正社員経験の少ない求職者の支援を目的に、10年ほど前に誕生した「ジョブカード」。就職活動や職業訓練に役立つものですが、履歴書やエントリーシートと何が違うのでしょう。
ここでは、国が制定した「ジョブカード制度」をはじめ、
- 活用方法
- 作成方法
- 求職者・導入する企業側のメリット
などについて解説します。
目次
1.ジョブカードとは?
ジョブカードとは厚生労働省によって発行される職業能力を証明するためのもので、正社員経験の少ない求職者を対象としています。書き込む内容は、
- アルバイトやボランティアといったこれまでの経験
- 職業訓練の経歴
- 資格・免許
など。過去の経歴を振り返ることができるのはもちろん、将来のキャリアプランニングにも役立ちます。
ジョブカード制度総合サイト(厚生労働省)とは?
求職者は、ジョブカード制度総合サイト内にあるジョブカード作成支援ツールやシートを活用し、自分でジョブカードを作成することになります。
個人で作成するものですから、客観的な意見や相談が必要となる場合もあるでしょう。キャリアコンサルタントやジョブカード作成アドバイザーによって、ジョブカードの作成支援も行われています。
参考 サイトトップジョブカード制度総合サイトなおジョブカードの作成方法や、具体的な仕事のための相談・検索方法は、厚生労働省の特設サイトにまとめられています。
2.ジョブカード制度の概要
「ジョブカード制度」とは、ジョブカードを求職活動や職業能力の開発などに役立てるための制度。国が国民全体の能力を底上げするための取り組みとして2008年からスタートしました。
ジョブカードを通じて、キャリアコンサルタントに相談したり、企業が行う実習や教育訓練機関が提供する学習を組み合わせた職業訓練を受けたりすることで、個人の就職活動やキャリア形成を促進できます
キャリアコンサルタントによるジョブカード作成支援
キャリアコンサルタントとは、求職者の職業経験や適性に応じて、その職業選択や能力開発のアドバイス・指導を行う専門家です。ジョブカードを活用したキャリアコンサルティングにより、自己のキャリアプランや、中長期的なキャリア形成の見込みを専門家の視点を取り入れ、作成することができます。
ジョブカード作成アドバイザーとは?
ジョブカード作成アドバイザーとは、キャリアコンサルタント同様、ジョブカードを活用したキャリアコンサルティングを行う専門家です。ジョブカードの書き方を熟知しており、作成においては効果的な支援を期待することができます。
新ジョブカード制度では、労働者のキャリア形成やキャリアアップ、また企業における採用活動などを支援するためのツールとして活用できるものとなりました。また様式も改められ、新しいジョブカードには、職務経歴や免許・資格だけでなく、職業訓練や仕事の振り返りの評価、キャリアプランを記入する項目などが加えられています。学生から社会人まで、さまざまなニーズに対応できる様式となりました。
3.ジョブカードの作成や活用の具体例
求職中の学生から在職中の社会人、そして企業の人事担当者まで、さまざまな人が活用できるジョブカード。多様なニーズに対応しており、その活用方法は多種多様です。ここでは具体例をもとに、作成と活用の手法をご紹介します。
求職者(学生含む)によるジョブカードの作成方法の例
求職者や学生から見た、ジョブカードの主な活用方法は以下の3つです。
①履歴書やエントリーシートの追加資料として作成する
ジョブカードを活用すると、正社員経験の少ない求職者や、就職経験のない学生でも、自分の経験やスキルを客観的に明示することできます。企業の人事担当者に自己PRを行う手段のひとつとして、就職活動中の追加資料に活用できます。
②長期的なキャリアプランを構築するのに役立てる
就職活動を行うにあたり必要とされる、中長期的なキャリア形成の計画についても、ジョブカードを通して作ることができます。キャリアプラン作成の際に相談が必要となる場合には、キャリアコンサルタントの指導を受けることも可能です。
③職業訓練に活用する
新ジョブカード制度に移行する以前より、ジョブカードを職業訓練に活用する事例は多くありました。職業訓練を受講する前に、キャリアプランを作ることにより訓練受講の必要性を明確したり、また、職業訓練の受講後には、作成したジョブカードによって円滑な就職を促進することができます。
在職者によるジョブカードの作成方法の例
在職者から見た、ジョブカードの主な活用方法は以下の2つです。
①就労経験を記載し、実務能力を証明する
労働者自身の就労経験をジョブカードにまとめることで、実務能力を一覧で可視化し、それぞれ具体的にどのような経験・スキルを所持しているか、明示することができます。職務経歴書に記載する際と、ほとんど同様の作業となります。
②転職などキャリア形成の計画に役立てる
転職の時期や転職先の検討にも、ジョブカードを活用することができます。転職を通してどのようなキャリアを作りたいのか、自身のビジョンを明確にすることにより、転職先の企業とのミスマッチを防いだり、希望の条件を具体的に伝えることができるようになります。
企業によるジョブカードの活用方法の例
企業側から見た、ジョブカードの主な活用方法は以下の3つです。
①求人において応募者の職業能力を把握する
履歴書や職務経歴書を確認するだけではわからない、実務に生かせる経験やスキルを把握するのにジョブカードは役立ちます。とくに正社員職に在職していた経験が乏しい求職者が応募してきた際には、ジョブカードの確認が有効でしょう。
②社員の職業能力評価に役立てる
既存の社員のスキルチェックや仕事ぶりの評価にも、ジョブカードを活用することができます。ツールやフォーマットも厚労省のサイトにて得られるため、手軽に導入することが可能です。
③離職者のための「求職活動支援書」作成に活用する
高年齢者雇用安定法により、離職予定者が在職中から円滑に再就職活動を行うことができるよう、企業は「求職活動支援書」を作成する義務があります。
具体的には、「事業主都合の解雇」や「継続雇用制度の対象となる高齢者に係る基準に該当しなかったこと」によって離職が予定されている45歳以上65歳未満の社員がもし希望する際には、職務経歴書を作成するための参考となる情報を記載した「求職活動支援書」を企業は作成・交付しなければいけません。
この「求職活動支援書」は任意様式ですが、ジョブカードを活用することが可能です。様式2から様式3-2(もしある場合は様式3-3も)に、参考様式「再就職援助措置関係シート」を付け加えて作成しましょう。
4.ジョブカードを作成するメリット
ジョブカードの活用によって得られるおもなメリットをご紹介します。
求職者(学生含む)がジョブカードを作成するメリット
ジョブカードには個人の職業に関する能力が詳細に書き込まれています。そのため、履歴書やエントリーシートだけでは分かりにくい能力の証明に役立つのです。
また、ジョブカードの作成により、自身の能力や仕事への意識を整理できます。「自分の目標のために必要な能力・資格は何か?」が明確になるので、その後の職業能力の開発に役立てることができるでしょう。
「就職」という目前の目標だけでなく、就職後の長期的なキャリアプランニングにもつながります。
在職者がジョブカードを作成するメリット
ジョブカードを通して企業に評価してもらうことで正社員経験で得た実務上の職業能力を「見える化」できます。
また、教育訓練の受講前、受講中、受講後にジョブカードを活用したキャリアコンサルティングからもメリットが生まれます。
- 受講の目的が明確になる
- 意識や訓練の効果が向上する
- スムーズな就職活動につながる
教育訓練実施機関に、訓練に対する評価を記入してもらえば、職業能力の証明にもなるでしょう。
企業がジョブカードを活用するメリット
企業は、求人の際、履歴書などの追加資料としてジョブカードを活用すると、より具体的に応募者の職業能力を理解できます。書式が決まっているため、履歴書や職務経歴書より職業能力を把握しやすいのです。
もちろん、在職労働者に対する職業能力の「見える化」にも活用できます。キャリアコンサルティングや職業訓練を併せて行う場合は、ジョブカードの活用によって一連の取り組みをより効果的なものにできるでしょう。
そのほか、45歳以上・65歳未満の在職労働者の離職時に「求職活動支援書」を作成したり、助成金の支給のために役立てたりすることも可能です。
5.ジョブカードの様式の見本と記入例
様式1-1 キャリア・プランシート(就業経験あり)の見本
就業経験がある人用のキャリア・プランシートの項目は、下記の通りです。
- 基本情報(氏名・生年月日など)
- 価値観、興味、関心事項等(大事にしたい価値観、興味・関心を持っていること)
- 強み等(自分の強み、弱みを克服するために努力していること)
- 将来取り組みたい仕事や働き方等(今後やってみたい仕事(職種)や働き方、仕事で達成したいこと)
- これから取り組むこと等(今後向上・習得すべき職業能力や、その方法)
- その他(自己PRやキャリアコンサルティングで相談したいことを自由記入)
様式1-1の記入事項と書き方
①「基本情報」
欄に従って連絡先、氏名などの必要情報を書き込みます。
②「価値観、興味、関心事項等」
たとえば「昔から地方のイベントによく参加しており、地域に貢献するような仕事をしたいと考えるようになった」というように、自分の過去の経験を通しての職業観などを書き込みます。
③「強み等」
たとえば「接客業での経験を通して、クレーム対応や周囲への気配りなどの接客スキルを身に付けた」というように、過去の職務経験を通して得たスキルを記入します。
④「将来取り組みたい仕事や働き方等」
希望する仕事・職種や働き方を、記入します。
⑤「これから取り組むこと等」
将来に向けて不足していると感じる能力・技術と習得のための具体的な計画を、それぞれ記入します。
様式1-2 キャリア・プランシート(就業経験なし、学生)の見本
就業経験がない人や、学生用のキャリア・プランシートには、下記のような項目があります。
- 学校の課程で関心を持って取り組んだこと・取り組んでいること
- 学校のキャリア教育で実施される科目・プログラム、インターンシップ(正課)への参加・取組状況
- 学校の課程以外で学んだ学習歴
- 社会体験その他の活動(サークル、ボランティア活動、正課外のインターンシップ、留学、アルバイト、その他の活動)
- 様式1-1と同じ内容を書き込むシート
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様式2 職務経歴シートの見本
これまでの職務経歴を記入します。原則として勤務した会社ごとにシートを作成し、シートの第2面には該当する会社から証明を受けます。これにより、就職活動時に職務経歴の証明書として活用できるのです。
記入する項目には、
- 期間
- 会社名・所属
- 職名(雇用形態)
- 職務の内容
- 職務の中で学んだこと
- 得られた知識・技能など
があります。
様式2の書き方のルール
職務経歴シートを記入する際、それぞれの職場での出来事を振り返りましょう。
たとえば「営業職として働き始めて間もない頃は、契約を取ることができなかったが、お客様のニーズを聞くことに徹底して、契約へと結び付けられるようになった」というように、失敗から成功へと結び付けたエピソードはアピールポイントになります。
- 登録型派遣社員の場合は派遣先の会社、常用型派遣社員の場合は派遣元の会社名を記入
- 入社間もない企業へのコメントは空白でも構わない
とルールがあるので、確認しながら進めましょう。
様式3-1 職業能力証明(免許・資格)シートの見本
これまでに取得した免許・資格を記録する職業能力証明シート。免許や資格の証明書類をPDF化して一緒に保存しておけば、応募時の証明に役立ちます。
記入項目は下記の通りです。
- 免許・資格の名称・取得時期
- 免許・資格の実施・認定機関の名称
- 免許・資格の内容等
様式3-1の書き方
①「免許・資格の名称・取得時期」には、免許や資格の正式名称を記入します。取得した資格で業務内容に関連するものはすべて書きましょう。取得した理由等も記入するとよいです。
②「免許・資格の実施・認定機関の名称」は、実施・認定機関の名称をウェブサイト等で確認してから記載しましょう。
③「免許・資格の内容等」も併せて確認してください。ただし、「普通自動車第一種免許」のように一般的な免許等については、③に記載する必要はありません。
免許・資格が特にない人は、具体的に受験日が決定しているものについては、取得前でも記入ができます。
- すでに失効したもの
- 一次試験だけ合格したもの
については、その旨を明記した上で記入します。
様式3-2 職業能力証明(学習歴・訓練歴)シートの見本
これまでに受けてきた学習歴や訓練歴を記録しましょう。免許・資格と同様、証明書類をPDF化して一緒に保存しておけば、応募時の証明に役立ちます。記入する項目は、期間、教育・訓練機関名・学科(コース)名、内容等です。
様式3-2の書き方の具体例
中学卒業の人は中学卒業の年月から、高校卒業以上の人は高校卒業の年月から記入します。中退の場合はその旨を明記しましょう。
学部・学科(コース)の記入も忘れないように。その上でエピソードを記載します。
たとえば、「障害児をサポートするボランティアを通して『ありがとう』と言われる喜びを感じ、人に感謝されるような仕事をしたいと思うようになった」といったもの。学習・訓練を通して得られた経験のうち、職業観へとつながったエピソード等を書きます。
ハローワークの紹介や推薦により、公共職業訓練、求職者支援訓練、委託訓練を受けている人は、訓練校と訓練コース名を記入します。短期間であっても構いません。
様式3-3-1-1 職業能力証明(訓練成果・実務成果)シート(企業実習・OJT用)の見本
職業能力証明シートは職業訓練や実務能力の評価を受けた際、評価者によって記入されるシートで、主に訓練機関などから交付されるものです。記入内容は下記のようになります。
- 企業実習・OJT期間内における職務内容
- 職務遂行のための基本的能力(三段階で評価)
- 技能・技術に関する能力(基本的事項と専門的事項を三段階で評価)
参考様式 再就職援助措置関係シートの見本
再就職援助措置関係シートとは、事業主が「求職活動支援書」を作成するために使うシートのこと。
- 離職予定日または時期
- 再就職準備セミナーの開催情報提供・受講斡旋
- 受講に対する休暇付与
- 受講費用の負担など
事業主が行う再就職援助措置について記入するものです。
ジョブカード(職務経歴書)の見本とダウンロード
ジョブカード(職務経歴書)はこれまでの職務経歴を記録するシートのこと。先述の「キャリア・プランシート」や「職業能力証明シート」を作成している人は、内容を転記して利用できます。
項目は次のようになりますが、不要な部分は削除し、必要に応じて自分で欄を追加することも可能です。
- 志望動機
- 職務経歴
- 免許・資格の内容
- 学習歴・職業訓練歴の内容
- 活かせる知識・能力・スキル等
- 自己PR
ジョブカード(エントリーシート)の見本とダウンロード
ジョブカード(エントリーシート)は就職活動に向けた学習歴、活動歴、自己PRなどを記入するシートのこと。応募する企業に指定のエントリーシートがある場合、準備のために活用できます。
記入内容は下記の通りです。
- 学歴
- 学校の課程で関心を持って取り組んだこと・取り組んでいること
- 学校の課程以外で取り組んだこと・取り組んでいること(サークル、ボランティア活動、正課外のインターンシップ、留学、アルバイト、その他の活動)
- 様式1-1と同じ内容を書き込むシート
6.ジョブカードの作成方法、専門家への相談
3つの方法からジョブカードの作成方法を選ぶ
ジョブカードの作成方法は、3つあります。
- ソフトウェア:「ジョブカード制度総合サイト」から「ジョブカード作成支援WEB/ソフトウェア」を利用(ジョブカード作成支援機能や履歴書出力機能が使用可能)
- PDF:印刷し、手書きで作成
- Excel:キーボード入力で作成
必要に応じてプロに相談
作成に不安を感じたら、キャリアコンサルタントやジョブカード作成アドバイザーといったプロに相談するとよいでしょう。
キャリアコンサルタントに相談する場合
- 何を書いたらいいか分からない
- 書きたいことはあるが、どうやってまとめればよいのか分からない
- キャリア・プランについて迷っていることがある
こんなときは、キャリアコンサルティングを受けることをお勧めします。
キャリアコンサルタントを検索するための検索システムに、「キャリコンサーチ」があります。国のキャリアコンサルタント名簿に登録しているキャリアコンサルタントが検索できるので、活用してみてください。
参考 キャリアコンサルタントWebサイト厚生労働省メールでキャリアコンサルティング専門家に相談する
ジョブカードにまつわる質問や、仕事の悩みや不安、スキルアップ、転職・就職についての相談を、キャリアコンサルタントにメールで無料相談することも可能です。
相談相手はキャリアコンサルタント資格を持った、キャリアコンサルティングの専門家。メールは厚生労働省のサイトから送信できます。
参考 メール相談サービスジョブカード制度総合サイトメール相談の流れ
- 申し込み:「相談内容」に、ジョブカードのどの様式についての相談かを明記(ただし、ジョブカードの添削やエントリーシートの添削は対象外)
- 回答:担当のキャリアコンサルタントから相談内容への回答メールが届く(自分が欲しい回答かどうか確認、間違っている場合は、どう違うかについて具体的に記入し、返信)
- 継続相談:キャリアコンサルタントとメールをやり取り(原則5往復以内で終了)
- 機関の紹介:相談内容に合った適切な支援機関がある場合は、キャリアコンサルタントから紹介がある
メール相談の宛先は3種類
ジョブカードにまつわるキャリアコンサルタントへのメール相談の内容は、次の3つに分類されています。自分の悩みに適した送信先を選びましょう。
- 自身のキャリア・プランに関する相談
- 就職先、転職先に関する相談
- 仕事上の悩みや不安に関する相談
7.ジョブカード制度を実施した企業に支給される助成金
①有期実習型訓練(3カ月以上6カ月以内)
助成金を活用すると採用コストや企業研修にかかるコストを軽減できます。
1つは有期契約労働者を正社員として採用する上で、必要な能力を習得させるために実施する「有期実習型訓練」。この助成を受けるために事業主は、
- 訓練の実施状況を明らかにする書類
- 訓練に要した経費の負担の状況を明らかにする書類
- 訓練生に対する賃金の支払状況を明らかにする書類
を提出する必要があります。
また、直近の会計年度の「生産性」(営業利益、人件費、減価償却費、動産・不動産賃借料・租税公課の総額を雇用保険の被保険者数で割った数値)が、
- その3年度前に比べて6%以上伸びている
- その3年度前に比べて1%以上?6%未満伸びている
場合、増額が認められます。また、Off-JTやOJTに関する助成も設定されているのです。
Off-JT(座学等)の助成金額は、1人1時間当たり760円(増額の場合960円)。上限額は、
- 100時間未満:10万円
- 100時間以上200時間未満:20万円
- 200時間以上:30万円
OJT(実習)の助成金額は、1人1時間当たり760円(960円)です。しかし大企業の場合、助成金額が異なるため注意しましょう。
②認定実習併用職業訓練(6カ月以上2年以内)(実践型人材養成システム)
認定実習併用職業訓練とは事業主が主体となり、事業主による実習(OJT)と、教育訓練施設による学習(Off-JT)を組み合わせて行うプログラムのこと。
訓練の開始日が属する会計年度の前年度の生産性と、その3年度後の会計年度の生産性とを比べて6%以上伸びている場合、増額が認められます。
前項と同様、Off-JTとOJTそれぞれに助成額が設定されています。
Off-JT(座学等)の助成金額は、1人1時間当たり760円(増額の場合960円)、加えて、教材費や外部講師の謝礼金といった経費の45%(60%)に当たる金額が助成されます。上限は、
- 10時間以上100時間未満:15万円
- 100時間以上200時間未満:30万円
- 200時間以上:50万円
OJT(実習)の助成金額は、1人1時間当たり 665円(840円)となります。こちらも、大企業の場合は金額が異なるので、注意が必要です。
③特定分野認定実習併用職業訓練(6カ月以上2年以内)
特定分野認定実習併用職業訓練は建設業、製造業、情報通信業の3業界を対象としたプログラムに適用される助成金のこと。こちらも、訓練の開始日が属する会計年度の前年度の生産性と、その3年度後の会計年度の生産性とを比べて6%以上伸びている場合、増額が認められます。
Off-JT(座学等)の助成金額は1人1時間当たり760円(増額の場合960円)で、経費に対する助成は60%(75%)。上限は、
- 10時間以上100時間未満:15万円
- 100時間以上200時間未満:30万円
- 200時間以上:50万円
OJT(実習)の助成金額は、1人1時間当たり 665円(840円)となります。こちらも、大企業の場合は金額が異なるので、注意が必要です。
④中高年齢者雇用型訓練(3カ月以上6カ月以内)
中高年齢者雇用型訓練は45歳以上の労働者を対象とした制度で、こちらも助成金が設定されています。訓練の開始日が属する会計年度の前年度の生産性と、その3年度後の会計年度の生産性とを比べて6%以上伸びている場合、増額が認められます。
Off-JT(座学等)の助成金額は1人1時間当たり760円(増額の場合960円)で、経費に対する助成は45%(60%)。上限は、
- 10時間以上100時間未満:15万円
- 100時間以上200時間未満:30万円
- 200時間以上:50万円
OJT(実習)の助成金額は、1人1時間当たり 665円(840円)となります。こちらも、大企業の場合は金額が異なるので、注意が必要です。
助成金の支給に関するQ&A
助成金の支給はいつ?
助成金は期間中に支給されません。職業訓練の終了後、職業訓練を実施した時間数が、計画時の時間数の8割を上回るなど一定の要件を満たしていると認められた場合に支給されるのです。
そのため、実際の振込みまでに数か月かかることも。あらかじめ計算して計画的に利用しましょう。
訓練を中止した場合の助成金
訓練を途中まで行ったものの何らかの事情によって中止した等条件に満たなかった場合、助成金は支給されるのでしょうか?
- 天災やその他やむを得ない理由
- 訓練生に責任がある場合
といった場合では、実際に使用した経費などに応じて助成金が支給されると定められています。