ハラスメントハラスメント(ハラハラ)とは?人事担当者必見の具体例4つと防止策

「ハラスメント」への意識が高まる中で、新たな職場の悩みが生まれています。
それが「ハラスメントハラスメント(ハラハラ)」です。
正当な行為や言動をハラスメントだと訴えられ、「注意したらパワハラと言われた」「評価に納得がいかないからハラスメントだと言われた」という声を聞くこともあるでしょう。
本来の業務遂行を妨げる「ハラハラ」の実態と、人事労務担当者として取るべき具体的な対策について解説します。

ハラスメントハラスメントとは?

2人の同僚から詰め寄られて困っているビジネスパーソン
ハラスメントハラスメント(ハラハラ)とは、自分に向けられた一般的な会話や正当な注意などを「ハラスメント(嫌がらせ)だ」と捉えて過剰に反応する行為を指します。組織運営に欠かせない正当な行為に対して、受け手が過剰に反応してハラスメントだと訴えるのが特徴です。

ハラハラの本質的な問題は、客観的にはハラスメントに当たらない行為を、受け手の主観だけで「ハラスメント」と見なしてしまう点にあります。職場では個人の感情や主観だけでなく、社会通念上の常識や業務上の必要性を踏まえた判断が必要です。

職場でハラハラをしてしまう人は、仕事環境や生産性に悪影響を与える存在になり得ます。人事労務担当者は、より良い職場環境をつくるために、ハラハラの防止に努める必要があるでしょう。

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職場で起こりやすいハラスメントハラスメントの具体例

3人から指を指されるビジネスパーソンの手
ハラスメントハラスメント(ハラハラ)は単なる誤解として見過ごせない、組織の生産性や職場環境に悪影響を及ぼす深刻な問題です。実際にハラハラは職場において、さまざまな場面で発生しています。職場で起こりがちなハラハラの具体例を見ていきましょう。

正当な低評価をハラスメントだと言う

上司が部下の業績を評価する際、正当な低評価を部下がハラスメントだと訴えるケースがあります。業務成績や勤務態度に応じて公正な評価を下すことは管理職の責務であり、基準に基づいた低評価は正当な行為です。

ただ、自己評価が高い従業員や被害者意識の強い従業員は、低い評価を受けると「自分だけ不当に評価されている」と感じ、パワーハラスメントだと主張することがあります。

評価面談で具体的な事実に基づいて説明し、客観的な根拠を示すことである程度は防止できるとはいえ、正当な評価を従業員からハラスメントだと捉えられてしまうのは避けたい事態です。

業務に必要な依頼や指示をハラスメントと指摘する

ハラハラの例として、業務上必要な依頼や指示をハラスメントだと指摘することも挙げられます。例えば、上司が部下のミスを指摘し「このままミスが続くようであれば、この仕事を任せられない」と伝えることは、業務遂行に必要な範囲の発言です。

被害者意識の強い従業員は、これを「自分にだけ仕事を与えないのはパワハラだ」と主張することがあります。能力不足の従業員に対して適切な指導を行ったにもかかわらず業務遂行が難しいため配置転換をした場合、「この配置転換は自分を退職させるためのパワハラだ」と訴えるのもハラハラの一例です。

ルール違反を指摘するとハラスメントだと訴える

職場では、時間どおりの出退勤や就業規則に基づいた身だしなみの順守は基本的なルールです。これらを守らない従業員に対して注意や指導を行うことは、管理職の当然の責務といえます。

近年、このような正当な指摘に対して「ハラスメントだ」と訴えるハラハラも見られます。例えば、遅刻常習者への注意を「パワハラ」と主張したり、就業規則で禁じられている露出度の高い服装への指導を「セクハラ」と訴えたりするケースです。

こうしたハラハラは、ルールの順守に問題がある従業員が自己防衛として行っている可能性も考えられるでしょう。

日常会話レベルの雑談をプライバシーの侵害と主張する

職場ではコミュニケーションの一環として「週末は何をしたの?」「趣味は何ですか?」といった軽い雑談が交わされます。

こうした会話は職場の人間関係の構築に重要です。とはいえ中には日常的な雑談レベルの質問でも「プライバシーの侵害だ」「セクハラだ」と訴えるハラハラをする人もいます。

確かに、恋愛事情や家族関係に深く踏み込む質問はセクハラやプライバシーの侵害になり得ますが、趣味や休日の過ごし方を尋ねる程度の会話は一般的にハラスメントには該当しません。

このようなハラハラは、どこまでがプライベートな質問なのか線引きが曖昧なため起こりやすい傾向があります。具体例を挙げてハラスメントの境界線を明確に示し、健全なコミュニケーションが阻害されないよう従業員に周知する必要があるでしょう。

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ハラスメントハラスメントはなぜ生まれた?何が問題?

並んで学ぶビジネスパーソンたち
ハラスメントハラスメント(ハラハラ)に対して企業として効果的な対策を講じるには、ハラハラが発生するようになった背景や、企業にとって深刻な問題になり得る理由を理解しておく必要があります。人事労務担当者として適切な対応ができるよう、ハラハラの背景と問題点を押さえておきましょう。

ハラハラが起こり始めた背景

ハラハラが生まれた背景には、近年の日本社会における、ハラスメント問題への意識向上があります。ハラスメント関連の法制度も整備され、企業はハラスメント防止対策を義務付けられるようになりました。

社会全体の関心が高まる一方で、「ハラスメント」という言葉だけが独り歩きし、正確な定義や範囲について十分な理解が浸透していないのも事実です。これにより、業務上の必要な指導や注意までもが、主観的に「ハラスメントだ」と受け取られてしまうケースが増えつつあります。

「本人が不快に感じたらハラスメント」といった誤った解釈が広まり、業務上必要な指導や注意を主観でハラスメントと訴える従業員が出てきました。

ハラハラが引き起こす問題

ハラハラが問題視される根本的な理由は、職場環境や生産性に重大な悪影響を及ぼすからです。

例えば、管理職がハラハラを行う従業員からパワハラと訴えられることを恐れ、本来であれば下げるべき評価を維持してしまう可能性があるでしょう。これにより人事評価の公正さが失われ、真面目に働くほかの従業員のモチベーション低下を招きます。

また、必要な指導をされなくなることも、ハラハラが引き起こす問題です。管理職はハラスメント加害者のレッテルを貼られることを恐れ、業務上必要な指摘や改善指導を躊躇するようになります。その結果、部下の成長機会が失われ、業務の質も低下していきます。

ハラハラが起きることで、職場のコミュニケーションが阻害されるのも懸念点です。ハラハラへの懸念から、同僚間の雑談や気軽な会話も控えられるようになり、信頼関係の構築が困難になります。

これらの問題が複合的に作用し、最終的には組織全体の生産性低下という深刻な事態を招きかねません。

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人事労務担当者のためのハラスメントハラスメント防止策

社員研修の風景
ハラスメントハラスメント(ハラハラ)防止の対策は、組織全体で取り組むべき重要な課題です。特に人事労務担当者は、正しい知識と実践的なアプローチで職場環境を改善していく必要があります。現場で活用できる、3つの実践的なハラハラ防止策を紹介します。

ハラスメントの定義を研修で正しく教える

ハラハラ対策として効果的なのが、社内研修を通じてハラスメントの定義や基準を正しく伝えることです。多くの場合、ハラハラが発生する根本的な原因は、ハラスメントの定義に関する理解不足にあります。

「自分が不快に感じたらすべてハラスメント」という認識が広まっていますが、業務上必要かつ相当な範囲で行われる指導や指示はハラスメントに該当しません。パワハラ防止法でもこの点は以下のように明確に規定されています。

「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」

出典:『労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律 第32条の2』

研修では「何がハラスメントに該当するのか、しないのか」という明確な基準を示すことが重要です。社会通念を基にしたハラスメントの判断基準や、業務上必要な指導との線引きについて具体例を交えて説明しましょう。

ハラスメントの定義を組織内で共有すれば、従業員は自分の言動が適切かどうか判断しやすくなります。指導や評価を行う側にとっても、業務上必要なフィードバックを安心して伝えられる環境が整うはずです。

結果として、過剰な反応によるハラスメントハラスメント(ハラハラ)を防止し、健全で風通しの良い職場づくりにつながります。

ハラハラに対してペナルティを設ける

ハラスメントの定義が明確になったら、次のステップとしてハラハラに対する具体的なペナルティを就業規則に設けるのもひとつの選択肢です。ハラスメントを理解した上でなお不当な訴えをする行為は、職場環境を悪化させる要因となります。

ペナルティを設ける際は、まず懲戒規定などに明確に記載し、全従業員に周知することが法的にも必要です。これは罰則の適用に関する重要な前提条件であると同時に、ハラハラ防止にも役立ちます。

具体的なペナルティの例としては、口頭での注意から始まり、改善が見られない場合は書面による警告、さらには減給や配置転換などの段階的な措置が考えられます。ペナルティは公平性を保ち、客観的な判断に基づいて与えることが重要です。

このような制度を設けることで、従業員は「何がハラスメントで何がハラスメントではないか」をより意識するようになり、安易なハラハラは減少するでしょう。

ハラスメントについて相談できる窓口を用意する

ハラハラを防止する方法として、社内に適切な相談窓口を設置することも挙げられます。相談窓口があれば、従業員が「これはハラスメントではないか」と感じた際に、個人の主観だけで判断せず、客観的な意見を得られます。

相談窓口を設置する際のポイントは、目的を明確にすることです。ハラスメントの予防と早期対応、職場環境改善のための窓口だということを全従業員に周知しましょう。どのような相談ができるのか・利用方法・相談後の流れなども、具体的に示すことが重要です。

相談体制としては社内窓口だけでなく、可能であれば社外窓口も用意するとよいでしょう。社内では話しにくい内容でも、第三者には相談しやすい場合があります。

また、窓口担当者には専門知識とカウンセリングスキルが必要です。相談者のプライバシーを守り、公平な立場で対応できる人材を選びましょう。

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まとめ

和やかなオフィスの雰囲気
ハラスメントハラスメント(ハラハラ)は、組織の生産性低下にもつながる深刻な問題です。人事労務担当者は適切な対応を考えなければなりません。

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