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発令とは、事例や法令、指示などを出すことです。ここでは発令という言葉の使い方や発令の方法、注意点などについて解説します。
目次
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1.発令とは?
発令とは、辞令や法令などの公的な指示を公表すること。気象庁が警報や注意報を出す際の「発表」を発令と呼ぶ場合もあります。
なお発表は、「世間一般に対して広く知らせること」を意味しているのです。発表と発令は、下記のように区別されています。
- 発表:何らかの知らせを広く世の中に向かって表す
- 発令:法令などの指示を出す
辞令との違いは?
辞令とは、官職や役職などの任免をする際に発令される指示、またはそれを示す文書のこと。雇用主側が従業員に対して転勤や人事異動、昇格や降格などを命じる状況をいいます。一般的に発令は行為そのものを指すのに対して、辞令は主に文書を指すのです。
辞令とは? 出る意味、交付方法、内示をわかりやすく解説
辞令とは、企業が従業員に対して通知する公式文書のこと。
辞令が出て転勤になった
辞令で出向先が決まった
といった使い方をします。この辞令について、
辞令とはそもそもどのような意味の言葉なのか
辞...
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2.発令という言葉の使い方
「発表」に比べて警告の意味合いが強い「発令」は、どのように使われるのでしょうか。ここでは具体的な例文から、発令という言葉の使い方について解説します。
1:法令を発令する
「法令」とは、法律や命令など、私たちが守らなくてはならない公的な掟のこと。これを公表する際に行われるのが「発令」で、例は下記のとおりです。
- 来月から新たに○○法が発令される
- 人事部から異動が発令された
2:辞令を発令する
「辞令」とは、会社や雇用主が従業員に通知した指示、またはそれを記した公式文書のことで、会社が決定した重要事項を従業員に正確に伝える手段として用いられるのです。またこの辞令を従業員に渡す際、一般的に「交付」という言葉を用います。例は下記のとおりです。
- 来年度以降の異動辞令が発令(交付)された
3:警報を発令する
気象庁が警報や注意報を発表する際も、発令という言葉が使われます。例は下記のとおりです。
- 大雪警報が発令された
- 突然な気象警報の発令に注意しよう
何らかの情報を広く発信する「発表」に比べて、「発令」は警告を促す、注意喚起を呼びかけるといった意味合いで使われます。
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3.発令の方法とは?
発令の方法は、目的やシーンによって変化します。また「いつもこの方法で公表しなければならない」という法的な制限はありません。代表的な発令の方法について解説しましょう。
内示
「内示」とは、発令される予定の人事異動を、先に対象の従業員本人に伝えること。方法は口頭でも文書でもかまいませんが、本人と上司のみの限定的な公開が条件です。内示には、以下2つの意味があります。
- 従業員本人に異議を唱える機会を与えるため
- 正式な事例に向けての準備期間を与えるため
内示とは?【ビジネスでの意味】辞令との違い、断れる?
内示とは、非公式に当該人物に物事を伝達することです。転勤や配置換えなど人事異動の際に行われます。ここでは内示について詳しく解説します。
1.内示とは?
内示とは、情報を公にする前の段階で、当事者に対...
交付式
「交付式」とは、従業員に辞令を交付する際に行われる式典やセレモニーのこと。企業によっては入社式と同時に配属辞令を交付します。事業規模の大きい企業は社内ではなく大きな会場を借りて行う場合も。
交付式には発令を受ける本人をはじめ、社長や役員人事担当者などが出席するのです。受令者の気持ちを鑑みて、発令日を中心とした数日以内に行われることが望ましいとされています。
社内報など
近年、社内の掲示板やホームページ上で発令を行うケースも増えました。多くの場合、辞令は書面で通達されますが、先に触れたとおり公式書面の作成義務はありません。社内報や掲示板などで公表する際は、以下に注意しましょう。
- 発令日の10日前から当日にかけて掲示する
- 掲示板や社内ポータルサイトなど、従業員の目に付きやすい箇所に公表する
- 常に同じ場所で確認できるよう、掲示箇所を統一する
リモート勤務もあたりまえになって、式典やセレモニーの機会もずいぶん減りました。だからこそコミュニケーションの質を高めることを意識しなければ、強い組織づくりはむずかしくなります。
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4.人事発令の種類
「人事発令」とは、組織の人事異動に際して公表される指示のこと。さまざまな種類があり、目的や対象となる従業員の特性、活用シーンなどはそれぞれ異なるのです。ここでは人事発令のなかでも代表的な6つの発令について解説します。
- 昇進・昇格
- 降格・降職
- 任命・解任
- 転勤・転任
- 定年退職・勧奨退職
- 配置転換
①昇進・昇格
昇進と昇格の内容は、下記のとおりです。
- 昇進:平の従業員から主任へ、課長から部長へといったように、従業員の役職が上がること
- 昇格:「職能資格制度」と呼ばれる等級制度によって、「格」が上がること
2つは一般的に、「立場が上がることを昇進」「社内の評価が上がることを昇格」として区別されます。どちらもポジティブな意味合いで使われるのです。
②降格・降職
昇進や昇格と対を成すように、ネガティブな意味合いで使われるのが「降格」や「降職」です。2つの違いは下記のようになります。
- 降格:企業内での位置付けが上位の職階から下位の職階に異動する
- 降職:先に述べた職能資格制度などで会社からの評価が下がる
部長から課長、管理職から一般職といったように、下の役職に身分を落とされる場合、一般的に降格ではなく降職と表現するのです。降格に伴う減給は、1日の平均賃金の半額かつ月給の1割と限度額が定められていますが、降職に限度額の適用はありません。
③任命・解任
- 任命:対象の従業員に対して官職や役目に就くよう命じる行為
- 解任:今就いている任務を解く、職務をやめさせる行為
どちらも人事発令のひとつです。組織にて継続した成果を生み出すため、人事担当者は力を発揮できる人材を任命し、また同時に成果を上げられない人を解任しなければなりません。
④転勤・転任
転勤・転任とは、勤務地の変更を伴った人事異動のこと。言葉の意味としての区別は、下記のとおりです。
- 転勤:従業員の勤務場所を継続的に変更する
- 転任:同一の組織内でほかの職務または任地に変わる
転勤・転任の目的は、人数や年齢、能力の差によって生じる不公平を解消し、従業員に幅広い業務を経験させることです。
⑤定年退職・退職勧奨
定年退職・退職勧奨の違いは、下記のとおりです。
- 定年退職:就業規則上で定められた年齢を超えた際に雇用契約が解除される
- 退職勧奨:事業主から雇用契約の解除を申し入れ、従業員の自発的な退職を促す
定年退職による退職日は一律に定められていません。定年を迎える年度末や誕生日の当日、誕生月の賃金の締め日や誕生日に達した月の月末など、退職日は企業によって異なるのです。
また退職勧奨は解雇と混同されがちですが、解雇では従業員の意思に関係なく一方的に雇用契約が解除されます。強大な効力を持つ反面、実行にはさまざまな要件を満たす必要があるため、会社は解雇より勧奨退職を選択する傾向にあるのです。
⑥配置転換
「配置転換」とは、同じ企業のなかで仕事内容や勤務地を変更すること。先に述べた転勤・転任も、ここに含まれます。配置転換の主な目的は、次の3つです。
- 従業員それぞれの能力や特性に合わせた適材適所の実現
- 組織内異動による活性化の実現
- 人数や能力の差によって生じた不平等の解消
人事発令にもたくさんの種類がありますが、公表だけで人事の業務が終わるわけではありません。転勤があれば、社員情報のアップデートが必要となり、配置転換があれば組織図を作り直さなければなりません。Excelで情報を管理していたのでは、業務は煩雑。
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5.発令の一般的な書式
昇給や降格、勧奨退職や配置転換などの発令は、いったいどのような書式に則って作成・交付するのでしょうか。ここでは以下に際して用意する「発令の書式」について解説します。
- 職位に関する発令の書式
- 勤務地に関する発令の書式
- 着任・退職に関する書式
①職位に関する発令の書式
昇格や降格など、従業員の職員に関する発令を通知する際は、基本的に次のような書式を用意します。
- 右上:発令年月日や発令番号
- 左上:受令者の氏名(○○○○殿)
- 右上(発令年月日の下):発令者の氏名(株式会社○○ 代表取締役社長○○○○)
- 中央:太字で「辞令」と明記
- 中央下:辞令の詳細や適応時期(令和○年○月○日付をもって○○部○○課長の任を解き、同日付をもって○○部○○課に任命する)
②勤務地に関する発令の書式
転勤や転任など、勤務地の変更を伴った人事異動を発令する際は、以下項目を明記した文書を用意します。基本的な項目は、職位変更や着任に関する発令の書式と同じです。
- 右上:発令年月日や発令番号
- 左上:受令者の氏名(○○○○殿)
- 右上(発令年月日の下):発令者の氏名(株式会社○○ 代表取締役社長○○○○)
- 中央:太字で「辞令」と明記
- 中央下:辞令の詳細や適応時期
例は、下記のとおりです。
- 令和○年○月○日付をもって、○○支店○○長に命ずる
- 令和○年○月○日付をもって現職の任を解き、令和○年○月○日付をもって○○への転籍を命ずる
③着任・退職に関する書式
着任や退職に関する人事異動を発令する際も、記載項目は基本同じとなります。辞令の詳細に関する部分のみ、必要に応じて書き換えるのです。
- 右上:発令年月日や発令番号
- 左上:受令者の氏名(○○○○殿)
- 右上(発令年月日の下):発令者の氏名(株式会社○○ 代表取締役社長○○○○)
- 中央:太字で「辞令」と明記
- 中央下:辞令の詳細や適応時期
例は、下記のとおりです。
- (新卒採用者に配属を通知する場合)令和○年○月○日付をもって従業員に採用し、○○部○○課勤務を命ずる
- (退職の場合)令和○年○月○日付をもって退職とする(ほかにも必要に応じて会社都合・自己都合の事由や就業規則などを明記する)
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6.人事関連での発令時の注意点
人事関連で発令を受けた際、どのような点に気を付ければよいのでしょう。また発令を受けた従業員は、その後何をする必要があるのでしょうか。ここでは発令時の注意点について、発令前と発令後、両方の立場から見ていきましょう。
内示を受けたら
「内示」とは、対象となる従業員に対して、発令される予定の人事異動をあらかじめ伝えること。発令の3か月前から1か月前に行われるのが一般的で、内示を受けた際は、以下の2点に注意します。
- 情報開示の範囲
- 発令までの準備を行う
内示を受けた際の注意点について、それぞれ詳しく解説しましょう。
周囲に内容は伏せる
内示で伝えられる情報は高い確率で確定している辞令といえます。しかし正確には、「決定が確認していない」いわゆる非公式の通達です。周囲に口外すると、「口の軽い人物」「就業規則や秘密事項を守れない人物」と評価される恐れがあります。
またあくまでも非公式の発表になるため、対象となる従業員本人や上司以外は知らない場合も多いでしょう。未確定な情報を無暗にまき散らして現場を混乱させる、といった事態にもなりかねません。
万が一上司から開示の許可が出たとしても、必要以上に触れ回らないほうが無難です。
発令まで出来る限りの準備を行う
なぜ正式な辞令よりも先に、非公式の内示が行われるのでしょうか。正式な辞令に向けた準備期間を設けるためです。
人事異動のなかには転勤や異動など、仕事の引き継ぎだけでなく引っ越しの準備や行政の手続きが必要な状況も。また手続きには時間が掛かるものもあるため、可能な範囲で準備を進めなくてはなりません。
あわせて、異動の理由や情報を共有する範囲の確認も必要となります。どのような目的で異動となり、異動先では何を求められているのか、後任担当にはいつから引継ぎができるのかなどを確認していくのです。
交付式で発令を受ける際の注意点
辞令交付をセレモニーとして位置付けている会社では、発令に際して交付式を行う場合も。交付式には人事担当者や役員だけでなく、関係の深い企業の社長や現場管理者などさまざまな人が参加するため、服装やマナーなどにも気を配らなくてはいけません。
性別や職位を問わず、服装はスーツもしくはそれに準じたものを着用します。規定のドレスコードがある場合、人事担当者はあらかじめ出席者に内容を伝えておきましょう。
社報などで発令がある場合の注意点
辞令交付は必ずしも書面で公表されるとは限りません。社内ポータルサイトでの発令や、営業所内の掲示板等で公表される場合も。
「人伝に辞令を聞いたので挨拶が遅れてしまった」「掲示を見逃していたので引継ぎにかける時間が減ってしまった」といった事態を引き起こさないよう、注意が必要です。
日頃から社内報にはしっかりと目を通し、全社宛てのトピックスを確認する習慣を付けておきましょう。
発令後に行ったほうがよいこと
正式な辞令が発令されたあと、当該従業員が行うことは以下の2つです。
- 業務の引き継ぎおよび残務処理
- 関係各所へのあいさつまわり
どちらも「残ったメンバーが困らない」「取引先などに影響を与えない」ために行うものです。それぞれ詳しく見ていきましょう。
①業務の引き継ぎおよび残務処理
異動に従う場合、現在従事している担当業務を誰かに引き継がなくてはなりません。なぜなら「内示のタイミングで後任が決まっている」だけでなく、「正式な辞令が出てから後任者が決まる」場合もあるからです。
誰が後任となってもいいように、内示を受けたタイミングで引き継ぎ事項を整理しておくとよいでしょう。
引継ぎがうまくいかず、また残務処理も残ったまま異動してしまうと、異動先に何度も確認の電話がかかってきたり、異動先での新たな業務と混雑したりして、無用のトラブルを生む恐れがあるのです。
②関係各所へのあいさつまわり
新たな部署へ異動するまでに、取引先や関係者への挨拶まわりを済ませます。挨拶の目的は、「異動前の関係各所に感謝を伝える」「異動先での業務を円滑に進める」などです。
同僚に向けた挨拶は、多くの場合、異動前部署での最終出社日に行われます。これまで一緒に働いてきた人たちへお礼を伝えるだけでなく、今後の意欲や想いなどを伝えるのもよいでしょう。
取引先などの社外関係者に向けては、正式な発令から最終日にかけて直接、あるいはメールで伝えるのが一般的です。
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7.発令は拒否できる?
従業員は、発令を拒否できるのでしょうか。雇用契約の観点から見ると、就業規則や労働契約通知書上で人事異動が発生する可能性に言及しており、それに同意している場合、基本的に拒否できません。
しかし以下のようなケースでは、発令の拒否が可能なのです。
ケース1:理由なく役職や地位が降格
会社は正当な理由なくして、従業員を異動できません。次のようなケースは、会社側の権利濫用とされ、発令された辞令は無効になるのです。
- 懲戒処分の種別や事由が就業規則や労働契約通知書などに、定められていない
- 雇用契約書などで勤務地や職種が限定されているにもかかわらず、転勤の辞令が出た
- 異動により当該従業員の労働条件が著しく低下する、と判断された場合
- 異動が従業員の私生活に著しい不利益を与える、と判断された場合
- 業務上の必要性が認められない場合
ケース2:介護
介護が必要な家族を抱えている場合も、人事異動に関する発令を拒否できます。育児・介護休業法第26条では、人事異動に際して従業員の育児や家族介護について配慮する必要がある旨を明記しているのです。
もしも介護が必要な家族を抱えている従業員に、転勤が発令されたらどうなるでしょう。従業員本人だけでなく、被介護者や家族の心身的負担が増すことは想像に難くありません。人事異動によって従業員の受ける不利益が大きいと判断されるケースです。
無効にするための対処法
発令された辞令が無効の場合は拒否できますが、辞令が有効の場合、拒否によって解雇となる可能性があります。発令を無効にしたい場合は、受けたくても受けられない状況を説明したり、折衷案を提示したりして企業との話し合いの場を設けましょう。
費用はかかりますが、弁護士や専門家などへの相談も効果的です。
【こんなお悩みはありませんか?】
・入退社などで書類作成のたびにファイルを探すことからはじめている
・異動する社員一人ひとりに辞令メールを送っている
・配置変更のたびにExcelやPowerPointで組織図を作り直している
人事本来の役割は、人材を活かして企業の成長を支えること。
経営目標を達成して業績を向上させるためには、業務の効率化が不可欠です。
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