てる人物は、アントレプレナーとしての適性があるといえます。

③マネジメントスキル

ここでいうマネジメントスキルとは、他者やチームをマネジメントする能力だけでなく、自分自身をマネジメントする能力も含まれます。

自分のスケジュール管理や情報の整理などができない人材に、他者のマネジメントは難しいです。チームのマネジメントでは、メンバーの共通認識を高め、モチベーションを保てる環境づくりが求められます。

④ビジネスに関する知識

アントレプレナーは市場の動きをいち早く察知して、ビジネスモデルを確立できるようなビジネスの知識が求められます。

事業を展開する市場や顧客のニーズなど、ビジネスモデルを確立させられるだけの知識やノウハウがあれば、創案した優秀なビジネスモデルは、現実のものとなるでしょう。

⑤人脈

人脈の多さは、企業の成功に直結します。この人脈に含まれるのは、「一緒に仕事をしてくれる」「仕事を発注してくれる」「適切なアドバイスを送ってくれる」など。アントレプレナーには、より多くの人脈を持っている点が求められるでしょう。

⑥創造性

アントレプレナーには、「価値創造」「信用創造」「知識創造」も必要です。

  • 価値創造:「経済的または倫理的な価値を生み出す」
  • 信用創造:「今後作り出す価値を資本家に提示する」
  • 知識創造:「組織単位での知識を増やしていく」

アントレプレナーには、これら3つの創造力を駆使し、新たなイノベーションを生み出していくのが求められます。

アントレプレナーに必要なスキルは、「リーダーシップ」「責任感」「マネジメントスキル」「ビジネスに関する知識」「人脈」「創造性」の6つです

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4.アントレプレナー教育とは?

企業でアントレプレナーシップを持つ人材が必要とされるようになり、自社内でアントレプレナーシップ人材の育成に取り組む企業も増えています。ここでは教育の概要や国内外での取り組みといった、アントレプレナー教育について説明しましょう。

アントレプレナー教育の概要

アントレプレナー教育とは、既存の社会や組織に問題意識を持って課題に取り組み、変革をもたらせる人材を育成する教育です。

目的は「主体性が重視された教育を進めて、想像力や発想力、問題発見能力や問題解決能力、判断力や行動力といったアントレプレナーに必要なスキルを育成する」こと。たとえばコミュニケーションスキルやリーダーシップ、プレゼンテーションスキルなどです。

海外におけるアントレプレナー教育

海外の大学ではアントレプレナー教育が熱心に行われており、さまざまなプログラムが実施されています。

たとえばバブソン大学では、学部1回生には起業の講義を必修とし、実践的な教育を行っているのです。ハーバード大学ではアントレプレナーシップを養うための教育を分野別に実施し、実際の事例を用いてケーススタディを行います。

日本におけるアントレプレナー教育

日本の大学でも、アントレプレナー教育が進められています。プログラムを用意する大学が増え、国内の大学のうち半数ほどが企業に関する科目や講座を取り入れているという調査結果があります。

民間企業では、子どもを対象にしたアントレプレナー教育を実施し、仮想的な企業経験や起業家育成プログラムなどを提供。今後もアントレプレナー教育は広がりを見せていくでしょう。

文部科学省の取り組み

文部科学省では「次世代アントレプレナー育成事業(EDGE-NEXT)」に取り組んでいるのです。これはアントレプレナー人材の育成プログラムを開発、実施する大学に対して海外機関や企業が支援する取り組みとなります。

目的は「起業や新事業創出を目標とする人材の育成」「イノベーション・エコシステム(イノベーションの継続創出システム)の構築」です。

アントレプレナー教育はアントレプレナー人材の育成に不可欠といえます。日本の大学や企業にて、重要な教育のひとつとして推進されているのです

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5.企業内のアントレプレナーとは?

アントレプレナーと似たような言葉に、「イントレプレナー(イントラプレナー)」という言葉があります。概要や2つの違いについて、解説しましょう。

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アントレプレナーとイントレプレナーの違い

イントレプレナーとは、会社に勤務している状態で社内起業する人で、わかりやすくいうと「社内のアントレプレナー」です。

よってアントレプレナーとイントレプレナーとの大きな違いは、企業に属しているかどうかになります。イントレプレナーは企業に属している分、企業内の人脈や資金、そしてインフラの援助を受けられる点が大きな強みでしょう。

一方アントレプレナーは、何もかもゼロから自分で動かなくてはなりません。ですが企業に属しているイントプレナーに比べて、フットワークの軽さは魅力ともいえます。

企業がイントレプレナーを導入するメリット

企業内で起業を考えている人物がいるという状況は、企業側にもメリットとなりえます。

  • イントレプレナーは強い上昇志向があるため、結果的に優秀な人材が生まれるうえ、そういった人材を社内に確保できる
  • 新事業の展開や市場の開拓につながる

イントレプレナーはゼロベースから新しい価値を生み出したり、今までにない視点から改革を起案したりできる人です。そのため新事業の創出や市場開拓が期待できます。

イントレプレナーになるには?

イントレプレナーになるには、企業側の協力が必要不可欠です。社内で起業のアイデアを競うコンテストが開催されている企業もあります。そのような社内コンテストで優秀な成績を収められれば、イントレプレナーへの道は開けるでしょう。

そのようなコンテストがない場合上司や社長に直接伝える方法もあります。説得するための資料を用意して自分の熱意や意欲を伝えてみましょう。

イントレプレナーとは、企業に属するアントレプレナーのこと。アントレプレナーシップを持った優秀な人材であり、新事業の展開や市場の開拓といったメリットが得られるでしょう。

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6.アントレプレナーと似た言葉

最後にアントレプレナーと似た言葉、下記2つについて説明します。

  1. シリアルアントレプレナー
  2. インフォプレナー

①シリアルアントレプレナー

次々と新しい事業を立ちあげて事業の売却を行う人のこと。「連続起業家」と訳され、シリアルアントレプレナーの「シリアル」という語は「連続的」という意味を持ちます。

日本における代表的なシリアルアントプレナーの例は、「メルカリを創業した山田進太郎氏」「現在CAMPFIRE代表取締役、BASE取締役、XIMERA代表取締役を務める家入一真氏」などです。

②インフォプレナー

ノウハウやツールなどの情報商材をもとに起業する人のことで、ネットビジネスの起業家なども当てはまります。インフォメーションとアントレプレナーを掛け合わせた言葉で、日本語では「情報起業家」です。

ただしインフォプレナーは情報商材を自身で作り出して起業した人を指します。そのため既存の商材を利用する場合、アフィリエイターと呼ばれるのです。

シリアルアントレプレナーは事業の設立と売却を繰り返す「連続起業家」、インフォプレナーは情報商材を元手に起業する「情報起業家」です