人事基幹システムとは、人事部の主要業務を支えるシステムです。ここでは、人事基幹システムについて解説します。
目次
1.人事基幹システムとは?
人事基幹システムとは、人事情報や勤怠管理、給与計算など人事部が担う主要業務を支えるシステムのこと。バックオフィス系システムとも呼ばれます。人事基幹システムを導入すれば、人事業務の効率化が図れるでしょう。
ERPとの違い
ERPとは、基幹システムと業務システムの両方を搭載し、複数のシステムを連携して経営効率を高めていくマネジメント手法のこと。英語で「Enterprise Resource Planning」と表記します。人事基幹システムとの違いは、その目的です。
- 人事基幹システムの目的:人事業務の効率化
- ERPの目的:経営基盤の強化
ERP(企業資源計画)とは? 導入メリット、手順、注意点は?
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人事基幹システムでできること
人事基幹システムでできることは以下のとおりです。
- 出退勤時刻管理、有休管理などの勤怠管理
- 給与や賞与計算などの給与計算
- 目標設定、進捗管理、評価などの人事評価
- 入退社手続き、年末調整、個人情報管理などの労務管理
- 求人や選考などの採用管理
- 人材配置などのタレントマネジメント
- 人材開発や人材教育などの人材育成
2.人事基幹システムを導入する意味と目的
人事基幹システムを導入する際、どのような意味や目的があるのでしょう。ここでは人事業務を効率化できる人事基幹システム導入の意味や目的について、解説します。
- 人材不足
- 情報の可視化
- 新しい職場環境の創出
①人材不足
昨今、日本では、少子高齢化による労働力不足が社会問題になっています。人事基幹システムには、タレントマネジメントや人材育成などの機能があるため、こうした労働力不足の解決に役立つのです。
②情報の可視化
従来の人事管理手法では、情報のバラつきや人為的ミスが発生し、人事業務の効率化を阻んでいました。人事基幹システムを導入すれば、情報の可視化や収集の精度向上、全社での共有を実現できます。それにより、全社一丸となり業務にまい進できるでしょう。
③新しい職場環境の創出
人事基幹システムを導入すると、適切な人材配置や精度の高い評価、モチベーション向上
など、人材や組織の人的資源を活用する環境が整います。
人事基幹システムには、「従業員が働きやすい新しい職場環境の創造」「経営課題を解決し、生産性を向上させる」という目的があるのです。
3.人事基幹システムを導入するメリット
人事基幹システムを導入すると、どのようなメリットを得られるのでしょう。下記のポイントから、人事基幹システムのメリットを解説します。
- 業務効率の向上
- ヒューマンエラーの防止
- 情報管理の利便性
①業務効率の向上
人事が担う業務は、下記のように多岐にわたります。
- 勤怠管理
- 給与計算
- 人事評価
- 労務管理
- 採用管理
- タレントマネジメント
- 人材育成
人事基幹システムを導入すれば、情報の一元化や人為的ミスの防止、作業工程の削減などを実現できるでしょう。それにより、人事業務全般の効率が向上します。
②ヒューマンエラーの防止
人事管理では膨大なデータを扱うため、タイムカードの集計や給与計算、振替休日や代休管理などでヒューマンエラーが起こりやすいといわれています。
人事基幹システムを導入すれば、労働基準法といった法令を遵守しながら、さまざまな従業員データを管理できるでしょう。それにより人為的ミスが減り、業務効率も向上します。
③情報管理の利便性
人事基幹システムを導入すれば、従業員に関する情報を一元管理できるため、情報検出にかかるスピードを早め、精度も向上します。電子申請にも対応できるため、書類紛失の心配もありません。これらにより情報管理の利便性が一気に高まるでしょう。
4.人事基幹システムを導入するデメリット
人事業務をあらゆる側面から効率化できる人事基幹システムには、デメリットもあります。下記のポイントから解説しましょう。
- 導入や運用コストがかかる
- システムの再構築が必要
- 部署によっては非効率
①導入や運用コストがかかる
人事基幹システムは導入時や運用時、下記のようなコストがかかります。あらかじめ比較検討しておく必要があるでしょう。
- サーバー構築費
- ソフトウェア購入費
- カスタマイズ費
- データ移行費
- バージョンアップ費
- ネットワーク管理にかかる人件費
②システムの再構築が必要
人事基幹システムでは、老朽化や複雑化が進んでいるため、システム再構築は大きな課題です。
しかし、「再構築だけで業務に対応できない」「再構築に必要な人的リソースが不足」「再構築を繰り返した結果、システムがブラックボックス化」などの問題もあります。よってオンプレミス型では思うように再構築ができない場合もあるのです。
③部署によっては非効率
人事基幹システムはすべての部署に合うようにカスタマイズできるわけではありません。そのため部署によっては機能の過不足が発生し、人事基幹システムの導入によって非効率になるかもしれません。
システムを導入する際は、全社的視点から見た人事基幹システムによる効果を検討しましょう。
5.人事基幹システムを比較・選定するポイント
人事基幹システムの導入を比較・検討する際、どのようなポイントを押さえておけばよいのでしょう。下記の点からポイントを解説します。
- 操作性
- 安定性
- 保守性
- 企業規模
- システム形態
①操作性
人事基幹システムは、人事部門だけでなく一般の従業員も操作します。できる限り誰でもかんたんに操作できたり、操作を覚えられたりするものがよいでしょう。システムを導入したものの使いこなせないといった事態にもなりかねません。
### ②安定性
人事基幹システムは、勤怠管理といった毎日稼働するシステムを搭載しています。そのため不安定なシステムでは日々の業務に支障が出てしまうでしょう。もし人事基幹システムがほかのシステムと連動している場合、会社全体にその影響が波及してしまいます。
③保守性
人事基幹システムは、従業員の個人情報を一元管理します。よって「セキュリティ対策が万全である」「バックアップ体制が整っている」といった保守性や、修正プログラムの配布などのサポート体制についても、検討が必要です。
④企業規模
大企業が人事基幹システムを導入する際は、既存システムとの兼ね合いを検討しましょう。場合によっては、人事基幹システムのカスタマイズについても検討します。
中小企業の場合は、導入コストをできる限りおさえるためにも、パッケージシステムの導入を検討しましょう。そして導入したシステムに、自社の業務プロセスを合わせます。
⑤システム形態
人事基幹システムには、下記2つがあります。
- サーバーを設置せず、インターネット経由でシステムを運用するクラウド型
- 社内にサーバーを設置し、システムを運用するオンプレミス型
どちらにもメリット・デメリットがあるため、それぞれについて調べてから比較検討しましょう。
6.人事基幹システムの導入ステップ
人事基幹システムの導入にはステップがあります。それぞれを知って、導入をスムーズに進めましょう。
- なぜ人事基幹システムを導入するのか
- 人事基幹システムの導入によって、何を実現したいか
目的を明確にすれば、導入や運用の途中に不都合が生じても、目的に沿って軌道修正できます。また目的に応じた機能も選べるようになるでしょう。
人事基幹システム導入プロジェクトの担当者はできるだけ、複数人存在するようにします。
場合によっては従業員からヒアリングし、必要があればそれをもとにシステムを改善しましょう。