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公務員も人事評価シートに目標を記入します。しかしどのように書けばよいのでしょう。書く際のポイントや人事評価シートの記入例とともに解説します。
目次
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1.公務員が人事評価シートを書く目的とは?
公務員が人事評価シートを書く目的にあるのは、賃金や昇進を公平に判断しながら職員を育成して、組織のビジョンを伝えることです。ここではそれぞれについて解説します。
- 賃金や昇進を公平に判断するため
- 職員の育成のため
- ビジョンを伝えるため
人事評価制度とは? 必要な理由、種類と仕組み、作り方を解説
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①賃金や昇進を公平に判断するため
公務員の賃金や昇進を決定する際、上長の気分や感覚といった主観的な要素が入れば当然、公平公正な人事評価はできなくなります。このような評価が行われれば、被評価者の不満は増大し、組織全体の雰囲気も悪化してしまうでしょう。
公務員が人事評価シートを記入することにより、客観的な状況を把握でき、賃金や昇進を公平に判断できるようになるのです。
②職員の育成のため
人事評価シートには、自分の進むべき目標・目標に対する自分の現況を記載します。それにより職員自身が今後、どのような方向にどの程度進むべきなのかを可視化できるうえ、下記のきっかけ作りにもなるのです。
- 公務員が自分の目標に向かって主体的なアクションを起こす
- 明らかになった目標と自己のギャップを埋めるための行動を起こす
③ビジョンを伝えるため
人事評価シートには、評価項目が記載されています。評価項目のベースとなるのは、組織のビジョン。組織は人事評価シートをとおして、人材に求めるものや評価に用いる基準といったビジョンを伝えられます。
人事評価シートで組織のビジョンなどを伝えられれば、その方向性に向かって職員は仕事をするでしょう。結果、組織に一体感が生まれ、効率的な働き方も実現するのです。
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2.公務員の人事評価について
人事評価は人事考課と異なり、給与や賞与、賞罰や出世などに直結しません。しかし公務員の人事評価には、評価基準があるのです。ここでは、令和3年10月から変わった公務員の人事評価制度について解説します。
評価基準
公務員が職務遂行に発揮した業績・能力などを評価する基準のこと。具体的には、下記の2つです。
- 公務員が職務遂行に当たり挙げた勤務成績の評価を行う業績評価
- 公務員が職務遂行に当たり発揮した能力や勤務成績の評価を行う能力評価
人事評価はこの評価基準をもとに、下記のようなステップで行われます。
- 期首面談
- 期末の自己申告
- 評価
- 評価結果の開示
- 期末面談
業績評価
売上や利益、処理件数や入力量など数値化しやすい業務結果を評価するもの。目的は、「透明性のある公平な人事評価の実施」「働く者のモチベーションアップ、維持」などです。業績評価を行う場合、下記を適正に実施するのも重要となります。
- 評価項目、評価基準の明確化
- 定量的な測定の実施
- 評価結果のフィードバック
また評価項目や評価基準については、組織の状況による適宜変更も必要です。
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能力評価
職務遂行のための能力を評価すること。代表的な評価項目は以下のとおりです。
- 問題や課題解決に向けた企画力
- 職務遂行のための計画立案力
- 企画や計画の実行力
- 想定外の事態に対応する対策立案力
- 日常業務の改善力
- 部下の能力を最大限発揮させるための指導力
能力評価は数値化しにくく、評価基準が曖昧になりがちです。昨今、それを踏まえて高評価の人材の行動特性を捉えたコンピテンシー評価を能力評価に導入するケースが増えています。
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令和3年10月から公務員の人事評価が変わる
令和3年10月から公務員の人事評価は以下のように変わります。
- 管理職員は職員に対し、面談の際、職員の強みと弱みの指導や助言を行い、職員の果たすべき役割の認識を共有する
- 中間管理職以上の管理または監督の地位にある職員に対する評価においては、効率的な業務遂行、適切な業務管理、部下の指導育成に留意する
なお令和4年10月からの代表的な変更点は以下のとおりです。
- 能力や実績の評価段階の数を5~6とする
- 成果以外の要素の評価の明確化する
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3.公務員が人事評価シートに目標を記入する際のポイント
公務員が、人事評価シートに目標を記入する際、知っておきたいポイントがあります。SMARTの法則とあわせて解説しましょう。
具体的な目標を立てる
公平公正な人事評価を行うためには、数値化した評価基準を用いることが重要です。そこで公務員が人事評価シートに目標を記載する際は明確に数値化できる項目と具体的な行動を目標として記載します。
もし抽象的だったり数値化が困難だったりする目標を設定したら、適切な評価は実施できなくなるでしょう。
求められる職員像を知っておく
求められる職員像とは下記のようなものです。
- 創意工夫など柔軟な発想、行動力を持った職員
- 公務員として自覚を持ち、誠実に職務遂行できる職員
- 地域の一員という意識を持ち、住民に対して公正、公平に対応できる職員
- 住民の目線で考え、積極的に職務に取り組める職員
- 公務員が人事評価シートに目標を記入する場合求められる職員像を知ったうえで記入するとよいでしょう。
SMARTの法則を活用する
SMARTの法則とは、目標達成に不可欠な5つの要素を明確化し、目標設定を行う手法のこと。その要素は、以下のとおりです。
- 「具体的、分かりやすい」を意味するSpecific
- 「計測可能、数字になっている」を意味するMeasurable
- 「同意して、達成可能な」を意味するAchievable
- 「関連性」を意味するRelevant
- 「期限が明確、今日やる」を意味するTime-bound
5つの要素の具体例
SMARTの法則の5つの要素の具体例は、以下のとおりです。
- Specificでは、「入力スピードを5%アップさせる」
- Measurableでは、「部下職員と2週間に1回面談をしてコミュニケーションを図る」
- Achievableでは、「1年で資格を1つ取得する」
- Relevantでは、「受付件数を5%増やし、残業時間を3時間削減する」
- Time-boundでは、「1年に1回、制度の見直しを行う」
SMARTの法則とは? 目標設定の重要性、目標の立て方、具体例について
目標を立てるにあたって、全く実現不可能なものであっても意味がないですし、簡単に達成できそうなものであっても目標になりません。達成可能な目標の立て方として注目を集めているのが、SMARTの法則と呼ばれる...
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4.公務員(全般)の人事評価シートにおける目標一覧と記入例文
公務員(全般)の人事評価シート目標記入例を、下記から解説します。
- 制度再検討に関する目標
- 業務効率に関する目標
- 企画に関する目標
- 税務に関する目標
- 総務に関する目標
- 個人のキャリアに関する目標
①制度の再検討に関する目標
制度の再検討に関する目標の記入例は、下記のとおりです。
- ○○制度を再検討するにあたり、住民のニーズをもとに必要性の低い条文を廃止し、年度末までに完成形を示す
- ○○制度を法改正に適合した内容に改訂し、期末までに完成させる
②業務効率に関する目標
業務効率に関する目標の記入例は、下記のとおりです。
- 行政事業レビューを実施し、行政ニーズを踏まえて事業スキームを見直す
- 事業の効率化によるコスト10%削減といった業務を改善する
- ワークライフバランスを考えた業務分担の見直しを行う
③企画に関する目標
企画に関する目標の記入例は、下記のとおりです。
- 制度設計を年内に終了し、試行について審議会で了承を得る
- ○○交流会運営の基本方針を策定し、期内に公表する
- プロジェクトチームを立ち上げ重点事業の総合計画を立案し、市長に了解を得る
④税務に関する目標
税務に関する目標の記入例は、下記のとおりです。
- 土地家屋に関する現地調査を行い、資産税へ反映する仕組みを構築する
- 市民税の修正・更正処理件数を15%削減する
- ○○税対象者へ通知や訪問、電話などによる申告相談を実施する
⑤総務に関する目標
総務に関する目標の記入例は、下記のとおりです。
- 総合受付、電話交換手への市民からの問い合わせ件数や項目を整理し、マニュアルを作成する
- 来庁者へアンケートを実施し、クレーム対応策や業務改善策に関する資料を作成する
⑥個人のキャリアに関する目標
個人のキャリアに関する目標の記入例は、下記のとおりです。
- 定例会における連絡事項を共有フォルダーで管理することを周知徹底し、連携ミスをゼロにする
- 各部署の備品の減少率を毎月管理し、部署ごとに消耗品費の年5%削減を目指す
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5.公務員(教員)の人事評価シートにおける目標一覧と記入例文
公務員(教員)の人事評価シート目標記入例として、下記を解説します。
- 学習指導に関する目標
- 生徒指導に関する目標
- 校務分掌に関する目標
- 教員間連携に関する目標
- 部活動に関する目標
①学習指導に関する目標
学習指導に関する目標の記入例は、下記のとおりです。
- 生徒一人ひとりの学習進捗状況の情報を、保護者と共有するしくみを作る
- 生徒の学習習慣定着を目的として毎週1回の小テストを実施し、不合格者には追試を行う
- 個人面接を実施し、学習方法や進捗の確認などを行う
- 成績低下が予想される生徒と保護者と面接を行う
- 夏期・冬期などの長期休みに、成績不振者を中心に補講を行う
- 週のはじめにノートを提出してもらい、学習の進捗度を確認する
②生徒指導に関する目標
生徒指導に関する目標の記入例は、下記のとおりです。
- ホームルームの時間に生徒が「今週良い行いをした友達」を発表し、お互いを認め合える雰囲気を作り出す
- クラスの生徒が学校のきまりを遵守しながら行動できるよう指導する
- 学校の規則やクラスのルールなどを理解できるよう、生徒と一緒にポスターを制作し校内に貼る
③校務分掌に関する目標
校務分掌に関する目標の記入例は、下記のとおりです。
- 分掌した校務について、一般教職員とも連携しスピード感を持って適切に処理する
- 情報収集・共有をとおして、学級運営についてのノウハウを教職員間で共有し、指導の質向上を図る
- 先進的・独創的な授業の学習会を行い、職員会議でポイントを紹介し、教職員で情報を共有する
④教員間の連携に関する目標
教員間の連携に関する目標の記入例は、下記のとおりです。
- 昨年度に実施した取り組みへの反省を生かし、学年主任として各クラスの教員と新たなチャレンジ目標を立案する
- 教務主任が中心となり、パソコンを活用した学習方法の勉強会を実施する
- 個々の教科の特徴を生かした実践的な指導方法を検討する
- 学年ごとに会議を開き、業務改善の方法を模索する
⑤部活動に関する目標
部活動に関する目標の記入例は、下記のとおりです。
- 部活動への積極的参加を促しながら、自主的に行動できるよう育てる
- 部活動を通して学校生活の充実が図れるようサポートする
- 教職員と生徒間で信頼関係を構築し、生徒理解を深めるとともに生徒の人間性を育む
- 発達段階に応じた適切な指導で、個性を生かして実践的に活動できるよう指導する
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6.公務員(大学職員)の人事評価シート目標記入例
公務員(大学職員)の人事評価シート目標記入例として、下記を解説します。
- 生徒の教育に関する目標
- 職員の教育に関する目標
- 効率化に関する目標
- 職場環境に関する目標
- ダイバーシティに関する目標
①生徒の教育に関する目標
生徒の教育に関する目標の記入例は、下記のとおりです。
- 標準修業年限内で学位を取得できない修了延期者をゼロにする
- 授業における論文発表経験者100%を目指す
- 各科目の担当職員が、生徒の学習現状の点検を行う
②職員の教育に関する目標
職員の教育に関する目標の記入例は、下記のとおりです。
- 職員の教育能力向上を目的とした研修会を実施する
- 公開授業を行い、職員同士で指導の質向上を目指す
- ほか学科の講義を体験し、相互学習ができる機会を創造する
③効率化に関する目標
効率化に関する目標の記入例は、下記のとおりです。
- 超過勤務を減らすため、業務プロセスを改善する
- 委員会といった活動のスリム化を実施する
- 働き方の工夫や組織改編などで、人手不足を解消しながら業務を効率化する
④職場環境に関する目標
職場環境に関する目標の記入例は、下記のとおりです。
- 全職場が働きやすい環境になるよう多様な働き方を認め、制度を設ける
- 休職者、離職者が少ない職場を構築する
- 教職員のワークライフバランスを実現する
- 意見が言いやすい風通しのよい職場を作る
- 職場環境について気軽に相談できる相談体制を構築し、職場環境におけるトラブル解決を強化する
- フレキシブルな働き方でも教員間での連携がとれるよう、システムを構築する
⑤ダイバーシティに関する目標
ダイバーシティに関する目標の記入例は、下記のとおりです。
- 外国人や女性を積極的に採用し、職場における多様性を50%に向上させる
- 多様性を認め、差別のない職場を作る
- ダイバーシティへの理解と多様性の尊重意識の醸成を促す
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