フィールドセールスとは? 役割、インサイドセールスとの違い

フィールドセールスとは、マーケティング活動によって獲得した見込み客や従来顧客を訪問し、新たな受注を獲得する営業活動のこと。混同されやすいフィールドセールスとの違いも含めて、詳しく解説します。

1.フィールドセールスとは?

フィールドセールスとは、顧客のもとに直接訪問して自社製品の提案を行い、クロージングに結び付けるセールス活動のこと。外勤営業とも呼ばれます。

効率的な営業活動形態を提唱する「THE MODEL」では、インサイドセールス(内勤営業)の次ステップにあたります。

THE MODELとは?

アメリカのセールスフォース・ドットコム社が考案した営業プロセスモデルのこと。各営業活動の効率を最大化するため、営業プロセスを以下4段階に分類しています。

  1. マーケティング
  2. インサイドセールス
  3. フィールドセールス
  4. カスタマーサクセス

THE MODELを導入したセールスフォース・ドットコム社は、実際に年間売上世界一を達成しました。

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2.フィールドセールスとインサイドセールス、カスタマーサクセスの違い

THE MODELでは、下記のようなステップを提唱しています。フィールドセールスとインサイドセール、カスタマーサクセスについて、定義と違いを説明しましょう。

  • インサイドセールスによる需要の把握
  • フィールドセールスによる受注獲得
  • カスタマーサクセスによる収益の拡大

インサイドセールスとは?

インサイドセールスとは、メールや電話などの非対面コミュニケーションを通じて営業活動を行う手法。営業対象となるのは、Webプロモーションやイベントなどのマーケティング活動などで掘り起こしたリード(見込み顧客)。

コミュニケーションをとおしてリードの購買意欲を高めたうえで、フィールドセールスへリードを引き渡します。そしてフィールドセールスでは以下のような業務を行うのです。

  • マーケティングプロセスで収集したリード一覧から、育成するリードを選定
  • Webサイトやメルマガ、電話などで継続的にリードを育成

フィールドセールスが、契約を成約させる場合もあります。

フィールドセールスとの違い

インサイドセールスとフィールドセールスの違いは、以下のとおりです。

  • インサイドセールス:非対面による需要喚起から訪問商談のアポイントメントの獲得
  • フィールドセールス:対面による直接セールスから受注の獲得

これまでの営業活動では、マーケティングによって獲得した見込み客に対し、需要の確認やアポイントメント、訪問営業やクロージングという一連のプロセスをひとりの営業担当が行っていました。

この営業活動のうち、訪問までのステップをインサイドセールス、訪問からクロージングまでをフィールドセールスへ分業するという考え方なのです。

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カスタマーサクセスとは?

カスタマーサクセスとは、成約した顧客に対して働きかけ、顧客満足度を高めるプロセスのこと

日本語に直訳すると「顧客の成功」で、自社の商品やサービスを利用した顧客は「望む成果を得られた」「目標を達成できた」状態、つまり成功体験を指します。

カスタマーサクセスはこのような顧客へ能動的に関与し、さらに顧客へ成功体験を与えて購買や契約の継続につなげるのです。カスタマーサクセスの業務は3つにわかれます。

  1. オンボーディング:顧客が商品やサービスを使いこなせるまで支援する
  2. アダプション:さらなる活用方法を提案する
  3. プロダクトフィードバック:商品やサービスを改善して、顧客の課題を解決する

フィールドセールスとの違い

フィールドセールスとカスタマーサクセスは、いずれも成約につなげる営業活動を行いますが、顧客の状態が異なります。

  • フィールドセールス:未成約顧客への能動的な関与
  • カスタマーサポート:成約した顧客への能動的な関与

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3.フィールドセールス導入のメリット

フィールドセールスは成約に直結するため、現在でも多くの企業で重視される営業手法です。フィールドセールスを導入するメリットについて、解説します。

  1. 信頼感の醸成
  2. ツールを活用した説明が可能
  3. 臨機応変な対応が可能

①信頼感の醸成

顧客と直接対面するため、相手に安心感や信頼感を与えやすくなります。対面では、容貌や表情、手振りといった非言語コミュニケーションが行われ、営業担当者の人物像や人柄などが伝わるからです。

電話やメールなどでは、このような非言語コミュニケーションがないため、顧客が警戒心を抱きやすくなります。

②ツールを活用した説明が可能

訪問した担当者は説明用ツールを積極的に活用し、顧客の反応を確認しながら細部にわたる説明を行えます。実際の商品を持ち込めば、デモンストレーションはもちろん、顧客に体験してもらうのも可能です。

商品の魅力を最大限に伝えられるため、成約率が高まります。

③臨機応変な対応が可能

対話中に顧客の反応や表情などを読み取れるため、顧客の興味や理解の度合いに合わせて臨機応変に対応できます。

相手の視線や表情、姿勢などから興味が薄いと感じたら、「別角度からアピールする」「提案する商品を変える」などの対策をその場で取りながら成約に導けるのです。

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4.フィールドセールスの役割と仕事内容

営業プロセスにおいてフィールドセールスの役割は、商談によって成約に導くこと。ここでは役割と仕事内容を解説します。

役割

THE MODELにおけるフィールドセールスの役割は、リードからの成約を獲得し、売上を生み出すこと

マーケティングやインサイドセールスで購買意欲を高めているものの、実際に商談を行うのはフィールドセールスです。

成約させるために、インサイドセールスで蓄積されたリードの課題やニーズといった情報を最大限に活用して商談にあたります。また成約に導くため、インサイドセールスの担当者は、ヒアリング力や提案力、商品知識などが必要です。

仕事内容

フィールドセールスの仕事は、インサイドセールスから引き継いだリードと対面商談をおこないクロージング(成約)に結びつけること。営業ステップは、下記の4つにわかれます。

  1. 商談
  2. 見積り
  3. 受注
  4. 手配

①商談

自社の商品やサービスを紹介し、特徴やメリットをプレゼンテーションします。

しかし1回目の商談で成約を即決するリードは多くないため、数回に渡って訪問することもありえるのです。成約に関してリードの不安や疑問などがあった場合、それらを迅速に解決するとリードの信頼が高まり、より成約に近づきます。

②見積り

商談のなかからリードのニーズや課題を読み取り、提案する商品の具体的な販売金額を見積書として提示します。見積書の作成では、リードの受注可能な予算に沿った金額を提示するのが重要です。

③受注

リードが商品と見積りに納得して成約すると、受注が発生します。その際は注文書あるいは契約書を交わし、提供する商品の仕様やグレード、販売価格、納品期日などを相互で確認するのです。先払いであれば受注後、顧客に支払いを依頼します。

④手配

顧客からの注文書をもとに、納品する商品を手配します。受注した商品が確実に顧客のもとに届けられるまで、進捗や状況を管理するのもフィールドセールスの重要な業務です。

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5.フィールドセールスのKPI

KPIとは、目標を数値化し、達成度合いを計測する指標のこと。「Key Performance Indicator」の頭文字をとった略称で、日本語では「重要業績評価指標」と訳されます。営業活動の主なKPIを解説しましょう。

  1. 営業訪問数
  2. 成約率
  3. 案件数
  4. 顧客平均単価
  5. リードタイム

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①営業訪問数

リードを訪問した回数のこと。ただし訪問数が多いほど受注が増えるわけではありません。インサイドセールスからできるだけ多くのリード情報を引き継ぎ、いかに成約率の高いリードへ効率よく訪問できるか、がポイントになるのです。

②成約率

案件数に対する成約数の割合のこと。コンバージョン率とも呼ばれます。

たとえばフィールドセールスが抱えている案件が100件あった場合、そのなかから10件から受注すると成約率は10%です。成約率の高さは、セールス担当の営業効率やコミュニケーションスキルを評価する指標でもあります。

③案件数

ひとりが担当する案件数のこと。成約率を向上させるには、案件数と訪問数のバランスが大切です。

案件数が少なければ、当然成約数も少なくなります。しかし一つひとつの案件に丁寧に対応できるため、成約率も向上しやすいのです。反対に案件数が多すぎると営業対応が雑になってしまい、成約率がダウンする恐れもあります。

④顧客平均単価

顧客ひとり(あるいは1社)がもたらす収益額のこと。

「複数の商品を受注された」「継続して商品を提供している」場合は、顧客平均単価が高まります。そのため顧客平均単価から、次に営業するべき顧客を見つけられるのです。

顧客平均単価をアップさせる方法として、「複数商品の販売やグレードアップ」「関連したオプション商品の受注によるアップセル」などがあります。

⑤リードタイム

商談を行ってからリードが受注するまでの期間のこと。セールスサイクルとも呼ばれます。リードタイムが短いほど、効率的な営業活動を行えているといえるでしょう。

個々の案件ごとのリードタイムと、担当する複数案件の平均リードタイムを指標にするのが一般的です。

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6.フィールドセールスに向いている人、向かない人の特徴

フィールドセールス担当者には、対面で顧客との良好なコミュニケーションを構築できるスキルが必要です。ではどのような人材を担当者に選べばよいのでしょう。フィールドセールスに向いている人と向かない人の特徴をそれぞれ解説します。

フィールドセールスに向いている人

フィールドセールスにはさまざまな顧客と商談を進行するためのコミュニケーション力や、課題を発見するヒアリング力などさまざまなスキルが求められます。フィールドセールスに向いている人の特徴を3つ解説しましょう。

  1. コミュニケーションが好きな人
  2. 顧客の立場で考えらえる人
  3. 臨機応変に対応ができる人

①コミュニケーションが好きな人

他人、とくに初対面な人とのコミュニケーションが好きな人は、フィールドセールスに向いているといえます。顧客と打ち解けるアイスブレイクを取り入れたり、商談の間に日常的な会話を織り交ぜたりして良好な関係を構築していけるからです。

また相手の心を開くには、自分も心に壁を作らずオープンに接する必要があります。初対面の人に対しても自分をさらけ出せる人なら、なおフィールドセールスに向いているでしょう。

②顧客の立場で考えらえる人

フィールドセールス活動を受注に結びつけるには、顧客の課題を発見し、ニーズに見合った商品の提案をしなければなりません。そのためには、顧客の立場に立って物事を考える能力が必要です。

自社の商品を一方的に紹介するのではなく顧客と同じ気持ちや立場を想定し、課題を解決する方法を顧客目線で考えられる人が向いています。

③臨機応変に対応ができる人

フィールドセールスでは、さまざまな状況に臨機応変に対応できる能力が求められます。商談進行中に顧客の状況が変化したら、その場で提案している商品を変更したり、納期や価格などを調整したりする必要があるからです。

また複数の案件を同時に進行している場合、ひとつの予定変更がほかの案件に影響する場合も。スケジュールを調整し、限られた時間を有効に活用する柔軟さも求められます。

想定外の課題に対して臨機応変に対応できる人は、フィールドセールスに向いているといえるのです。

フィールドセールスに向かない人

フィールドセールスに向いていない人の特徴は、基本的には向いている人と逆の性質を持っている人です。ここではさらに向いていない人の特徴を2つ解説します。

  1. ストレスに弱い人
  2. 計画を立てるのが苦手な人

①ストレスに弱い人

たとえば思いどおりに物事を進めたい人は、提案した商品を顧客に断られるとストレスが溜まるでしょう。またフィールドセールスは常に売上高や成約率などの目標数値を意識して活動しなければなりません。

そのため目標を達成するまで、毎日プレッシャーを感じてしまいます。

②計画を立てるのが苦手な人

1回目の商談から受注に結びつけるまでのスケジュールを立案し、計画的に進行する必要があるからです。自ら立案した計画をもとに「いつまでに何をしなければならないか」を明確にし、ゴールから行動を逆算しなければなりません。

また商談においても、最適な切り口や順序でプレゼンテーションを行うため、綿密な計画立案と準備が必要です。

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7.フィールドセールスに求められるスキル

フィールドセールスを成功に導くためには、コミュニケーション力のほか、いくつかのスキルが必要です。ここではフィールドセールスに求められる4つのスキルを解説します。

  1. ヒアリング力
  2. プレゼンテーション力
  3. 論理的思考
  4. 分析力

①ヒアリング力

コミュニケーション力のうち、とくに顧客の会話に深く耳を傾けるヒアリング力が求められます。インサイドセールスの段階で行うヒアリングでも、基本的な顧客ニーズの把握は可能です。

しかし対面のコミュニケーションで行う雑談が、課題の深堀りや隠れたニーズの発見につながる場合も少なくありません。このような情報を引き出せれば、顧客が本当に求める商品を提案できるようになるでしょう。

②プレゼンテーション力

営業におけるプレゼンテーションの目的は、顧客の課題を解決できる自社の商品を提案し、購買を促すこと。そのため顧客の課題を整理し、自社の商品でどう解決できるのかをわかりやすく伝える必要があります。

とはいえ一方的に説明するだけでは、顧客は聞き流してしまうでしょう。質問を挟みながら、顧客の興味や理解を高めます。

③論理的思考

論理的思考とは、物事を原因と結論その根拠にわけ、論理的なつながりを捉えて理解する思考法のこと。

論理的思考が身につくと、プレゼンテーションの質が向上します。「なぜこの商品がよいのか」「どれくらいの効果が見込めるのか」などを客観的な根拠とともに説明できれば、顧客は商品の必要性を理解できるため、成約率も高まるでしょう。

④分析力

最適な提案を行うため、データや情報から顧客の課題や現状を分析する力も必要です。

顧客データは事前に閲覧できますし、商談での会話や来訪して目にする社内環境などからも顧客情報を得られます。このように入手したさまざまな情報を多角的に分析すると、顧客が持つ本質的な課題やニーズが見つかる場合もあるのです。