グラフィックレコーディングとは? 書き方、無料講座、依頼

グラフィックレコーディングとは、絵や図を用いて対話の内容を視覚化していく手法のことです。ここではグラフィックレコーディングのメリットや具体的な書き方、使用ツールなどについて解説します。

1.グラフィックレコーディングとは?

グラフィックレコーディングとは、イラストや図形などのグラフィック情報を使って、議論の内容をリアルタイムに視覚化(レコーディング)すること。

もともとアメリカにて生まれたグラフィックファシリテーションで、現代では「グラレコ」の略称で幅広く利用されています。たとえば読んだ本や見た動画の内容などを手書きのイラストと文字でまとめたものも、広義にはグラレコと呼べるのです。

グラフィックファシリテーションとの違い

グラフィックファシリテーションとは、対話を見える化して相互理解や場の活性化をうながす技術のこと。

グラフィックファシリテーションでは発言促進、活性化を重視するのに対し、グラフィックレコーディングではあとからでも話し合いのプロセスが理解できるよう、わかりやすい再現を重視しています。会議を可視化して導くという意味ではどちらも同じです。

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2.グラフィックレコーディングのメリット

グラフィックレコーディングのメリットは4つです。

  1. 直感的に理解できる
  2. 方向性がブレない
  3. 意欲が向上する
  4. 認識を統一できる

①直感的に理解できる

グラフィックレコーディングは話の関係性や全体の構造を直観的に示すのに適しています。会議中に生まれたアイデアや発言の相関関係を図示するために思考が整理され、参加者全体の理解を促せるのです。

また文字での議事録と同様、不参加のメンバーにあとから内容を共有するのもかんたんにできます。「会議の流れや場の雰囲気を伝える」「順を追って内容を伝える」ことにも長けているのです。

②方向性がブレない

方向性を統一させ、認識のずれを防げるのもグラフィックレコーディングの強みです。あらかじめ今日のトピックスを見える位置に書き出しておけば、全員がつねに方向性を意識しながらミーティングを進められるでしょう。

文字で長々と書かれた議事録から、重要な情報を瞬時にピックアップするのは困難なもの。しかし絵や図を用いたグラフィックレコーディングなら、ポイントをすぐに理解して、全体を整理しながら振り返っていけます。

③意欲が向上する

グラフィックレコーディングには意欲向上、一体感の醸成というメリットもあります。なかには自分の意見を言葉にまとめるのが苦手な人もいるでしょう。会議ではうまく発言できないという人も、グラフィックレコーディングを使えば意見を伝えやすくなります。

また会議では役職が上の人や声の大きい人の発言に注目が集まりやすいもの。しかし一枚の絵に記すグラフィックレコーディングには意味のある発言が書かれます。そのため情報の価値が対等になりやすく、結果的に参加者の意欲が向上するのです。

④認識を統一できる

聞いた「言葉」や記された「文章」の捉え方は人によって異なります。同じ発言を聞いたのに隣人と違う印象を持った、というのは誰しも経験したことがあるでしょう。

視覚化された情報のイメージは強大です。同じ情報を違う意味でとらえにくいため、参加者間の理解を統一させて情報理解のずれを防げます。

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3.グラフィックレコーディングの書き方

グラフィックレコーディングの書き方に決まった形式はありません。場の目的に応じた形になるのであれば、絵を描くのが苦手な人でも作成できます。グラフィックレコーディングの基本的な書き方について説明しましょう。

「5W1H」を基本に書く

グラフィックレコーディング作成の基本は「5W1H」です。

  • When:いつ
  • Where:どこで
  • Who:だれが
  • What:何を
  • Why:なぜ
  • How:どのように

イラストや図を用いたグラフィックレコーディングでは、この5W1Hについての意識が重要です。さらにEmotion(感情面)をくわえれば、ポジティブなイメージ、ネガティブなイメージを視覚的に伝えられます。

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線の書き方

グラフィックレコーディングで絵や図を書く際は、「線」にも注意しましょう。繰り返しなぞった図形に比べて1本線で書いた図形のほうがすっきりと伝わりやすい絵になります。

また太い線で書くと線のブレやズレが目立ちにくくなり、より見やすい絵になるのです。ボリュームのある線には詳細の書き込みを避けます。それにより標識のようなシンプルさを演出する効果が高まるのです。

色の付け方

何色も使って色鮮やかなグラフィックレコーディングをつくるより使う色を数種類に絞ったほうが、まとまりのあるグラフィックレコーディングになります。

色の少ないほうが色による情報が制限されるため、重要度やレベルの高低がわかりやすくなるのです。はじめのうちは3色程度にとどめてグラフィックレコーディングを作成するとよいでしょう。

絵の描き方

絵を描くのが苦手な人は〇△□といったかんたんな図形の組み合わせからはじめましょう。たとえばメールなら□と▽で、ビルは大きさの違う□で描けます。パソコンやスマートフォンなどで目にするアイコンをイメージするのも効果的です。

絵を描く際は、何を描けばそれと伝わるのかを意識しましょう。たとえば〇と□と線の組み合わせでも、半円と角度を変えた□、複数の直線を使えばレールを走る電車が、〇と□、点線を使えば道路を走る車を表現できます。

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4.グラフィックレコーディングの進め方

グラフィックレコーディングは紙とペンさえあればすぐ作成できます。グラフィックレコーディングの進め方について説明しましょう。

初めはひとりで練習

はじめのうちは、「さまざまな意見が飛び交う会議で、いきなりグラフィックレコーディングに挑戦するのは難しい」と感じるでしょう。そこでグラフィカルに記録したものを人に見せて話し合うための第一歩として、ひとりでノートを使った練習を進めます。

話をすべて描いても仕方ありません。前述した「5W1H」を意識しながら話を構造化します。

慣れたらその場で共有

話の構造化に慣れてきたら、グラフィックレコーディングを見せながら話を振り返ります。これには検討事項の再確認、進行の軌道修正といった効果もあるのです。

このとき、会議中に強く主張していたことや反対意見など感情が表れた場面を描いておくと、最終的な決定にいたるまでのプロセスを可視化できます。

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5.グラフィックレコーディングの無料講座

グラフィックレコーディングに関する講座は全国各地で開催されています。また学習サイト「Schoo(スクー)」でも、参加型の生放送授業や録画授業を開催。

会員登録時に配布されるチケットを利用すれば、プレミアムプラン(有料プラン)契約者のみが視聴できる録画授業を無料で受講できます。

もちろん動画授業のなかには無料公開しているものも。各業界をリードするトッププレーヤーが配信する講義を、365日いつでも受けられるのです。

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6.グラフィックレコーディングで使用するツール

グラフィックレコーディングでは、どのようなツールを使用するのでしょう。それぞれについて見ていきます。

紙とペン

グラフィックレコーディングに慣れていない、手元で小さくグラフィックレコーディングをしたい場合、紙とペンを使う方法がオススメです。紙のサイズや材質は好みのもので構いません。罫線が入っていない真っ白な紙のほうが自由な形式で作成できます。

使うペンは裏うつりしない水性ペンがベスト。メインのペンと蛍光ペンほどの太さがあるカラーペンを使うと、まとまったグラフィックレコーディングが作成できます。

ホワイトボード

参加者が多い会議では、ホワイトボードを使ってグラフィックレコーディングを作成することもあります。ホワイトボードを使うメリットは、参加者の視線を集めやすいこと。

ホワイトボードは基本、目線よりも高い位置に設置されているため、参加者の目線を上げて前向きな議論がしやすい雰囲気をつくります。

また書いた内容をその場で修正できるのもホワイトボードの強みです。発言者の意図と異なる記載があったときはその場ですぐに修正し、解釈の齟齬を防ぎます。

電子黒板(インタラクティブホワイトボード)

電子黒板とは、ボードに書かれた内容を電子的に変換できるホワイトボードのこと。パソコンで表示している資料や写真などを映し出したり、ペンツールを使って文字や図形を書き込んだりできるのです。

電子黒板上に書きこんだものはすべて電子データで保存されます。ボード上に書き込んだグラフィックレコーディングを、議事録としてすぐにメールで共有する際にも便利です。

タブレット端末

デジタル環境で描くグラフィックレコーディングは「デジタルグラフィックレコーディング(デジタルグラレコ)」と呼ばれます。

「追記や修正がかんたん」「場所を問わずグラフィックレコーディングに参加できる」のがタブレット端末の強みです。電子データならグラフィックレコーディングを見直すために会議室に集まったり、過去の議事録を探し出したりする必要もありません。

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7.グラフィックレコーディングの仕事を依頼したいなら

自社社員がグラフィックレコーディングを担当するだけでなく、社外にアウトソーシングする方法もあります。

フリーランスへ依頼

この場合、クラウドソーシングを活用して募集するのが一般的です。

グラフィックレコーダーにも得意不得意、また分野による経験の違いがあります。レコーダーによって品質に差が生じやすいという課題はあるものの、自社業界に精通しているレコーダーに依頼できれば、要点のずれや認識の齟齬をおさえられます。

会社へ依頼

会社によってはプロデザイナーが担当していることもあるため、高品質なグラフィックレコーディングが期待できます。

グラフィックレコーディングの内容をそのまま冊子に加工したり、提案書に変換したりできるのも専門会社の強みです。なかにはオンラインや英語に対応できるレコーダーが在籍している会社もあります。

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8.グラフィックレコーディングの理解が深まる本

グラフィックレコーディングに関する書籍も多く発行されています。グラフィックレコーディング初心者にオススメの書籍を紹介しましょう。

はじめてのグラフィックレコーディング

本書ではビジュアルシンキングの基本から他者に伝わりやすい絵や図の書き方、話の聞き方や作成ツールの使用方法などを掲載しています。

見やすい図形の描き方や伝わる言葉の選び方、デザインやタブレットの活用方法などを学べるのです。そのため、絵を描くことが苦手な人でもかんたんにグラフィックレコーディングを使いこなせるようになります。

参考 はじめてのグラフィックレコーディング翔泳社

グラレコの基本

本作の著者は大手通信関連会社に勤務するグラフィックコミュニケーターです。これまで企業や官公庁、地域コミュニティや大学など500件以上のイベントでグラフィックレコーディングを担当してきました。

これらの経験から得たグラフィックレコーディングのノウハウを集約したのがこの一冊。著者が体系化したメソッドは会議のメモ作成や1on1、イベントなどさまざまなシーンで活用できます。

参考 グラレコの基本日本実業出版社

Graphic Recorder

グラフィックレコーディングの第一人者が手がける本書は、グラフィックを利用して参加者の認識を統一し、発言促進から課題発見、アイデア創出につなげるグラフィックレコーディングについてまとめた日本初の書籍です。

自社の会議に課題を感じている、これから新たにグラフィックレコーディングをはじめたいと考えている人に最適な入門書となっています。

参考 Graphic RecorderBNN