人事評価の種類と項目例【サンプルと検討ポイント】

人事評価の項目とは、人事評価の際に設定する評価項目です。ここでは、人事評価の項目について解説します。

1.人事評価の項目とは?

人事評価の項目とは、人材をどのような指標で評価するのかを明らかにするために設定した項目のこと。

評価項目は、個々の企業が持っている、企業理念・風土・事業内容・人材育成ビジョンなどをもとに設定します。公式なガイドラインはありません。

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2.人事評価項目と3つの評価方法

人事評価項目には3つの評価方法があります。それぞれについて解説しましょう。

  1. 成果評価(業績評価)
  2. 能力評価
  3. 情意評価

①成果評価(業績評価)

評価期間を設定し、期間当初に設定した目標を期間終了時にどれだけ達成したか評価する方法のこと。ここでは目標達成度や課題達成度などの評価項目を用いるのです。

営業職を例にあげると四半期で目標が売上100万円アップの場合、売上80万円達成で目標達成率80%といった評価をします。

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②能力評価

業務の執行に必要なスキルや知識をどの程度習得したか、評価する方法のこと。実績や成果とは無関係のものです。

たとえば「斬新なアイデアを生み出す企画力」「検討・決定したことを実践に移す実行力」「業務の効率化などに取り組む改善力」などを評価項目に設定し評価します。

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③情意評価

仕事に対する意欲・自己研鑽・勤務態度などを評価する方法のこと。

たとえば「仕事を最後までやり遂げる責任感」「会社や職場のルールを遵守する規律性」「能動的に動く積極性」などが評価項目になるのです。成果として見えにくい部分を評価できる一方、主観的な評価になれば不公平になります。

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3.人事評価項目の種類

人事評価項目には何があるのでしょう。それぞれについて解説します。

  1. 定量評価
  2. 定性評価
  3. 絶対評価
  4. 相対評価

①定量評価

数字を用いた指標で評価する人事評価項目のこと。「営業部内営業成績第〇位」「売上、前年対比○%増加」「業務コスト○円削減」などがあります。

メリット

メリットは下記のとおりです。

  • 納得しやすい客観的な評価になる
  • 評価が簡潔なので評価作業に手間がかからない
  • 社内での競争を活性化できる

デメリット

デメリットは下記のとおりです。

  • 数値設定しにくい業務がある
  • 数字化できない努力を評価できない

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②定性評価

社員の努力・会社への貢献度など、数値や形で見えない要素を評価する方法のこと。たとえば下記のとおりです。

  • 規律性
  • 協調性
  • 積極性
  • 責任感

メリット

メリットは下記のとおりです。

  • 数値化できない業務担当者も評価できる
  • 評価の公平性により社員のモチベーションが高まる

デメリット

デメリットは下記のとおりです。

  • 評価者の主観が入りやすく評価にブレが生じやすい
  • 納得できない評価が下されると、不満が生じやすい

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③絶対評価

事前に設定した評価基準で評価する方法のこと。同僚やほか組織など周囲の出来不出来に関係なく、自分の評価基準をクリアできれば一定評価を得られます。

メリット

メリットは下記のとおりです。

  • 個人を評価できる
  • 被評価者に評価を受け入れてもらいやすい
  • フィードバックにより課題発見、業務改善などにつなげられる

デメリット

デメリットは下記のとおりです。

  • 評価に全体のバランスが考慮されない
  • 評価基準により評価結果が大きく変わる

④相対評価

チームや部署などの組織内の順位で個人を評価する方法のこと。「組織の上位10%がA評価である」など、能力で順位を決定、評価します。

メリット

メリットは下記のとおりです。

  • 人件費の総額を管理できるため、人件費高騰を抑制できる
  • 公平な評価により、組織内で切磋琢磨できる

デメリット

デメリットは下記のとおりです。

  • 個人が頑張っても相対的に評価されるため評価の納得感が得にくい
  • 所属する組織によって評価基準が異なり、公平性に欠ける

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4.人事評価項目の検討ポイント

人事評価項目の検討ポイントがあります。それぞれについて解説しましょう。

  1. 職種
  2. 役割
  3. 経験
  4. 評価段階
  5. 自己評価

①職種

職業や職務における業務の種類のこと。人事評価項目を検討する際は職種ごとに、下記のようなポイントを設定します。

  • 評価期間内に達成した成果
  • 業務遂行に必要な能力
  • 業務遂行にあたっての意欲

職種ごとにポイントを設定する理由は、数値化できる業務とできない業務があるといったように、職種ごとの評価基準に特徴があるからです。

②役割

組織における個々の立場に応じた責任のこと。たとえば管理職であれば、自分自身の能力向上や部下のマネジメント、職場環境の改善や現場の管理監督など状況に応じ、多様な役割が求められます。

役割が適正に評価されれば、「被評価者のモチベーションアップ」「周囲の将来設計への良い手本になる」といった効果が期待できるのです。

③経験

社内で積み重ねてきた知見や体験のこと。たとえば新入社員と入社5年目、入社15年目を同一基準で評価すれば、経年値の違いから成果に差が出るでしょう。そこで、下記のように経験年数による評価基準を設けます。

  • 新入社員は定性評価80%、定量評価20%
  • ベテラン社員は定性評価20%、定量評価80%

④評価段階

評価を判定する際に用いるランクのこと。評価段階では下記のような5段階評価が多く用いられます。

  • 5・4・3・2・1
  • S・A・B・C・D

ほかに4~10段階の差を付ける評価もあります。評価者は、各評価段階の概要を正しく認識し、不適正な段階の評価にならないような評価スキルを習得するのです。

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⑤自己評価

自分で自分の評価を行うこと。一般的に人事評価では、会社が定めた基準をもとにした他己評価を行います。自己評価では自分自身を客観的に振り返って、成長の確認や課題の認識を促すのです。

「周囲との乖離がないか」といったすり合わせを行いながら、自己中心的な評価にならないように注意します。

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5.人事評価の項目とサンプル

人事評価の項目について、下記のようなサンプルから解説します。

  1. 事務職
  2. 営業職
  3. 管理職
  4. 新入社員

①事務職

事務職の項目は以下のとおりです。

成果評価

  • 報告連絡相談をしながら設定した目標を達成したという職務完遂度
  • 正確かつ迅速にこなしたという正確性、迅速性

能力評価

  • 業務遂行に必要な能力を習得したという知識、技能
  • 改善策や代替案の提案という創意工夫

情意評価

  • 責任感
  • 積極性

②営業職

営業職の評価項目は以下のとおりです。

成果評価

  • 個人やチームの売上高達成という目標達成度
  • 個人やチームの売上の前年度対比という前年度伸長度

能力評価

  • 顧客とのスムーズなコミュニケーションをはかるという関係構築
  • 商談における的確な説明や交渉という交渉力

情意評価

  • 判断力
  • 決断力

③管理職

管理職の評価項目は以下のとおりです。

成果評価

  • 担当部門目標の達成といった目標達成度、目標到達度
  • 組織の新しいチャレンジに関する創意工夫

能力評価

  • 予算や部下、機材やスケジュールなどの管理に関する管理意識
  • 部下の能力を引き出すための指導、育成力

情意評価

  • 経営方針や事業計画への理解、認識、判断などの経営認識力
  • 業務効率化などのコスト意識

④新入社員

新入社員に関しては、社歴も浅く専門知識などもないケースがほとんどです。そこで情意評価を中心に評価項目を設定します。新入社員の評価項目は以下のとおりです。

情意評価

  • ビジネスマナーの習得
  • 社会人としてのルール遵守
  • 上司や同僚との円滑な人間関係構築
  • 教えを聞き入れる素直さ
  • チーム内で役割を果たそうとする意欲

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6.人事評価項目と関連する評価手法

人事評価項目と関連する評価手法があります。それぞれについて解説しましょう。

  1. MBO評価
  2. 360度評価
  3. コンピテンシー評価
  4. OKR評価

①MBO(Management by Objectives)評価

重要目標達成指標のことで、業績評価に用いる目標管理方法です。

MBO評価では、評価頻度を半期~1期とし、個人・グループで目標達成を目指した達成率を評価指標とします。MBO評価は、組織が階層的管理体制をピラミッド型の組織に最適な評価手法です。

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②360度評価

上司や同僚、部下や社外関係者など被評価者をとりまくさまざまな関係者が仕事ぶりを評価する手法のことで、多面評価とも呼ばれています。評価基準の注意点は、下記のとおりです。

  • 活動目的に沿って設定する
  • 質問項目客観的評価事項に設定し、数は多すぎない
  • 質問文面を評価者により変える

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③コンピテンシー評価

ハイパフォーマンスの人材に共通する行動パターンを評価基準に取り入れた評価手法のこと。ハイパフォーマンス人材を分析し、基準に落とし込んでほか社員が目指すべき人材モデルを明確に提示します。

評価項目も、具体的な行動パターンをもとに特定するため、社員の行動をマネジメントしやすくできます。

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④OKR(Objective and Key Results)評価

社員や組織が持つ目標や、その成果を可視化するため、会社全体が同じベクトルで目標達成に向かえるようになります。自身の貢献度・目標に対する進捗度が可視化されるので、社内の士気低下に悩む会社に向いている手法です。

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