EQ(心の知能指数)とは? 高い人の特徴、高めるメリットと方法

EQはIQと並びビジネスで注目される能力のひとつで、起業する人に必要だとされています。EQの要素や効果などについて解説しましょう。

1.EQとは?

EQ(Emotional Intelligence Quotient)とは、心の知能指数を測る指標のことです。感情をコントロールして応用できる能力を指し、ビジネスシーンにおける対人関係、対人能力を良好に発展させる基礎能力とされています。またEQを向上させるとメンタルヘルスの問題を根本から解決できると注目されています。

心理学者の間では、「知性を判別するIQ(知能指数)だけで人の知能は判別できない」と以前から問題視されていました。そこで考え出されたのが新たな指標「EQ」です。

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2.EQとIQ、EIとの違い

EQと似た言葉の意味とその違いを確認しておきましょう。

IQ(Intelligence Quotient)との違い

IQとは、頭の回転のよさや知能の発達を測定する指標のことで、「知能指数」とも呼ばれます。

単に勉強ができる、偏差値が高いといった話ではありません。あらゆる問題に対する対処や合理的思考ができる問題解決能力、思考能力の結果などを表すのです。

EI(Emotional Intelligence)との違い

WIとは、感情知性(自分や他者の感情を察知して理解する、自分の感情をコントロールするといった心に関する識別管理能力)のこと。社会で生きる際、役立つ能力です。

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3.EQの測定方法

IQを測定するテストや診断などと同様に、EQも測定するためのテストも存在しています。自己認識や共調整、目的達成率や忍耐力、自己表現力、他者理解や社会性といった、EQに関する質問事項を回答していく質問形式のテストです。

インターネットから受講でき、質問数はテストによって異なります。少ないものは十数問、多いものは100問以上の質問をとおして診断します。

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4.EQを構成する要素

EQは心の識別や管理をする能力であるため、複雑な要素が混ざり合って構成されています。ここではEQを構成する4要素について説明しましょう。

  1. Identify(識別)
  2. Use(利用)
  3. Understand(理解)
  4. Manage(調整)

①識別

感情を感じ取り察知することで、EQの主軸となる能力です。EQでは、「自分がどのような感情なのか」「今悲しいのか楽しいのか怒っているのか」の識別を重視します。

自分の感情を識別できなければ、他者の感情は汲み取れません。まず自分の感情を識別する能力を身につけるのです。

②利用

感情を察知して識別するだけでなく、問題や課題に対する感情をコントロールし、必要な感情を生み出す能力のこと。

たとえば冷静に話し合うべき場面で、怒りや悲しみといった感情を生み出しません。冷静に振る舞えるよう、感情をコントロールします。そして落ち着いた気持ちを自らつくり出していくのです。

③理解

自分や相手が何故このような感情になっているのか、その感情の変化を推察する能力のこと。

たとえば自分が「仕事をしたくない」と感じている場合、疲労なのか対人関係に問題があるのか、原因を推察できるのです。4つのうち、最も経験が求められる能力ともいわれています。

④調整

「識別」「利用」「理解」の要素を発揮したうえで、目的を達成するためにはどのような行動を取るべきか、決定する能力です。自分の感情を調整して生かす能力で、対人関係にて多く用いられます。

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5.EQの向上が企業にもたらす効果

EQを高めるとビジネスシーンでも有効です。ここでは、EQの向上が企業にもたらす効果について説明します。

早期退職やハラスメントの防止になる

EQの向上は管理職にとって欠かせないスキルで、組織運営における人事問題の解決にも効果が期待されています。従業員の気持ちを読み取って理解し、従業員のモチベーションアップや心のケアと課題解決方法をあわせて考えられるようになるためです。

これにより若手の早期退職やハラスメントの防止、生産性向上など課題解決へつながるでしょう。

組織に自律性が生まれる

組織には、他者の感情を読み取りながら自分の感情をコントロールできる、EQ能力の高い管理者が必要です。

EQスキルの高い管理者が活躍すると、組織内のコミュニケーションが円滑になります。「従業員が話しやすい環境」「部下が悩みや相談などをしやすい雰囲気」へ変化していき、組織に自律性が生まれるようになるのです。

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6.EQの向上が従業員にもたらす効果

近年、ビジネスでもEQスキルの高さが注目されているのです。ここではEQの向上が従業員にもたらす効果について説明します。

ホスピタリティの向上

ホスピタリティとは、「人と人」「人とモノ」「人と社会」といったすべてのかかわりのこと。人と接する仕事ではホスピタリティが求められるため、EQスキルが非常に役立ちます。たとえば接客業やお客様、取引先を相手にするビジネスシーンなどです。

リーダーシップの向上

組織にて人を管理するポジションでは、部下や組織内の人間関係など、さまざまな人の感情と向き合っていかなければなりません。

そのためには部下のモチベーションを高めるマネジメント能力、組織内の人間関係を円滑に改善していくコミュニケーション能力が重要です。EQの向上によって自身の感情をコントロールし、他者の感情を理解できれば、管理者として有効に働けるでしょう。

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7.EQが高い人の特徴8つ

EQが高い人には具体的にどのような特徴があるのでしょうか。ここではEQが高い人に見られる特徴8つについて説明します。

  1. 柔軟性がある
  2. 共感力がある
  3. オンとオフの切り替えが上手である
  4. 完璧主義にならない
  5. 自分の強みと弱みを理解している
  6. 自発的に行動できる
  7. 過去に捉われない
  8. ポジティブ思考である

①柔軟性がある

EQの高い人は、人の意見を「そういう考えもあるのか」と参考にして、状況に応じた変化に適応できます。またあらゆる変化やアクシデントにも落ち着いて対応できるのです。これらは、ビジネスシーンだけでなく社会生活の中で人とかかわる際に役立ちます。

②共感力がある

他者の感情を察知して汲み取れるだけでなく、自分の感情をコントロールできるため、心に余裕が生まれます。また他者の「悲しい」「腹が立つ」「やる気が出ない」といったネガティブな感情を汲み取って、状況解決へと導けるのです。

③オンとオフの切り替えが上手である

EQの高い人は、下記のようになっています。

  • やるとき:オンのスイッチを入れて仕事に取り組む
  • リフレッシュするとき:完全にスイッチをオフにして、自分をコントロール

これによりEQの高い人の多くは、ワークライフバランスがしっかりと確立されているのです。

④完璧主義にならない

EQが高い人は自分の限界や長所と短所を明確に見極めているため、完璧主義に陥りにくいです。自分にできないことは素直に認め、他人の協力を惜しみません。自分一人ですべてをこなそうとはせず、人と協力できるのです。

⑤自分の強みと弱みを理解している

EQが高い人は自分の弱みが分かっているため無理せず人に頼れます。また強みもわかっているため、それを生かして行動できるのです。さらに人との出会いを通じて弱みさえもポジティブに変換できるでしょう。

⑥自発的に行動できる

EQの高い人は感情を上手くコントロールできるので、目的に向かって自発的に行動できるのです。自分の感情をコントロールできていないと、一時の感情に流されて目的を見失ってしまうでしょう。EQの高い人は感情だけでなく自分のモチベーションを管理できます。

⑦過去にとらわれない

EQの高い人は過去にとらわれず、未来を見据えて行動できます。感情の整理ができるので、過去の失敗や悪い出来事を引きずらず、今後どのようにしていけばよいのか、前向きにとらえられるのです。

⑧ポジティブ思考である

EQの高い人は、失敗やトラブルが起きても、周りのせいにしたり責任転換したりしません。原因に対してしっかりと向き合い、解決策を導くために試行錯誤するのです。

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8.EQの高い人材を育成する方法

EQの高い人材を育てるには、どうしたらよいのでしょうか。ここでは、EQを高める方法について説明します。

  1. 研修を行う
  2. 経営層に向けてコーチング

①研修を行う

EQは感情という被視認性の概念なので数字化できません。そのため初心者には理解しにくい面が多く、独学にはあまり適していないのです。専属の講師やチームメイトとコミュニケーションを取りながら、ノウハウを教えてもらうとEQの向上が目指せます。

管理職のEQ向上が重要

管理職のEQが向上すれば自己認識力や自己管理力、共感力やモチベーション管理、指導能力や社会対応力を高められます。管理職は部下やさまざまな人材のモチベーションの管理と指導を行う立場にあり、これらの能力が必要とされるのです。

②経営層に向けてコーチング

経営層やCEO、エクゼクティブ人材のEQを伸ばせば、判断力や推理力、論理的な思考力にもとづいた経営判断が可能になります。経営層がコーチングをとおして自身の感情の扱いを覚えられれば、感情に左右されずより的確に意思決定できるでしょう。

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9.従業員自身でEQを高める方法

従業員自身でEQを高めるには、どのような方法があるのでしょうか。ここでは、自身でEQを高める方法について説明します。

  1. 負の感情を書き出す
  2. 「ノー」と口に出す
  3. 人の話に耳をかたむける
  4. 人の良いところを探す
  5. 優れた文学作品に触れる

①負の感情を書き出す

怒りや悲しみといったフラストレーション、負の感情を紙に書き出します。その際、理由もあわせて書き出しましょう。そうするとより、感情と向き合い、整理できるのです。

②「ノー」と口に出す

人の顔色を気にせずに「ノー」と口に出せるようになりましょう。何でも「イエス」と返答していると、自分を押し殺してしまい自分の感情を見失ってしまいます。

ただし何でも「ノー」と断るのではありません。断るべき内容か、断らなくてもよい内容か、しっかりと判別して自身で選びます。

③人の話に耳をかたむける

途中で口を挟まず、相手の話をまずじっくり聴きます。その際、「相手が何故このような話をしているのか」「どのような感情で話をしているのか」を考えながら聴きましょう。それにより相手の感情を汲み取る力が養えます。

④人の良いところを探す

人とかかわるうえで最も重要な点は、人を好きになること。人の悪い点やネガティブな要素だけに目を向けるのではありません。その人の良いところやポジティブな面に目を向けるのです。日頃から人の良い点を探すくせをつけるとよいでしょう。

⑤優れた文学作品に触れる

EQの高い人の特徴に、文学に精通している・興味があるといった点が挙げられます。感性は生まれ持ったものとは別に、後天的に環境や作品から養っていけるもの。特に純文学では、優れた共感力を養えるでしょう。