派遣社員の存在は社会で広く認知されていますが、正社員に比べて派遣社員は経済的に不安定であることから、国会などでも問題として取り上げられ、労働者派遣法の改正が何度も行われています。そんな一般労働者派遣事業の現状や今後についてご紹介します。
一般労働者派遣事業とは
労働者派遣事業には、請負と有料紹介事業、労働者供給事業の3つがあり、この中の労働者供給事業には労働者を常時雇用する特定派遣事業と、労働者を会社に登録させておき、企業への就業が決まった時にだけ雇用する一般労働者派遣事業があります。
一般労働者派遣事業は「登録型派遣」とも呼ばれ、派遣会社に登録している間は賃金が発生せず、雇用の保障がないことから厳しい法規制があり、派遣会社は厚生労働省の許可がなければ開業することができません。
なお、2015年の労働者派遣事業の適正な運営確保及び、派遣労働者の保護等に関する法律(通称「労働者派遣法」)の改正により、特定派遣事業と一般労働者派遣事業の区別はなくなりました。
一般労働者派遣事業の許可を取っている派遣会社の見分け方
派遣会社は厚生労働省の許可がなければ開業することができません。2015年の労働者派遣法改正により、一般労働者派遣事業と特定派遣事業(届出制)の区別がなくなったことから、すべての労働者派遣事業が許可制となりました。
また、2015年10月に改正された労働契約申込みみなし制度では、労働者派遣の役務の提供を無許可の事業主から受けると、労働契約を申し込んだとみなされ、派遣社員を直接雇用しなければいけなくなりました。
派遣会社を開設すると時には、厚生労働省へ手続きを行い、手続きが完了すると厚生労働大臣から事業所番号が付与されます。
企業の人事部宛には毎日のように派遣会社から営業の電話がかかってきていると思いますが、その派遣会社が許可を取っている会社なのか見極める方法として、派遣会社のHPや派遣会社の受付、求人広告などで事業所番号を確認したり、厚生労働省職業安定局の人材総合サービスサイトで検索をすることができます。
今後の労働者派遣法の改正のポイントはどうなるのか
1985年に成立した労働者派遣法はこれまで幾度も改正を行っていますが、今後はどのような改正が行われるのでしょうか。
2007年のグットウィル等の悪質な日雇い派遣が社会的に大きな問題となり、それまで認められていた日雇い派遣は原則禁止となり、2012年の労働者派遣法改正によって規制が強化され、徐々に登録型派遣の派遣社員を直接雇用する方向に向かってきています。
そして、2015年に施行された労働契約申込みみなし制度では、登録型の派遣社員が直接雇用で働ける内容が盛り込まれています。
現在日本が直面している少子化の背景には、若い人達の経済面が安定せず、結婚できないことが要因と考えられているため、今後も登録型の派遣社員が直接雇用される方向で改正が行われると考えられます。