ハッカソンという言葉は、一部の業界の人以外にはあまり聞きなれないものだと思われます。
しかし、近年では、そもそもハッカソンが使われていたIT業界以外の業界においても、同様の取り組みがなされ始めています。
ハッカソンの意味と魅力について考えてみましょう。
「ハッカソン」とは?
ハッカソンとは、システムなどを解析するという意味のある「ハック(Hack)」と、42.195キロという長距離を走る「マラソン(Marathon)」を合わせた造語です。
これは、主にIT業界で行われているイベントの名前で、一定期間で、決められたテーマによるシステム作りを行うというものです。
プログラマーやエンジニア、デザイナーなどがチームになって、24時間、3日、1週間など、一定の時間で開発を行います。この期間は集中して業務に当たり、最後にそれぞれのチームの成果を発表し合い、優秀者を決めるという、IT業界におけるお祭りやゲーム大会のような試みです。
ハッカソンは、そもそもは、アメリカで生まれたもので、GoogleやAppleが行ったことで有名になりました。2010年頃からは徐々に日本でも開催されるようになってきています。
オープンイノベーションのメリット
オープンイノベーションというのは、自社の技術だけのよる開発を行うのではなく、他者の持つノウハウや知識、技術を広く募集して、より良いコンテンツを作り上げて行く試みのことです。
これは、単にお金を支払って業務をアウトソーシングするということではなく、オープンにアイディアを集めて、よりクオリティの高いものを生み出そうというものです。
そもそも、企業活動や企業の業務内容というのは、外部に漏らさないよう秘密裏に開発を行っていくというのがこれまでの常識でした。しかし、それでは自社の持つノウハウを元にした商品しか開発することはできません。
他社のアイディアや技術を積極的に取り入れていくことで、こうした問題を打破して、会社という枠にとらわれない、社会にとってより良い商品や商材を生み出すことができるようになるのです。
ハッカソンとオープンイノベーション
ハッカソンは、元々企業内で行われるイベントが主流であり、外部から人を集めて行うものではありませんでした。
企業内で新しいコンテンツを生み出そうとする時に、ハッカソンという手法で集中して柔軟なアイディアを生み出したり、社内の人材同士が強い結びつきを得る手がかりになるというメリットがあったのです。
しかし、最近では、オープンイノベーションの手法としてハッカソンを利用する動きも出てきました。ハッカソンの内容も、システム開発に限ったものではなく、広く「短時間でアイディアを形にする」という意味で使われることが少しずつ増えてきています。こうした試みは、ハッカソンの参加者を企業内に限定しないことで、外部のアイディアを取り入れたコンテンツ開発をしようという目的で行われています。
ハッカソンを成功に導く為に
ハッカソンは、技術開発やアイディア作りに役立つ手法ですが、ただやみくもに開催しても成果を上げることはできません。それどころか、後のトラブルになってしまうこともあります。
ハッカソンを開催する際は、まず、開催期間中のタイムスケジュールや、優勝者への待遇(賞金の有無など)、アイディアやコンテンツが商品化された際の取り決めなどについて明示しておく必要があります。
当日は、まずテーマについて説明をし、参加者にアイディア出しを依頼します。これは、アイディアソンと呼ばれることもある作業です。その後、同じアイディアを持つ人同士や、アイディアに共感した人同士が集まってチームを作り、実際の開発やコンテンツ制作に入ります。なお、このチーム分けは、ハッカソン当日ではなく事前に行う場合もあります。
そして、最後に発表を行い、優秀なアイディアに対してその後も作成を進めていくのかを定めることとなります。