博士採用とは? 目的、民間企業のメリット、採用すべき人材

博士採用とは、企業の募集対象を大学院博士課程の修了者に限定した採用活動のことです。学士対象の新卒採用とは異なるメリットが期待できます。

1.博士採用とは?

博士採用とは、企業の募集対象を大学院博士課程の修了者に限定した採用活動のこと。日本では、これまで新卒者には専門性より使役のしやすさや若さが求められる傾向にありました。

そのため、博士課程修了者に対して「初任給を上げなければならない」「年齢が高く使役しにくい」「専門知識に固執して視野が狭い」といった先入観があり、敬遠されてきたのです。

しかし最近では日本でも博士採用のメリットに目が向けられ、実施する企業も徐々に増加。代表的な例として、以下の企業が挙げられます。

  • ソニー
  • 花王
  • 中外製薬
  • 富士フィルム
  • 三菱ケミカル

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2.博士採用の目的

博士採用には、以下の目的があります。

  • 新卒者と比べて年齢や経験が画一的ではない人材を育成、活用することで企業の人材活用力が高まる
  • コミュニケーション力が高い人材によって生産性につながる:研究の完成には他者との協力が必要で、研究発表のためにプレゼンテーション力や質問に回答する瞬発力が鍛えられている
  • データ分析能力が高い人材によって生産性につながる:博士は膨大なデータを整理、分析した経験を持つことが期待できる
  • 実践的な英語力が高い人材によって生産性につながる:博士は論文の執筆や文献の読解、外国人研究者とのコミュニケーションのため、高い英語力を持つことが期待できる
  • 豊かな専門知識を持っている

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3.博士人材の強み

博士人材の強みは、博士課程の研究活動の過程で仮説を立て検証を繰り返し、論文を作り上げるという成功体験があること。この知識を生み出すプロセスは、ビジネスにおけるPDCAサイクルにもつながります。

学士は与えられた課題や単位を履修すれば、修得できる部分があります。一方、博士課程では研究のテーマを自分で決定し、論文を完成させなくてはなりません。以上から博士は専門性だけではなく、自主性の高い人物が多いといえるのです。

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4.企業が博士採用を実施するメリット

博士採用には、新卒採用とは異なるさまざまなメリットがあり、代表的なものとして以下の4点が挙げられます。それぞれのメリットについて詳しく解説しましょう。

  1. 即戦力として活用可能
  2. 業務改善能力が高い人を採用可能
  3. コミュニケーション力が高い人を採用可能
  4. 自己管理力が高い人を採用可能

①即戦力として活用可能

博士は以下の素養を持ち、即戦力としての活用が期待できます。

  • 豊富な知識量:新卒採用者の場合、まず企業で必要な知識とスキルのもとになる研修を数か月かけて行うが、博士採用者はその期間を短縮できる
  • 膨大なデータを分析し、結論を導いた経験・忍耐力:業務においても必要な内容が、博士採用者はすでに身についていると期待できる
  • 論理的な思考力:現状を整理・分析したうえで、順序立てて結果を導く思考力

②業務改善能力が高い人を採用可能

業務環境や品質を改善、改良して行くには、PDCAサイクルの継続が必要になります。PDCAサイクルとは、Plan(立案)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)のサイクルを繰り返すこと。

これは状況を俯瞰し分析する力が必要で、業務ではもちろん、研究論文の完成にも必要です。博士採用者はすでにその経験を持っているため、業務においても問題解決能力が高く、本人の成長速度も期待できます。

③コミュニケーション力が高い人を採用可能

博士は研究ばかりで人と話さないというイメージがつきものでしょう。しかし実際はコミュニケーション力の高い人が多いといえます。なぜなら研究内容を人に理解してもらうため、説明が必要な場面にて鍛えられているからです。

業務上求められるコミュニケーション力としては、以下が挙げられます。

  • 担当者と対等に話し、現場で理解される言葉を使って説明するコミュニケーション力
  • 現場に必要なものを分析し、検証を繰り返すコミュニケーション力
  • 新しいものに対する心理的な壁を取り除けるよう説明するコミュニケーション力

④自己管理能力が高い人を採用可能

博士号を取るためには、限られた期間で研究と論文を完成させなければなりません。それにくわえ、ときにはアルバイトも並行しながら生活する必要があります。そのため、博士は自己管理能力が優れていると期待できるのです。

自己管理とは、自分の限りある時間や体調を管理したり、感情を制御したりすることで、業務でも当然に求められます。これが身についている博士を採用するのは、企業にとってメリットが大きいと考えられます。

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5.博士採用で採用すべき人材とは?

企業は、博士採用でどのような人物を採用すればよいのでしょう。具体例として以下が挙げられます。

  1. 周囲を巻き込みながら仕事を進められる人
  2. 臨機応変に対応できる人
  3. 革新できる人
  4. 海外での経験を積んだ人

①周囲を巻き込みながら仕事を進められる人

利益をあげられる製品は社会の状況で変わるので、固定した正解はありません。そして新しい製品やサービスをゼロから生み出すのは、ひとりだけでは不可能です。ときにはほかの部署や分野の人々にも協力を仰ぎ、ともに進めていく必要があるでしょう。

そのため、周囲を巻き込み協力して仕事を進められる人材が望ましいとされます。博士号所持者は研究の過程で他者の協力を仰いだり、自分の研究を説明したりする機会があるため、適切な人材といえるのです。

②臨機応変に対応できる人

製品の評判や売上は消費者が決めますし、社会の状況にも左右されます。資材の確保状況や原価が変動し、利益を上げ続けるために製造状況を見直さなければならない場面もあるでしょう。専門分野はあっても、状況次第では変化に対応する柔軟性が必要です。

また、大学での研究は研究そのものが目的であるものの、企業における研究開発の目的は利益を生み出すこと。そしてときには研究開発そのものが中止になってしまう場合もありるでしょう。

そのようなときでも自分のメンタルを制御し、臨機応変に対応できる人材が望まれます。

③革新できる人

製品開発には、社会のニーズに応じて新しい製品を創出するアイデアが必須です。企業の製品開発は、企業理念や社会的な流行、資材の確保状況や法的規制などにより、つねに制約がともなうもの。

そのなかでもつねに革新的なアイデアを出し続け、オリジナリティを具現化し続けなければ、他社との競合で生き残るのは不可能です。

与えられた業務だけではなく、つねに幅広い視野を持って新しいテーマを見つけ出し、チャレンジする精神を持つ人材が有用といえます。

④海外での経験を積んだ人

多くの企業ではこれからの方針にグローバル化を掲げています。そのような企業では、海外市場を開拓したり海外に研究所を新設したりする可能性があるでしょう。海外の人材と協力し合ったり、海外の企業と競合したりする場面も考えられます。

グローバル化に対応できる人材はもちろん、専門知識も豊富なら多くの企業が人材として必要とするのです。そのため海外で経験を積んだり、外国のライバルと渡り合ったりした経験のある人材は非常に有益だと考えられます。

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6.博士採用で重視すべきポイント

企業が博士採用で重視すべきポイントとして、以下が挙げられます。ここでは博士ならではのポイントについて解説しましょう。

  1. コミュニケーション力
  2. 知識
  3. 人間性

①コミュニケーション力

研究開発はひとりでできません。共同研究者だけではなく、他部署や時には他社やほか分野の人とも協力して進めなければならない場面もあるからです。

そのような時に相手を選ばず、自分の研究内容や意見をわかりやすい言葉で説明できるコミュニケーション力が求められます。

また、自分が説明を受ける側のときは傾聴に努め、疑問点があればわかりやすく質問できる能力も必要です。このように周囲との相互理解のために労力を惜しまない人材であることが重要といえます。

②知識

研究開発そのものにはもちろん、他者と協力して進めていくためには研究内容や自分の知見を説明する言語力も欠かせません。言語力は語彙力から生じ、語彙力は知識量から生み出されます。

また、新規開発や応用技術を生み出すには、アイデアを出したり未知の分野に挑戦したりする必要があるでしょう。そのためには土台に基礎・汎用的な知識が堅牢に培われていることが重要です。

③人間性

専門性は高くても、自社の経営理念を実現できるか、社風に合う人間性を有しているかを重視する必要があります。そこは新卒採用者や中途採用者と変わりません。

博士の場合、研究を完成させる粘り強さや主体性、周りにいる人物を尊重して協力し合える人間性が期待できるでしょう。

また、大学での研究は研究そのものが目的ですが、企業では利益を生み出すために研究環境が変化する場合もあります。いかなる状況にもひるまず対応できる人は、高い成果を上げられると期待できるでしょう。

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7.博士採用した人材の待遇例

日本企業における博士課程終了者は、修士課程修了者プラス3年という位置づけになっている場合が多いです。

給与や昇進においても、博士独自のステップやルートを設けている企業は少ないといえます。どちらかというと本人の実績や資質によるところが大きく、これは欧米企業と異なるでしょう。

配属やローテーションに関する特別な配慮は見られないものの、多くは研究開発職として採用されています。そこで博士ならではの専門的な知識や経験、能力を発揮することが期待されているのです。

採用後のキャリアパスは、研究開発以外の部門に配属される場合も多々あります。よって企業側には左遷や懲罰の意図はなくても、不本意な異動ととられてしまう場合もあるのです。

しかし生産管理や品質保証、広報など、ほかの部署やポストでも専門知識を活用する場面は多いもの。専門知識が豊かな人材は配属先でも重宝され、多くの博士はそこで能力を発揮しているのです。