法人番号とは法人を設立登記した際に発行される固有の番号です。しかし、そのメリットや特徴などをきちんと把握していない人は意外と多いのではないでしょうか。
ここでは法人番号の目的から入手するために何をすればいいのか、さらに法人番号に関しての注意点や、法人番号を指定されない団体とはどういったものなのかについて詳しく解説します。
目次
1.法人番号とは?
法人番号とは法人に対して国税庁が指定する12桁と1桁を合わせた13桁の識別番号のことで、1法人につき1つ発行され、対象の法人へ通知した後、商号または名称、本店または主たる事務所の所在地とともに公表されるものです。
使用用途は国税や地方税、社会保険などの行政手続で、平成25年5月24日に成立(平成25年5月31日公布)した「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号法)」に基づき運用されるのです。
2.法人番号の目的
法人番号は前述したように国税、地方税、社会保険などの行政手続きの際に活用されるほか、法人情報の管理や連携、共有をスムーズに行う目的で作られました。
かつては法人名と住所から法人を特定する必要があり、情報がバラバラに管理されていたため、国・法人共に作業コストがかかっていたのです。そのため、法人番号で管理するという案が生まれました。
3.法人番号のメリット
法人番号はIDという意味合いだけではなく、さまざまなメリットがあります。
社内の情報管理
1つは、社内情報管理の円滑化。
たとえば関係会社が名称や所在地を変更した際、国税庁が法人番号で管理し、そのリストを企業が事由に閲覧できれば、会社の名称や住所を間違えることが少なくなり、自社の情報を間違われるリスクが減ります。
このように社内それぞれの部署で管理している法人情報の共有などが容易になるのです。
法人情報の確認
もう1つは、法人番号から情報を確認できるため、法人情報の確認が容易に行えるという点。
たとえば、サービスを提供する会社が売り込み先を探す際、企業HPなどからリストを作成することもあるでしょう。その際、法人番号を頼りに検索することで、手間を省くことができるのです。
4.法人番号の特徴、タイプ
続いて、法人番号の特徴やどのような情報が紐付けされているのかを解説します。
チェックデジット
法人番号は、12桁の基礎番号(法務省から提供を受ける、商業登記法に基づく「会社法人等番号」12桁のこと)と、その前に付された1桁の数字にて構成される13桁の番号のこと。
チェックデジットとは、番号の誤読や誤入力、偽造を防止するため、コードに特定のアルゴリズムを適用して計算する数値のことで、検査用数字という意味を持ちます。基礎番号前の1桁の数字がチェックデジットです。
基本3情報の公開
基本3情報と呼ばれる名称、所在地、法人番号の3つは公表される仕組みになっています。
法人番号公表サイトでは、誰でも自由に情報の検索・閲覧ができるほか、情報取得用のAPIの取得、CSVファイルなどでのダウンロードも可能で、利用用途にかかわらず活用できるうえスマートフォンやタブレットからもアクセス可能です。
法人番号は基本的にすべて公表され、拒否権はありませんが、法人番号が指定されない団体もあります。
法人番号が指定される団体の要件
法人番号が指定される団体は、下記の通りです。
- 国の機関
- 地方公共団体
- 会社法その他の法令の規定により設立の登記をした法人(設立登記法人)
- これら以外の法人または人格のない社団等のうち給与支払事務所等の開設届出書等を提出することとされている団体
一方、法人番号が指定されない団体とは、
- 設立登記のない法人または人格のない社団
- 法人などの支店や事業所
- 個人事業者
- 民法上の組合
- 有限責任事業組合
5.法人番号に関する手続き、流れ、ステップ
次は、法人番号を入手する手続きについて順を追って解説しましょう。
法人を設立登記した場合
法人番号は、新しく法人が設立登記されたタイミングで自動的に指定されます。新たに設立登記した法人の法人番号、名称、所在地といった基本3情報の公表は、法人番号の指定通知書が発送された日の翌稼働日、夕刻に行われます。
法人番号サイトへの情報掲載
設立登記が完了すると、およそ一週間程度で基本3情報が法人番号公表サイトに掲載されます。また、公表サイトの掲載の通知は行われません。そのため掲載有無については、自ら公表サイトの「ホーム」画面から検索して確認する必要があるのです。
また確認の際、「設立登記から一週間経過しているか」「丁目番地などは算用数字で検索しているか」「前方一致検索の際、株式会社を抜かしていないか」などをチェックしてください。検索方法を間違えると法人番号にヒットしないことがあります。
法人番号指定通知書
法人番号指定通知書は、設立登記完了後一週間程度で、登記上の本店所在地宛に普通郵便で送付されますが、その際、注意しておきたいことがあります。
新設法人の場合、郵便局が登記上の所在地に法人が入居していることを把握しておらず、通知書を差し戻してしまうケースがあるのです。
通知書が届くまでの間に法人名を表示した看板や郵便受けを設置するなど対策をして、法人番号指定通知書を受け取れるように準備しておきましょう。
法人番号の指定を受ける場合
法人または人格のない社団等で法人番号の指定を受けていない団体が、法人番号の指定を受ける場合にはどのような公的手続きを踏めばいいのでしょうか。順を追って解説します。
対象者であるか確認
最初に、法人番号の指定条件に当てはまるか否かを確認します。
- 国税に関する法律の規定に基づき申告書等を提出する者
- 国税に関する法律の規定に基づき申告書等を提出する者から当該申告書等に記載するため必要があるとして、法人番号の提供を求められる者
- 国内に本店または主たる事務所を有する法人
上記の3つの条件のうち、どれに該当するかを確認しましょう。どれにも当てはまらない場合は法人番号の指定の対象外となります。
公表同意書を作成して提出
条件に該当したら「法人番号の指定を受けるための届出書兼法人番号等の公表同意書」を作成しましょう。これは国税庁の法人番号公表サイトからダウンロードできます。
公表同意書には、法人区分や代表者氏名、設立年月日など必要事項を記入し、国税庁 法人番号管理室に提出します。国税庁に持参する場合、祝日と年末年始を除く月曜日~金曜日の午前8時45分から午後6時までと時間が決まっているため、注意してください。
6.法人番号に関する注意点、Q&A
最後に法人番号に関しての注意点や、よくある質問をまとめました。
人格のない団体とは?
前項でも法人番号の指定を受けていない団体として「人格のない団体」という言葉が出てきましたが、具体的にどういったものなのでしょうか。
番号法において、人格のない社団等とは、「法人でない社団若しくは財団で代表者若しくは管理人の定めがあるもの」とされています。
たとえば、下記のようなものです。
- 協議会
- 登記されていない管理組合・労働組合
- 同業者団体
- 保険代行業などの収益事業を行っている団体
- 同好会
- PTA
- 慈善団体
など。
法人番号が書かれたカードはある?
法人番号はよく「法人版マイナンバー」などという俗称で呼ばれます。しかし、個人に指定されるマイナンバーのように、法人番号を記載したカードの発行は現在行われていません。
法人番号を提示する必要がある際は、法人番号指定通知書または国税庁法人番号公表サイトの検索結果画面を印刷した書面を用意してください。これにより、所得税法などに規定されている法人番号の告知事項を確認する書類の一部として使用できます。
法人番号通知書を失くしたら?
法人番号通知書を紛失してしまった際、新しいものを取り寄せることはできるのでしょうか?
国税庁によると、原則として、法人番号指定通知書の再発行は行われません。法人番号はあくまで国税庁が指定したことを知らせるために発行するもの。法人番号の提示が必要な場合は、国税庁法人番号公表サイトの情報画面を印刷しましょう。
法人番号通知書を提出する際の方法とは?
金融機関や行政機関から法人番号指定通知書の提出を求められることがあります。その際、法人番号が指定されている団体は、法人番号公表サイトの情報画面を印刷して提出すれば問題ありません。
法人番号が指定されていない団体は、金融機関や行政機関に法人番号が指定されていない旨を伝えましょう。
法人番号が指定されているか分からない場合は、法人番号公表サイトで検索してください。サイトで法人番号が確認できないとき(公表に同意していない人格のない社団などの場合)など、不明点がある場合は国税庁の法人番号管理室に問い合わせます。
法人格が消えた場合、法人番号はどうなる?
清算の結了などで法人格が消えた場合には、法人番号はどのような扱いになるのでしょうか?
法人がなくなっても法人番号は消えません。法人番号は発行後、官民を問わず多くの機関や組織で、さまざまな用途のために活用されるため、抹消されることはないのです。
なお、同じ番号が他の法人に使われることもありません。公表を行った法人番号保有者について清算の結了などが生じた場合は、当該事由が生じた旨と当該事由が生じた年月日が公表されるのです。