【一覧】フレームワークとは? ビジネスで活用する意味と効果

フレームワークとは、物事の基礎となる骨格や枠組みのことです。ビジネスでフレームワークを活用する意味や、フレームワークの種類、メリットなどを解説します。

1.フレームワークとは?

フレームワークとは、目標達成や経営戦略、課題解決に役立つ思考の枠組みのこと。「枠組み」「骨組み」を意味する言葉です。

ビジネスで使う場合、「ビジネスフレームワーク」とも呼ばれます。ビジネスフレームワークを活用すると、課題の洗い出しや解決方法の考案と選定などをスピーディーに行えるのです。

IT業界における意味

フレームワークの意味は、業界によって異なる場合も多いです。たとえばIT業界におけるフレームワークは、アプリやソフトウェアで使われる汎用な機能があらかじめ備わっているツールを指します。

アプリやソフトウェアを開発する際、すでに用意されているフレームワークを活用すると、基本機能をいちから開発する必要がなくなり、開発工数を大きく削減できるのです。

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2.フレームワークの活用例

ビジネスでは、業務や事業活動の効率化を図るためにフレームワークを活用します。フレームワークの活用例を説明しましょう。

  1. 目標達成
  2. 業務改善
  3. 情報分析

①目標達成

フレームワークによる現状把握で行動の方向性がクリアになると、各部門や部署、担当者のやるべきことが明確になり、目標を達成しやすくなります。

またフレームワークで継続的に目標と現状のギャップを把握していくと、目標達成に向けた行動の修正がしやすくなるとされているのです。

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②業務改善

フレームワークで業務の流れを可視化すると、作業や人材における問題点が明らかになり、業務の改善につながります。フローチャートで書き出してみると、データ上では把握しにくい手戻りや無駄な承認などが見つかる場合も少なくありません。

③情報分析

フレームワークは情報と思考の整理に役立ちます。フレームワークには特定の項目が設けられており、当てはめた情報の分析基準も明確だからです。フレームワークに沿って情報分析を進めると、短時間で情報の整理や分析が行えます。

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3.ビジネスでよく使われる10種類のフレームワーク

フレームワークにはさまざまな種類があるため、目的に合ったものを選びましょう。よく使われる種類の代表例をご紹介します。

  1. 目標設定に用いるフレームワーク
  2. 情報整理や分析に用いるフレームワーク
  3. マーケティングに用いるフレームワーク

①目標設定に用いるフレームワーク

「個人や組織の目標設定」「特定の事業の目標設定」などで活用されます。以下の2つがよく用いられるフレームワークです。

SMARTの法則

目標設定において必要な「Specific(具体性)」「Measurable(測定可能)」「Achievable(達成可能)」「Relevant(関連性)」「Time-bound(明確な期限)」5つをチェックするフレームワーク。

使用する際はまず仮目標を挙げ、5要素にもとづいて指標などの具体性、達成度合いを確認できる数値目標などチェックしていくと、不足している情報を見つけやすくなります。

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マンダラート

アイデアの発案や整理のために用いるフレームワーク。目標設定にも活用できます。仏教の曼荼羅(マンダラ)模様に似た縦3マス×横3マスの9マスを用意し、中央のマスにテーマを記載。隣接する8マスには思いついたアイデアを書き込んで使います。

周囲8マスのなかでさらに広げて考えたいアイデアがあれば、それを中央においたマンダラートを別途作成してもかまいません。

基本的には「アイデアの量産」「アイデアのブラッシュアップ」「意見や考え方の共有」など発想の拡大に用いられます。しかし同時に思考の整理にも役立ちます。

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②情報整理や分析に用いるフレームワーク

情報整理や分析でよく使われるフレームワークは4つあります。特徴や使い方などをそれぞれご紹介しましょう。

MECE

「Mutually(互いに) Exclusive(唯一の) and Collectively(すべて) Exhaustive(網羅的な)」の略で、「漏れがない、ダブらない」を意味する言葉。情報を分類、整理する際に用いられるフレームワークで、マーケティングでもよく使われます。

たとえば10代の顧客を抽出したい場合、学生という「属性」だけでは社会人の10代が漏れてしまうでしょう。

MECEにするには、10代や20代といった年代と性別の2要素が必要です。論理的思考の基本ともされる考え方で、作業の無駄を省いて効率性や確実性を高めます。

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SWOT分析

「Strength(強み)」「Weakness(弱点)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の4つをとおして現状把握や評価を行い、問題点を洗い出して改善へつなげるフレームワーク。

SWOTを構成する要素は、内部環境と外部環境にさらに分類され、表にあてはめて情報を分析します。事実をもとに自社の問題点や改善点を可視化したいときに役立つのです。

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3C分析

「Customer(顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3要素をとおして要素を分析し、事業の方向性や問題点を明らかにするフレームワーク。

ビジネスを成功させるために、顧客(市場)や競合他社の動向やニーズを知り、自社の強みと弱みをどのようにその市場で生かすか、を考える際に役立ちます。新規事業立ち上げやスタートアップ企業に欠かせないフレームワークのひとつです。

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4P分析

「Product(商品)」「Price(価格)」「Place(流通・販売方法)」「Promotion(販売促進)」4つを順に分析して情報を整理し、「どのような商品をいくらで提供するか」「どのようなルートで提供してどのように販促活動するか」を決めるフレームワーク。

マーケティングでは、立案した戦略を具体化するときに用いられます。

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③マーケティングに用いるフレームワーク

フレームワークはさまざまな業務で使われます。なかでもマーケティング戦略での使用頻度が高いフレームワークがあるのです。とくにユーザーの分析を行う「AIDMA」は、マーケティングに欠かせません。

PDCA

「計画を立て、実行し、結果を検証し、改善を実施する」というサイクルを何度も繰り返し、問題点を解決しながら業務効率を改善するフレームワーク。「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(検証)」「Action(改善)」の頭文字から構成されます。

業務効率の改善はどの部門でも主要課題となるため、このフレームワークはマーケティング以外の業務でも使用されているのです。

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OODA

「現状を観察して得た情報をもとに仮説を設定」「具体的な行動や必要なものを判断」「方向性を決定し、行動を実施」というサイクルを繰り返すフレームワーク。

「Observe(観察)」「Orient(判断)」「Decide(意思決定)」「Act(行動)」の4つの頭文字からできています。

PDCAは状況判断がある程度可能な状態で実行するフレームワークに対し、OODAは先行きが不透明な状態や状況判断が難しい状態で効果を発揮するのが特徴です。

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AIDMA

消費者(ユーザー)が商品やサービスの購入を決めるまでの心理的プロセスを5段階にわけて考え、顧客がどの段階に位置するのかを把握するフレームワーク。

「Attention(注意)」「Interest(関心)」「Desire(欲求)」「Memory(記憶)」「Action(行動)」の5要素で構成されています。各段階で消費者にどのようにアプローチすべきかといった、マーケティングの戦略を考える際に使用されるのです。

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KPI・KGI・KSF

それぞれの意味は下記のとおりです。

  • KPI(Key Performance Indicator):「重要業績評価指標」を意味する言葉。企業において各部署の目指すべき評価指標として用いられる
  • KGI(Key Goal Indicator):ビジネスにおける最終目標となる指標のこと。「重要目標達成指標」と呼ばれる
  • KSF(Key Success Factor):KGIを達成するために必要となる要因。「重要成功要因」と訳される

KGIとKSFを設定し、それらに合わせてKPIを設定して運用を開始するのが主な流れです。

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4.フレームワークを使用するメリット

ビジネスでフレームワークを採用すると、分析や情報の可視化がスムーズに進み、業務効率が向上します。フレームワーク活用のメリットを4つ説明しましょう。

  1. 業務効率の向上
  2. 課題発見の迅速化
  3. 情報の視覚化
  4. 漏れや重複の回避

①業務効率の向上

フレームワークを活用すると分析や思考の時間を短縮でき、業務の効率化が期待できます。フレームワークには項目が設けられており、ある程度の方向性や考え方の道筋が初めから決まっているのが特徴です。

そのためフレームワークに沿って分析や思考を行うと短時間で意思決定でき、その分早く次の工程へ移れます。このように業務フローの効率化につながるのです。

②課題発見の迅速化

フレームワークを用いると、問題の本質を見極めて根本的な原因を探しやすくなります。フレームワークをとおして客観的に自社の現状把握を行った結果、今まで表面化していなかった課題が見つかることも少なくありません。

課題を早期発見できると、その分迅速に対処できます。

③情報の視覚化

フレームワークでは、表や図式などわかりやすい形で情報が可視化されるので、一目見て全体を把握できます。図表を用いて情報を可視化すれば、他者と共有する際にもポイントや要点をスムーズに伝えやすくなるため、相手の理解も深まるでしょう。

④漏れや重複の回避

フレームワークは、重要な要素の漏れや情報の重複、不必要な反復行動の予防に役立ちます。最初から漏れとダブりがないように項目が設定されているからです。MECEを併用すると、さらに抜け漏れやダブりを防げます。

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5.フレームワークを使用するポイント

フレームワークを効果的に使うためには、いくつかの点に注意が必要です。使用する際のポイントとその理由を説明します。

  1. 目的にあったフレームワークを選択
  2. 時間制限を設定
  3. 仮説と改善のサイクルを実行

①目的にあったフレームワークを選択

フレームワークは、自社の特徴やプロジェクトの目的に合ったものを選びましょう。各フレームワークで分析内容と結果が異なるからです。たとえば3C分析とSWOT分析はいずれも自社の強みと弱みを整理できますが、3C分析では外部環境の影響を考慮しません。

「何を目的としてフレームワークを使うか」「どのような分析を行いたいのか」を明らかにしたうえで、使うフレームワークを選ぶのが基本です。

②時間制限を設定

チャンスロスを防ぐためにも、分析や検討にかける時間を制限しましょう。フレームワークでの分析や検討に時間を取りすぎると、その後の戦略と戦術の策定が遅れるからです。

とくにマーケティングや営業、販売などの部門では、分析や検討を行っている間に市場が変化する恐れもあります。市場が変化すれば、分析や検討をやり直さなければならなくなるでしょう。

③仮説と改善のサイクルを実行

フレームワークを使用した検証と改善は、繰り返し行うと効果を発揮します。フレームワークの目的は、そのときの現状の環境や問題点を分析、把握すること。状況が変われば再度分析が必要です。

また分析しただけで終わってしまっては自社課題を解決できません。「フレームワークで現時点の課題発見と分析」「解決策とアクションを考案」「アクション実施して検証」というサイクルを繰り返す必要があります。

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6.フレームワーク思考とは?

自分の考えをフレームワークに当てはめて、多角的に整理する思考法のこと。個人的な経験や直観だけに頼ると、重要な要素の見落としや、論理性を欠いた判断が生じるなどさまざまな問題が起こります。

形式化されたフレームワークに自身の思考やアイデアを当てはめれば、客観的かつ論理的に整理できるのです。たとえば固定概念を取り払って考える「ゼロベース思考」や、少ない情報からプランを立てられる「仮説思考」などが挙げられます。

フレームワーク思考が重視される理由

ビジネスシーンでフレームワーク思考が重視される理由は、ほかの人たちと同じ思考を共有しやすくなること。企業課題に取り組む際は、自分だけでなく上司や同僚、ときには取引先などもかかわってきます。

このような関係者とひとつの目的に向かう場合、意識や思考を共通させる必要があるのです。意見やアイデアをフレームワーク思考で整理しておくと、相手の理解や納得を得やすくなります。