法人とは?【意味や種類をわかりやすく】企業や会社との違い

法人とは、法的に人格が認められた組織や団体のこと。法人の意味、会社や企業との違い、種類について解説します。

1.法人とは?

法人とは、人間ではないものの法律的に人格が認められている組織のこと

法律ではさまざまな権利や義務を有する主体を「人」と呼ぶのです。このうち個々の人間を「自然人」と、会社や団体を「法人」と表します。

会社を設立した場合、会社の代表者は人間(自然人)です。しかし会社そのものは法的に人格が認められた法人とみなします。

個人事業主との違い

もっとも大きな違いは、個人事業主の人格が「自然人」であること。そのため事業の興し方も異なります。

個人事業主になる際、資本金や設立費用などの元手は不要です。開業届を税務署に提出し認可されれば、誰でも個人事業主になれます。

一方、法人の場合、設立のための資本金や設立費用が必要です。また法人登記や定款作成、許認可に必要な書類の作成など事前にさまざまな作業が発生します。ほかに法人税や法人住民税などの税金も課せられるのです。

このことから法人は個人事業主よりも社会的信用度が高く、融資(資金調達)や企業間取引などの面で有利になるのも少なくありません。

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会社・企業との違い

もっとも大きな違いは、すべての会社は法人格を有しているのに対し、企業は法人とは限らない点。

会社とは「会社法にもとづいて法人登録された団体」、一方、企業とは「営利目的で経済的活動を行う団体」です。

企業の場合、法人登録の有無は問いません。また経済活動を行っていれば企業の範囲になるため、組織や団体だけでなく個人事業主も企業の範囲に含まれます。

株式会社と有限会社の違い

有限会社と株式会社の違いは、会社設立における条件です。

有限会社は「社員数50名以下、最低300万円以上の資金」、株式会社は「取締役1名以上、1円以上の資金」が設立条件です。2006年の会社法の改正により、現在新たに有限会社を設立できません。

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2.法人という概念がある意味

法人という概念は、法的な活動をスムーズに行うために必要です。

法人という概念がない場合、すべての取引は個人間になるため、契約に必要な書類の作成や手続きをいちいち個人が行わなければなりません。個人間の取引では時間も手間もかかってしまうため、組織や団体に「人」としての権利を与えたのです。

法人であれば個人と同様の権利が組織全体に認められます。社印や会社名などでの取引が可能となり、取引に係る手続きをスムーズに進められるのです。

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3.法人は大きく分けて3種類

法人の種類は、大きくわけると3つです。それぞれの法人の特徴を説明しましょう。

  1. 営利法人
  2. 非営利法人
  3. 公法人

①営利法人

ビジネスで利益を得ることを目的とした法人。獲得した利益は、構成員(社員や株主)に分配されます。営利法人という場合は、「会社」を指すことがほとんどです。営利法人の例として、株式会社や合同会社、合資会社などが挙げられます。

②非営利法人

ビジネスで得た利益を構成員に分配することを目的としない法人。非営利法人では、獲得した利益は構成員への給与や、団体の活動資金に使われます。非営利法人の例として挙げられるのは、NPO法人、一般財団法人などです。

③公法人

公的な業務を行うことを目的とした法人で、公的法人とも呼ばれます。広い意味では国家も公法人といえるでしょう。例としては地方公共団体や独立行政法人、特殊法人など。民営化される前の郵便局も、公法人として扱われていました。

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4.営利法人の種類と特徴

営利法人の種類は、主に下記の4つです。それぞれの特徴を説明します。

  1. 株式会社
  2. 合同会社
  3. 合資会社
  4. 合名会社

①株式会社

株式を発行して資金を調達し、そのお金で事業を行う法人。

出資した人は「株主」と呼ばれ、会社の利益に応じて配当を受け取れます。また株主は、株主総会に出席し、経営に参加するのも可能です。

会社と株主は基本的に分離して事業を行うものの、会社側に負債が生じた場合、株主は出資額の範囲内で責任を負う、つまり弁済する必要があります。

②合同会社

経営者と出資者が原則同じである法人。「株式会社よりも会社設立費用が安い」「利益配分の自由度が高い」などの特徴があります。

合同会社は株式会社と異なり、上場できません。ただし合同会社から株式会社へ移行するのは可能なため、設立費用をおさえるため合同会社からスタートするケースも見られます。

③合資会社

「無限責任社員」と「有限責任社員」で構成された法人。アメリカで多く見られる法人で、「LLC(Limited Liability Company)」とも呼ばれます。

なお無限責任社員は債務全額の弁済義務がある社員、有限責任社員は出資額の範囲で弁済義務がある社員です。合資会社の設立に必要な資金は10万円程度(登録免許税と定款印紙代)で、株式会社よりも安く済みます。

④合名会社

無限責任社員のみで構成された法人。2006年の会社法の改正で認められた新しい形の会社形態で、複数の個人事業主が集まって設立するケースが多く見られます。

合資会社同様、設立費用が安く済み、手続きも容易です。無限責任社員のみで構成されているため、負債が発生した場合は出資者全員が負担することになります。

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5.非営利法人の種類と特徴

非営利法人は2種類にわかれます。それぞれの特徴や分類について説明しましょう。

  1. 中間法人
  2. 公益法人

①中間法人

営利と公益のどちらも目的としない法人。例としては協同組合や管理組合、互助会などが挙げられます。2008年の中間法人法廃止にともない、中間法人の呼び名は「一般社団法人」へ変わりました。

協同組合

共通の目的やニーズを持った個人が集まった団体が事業を行う法人。参加する個人がそれぞれ元手を出し、組合員となって事業を運営かつ利用していきます。なお組織の代表は「理事」です。

例として挙げられるのは農業協同組合や森林組合、漁業協同組合や生活協同組合など。協同組合を設立する場合、行政庁への申請が必要です。

管理組合

マンションなどの集合住宅を管理する団体のこと。管理組合を法人化した場合「管理組合法人」と呼ばれます。

法人化すると、管理組合法人名義で不動産の取得や登記、口座の開設が可能です。そのため金融機関の融資で有利になる場合もあります。

互助会

会員同士の助け合い(相互扶助)を目的とした法人。互助会の代表的なものとして、冠婚葬祭互助会や職員互助会が挙げられます。

会員が毎月一定の金額を積み立て、この積立金によって互助会の運営を行う仕組みです。会員への分配は、現金ではなく特定のサービスで付与します。なお互助会の設立には、経済産業大臣からの許可が必要です。

②公益法人

公の事業を行うことを目的とした法人。公益法人の設立には、非営利目的である証明や主務官庁の許可が必要です。

NPO法人

主に社会貢献活動を目的とした非営利法人。

NPO法人に認められている活動は「特定非営利活動促進法」で認められた約20種類特定非営利活動のみ。具体的には国際親善や医療・食糧支援、来日外国人の支援や村おこし、環境保全や職業訓練などが挙げられます。

NPO法人の設立には、役員(監事1名、理事3名)を含めた10名の社員が必要です。

社団法人

共通の目的を持った人によって組織される非営利法人。社団法人は、一般社団法人と公益社団法人の2種類にわかれます。一般社団法人の例として挙げられるのは一般社団法日本レコード協会など、公益社団法人の例は日本医師会などです。

一般社団法人の設立には、2名以上の社員と登記が必要になります。一定の要件を満たせば、一般社団法人から公益支社団法人に移行可能です。

財団法人

一定の目的によって集められた財産を運用する法人で「一般財団法人」と「公益財団法人」の2種類にわかれます。

一般財団法人の設立は、登記と300万円以上の価値が認められる財産が必要です。公益社団法人の設立は、公益認定基準をすべて満たしたうえで、内閣総理大臣または各都道府県知事からの認可を得なければなりません。

社会福祉法人

社会福祉事業を目的として組織された法人。大きく「公益事業」「社会福祉事業」「収益事業」の3つに分類されます。それぞれの例は次のとおりです。

  • 公益事業:有料老人ホームや児童養護施設など
  • 社会福祉事業:子育て支援や介護支援など
  • 収益事業:貸しビルや駐車場経営など

いずれも社会福祉に関係のない事業は認められません。社会福祉法人の設立には、社員数や資産で一定の条件を満たす必要があります。

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6.公法人の種類と特徴

公法人の種類として挙げられるのは下記のようなものです。それぞれの特徴について説明します。

  1. 地方公共団体
  2. 独立行政法人
  3. 特殊法人

①地方公共団体

都道府県や市区町村単位で行政活動をしている団体のこと。地方公共団体は、「普通地方公共団体」と「特別地方公共団体」の2種類にわかれます。

普通地方公共団体は、都道府県や市町村を統括する組織で、市役所もこれに含まれるのです。特別地方公共団体は特定の地域や団体を統括する組織で、さらに特別区・財産区・地方開発事業団の3つにわかれます。

②独立行政法人

中央省庁の業務を一部分離して独立させた法人。国の運営ではなく企業的経営で運営したほうがよいと判断された場合に設立されます。独立行政法人を設立するときの判断基準は次の3つです。

  • 国民生活や社会経済の観点から必須とされる業務
  • 国が必ずしも介入する必要のない業務
  • 民営化すると問題が起こる可能性のある業務

たとえば国立がん研究センターや国民生活センター、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などが該当します。

③特殊法人

特殊法人もまた、政府の事業として行うよりも企業的経営で運営したほうがよいと判断された場合に設立される法人です。

独立行政法人と似ているものの、特殊法人は国からの援助(資金調達)と、法人税や固定資産税の免除が受けられます。独立行政法人はこのような措置を受けられません。特殊法人の例は、日本年金機構や日本放送協会などです。

公庫

特殊法人の一種で、政府が全額出資する金融機関のこと。多くは民営化され、現存する公庫は沖縄振興開発金融公庫のみとなっています。