ジョブホッパーとは、短期間のうちに何度も転職を繰り返す人のこと。本記事では、ジョブホッパーとキャリアホルダーの違いや、ジョブホッパーの特徴、ジョブホッパーのメリット・デメリットなどについて解説します。
目次
1.ジョブホッパーとは?
ジョブホッパーとは、短期間のうちに何度も転職を繰り返す人のことです。転職を繰り返すことを意味する英語「job-hopping」がもとになっており、ひとつの職場に定着しない印象を持たれるため、転職市場ではネガティブに捉えられることが多くなっています。
ジョブホッパーと見なされる転職スパン・回数
ジョブホッパーに明確な定義はなく、何回の転職経験でジョブホッパーと見なすかは企業によって変わります。
ただし、一般的には1〜3年以内での退職を繰り返す人はジョブホッパーと認識されること多いです。そのため、20代で3回以上転職している人や、1年のうちに数回転職している人はジョブホッパーと認識される可能性が高いとされています。
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2.ジョブホッパーとキャリアビルダーの違い
ジョブホッパーと混同されやすい言葉が「キャリアビルダー」です。ジョブホッパーとキャリアビルダーは、複数回の転職を繰り返している点では同じであるものの、下記の通り転職の目的や内容が異なります。
ジョブホッパー | 将来を見据えて転職しているとは限らず、業界や職種が分散していることも多い。キャリアに一貫性がないため、転職市場でネガティブに評価される傾向にある。 |
キャリアビルダー | 自身のキャリアアップを目指して転職を繰り返しており、転職のたびに給与や役職が上がっていることが多い。そのため、転職市場でポジティブに評価される傾向にある。 |
3.ジョブホッパーの特徴
次に、ジョブホッパーに多く見られる5つの特徴について解説します。それぞれについて詳しく説明します。
- 迅速な決断と行動
- 自身の成長に意欲的
- 好奇心が旺盛
- 信念を固持
- コミュニケーションが得意
①迅速な決断と行動
ジョブホッパーは、ほかにやりたいことができたり、この会社は自分に合わないなどと感じたりした際、早々に退職してほかの仕事を探せる行動力があります。
こういった行動力ある人は、失敗を恐れず新しいことに挑戦できる人材とも言えますが、深く考えずに行動するような人にも見えてします。
②自身の成長に意欲的
スキルを磨いて成長したいという強い向上心を持っている傾向が強いとも言えます。自分にとって成長が見込めない環境だと感じれば、成長できる環境を求めて転職を考えます。
ジョブホッパーは、スキルを磨いて経験を積みたいという意欲を豊富に持っています。自分のスキルを磨くためには努力を惜しみません。
③好奇心が旺盛
ジョブホッパーは、新しいことに興味を持ち続ける傾向にあり、スキルや知識の習得を目指して転職するケースも多いとされています。
その好奇心が旺盛な様子はポジティブに捉えられることが多いですが、満足するとそれ以上を目指さずに次の仕事へ移りがちです。そのため、辛抱強くなく、飽きっぽいという印象を持たれることもあります。
④信念を固持
仕事に対する強い信念やこだわりを持っている場合は、自分の意見を優先してしまい、環境が合わないと判断したら早期に退職してしまうという特徴があります。
こういった行動が、身勝手や協調性の欠如と受け取られ、ネガティブな印象を与えることもあるので注意が必要です。
⑤コミュニケーションが得意
ジョブホッパーは、多様な人と交流する機会が多いため、一定以上のコミュニケーション力を身につけている傾向にあります。
そのため、社内に限らず社外の人間とも良好な関係を築きやすいでしょう。ただし、自分の考えに固執しすぎているジョブホッパーは、柔軟な思考ができず、周囲とのコミュニケーションが上手くとれなくなることもあります。
4.ジョブホッパーのメリット
ジョブホッパーは、一般的にネガティブな印象を持たれやすいですが、応募者側と企業側の双方にとってメリットがあります。
応募側 | ・幅広いスキルを習得 ・人脈が拡大 |
企業側 | ・希少な経験やスキルを確保 ・新たな人的ネットワークの獲得 ・従業員のモチベーションが向上 |
それぞれについて詳しく説明します。
応募者側
ジョブホッパーは、さまざまな業界や業種を経験しているため、応募するときにはいくつかのメリットを生かせます。
幅広いスキルを習得
複数の企業で働くことで多様なスキルや知識、経験を習得できるようになります。ひとつの企業に勤めていると、現職に関連しないスキルの習得は難しいため、ジョブホッパーの長所であり、応募するときのメリットだと言えます。
スキルや知識の組み合わせ次第では、転職市場で評価が高まる可能性があるでしょう。
人脈が拡大
複数社で勤務した経験から広い人脈を築き、多様なスキルや知識を得られることがあります。
たとえば、同じ業界や業種であっても、会社が違えば習得できるスキルや知見、経験も変わるはずです。転職の際にも、友人や元同僚などから事前に紹介を受け、スムーズに次の仕事が見つかることもあります。
企業側
企業側にとってみると、ジョブホッパーの一貫性がない転職を繰り返しは、どのキャリアも中途半端に終わってしまい、スキルや知見、経験が不足していると思われてしまうかもしれません。
幅広いスキルや知識、経験は持っているものの、アピールできるような専門性はない場合は、採用に至らないケースが多いです。
このように一見ネガティブにとらえがちであるものの、ジョブホッパーを雇うメリットもあります。そのメリットについて解説します。
希少な経験やスキルを確保
ジョブホッパーを雇うことで、希少性の高い職種や業務経験を持っている人材を確保できる可能性があります。育成が難しい職種やスキルを持つジョブホッパーを採用できれば、教育にかかる時間とコストを低減できます。
新たな人的ネットワークの獲得
ジョブホッパーは、転職を繰り返すことで、多くの人とのネットワークを持っている可能性が高いです。ときには、なかなか出会えないような専門家や企業の上級管理職とも知り合いであることも考えられます。
さらに、そういったジョブホッパーがもたらす新たな視点や思考が問題解決や新ビジネスのヒントになることもあるかもしれません。
従業員のモチベーションが向上
ジョブホッパーは、自身の成長に意欲的で好奇心が旺盛な特徴があります。そのため、新しい挑戦やスキルアップ、キャリアアップに対して積極的なジョブホッパーを採用すると、既存の従業員のモチベーションが高まるというよい効果を与えます。
ジョブホッパーの影響で主体的に動く従業員が増えれば、職場全体の効率性や生産性の向上につながります。
5.ジョブホッパーのデメリット
続いて、ジョブホッパーのデメリットについて解説します。
応募側 | ・ネガティブなイメージが定着 ・キャリアが中途半端 |
企業側 | ・周囲との対立 ・早期離職の可能性 |
それぞれについて詳しく説明します。
応募者側
まず、応募側であるジョブホッパーにとってのデメリットについて解説します。
ネガティブなイメージが定着
短期間に複数回の転職を行っているため、ネガティブな印象を持つ企業が多く、自社で活躍できる人材ではないと判断される可能性が高いのが現実です。
忍耐力や協調力が乏しいと判断されることもあるため、転職活動時にはその疑念を払拭し、採用コストに見合う人材で自社でも活躍できることを企業側に伝えることが重要です。
例1. 忍耐力が不足している
ジョブホッパーは、嫌になったらすぐに辞めるといった印象を持たれやすいです。根気強く取り組むことができるよう自分の適性や意欲を生かせる環境を選ぶ必要があります。
例2. 協調性がない
ジョブホッパーは、上司や同僚など周りの人とうまくやっていけなくてすぐ辞めてしまうのではないかと思われてしまう可能性があります。
実際のところ、独自のこだわりが強い人は、周囲と対立することもあるため、自分と企業の相性について熟考する必要があるでしょう。
キャリアが中途半端
一貫性がない転職を繰り返すと、どのキャリアも中途半端に終わってしまい、スキルや知識、経験が不足していると思われてしまうこともあります。
幅広い経験やスキルは持っているものの、アピールできるような専門性はないため採用に至らないケースも。
ジョブホッパーとして活躍したいのであれば、一貫性がある転職先を選んだり、「営業」といったひとつのスキルを磨く意識を持ったりする必要があります。
企業側
対して、企業側のデメリットもあります。ジョブホッパーを雇う際には注意したいことです。
周囲との対立
ジョブホッパーは、自身の考えにこだわりすぎるあまり、組織の連携を乱す恐れもあります。とりわけ、キャリア意識が高く、自分の能力を過大評価する傾向が強い人は雇う際に注意が必要です。組織内のパワーバランスが崩れるリスクが懸念されます。
早期離職の可能性
ジョブホッパーは、早期に見切りをつける傾向があるため、せっかく採用してもすぐに辞めてしまう可能性があります
一般的に採用活動には多大なコストがかかるため、早期退職は企業にとって大きな損失となります。
そのため、ジョブホッパーを受け入れる際は、ジョブホッパーの特性に合ったワンポイントの仕事を任せるのもよい方法だと言えます。さらに、ジョブホッパーが本腰を入れて転職を考えているのかを見極めることも重要です。
6.優秀なジョブホッパーの見分け方
優秀なジョブホッパーを採用できれば、即戦力となります。優秀かどうかの見分け方について解説します。それぞれについて詳しく説明します。
- 転職の軸に一貫性があるか
- 自身の強みや弱みを説明できるか
- 役職や給与が上がっているか
- 前職で実績を出せているか
①転職の軸に一貫性があるか
転職先の業界や職種に一貫性があるジョブホッパーは、目指す将来像やキャリアプランが明確で、ステップアップの手段として転職しているケースが多いため、優秀である可能性が高いと言えます。
面接時には「企業選びで重視するポイント」「何がやりたいのか、そこに向けて今まで何をしてきたのか」などを質問し、一貫性の有無を判断する方法が有効です。
転職の理由
転職の理由が将来のビジョンなどを見据えたポジティブなものであるか、確かめるような質問をするとよいです。
転職の理由が独立やスキルアップなどであればキャリアを見据えた前向きな転職と言える一方で、職場への不満などが垣間見える場合は注意が必要です。前職の退職理由を掘り下げて聞き出してみてください。
スキルの専門性
業界や職種に一貫性があれば、スキルや知見、経験の専門性が高まります。特殊なスキルを持っている場合は優秀なジョブホッパーと言えるでしょう。
自身のスキルアップ・キャリアアップを目的として転職をしている可能性が高く、自発的かつ継続的にスキルを高めようとする意欲的な人かどうか見分けるのがポイントです。
そのためには、専門的なスキルや知識、経験とそれらを活かした成果について質問してみてください。
②自身の強みや弱みを説明できるか
優秀なジョブホッパーは、自身を過大評価せず、客観的に自分の強みや弱みを説明できるはずです。対して、プライドが高く他責志向で自分のミスを認めない人は、短期離職を繰り返す傾向にあります。
そのため、仕事で失敗した経験とそのときの乗り越え方について質問するとよいです。
③役職や給与が上がっているか
転職のたびに給与や役職が上がっている場合は、優秀なジョブホッパーです。
反対に、給与が下がり続けている場合は、何かしら転職せざるを得ない事情を繰り返している懸念があります。ただし、年収が下がっていたとしても、成長につながる明確な理由があるかもしれません。
そこで、これまでの給与と年収が下がっているのならばその理由について聞くと良いです。
④前職で実績を出せているか
優秀である場合、成果を重視し、スキルアップと創意工夫に努める傾向が強いです。たとえば、PDCAを活用して確実な実績を残し、具体的な成果を残しています。
そのため、前職でどのような実績を残したか、について面接で聞いてみるとよいでしょう。曖昧にしか答えられない人は要注意です。
7.ジョブホッパー採用時の注意点
ジョブホッパーは短期離職する可能性が懸念されるため、採用時の注意点について解説します。それぞれについて詳しく説明します。
- スキルレベルの見極め
- 早期離職を前提に配属
- キャリアアップのサポート体制
①スキルレベルの見極め
まず、スキルのレベルを見極める必要性があります。自己評価は高くても、スキル習得前に転職している可能性もあります。そのため、採用時には実際のスキルレベルを見極める工夫が必要です。
②早期離職を前提に配属
短期間での転職を前提に適切なポジションを提供することが重要です。キャリアアップを求めてすぐに転職を考える傾向が強いため、長期的な事業や少数人数で回している部署などに配属するのは避けたほうが無難です。
③キャリアアップのサポート体制
ジョブホッパーの早期離職を避けるために、キャリアアップを支援する制度や体制を構築するのもひとつの手段です。ジョブ型雇用制度や各種研修、評価制度などを整え、ジョブホッパーが転職しなくてもキャリアを構築できる環境作りを心がけましょう。