HRテックサービスとは? 具体的サービスと導入事例について

HRテックサービスとは、人事や組織のマネジメントサービスです。ここでは、HRテックサービスについて解説します。

1.HRテックサービスとは?

HRテックサービスとは、最先端IT技術やHR分野の融合により誕生した人事・組織マネジメントサービスのこと。HRテックとは、「Human Resources」と「Technology」の2語を掛け合わせた略語です。

最先端のテクノロジーを駆使した人事システム

HRテックサービスは、先端のテクノロジーを駆使した人事システムです。最先端テクノロジーは、モバイルやビッグデータ解析、IoTやAI、それにクラウドサービスなどを指します。

先端テクノロジーとHR分野の融合により、企業活動に必要なあらゆるデータの一元的かつ効率的な管理が可能になりました。

これまでの人事業務の効率化以外にも多くのメリットがある

HRテックサービスを活用すると、人事業務の効率化以外にも多くのメリットを享受できます。「手続書類の作成や大人数の給与計算などの業務を簡略化」「採用業務の効率化」などが進められるようになるからです。

HRテックで活用されている技術について紹介

HRテックで活用されている技術を3つ、解説しましょう。

  1. AI
  2. ビッグデータ
  3. クラウド

①AI

AIとは、「膨大なデータから特徴を分析」「経験則的に高精度な予測や分類を行う」などを実現するプログラム機能のこと。さまざまな分野で応用が期待されている顔認証といった顔画像判別機能にも、AIが活用されています。

②ビッグデータ

ビッグデータとは、複雑に絡み合った巨大なデータの集合体のこと。人事部門でも社員に関するビッグデータを管理しています。HRテックではそれら個別のデータを横断的に分析して、戦略的な人材の活用・育成を実現します。

③クラウド

クラウドとは、インターネットのネットワークを経由したサービス提供の形態のこと。導入コストが抑えられるためか、クラウド型HRテックソリューション市場は2020年度前年比で36.4%増加しています。

HRテックサービスとは、最先端IT技術・HR分野の融合による人事、組織マネジメントサービスのことです

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2.HRテックサービスはどのように活用されているのか?

HRテックサービスはどのように活用されているのか、具体的な活用事例にもとづいた6種類を解説します。

  1. 人事情報の一元管理
  2. 人事業務の効率化
  3. 人事評価制度の構築
  4. 社内コミュニケーションの活性化
  5. スキル管理
  6. 学習や研修の管理

①人事情報の一元管理

人事情報の一元管理とは、人事に関する情報を統一して活用できる状態にすること。人事情報管理は、負担の大きい業務です。データの集約や分析・解析を効率化すると、データにもとづいた人材育成・社員の離職防止などが実現できます。

②人事業務の効率化

人事業務の効率化とは、採用活動・人材配置・人材育成・給与管理などの人事業務を、より効果的に遂行していくこと。人事が網羅する業務は多岐にわたるため、HRテックサービス活用による業務の効率化は、企業に大きなメリットをもたらすといえます。

③人事評価制度の構築

人事評価制度とは、「目標管理制度と連動」「社員の能力や貢献度を評価」「処遇へ反映させる」などを目的とした制度のこと。HRテックサービスを活用すれば、既存の評価制度の見直しや新たな評価制度の構築、評価制度のカスタマイズが可能になります。

④社内コミュニケーションの活性化

テレワークの普及とともに、クラウドサービスを活用した社内コミュニケーションの必要性が急速に高まっています。HRテックサービスを活用すると、遠隔地とのコミュニケーションも容易になり、スムーズなチームビルディングが実現できるのです。

⑤スキル管理

スキル管理とは、社員がどのようなスキルを保有しているのかを把握し、データとして管理すること。HRテックサービスでスキル管理すると、データをもとにした人材育成や人材開発戦略が進められるため、スキルマップ作成が効果的に行えます。

⑥学習や研修の管理

学習や研修の管理とは、「eラーニングなどでの学習履歴」「目標や課題」「教育訓練や研修の履歴」などを管理すること。HRテックサービスの報告機能やアンケート機能を活用すると、PDCAサイクルを回しやすくなります。

HRテックサービスは、「人事情報の一元管理」「人事業務の効率化」「人事評価制度の構築」「社内コミュニケーションの活性化」「スキル管理」「学習や研修の管理」などに活用できます

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3.<事例紹介>HRテックサービス×人事労務

HRテックサービスの人事労務業務へ活用した事例を解説しましょう。実際の事例を見ると、HRテックサービスで人事労務業務をどのように効率化できるのか、可能性が実感できます。

SmartHR

SmartHRは、下記のような内容を可能にするサービスです。

  • 人事情報を社員自ら入力する
  • 集約した人事情報を、最新の社員名簿で一元管理する
  • 労務手続きや給与計算など、さまざまな手続きに活用する

人事労務業務のなかでも煩雑とされている、入退社の事務手続き・労働保険事務・給与計算・年末調整などを業務効率化できます。

ProActiveforSaaS勤怠管理

ProActiveforSaaS勤怠管理は、下記を実現するサービスです。

  • スマートフォンで、手軽な勤怠管理入力
  • 勤務状況の可視化による長時間労働是正支援
  • 働き方改革関連法施行による業務管理負担軽減

フレックス・シフト勤務・在宅勤務などの勤務形態にも対応できるため、人事労務担当者の負担が低減できます。

マネーフォワードクラウド給与

マネーフォワードクラウド給与は、給与・賞与計算・給与明細発行・所得税計算・社会保険料計算・雇用保険料計算など、手間のかかる作業を効率化するサービスです。

そのほかWeb給与明細対応や法令改正時の自動アップデート、労務管理やタレントマネジメントシステム、福利厚生ソフトとの連動も可能です。

firstcall

firstcallは、法人向けの産業保健チャットサービスで、下記のようなサービスを受けられます。

  • 産業医の訪問やテレビ電話による面談
  • チャット型医療相談
  • オンラインによる無料のストレスチェック

診療科目は内科・外科・整形外科・小児科・産婦人科・精神科・がん診療科などがあり、いつでも気軽に産業医に相談できるのです。

Bizer

Bizerは、人事労務に関するバックオフィス業務をサポートしてくれるサービスです。内容には、「スケジュール管理」「ToDo管理」「税理士、社会保険労務士、司法書士、行政書士などの専門家へのオンライン相談」「手続き代行依頼」などがあります。

また提携サービスには、決算などの会計処理・役員手続きなどがあるのです。

HRテックサービスは、人事情報一元管理・勤怠管理・保健サービス・給与計算・バックオフィス業務サポートなどにも、活用されています

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4.<事例紹介>HRテックサービス×採用・教育・人事評価

採用・教育・人事評価にHRテックサービスを活用した事例について、ポイントを解説します。経営資源のひとつであるヒトの採用・教育・人事評価といった分野でも、HRテックサービスは貢献しているのです。

yenta

yentaは、人工知能を活用したビジネスパーソン向けマッチングサービスです。サービス内容は、以下のようになっています。

  • ⼈⼯知能が選んだ 10⼈のビジネスパーソンプロフィールが毎日レコメンドされる
  • プロフィールに興味をもった人同士、オンラインでメッセージ交換できる

こうしたサービスを利用すると、「全国のビジネスパーソンと遠隔ながら連携する」「特定領域に特化した人とのマッチング」といった、組織を超えた出会いが実現します。

ジョブオプ採用管理

ジョブオプ採用管理とは、求人・採用に関する課題を効率的に解決・管理できるサービスです。

採用ホームページの開設・応募者管理・面接管理・求人媒体発注機能を活用すると、求人から採用までを一括管理できます。「応募者増への対応」「採用工程やコストの削減」などの課題に、力を発揮するでしょう。

Schoo

Schooは、eラーニングサービスを提供しています。特徴は、「リアルタイムでコミュニケーションがとれる生放送授業」「4,600以上の授業の動画教材」など。仕事に生かせる知識・スキル・考え方を学習できます。

PCやスマートフォンからでも受講ができるため、Off-JTのツールとしても活用できるのです。

カオナビ

カオナビは、社員情報の一元管理・社員の活用による人材マネジメントサービスです。一元管理する情報は、社員のスキル・評価履歴・性格・モチベーションなど、多岐にわたります。

この情報を活用し、課題を解決しながら人材の有効活用を図ると、社員のレベルの底上げと平行して全体の生産性を向上できます。

HRテックサービスは、マッチング・採用管理・eラーニング・社員情報の一元管理と活用にも貢献できます

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5.【人事評価システム】HRテックサービスの導入事例をご紹介

実際にHRテックサービスを導入した企業の具体的事例をご紹介します。どの企業も、サービス導入により成果を手にしました。活用事例からHRテックサービスの活用方法を学んで、導入の参考にしてみてください。

オイシックス・ラ・大地

オイシックス・ラ・大地は、豊かで安全な食生活を顧客に提供している食品宅配サービス会社です。独自の人事評価制度を進化させるため、カオナビを導入しました。

その結果、「評価制度に必要なデータベースを構築」「アンケート機能VOICE NOTEを使ったキャリア自己申告」が実現でき、タレントマネジメントの精度を向上できたのです。

吉野家ホールディングス

吉野家ホールディングスは、牛丼で有名な「吉野家」をもつ企業です。社員総数が数万人の大組織のため、「社員情報の一元化」「グループで概念を統一した人事評価制度の構築」などを目的とし、カオナビを導入しました。

その結果、グループ企業から人材を発掘したり各社の人事目的に応じた管理を可能したりといったメリットを、享受しています。

トリドールホールディングス

トリドールホールディングスは、讃岐うどん専門店「丸亀製麺」として有名な企業で、「社員が店舗スタッフを把握できる環境整備」「国内外での適材適所な配置」「スピード感ある人材育成」を目的として、カオナビを導入しました。

スマートフォンでの操作やシンプルなインターフェイスのほか、自由設計やローコストといったカオナビの特徴が、現場社員にも好評です。

一休

一休は、旅館・ホテルのオンライン予約事業「一休.com」やレストラン予約事業「一休.comレストラン」を展開する企業です。人員増加による人事管理の煩雑を解消するために、カオナビを導入しました。

その結果、人事情報の一元化やタレントマネジメントによる抜擢人事の実現など、企業内に新しい風を生み出しています。

エコリング

エコリングは、日常品から貴金属まで「何でも買い取り」をモットーとする買い取り専門店です。人事情報の一括管理や高い離職率の解消、エンゲージメントの向上を目的として、カオナビを導入しました。

VOICE NOTEにより、社員満足度・希望部署を把握・管理した結果、社員へのサポートやフォロー体制を構築できました。

人事労務業務の効率化やより質の高い人材マネジメントを目指して、多くの企業でHRテックサービスの導入が進んでいます

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6.HRテックサービスを選ぶときのポイント2つ

HRテックサービスを選ぶときのポイント2つについて、解説しましょう。

  1. 目的に応じて目標を設定
  2. 既存のシステムやサービスと連携

①目的に応じて目標を設定

サービス導入の前に、自社の人事労務業務における問題点を細部にわたって洗い出しましょう。次に見えてきた課題の解決を目的として、「どのようなサービスを導入するか」「どんな目標を達成していくのか」を設定するのです。

②既存のシステムやサービスと連携

自社のプラットフォームやそのほかのツールなどと、導入したサービスを連携ができて初めて、効率的な人事労務管理が実現します。HRテックサービスの持つ機能を吟味するだけでなく、ほかシステムとの連動性も適正に評価しましょう。

HRテックサービスを選択する際は、システム導入の目的にもとづいた目標の設定・既存システムとの連携を確認しましょう