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人的資本投資とは、人材を「資源」としてではなく「資本」としてとらえ、その価値を最大限に引き出すために投資を行うことです。
国内外で人的資本に注目する投資家も増えているなかで、企業が人的資本投資に取り組む必要性が高まっています。
この記事では、企業における人的資本投資について、
- 重要視される理由や背景
- 企業が人的資本投資に注力するメリット
- 人的資本投資の具体的な施策
について解説します。
目次
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1.人的資本投資とは?
人的資本とは、個人がもつ知識やスキル、特性などを、新たな価値を生み出す「資本」ととらえる考え方です。人的資本の価値を最大限に引き出すために費用や時間を投じることを「人的資本投資」といいます。
人的資本には、
- 組織文化
- ダイバーシティ
- 従業員のスキル・能力
- 生産性
- 健康や安全
といった、組織の持続可能性に関するさまざまな要素が含まれています。
人的資本投資と似た言葉に「人材投資」があり、研修などの教育を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし「人的資本」には、上記のように教育以外への投資も含まれており、これらを向上させる人事施策が「人的資本投資」といえます。
人的資本投資の企業の取り組み例としては、
- 従業員の能力開発
- 従業員エンゲージメントの向上
- 多様な人材が活躍できる環境の整備
- 働きやすい環境整備
などがあげられます。
そもそも人的資本とは?
人的資本は、組織文化やダイバーシティ、スキルや能力など、組織における人材価値をあらわす言葉で、無形資産のひとつです。
人的資本とは、個人がもつ知識やスキル、特性などを、新たな価値を生み出す「資本」ととらえる考え方です。
従来人材は「ヒト・モノ・カネ」のなかのひとつであり、管理すべき「資源」と考えられてきました。人材に投じる教育費はコストだとみなされてきたのです。
しかし近年、事業環境が激しく変化しているなかで、企業の競争性や持続性を判断するのに、人材が重要だという見方が広まってきました。企業の人材は「人的資本」であり、投じる費用は「投資」だととらえ直すようになってきたのです。
人的資本とは?【情報開示・経営についてわかりやすく解説】
人的資本は人事トレンドのひとつであり、2023年度より有価証券報告書での人的資本情報開示の義務化もスタートしました。一方で人的資本とは何か、開示や人的資本経営についてなんとなくでしか理解できていない方...
人的資本投資を実現するにあたり、経営陣・人事・現場が組織内の人材情報を把握する必要があります。
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2.人的資本投資のステークホルダー
人的資本投資の主なステークホルダー(利害関係者)は、
- 人材
- 企業
- 投資家
の三者です。
企業が人的資本に投資し、従業員のスキルやエンゲージメント、ダイバーシティを高めることによって、企業価値や競争性の向上につながります。
そのためには、企業全体が人材情報を把握していることが求められます。具体的にはスキルや経験といった基本情報から、常に変動する従業員1人ひとりのコンディションなど。
カオナビなら人材情報を一元的に管理できるだけでなく、従業員の声をリアルタイムに集める機能やコンディションの定点観測、退職リスクの分析などあらゆる人材情報を収集・分析し、人的資本投資の実現をサポートします。
3.企業の人的資本投資が重要な理由
先進的な企業と多くの投資家が関心を寄せる人的資本投資。なぜ企業は投資を行うべきなのか? その理由を紐解いていきましょう。
企業価値を向上させるため
企業の人的資本投資が重要な理由のひとつは、企業価値を向上させるためです。
企業価値は機械設備や建物などの有形資産と、人的資本やブランドなどの無形資産の2種類によって決まります。
人的資本は無形資産の中でも「経済的競争力」に分類され、企業の競争性を大きく左右する要素です。つまり、人的資本の価値が高ければ高いほど、競争性が高い企業だと評価してもらえるのです。
人的資本投資によって人的資本の価値を拡大することで競争性の向上につながり、結果として企業価値を高められます。
人的資本投資額やその効果が企業状況を確認する指標になるため
企業の人的資本情報に注目する投資家が増えています。将来的には人的資本投資額やその効果が、企業の状態を確認する重要な指標になってくるでしょう。
世界的に人的資本の情報開示を求める声が高まっており、すでにアメリカではSEC(米国証券取引委員会)により情報開示が義務化されています。
岸田内閣でも人的資本の情報開示について活発に議論が行われており、情報開示がルール化される日も遠くはないではずです。
人的資本の情報開示が必要とされる将来に備え、今から人的資本情報の一元化を整えることが大切です。人的資本情報を一元化することで、人材を戦略的に配置でき、個々が適材適所でその価値を最大限発揮することにもつながります。
経営陣・人事・現場が人的資本情報を把握し、戦略的な人事配置を実現するなら人材管理の「カオナビ」がおすすめです。
4.企業が人的資本投資に取り組むメリット
人的資本投資のメリットは、企業イメージの向上に限りません。より具体的な業績や人事施策に関する例をご紹介します。
生産性向上やイノベーション創出につながる
内閣府のデータによると、1人当たり人的資本投資額を1%増やすと、労働生産性が0.6%ほど増える可能性があるといわれています。
事業環境の変化がはげしい昨今、企業が生き残っていくためには生産性向上やイノベーション創出が必要不可欠です。
人的資本に投資し、従業員のスキルやエンゲージメントを高めることで、生産性向上やイノベーション創出につながります。ひいては、企業の競争力や持続的な価値の向上が期待できるでしょう。
参考 第2章 人生100年時代の人材と働き方内閣府優秀な人材の獲得につながる
人的資本投資を積極的におこなうことで、優秀人材を獲得しやすくなる効果が期待できます。
優秀な人材にとって、人的資本投資に積極的で成長機会が多く自己学習の環境が整っている企業は魅力的だからです。
環境変化によって必要な人材像が急激に変化した場合、それに対応するには社外から人材を獲得する必要があります。人的資本投資によって従業員に魅力的な就業経験を提供することで、変化に強い組織になっていくでしょう。
優秀な人材を獲得するには、組織内の人材情報一元化・見える化が重要です。
カオナビなら人材情報を一元化・見える化し、戦略的な配置・育成・採用を実現します。また人材情報から社内の状況が分析できれば、経営目標やビジョンの達成のために不足している人材を洗い出すことも可能。優秀な人材の獲得だけでなく、社内の優秀な人材発掘にもつながります。
5.人的資本投資で取り組むべき施策と具体例
企業が人的資本投資に取り組むには、どのような施策が考えられるのでしょうか。こちらでは、従業員の生産性に関わり深い、スキルアップとエンゲージメントに関する施策についてご紹介します。
スキルアップ
従業員のスキルアップへの投資は、人的資本投資の中でもとくに重要です。従業員が新たなスキルを身につけ、さらなる能力を発揮することが、企業価値向上につながるためです。
昨今の日本では、デジタル競争の激化や新型コロナウイルスの蔓延を背景に、デジタルに関する学び直しやリスキリングの必要性が増しています。
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リスキリング
リスキリングとは、現職で必要とされるスキルが大幅に変わった場合やキャリアチェンジをする際に新しいスキルを身につける(身につけさせる)ことです。
昨今ではデジタル人材不足を背景に、デジタル関連のスキルを身に付けさせるリスキリングが関心を寄せられています。
事業環境の急激な変化や、価値観の多様化に対応するためにも、 こうしたリスキリングの支援が必要となります。
具体的な支援としては、インセンティブ設定などのモチベーション維持の仕組み化、研修の提供や受講の援助などがあります。
リカレント教育
リカレント教育とは、生涯を通じて学び続けていくことを意味します。社会人になったあとも、スキルアップやキャリア構築のために仕事と交互に教育を受けていくことです。
リカレント教育を推奨し、また組織として仕組み化を進めることで、従業員が新たな知識や価値観を取り入れるきっかけとなり、イノベーションや創造につながるというメリットがあります。
具体的な施策としては、離職後の再就職を受け入れる制度や、勉強のための休職制度などがあります。
従業員エンゲージメント向上
従業員エンゲージメントとは、会社に対する愛着心や思い入れのことを指します。従業員が意欲的に働けている状態を、エンゲージメントが高いと表現します。ISO30414では社内に向けた情報開示が推奨されている人的資本指標のひとつです。
従業員のエンゲージメント向上に投資することで、従業員の創造性や主体的な行動を引き出し、イノベーションの創出や生産性を高める効果が期待できます。
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キャリアカウンセリング・コーチング
エンゲージメントを高める施策のひとつに、キャリアカウンセリングやコーチングの導入があります。価値観や感情といった内面のサポートがエンゲージメント、生産性の向上につながります。
具体的には
- キャリアカウンセリングを通してやりがいの高い仕事を把握する
- 困っていたらコーチングや1on1などでフォローをする
などの取り組みがあげられます。
上長による実践も可能ですが、外部のキャリアカウンセラーやコーチなど、プロフェッショナルに依頼する選択肢も検討に入れるとよいでしょう。
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タレントマネジメント
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従業員一人ひとりの特性に合わせて配置や育成、キャリア開発などを考えるため、パフォーマンス向上以外にも、仕事の満足度やエンゲージメント向上が期待できます。
タレントマネジメントの実施には、従業員データの一元管理や可視化が求められるため、システム導入の投資が推奨されます。人事施策の基本となる人的資本の把握といった意味でも役立つので、無駄にはならないでしょう。
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6.人的資本投資に向けてまず取り組むべきこと
人的資本投資に向けてまず取り組むべきことは、人材情報のデータベース化です。なぜなら、社内の現状を把握しなければ、目標とのギャップ(課題)を正しく認識できず、適切な投資施策が打てないからです。
人的資本の状況を常に把握できれば、施策の効果も可視化できるため、これをもとにPDCAを回し、施策の改善にも役立ちます。社内外、とくに投資家へのアピールという意味でも、投資効果の可視化は必要不可欠といえるでしょう。
人材情報データベースの構築には、タレントマネジメントシステムなど、人材情報の管理と活用に特化したツールの利用が効果的です。
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