ゼネラリストとは? スペシャリストとの違いや育成方法を簡単に

ゼネラリストとは、仕事に対する深い経験と知識、技術を持ち合わせた人を指す用語です。今回はゼネラリストについて概要や育成方法を解説します。

1.ゼネラリストとは?

ゼネラリスト(ジェネラリスト)は、担当する職務に対して幅広い知識や経験、技術を有しているオールラウンダーな人材です。ゼネラリストは、英語のゼネラル(General)から派生した言葉であり、ゼネラルは「全般的な」や「全体的な」といった意味を持つことから、ゼネラリストも知識と経験から裏打ちされた視野の広さと多角的な切り口からアクションを起こせる特長があります。

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2.ゼネラリストの特徴

ゼネラリストはオールラウンダーとされています。しかし、どのような特徴を持っているのでしょうか。ここからは、ゼネラリストが持つ3つの特徴について紹介します。

幅広い知見と多角的な視点を持っている

ゼネラリストは多くの経験を積むなかで身に着けた幅広い知見と多角的な視点を持っています。たとえば、さまざまな部署や職種を経験してきた結果、他の視点に立った俯瞰的な物事のとらえ方に長けているのです。

多くの知識と経験があるからこそ、柔軟な対応やバランスの取れた提案ができます。

客観的な判断ができる

物事を俯瞰的にとらえられるため、客観的かつ冷静な判断ができる点もゼネラリストの特徴です。たとえば、営業の経験にくわえてマーケティングや経理など複数の経験があれば、各分野の知見を生かした視点を身につけられます。

ゼネラリストは各分野の視点に立ち、全体最適化のスキルを持ち合わせているため、管理職のようなマネジメント業務に適性があるでしょう。

臨機応変に対応できる

過去に身に着けた経験の数だけ柔軟な対応ができる点もゼネラリストの魅力。ゼネラリストは、さまざまな業務や課題、トラブルに対応してきたからこそ臨機応変かつ適切に対応できます。

もし、単一的な視点からしか物事を判断できなければ、状況によっては迅速に課題を解決できません。想定通りの事象が起きないからこそ、培ってきた経験と状況に適した立ち振る舞いが求められ、また生かされます。

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3.ゼネラリストとスペシャリストの違い

ゼネラリストとスペシャリストは相反する人材を指します。ゼネラリストが広範な分野に対する知見を持つ一方、スペシャリストは特定の分野に特化した知見を持っています。そのため、一般的にゼネラリストは「広く浅く」、スペシャリストは「狭く深く」と定義づけされます。

また、スペシャリストはゼネラリストと違い、特定分野で高い能力を発揮するものの、分野外では力を十分に発揮できない場合もあり得ます。

ゼネラリストとスペシャリストはそれぞれ適性が異なるため、人員配置やキャリアプランの策定において、相手の適性を見極めなければなりません。企業は対象の従業員がどちらに分類されるのか、またどちらのキャリアパスを歩みたいのか、考慮しましょう。

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4.ゼネラリストが時代遅れといわれる理由

昨今、ゼネラリストは時代遅れといわれています。情報にあふれ、技術の進歩が目覚ましいなか、企業は市場のグローバル化や多様化への対応が求められているもの。

汎用的な情報をかんたんに入手できる中、企業競争において自社が優位に立つには他社よりも優れた技術力や独自性が必要になり、スペシャリストの重要性が高まっています。市場の多様なニーズに応えるため、スペシャリストを招く企業も多くなるでしょう。その結果、ゼネラリストは時代遅れといわれるケースも見られます。

しかし、スペシャリストが増えるからこそ取りまとめ役であるゼネラリストの需要も高まってくると考えられるのです。企業が専門性を生かしながら、広く新規事業展開を目指すのであれば、多種多様なスキルを持ち合わせるゼネラリストは必要不可欠といえます。

企業運営という広い視点で見ると、ゼネラリストはなくてはならない存在です。よって今後も、ゼネラリストの存在が時代遅れになることはないでしょう。

時代に合わせたアップデートが必要

現在、ゼネラリストとして活躍する人材であっても現状に甘んじられません。時代にあわせたアップデートは必須です。テクノロジーの発達により、日々の業務は常に複雑化・高速化しています。そのため、幅広い分野への知見は常にアップデートする必要があるでしょう。

また、さまざまな知識を保有すると同時に、必要に応じて特定の分野への深い知識が必要になる場面も出てきます。スペシャリストを取りまとめるのであれば、特定分野への深い知見を獲得し、対等にディスカッションするスキルも必要です。

ゼネラリストならではの広い視点を生かしながらも各分野への知識獲得を積極的に行い、新たな価値を創造できる人材が今の時代に求められています

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5.ゼネラリストのメリット

ここからは、ゼネラリストならではのメリットについて、従業員と企業双方の視点から紹介します。

従業員側

従業員側の立場から考えるゼネラリストのメリットは次のとおりです。

  • 出世しやすい
  • キャリアの選択肢が広がる

ゼネラリストは前述のとおり、管理職の適性がありスペシャリストを統括する重要な役割を担います。そのため、各分野に特化したメンバーをまとめ上げ、成果を上げる能力が求められるでしょう。

早い段階からゼネラリストに必要な能力を磨き続けることは、その後のキャリアアップに有利に働きます。また特定分野に特化していないからこそ、キャリアチェンジの選択肢も豊富でしょう。幅広い選択肢から自分に適した仕事を見つけられます。

企業側

企業側の立場から考えるゼネラリストのメリットは次のとおりです。

  • 管理職、管理職候補を確保できる
  • 幅広い視点からイノベーションを与えてくれる

企業にとってゼネラリストの最大のメリットは、マネジメント層を確保できること。組織として目標を達成するためには、チームおよび個々の従業員がそれぞれの目標を達成しなければなりません。

このプロセス管理にマネジメントの力は必須です。特定の従業員にゼネラリストの素質があれば、将来の管理職候補として育成することもひとつの方法です。

また幅広い知見を持つことでさまざまなプロジェクトに参加できるため、多角的な視点から新たなイノベーションを生み出してくれる可能性も期待できます。

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6.ゼネラリストのデメリット

ここからは、ゼネラリストならではのデメリットについて紹介します。

従業員側

従業員側が懸念するゼネラリストのデメリットは次のとおりです。

  • 器用貧乏になりかねない
  • 転職で不利になる恐れもある

広く浅く業務を遂行する力は、状況が変われば器用貧乏ともとらえられかねません。満遍なく業務をこなせるものの突出した何かを示せず、具体的な強みを提示しにくい側面をゼネラリストは持っているのです。

また、市場ではスペシャリストの需要も高まっています。具体的な強みを提示しにくいのであれば、転職時にほかの応募者との差別化が難しく、採用に不利になる可能性は否定できません。

企業側

企業側が懸念するゼネラリストのデメリットは次のとおりです。

  • 組織の成長が加速しにくくなる

かつて日本企業はゼネラリストの育成に注力した採用や育成方法を取り入れてきました。その最たる例が「新卒一括採用」や「終身雇用の年功序列」です。これらは最終的に多くの方が管理職を目指す方式でした。

しかし、市場変化が激しい現代社会において、企業の成長に必要なのは突出した力を持つスペシャリストとされています。業務も高度化、複雑化しているため、ゼネラリストのみで事業の発展は見込めません。

スペシャリストばかり採用しているとバランサーや管理職が不足するため、ゼネラリスト候補とスペシャリスト候補のバランスがとれた採用が必要です。

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7.ゼネラリストに向いている仕事

ここからはゼネラリストに向いている代表的な仕事を紹介します。特徴を生かせる仕事につくと、高いパフォーマンスの発揮が期待できます。

管理職・マネージャー

全体の状況を俯瞰して把握し、現場を統率する管理職やマネージャー職はゼネラリストに適しています。しかし、プレイヤーとして高いパフォーマンスを残していたとしても、管理職として同じようにパフォーマンスを発揮できるとは限りません。人材の選定には慎重な判断が求められます。

管理職やマネージャーになるには、現場を広く見渡し、現状の正確な見極めや臨機応変な対応を指揮する力が必要です。そのため多角的な視点と柔軟な対応力を持つゼネラリストが活躍できる職種といえます。

上司がさまざまな知見を持ち合わせている人であれば、部下も安心して指示に従えるでしょう。

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ベンチャー企業の社員

創業して間もないベンチャー企業は少数精鋭で仕事を回さなければならないため、多種多様な経験を持つゼネラリストが求められます。

一人ひとりの裁量が大きく、余剰な人員を用意できない環境では、個人がそのときどきで必要な業務を臨機応変に見極めて遂行することが求められます。多様な役割を担えるゼネラリストにとって強みを生かせるフィールドといえるでしょう。

総務・人事

バックオフィスとして企業活動を支える総務や人事は、こなすべき業務が多岐にわたるため、豊富な知識やスキルが必要です。また、組織のさまざまな立場の人にかかわる仕事だからこそ、柔軟な対応ができるゼネラリストが向いているでしょう。

臨機応変な対応や立場の違う方々の業務内容を理解しなければならないシーンで、ゼネラリストが持つ柔軟性の高さが役立ちます。

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8.ゼネラリストに向いている人

ゼネラリストが向いている人の特徴は次のとおりです。

  • 好奇心旺盛
  • 学習意欲が高い
  • コミュニケーション能力が高い
  • 人の上に立った経験がある
  • バランスよく物事をこなせる

ゼネラリストは広範な知識や経験を身につけるだけでなく、それを生かして成果につなげる行動が求められます。

幅広い知見を獲得するには好奇心や継続的な学習意欲が必要であり、多面的な物事のとらえ方には傾聴力も求められるでしょう。そして、人の上に立つ経験があれば管理職やマネージャーとしてパフォーマンスを発揮しやすいです。

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9.ゼネラリストの育成方法

ここからはゼネラリストの育成方法を紹介します。適性の要素が強い能力に見えるものの、育成によってはゼネラリスト人材の輩出も可能です。

ジョブローテーション

組織内で幅広い知識や経験を積むためには相応の機会を従業員へ与えなければなりません。ジョブローテーションとは、定期的な配置転換のこと。社内のさまざまな立場や業務にかかわることで、組織について俯瞰的に理解できます。

また、ゼネラリストの育成に有効なだけでなく、その過程で適性のある分野が見つかればスペシャリストとしての適性も見つけられるでしょう。ジョブローテーションは人材の潜在能力を引き出せる有効な育成方法といえます。

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CDPとは「キャリア・ディベロップ・プログラム」の略です。従業員の育成プログラムのひとつであり、個人の適性や希望を考慮して研修や配属先を決定し、能力の最大化を目指す中長期的なプログラムです。

ゼネラリストの適性が見込まれた従業員が主体性を持って目標設定し、企業はそれを支援します。そのため、ゼネラリストになるための主体的なキャリア形成が促されます。

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研修

ゼネラリストの素質がある人は好奇心旺盛かつ学習意欲が高い性質をもちます。そのため、豊富な研修制度や資格取得の支援制度など、学びを支援する制度はゼネラリストの育成につながるでしょう。

マネジメント研修やコミュニケーション研修、リーダーシップ研修など、将来の管理職候補になりうる点も考慮し、ゼネラリストに必要な能力を育成できる研修を充実させることが重要です。

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