自分事化とは?【やり方】できない理由、マーケティング

自分事化とは、対象となる物事を自分のこととして捉えること。メリット、できない理由、マーケティングで重要な理由などを解説します。

1.自分事化とは?

自分事化(じぶんごとか)とは、物事や課題を自分のものとしてとらえ、主体的に取り組むこと。自分自身がその仕事に関心を持ち、かかわること。

自分事化ができていないと、仕事に対するモチベーションやパフォーマンスに影響が出てしまいます。たとえばやらなければならない仕事に対して即座に取り組めない場合、それはその仕事を自分事化できていないのです。

仕事における自分事化はレベル別に考えられ、自分事化のレベルは、個人の仕事への関与度や責任感を示す指標のひとつとなります。

対義語は「他人事」

自分事の対義語である他人事という言葉には、「自分にはかかわりのないこと」という意味があります。具体的にはあらゆる状況において「自分に責任はない」「自分には関係ない」というスタンスを取り続けることを意味するのです。

仕事でこのようなスタンスを取ると、周囲の人からの信頼を失う原因になりかねません。

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2.自分事化の言い換え方

自分事化は、次のような言葉に言い換えられます。

  • 当事者意識
  • 責任感
  • 主体性
  • 自分に代入する
  • 親身になって
  • 他人事ではなく

ここでは「当事者意識」「責任感」「主体性」の3つについて説明しましょう。

当事者意識

当事者意識とは、自分が特定の物事や状況に関与していることを自覚し、その責任や役割を認識する意識のこと。自分がその状況において行動を起こし、解決策を見つけ出す責任があると認識している状態です。

一方自分事化とは、対象となる物事を自分にとって重要な事柄としてとらえること。自分事化によって、仕事や課題に対する関心や意欲が高まっている状態です。

当事者意識は関与する物事に対する責任と行動を強調する概念であり、自分事化は関与する物事を自分にとって重要なものとしてとらえる意識を指します。

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責任感

責任感とは、自分が担う役割や任務を真摯に果たそうとする思いや意志のこと。個人の内面的な感覚であり、自身の責任を認識し、それに対して行動することを意味します。責任感には、一般的に「自責の責任感」と「当事者意識の責任感」のふたつがあるのです。

  • 自責の責任感:自分自身に対して厳しい評価をし、自身の能力や行動に対する責任を感じている状態
  • 当事者意識の責任感:自身が直接的に関与していない事柄でも、自身に関係があると認識して責任を感じている状態

自分事化は物事を自分にとって重要な事柄としてとらえる意識であり、自分自身の関与や関心度に焦点が置かれます。

主体性

主体性とは、自分自身の意志にもとづき、自らの判断で責任を持って行動しよういう意識のこと。

与えられた仕事や目標に対して積極的に取り組み、自分の能力や経験を最大限に生かして解決策を見つけ出します。また自己管理や自己啓発にも積極的に取り組む傾向があるのです。

主体性は行動に対する意志や責任を指し、自分事化は対象への関与や関心の度合いを示します。そのため自分事化をすると、主体性が高まるといえるのです。

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3.自分事化のメリット

ビジネスにおいて、自分事化は多くのメリットをもたらします。自分事化を心がけると得られるメリットについて説明しましょう。

  1. 成長スピードの向上
  2. モチベーションアップ
  3. 責任感の強化
  4. 従業員同士の相乗効果

①成長スピードの向上

自分が与えられた仕事を自分事ととらえると、成長スピードが向上する可能性があります。自分事化すると、仕事に対する意欲や情熱、自己成長への意識が高まるからです。

また自分事化すると自己の専門性やプロ意識が向上します。そのため自己のスキルや能力を磨くためのチャレンジをしたり、新たなスキルや知識を獲得したりする意欲も高まるのです。

②モチベーションアップ

自分事化した従業員は、自ら成果を出したいという意欲が高まり、意欲的に仕事に取り組むようになります。

自身の仕事に対して高い目標を設定し、成果や進捗を見て達成感を得るため、継続的なモチベーションを維持できるのです。また自分の仕事に対して情熱を持っているため、新しいスキルや知識を習得することへのモチベーションも高まります。

③責任感の強化

自分事化ができる従業員は、その仕事が自分自身のものであると認識し、仕事への責任感を高まります。問題や課題に対して積極的に取り組み、失敗や困難に直面した場合でも、責任を逃げずに対処しようとするのです。

また自身の仕事が組織全体に与える影響を理解しているため、チームワークや協力の意識も高まるでしょう。

④従業員同士の相乗効果

自分事化を意識した従業員同士は互いの仕事を尊重し、協力して目標達成に取り組むようになります。自分やほかのメンバーの仕事が、どのように組織へ貢献するかを理解しているため、ほかのメンバーの仕事や役割も尊重するからです。

自分事化を意識した従業員同士が相乗効果を生み、組織全体のパフォーマンスや成果の向上が期待できます。

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4.自分事化ができない理由

目標設定や組織文化、個人の考え方などが原因によって、自分事化ができないこともあります。これらの理由について説明しましょう。

  1. 目的や目標が不明確
  2. 変化を避ける組織文化
  3. 他責思考
  4. 自分のことで精一杯
  5. 楽をしたいという心

①目的や目標が不明確

目的や目標が不明確な場合、仕事に取り組むモチベーションが低下しやすくなります。仕事に対する意欲や情熱が湧かないため、自分事化するのが難しいのです。また仕事の成果や結果に対する関心も低下し、仕事への価値観や意義を見出せなくなります。

明確な目的や目標を持つことは、従業員のモチベーションを高めるために重要です。組織や上司は従業員に対して明確な目標や方向性を示し、仕事の意義や重要性を伝えることが求められます。

②変化を避ける組織文化

企業が変化を避けようとする保守的な組織文化を持っている場合、自分事化は困難になります。このような組織では新たなチャレンジが難しく、積極的な姿勢を持つことが抑制される環境になりがちです。

自分事化を促進するためには、保守的な組織文化を転換し、新しいアイデアやチャレンジを評価し、従業員の意見や貢献を重視する環境を作る必要があります。

③他責思考

なんでも人のせいにする「他責思考」も自分事化がうまくいかない理由のひとつ。たとえば仕事において行き詰まったり、思ったような成果を上げられなかったりした場合、上司や同僚のせいにする癖がある従業員が自分事化を実践するのは難しいでしょう。

また周囲の環境や状況を言い訳にする癖がある従業員も、自分事化の実践は難しくなります。自分事化を実践するためには自身の行動や結果に対して責任を持ち、自らが主体的に行動しなければなりません。

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④自分のことで精一杯

自分のことだけに集中しすぎると、自分事化が上手くいかなくなる場合もあります。自分のことに手一杯になって、ほかの要素や視点を見落としてしまうからです。

自分事化を成功させるためには、精神的な余裕と物理的な余裕を持ちながら、自分の仕事を遂行することが求められます。

⑤楽をしたいという心

仕事において、自分事化を実践する際に楽をしたいという気持ちは、実際に自分の成長や目標達成を妨げる要因となりえます。楽をしたいという気持ちは、自己成長や目標達成の妨げになり、自分事化を阻害するからです。

自分の仕事に対して積極的に取り組むことや自己成長を促すことはかんたんではありません。しかしそれが自分事化を実現するための一歩になるのです。

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5.自分事化させるポイント

従業員へ自分事化を促すには、企業側が働きかけを行うことも大切です。5つのポイントについて説明しましょう。

  1. 具体的な目標の設定
  2. 自発的に気づける環境を提供
  3. フィードバックの実施
  4. 仕事の意義を把握
  5. コミュニケーション機会の確保

①具体的な目標の設定

個々の従業員に明確な目標を設定する期限を設けると、自発的な行動を促せます。具体的で数値的な目標や特定の成果物を設定しましょう。

また目標の調整を従業員の都合で柔軟に行うのではなく、厳格に期限を守るようにすると、従業員に自ら進んで目標に向かって取り組む姿勢を養えます。

具体的な目標と期限の設定により、従業員は自分の仕事に対する明確な方向性を持ち、自らの行動や努力が目標達成に直結すると実感するでしょう。これにより、自己成長の意欲や自主性が高まり、自分事化を促進できるのです。

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②自発的に気づける環境を提供

企業が従業員に自分事化を促すには、従業員が自発的に気づける環境を提供する必要があります。企業は詳細な取り組み方を教えるのではなく、従業員が自ら答えを見つけられるよう導きましょう。

また、従業員の習熟度に応じて育成計画を調整し、成長のための「気づき」を体験できる機会を提供するのも重要です。従業員が自発的に気づきや行動を起こすと、彼らは自分事化を実践し、組織全体の成果に貢献できるようになります。

③フィードバックの実施

小まめなフィードバックの実施も欠かせません。

従業員はフィードバックを通じて、上司やチームメンバーがどのような思考や基準にもとづいて評価を下したのか、理解できます。それにより自身を客観視できるのです。またフィードバックを受けるため自身の強みや弱みを自覚し、成長意欲が芽生えます。

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④仕事の意義を把握

従業員に自分事化を促すには、彼らに自身の担当業務の意義を理解させるのもポイントです。彼らが自分の仕事が組織全体においてどのような意味を持ち、その重要性を把握することは、自分事化の意識を高めるきっかけとなるでしょう。

また仕事に具体的な意味をつけると、従業員は自身の評価や能力の成長といったメリットを見出せます。

たとえば「この仕事を遂行すれば自分の評価が上がる」や「この任務を成功させれば自分の能力が向上する」といった意味づけを行うと、従業員はより自発的に仕事に取り組むようになるでしょう。

⑤コミュニケーション機会の確保

自分事化を促す際、コミュニケーションの機会を確保するのも欠かせません。企業側が積極的に従業員とのコミュニケーションを取ると、自分事化を促進する効果があります。

たとえば経営者が自社の理念や経営方針を明確に伝えたり、上司と部下が1対1で対話する機会を設けたりするなど。これらの取り組みは、企業と従業員の関係を強化し、お互いの理解を深めるでしょう。

このようなコミュニケーションの取り組みは、従業員の帰属意識を高め、自分事化を促す効果があります。

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6.自分事化がマーケティングで重要な理由

自分事化の概念はマーケティングにおいても応用が可能です。ユーザーが商品やサービスを自分自身のこととしてとらえられると、売上の向上が期待できます。

たとえばユーザーのニーズや関心に合わせたストーリーテリングや感情を刺激する広告を展開すると、ユーザーが商品やサービスを自分事として受け入れやすくなるでしょう。

また、ユーザーとの対話や参加型のコンテンツを通じて、彼らが主体的に関与し、自分自身の体験を創り上げる機会を提供するのも有効です。自分事化の概念を活用してユーザーとの絆を深めると、顧客の購買行動や満足度の向上が期待できます。