就職内定率とは?【就職率との違い】計算方法、推移

就職内定率とは、就職希望者で内定をもらえた人の割合です。ここでは、就職内定率についてさまざまなポイントから解説します。

1.就職内定率とは?

就職内定率とは、就職を希望している者の中で、実際に企業から就職の内定をもらえた人数を率に換算したものです。

就職内定率は、厚生労働省・文部科学省が共同調査している公的統計の、

  • 大学等卒業予定者の就職状況調査
  • 高校・中学新卒者の就職内定状況等

の中で公表されています。

そのほか、学校教育法施行規則に基づき大学や高等学校などが、自分の学校の学生に関する就職内定率を独自に計算、公表するケースもあります。

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2.就職率と内定率

就職内定率には、就職率・内定率といったふたつの要素が含まれています。

ここでは就職内定率についてより正確に理解するために、それぞれについて解説します。

就職率

就職率について、文部科学省は以下のように取扱いを定義しています。

  • 就職希望者に占める就職者の割合をいい、調査時点における就職者数を就職希望者で除したもの
  • 就職者とは、正規の職員(1年以上の非正規の職員として就職した者を含む)として最終的に就職した者
  • 就職希望者とは、卒業年度中に就職活動を行い、大学等卒業後速やかに就職することを希望する者をいう

内定率

内定率とは、就職希望者に対し内定を得た人が占める割合です。内定率は、厚生労働省の調査をもとに発表されます。

  • 最新の内定率
  • 内定率の傾向

を知ることで、

  • 就活状況の把握
  • 就活状況に応じた対策

が可能になります。

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3.直近3年間の就職内定率の推移

直近3年間の就職内定率の推移は、厚生労働省と文部科学省が共同で行っている「大学等卒業予定者の就職状況調査」のグラフを見るとその傾向が理解できます。

ここでは、

  • 大学の就職内定率
  • 高等学校の就職内定率

の推移を簡単に解説します。

大学の就職内定率

大学の就職内定率について、

  • 2019年3月卒業者
  • 2020年3月卒業者
  • 2021年3月卒業者
  • 2022年6月時点

の就職愛定率の概況を解説します。

2019年3月卒業者の就職内定率の概況

2019年3月卒業者の就職内定率の概況は以下のとおりです。

  • 10月1日現在の内定率は、前年の75.2%から上昇し77.0%と調査開始以来最高値
  • 12月1日現在、2月1日現在の内定率も前年より上昇し、調査開始以来最高値の87.9%、91.9%
  • 4月1日現在の最終の就職率は前年よりやや低下した97.6%

2020年3月卒業者の就職内定率の概況

2020年3月卒業者の就職内定率の概況は以下のとおりです。

  • 10月1日現在の内定率は前年の77.0%よりは低下した76.8%と調査開始以来2番目の高値
  • 12月1日現在の内定率も同様に調査開始以来2番目の高値
  • 2月1日は過去最高の値
  • 4月1日も最高タイで、内定取り消しなど新型コロナウイルスの影響は出ていなかった

2021年3月卒業者の就職内定率の概況

2021年3月卒業者の就職内定率の概況は以下のとおりです。

  • 10月1日現在の内定率はコロナ禍の影響により前年から7.0%ポイント低下のの69.8%
  • 12月1日現在、2月1日の値も低下が続く
  • 4月1日現在の内定率は前年同時期に比べ2.0ポイント低下した96.0%で、調査を開始した1997年以来、リーマン・ショック後に次ぐ過去2番目の下落幅

2022年6月時点の就職内定率の概況

2022年6月時点の就職内定率の概況は、以下のとおりです。

  • 6月1日時点の大学院生を除く大学生の就職内定率は、前年同月11.6%上昇の68.5%
  • コロナ禍以前である2020年卒と同水準まで回復した
  • Webと対面の使い分けをした採用活動が進んでいる
  • 対面面接の経験割合を前年比で見てみると、1~3月は低く、4~5月は高くなっている

高等学校の就職内定率

高等学校の就職内定率について、

  • 2019年3月卒業者
  • 2020年3月卒業者
  • 2021年3月卒業者

の就職内定率の概況を解説します。

2019年3月卒業者の就職内定率の概況

2019年3月卒業者の就職内定率の概況は以下のとおりです。

  • 今春に卒業予定の高校生、105万8,897人
  • 就職希望者、18万6,312人
  • 内定者、前年同期比432人増の17万1,158人
  • 2018年12月末時点の就職内定状況は、前年同期と比べ0.4ポイント上昇の91.9%であり、9年連続前年同期を上回った

2020年3月卒業者の就職内定率の概況

2020年3月卒業者の就職内定率の概況は以下のとおりです。

  • 就職内定率は、前年同期から0.1%低下の98.1%
  • 男女比では、男子が前年同期比同の98.5%、女子は前年同期比0.1%低下の97.5%
  • 学科別内定率は、工業 99.5%、商業 98.9%、看護 98.9%、水産 98.8%、農業 98.7%、福祉 98.7%など

2021年3月卒業者の就職内定率の概況

2021年3月卒業者の就職内定率の概況は以下のとおりです。

  • 大学生の就職内定率は96.1%と前年とほぼ同じ水準
  • 新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んでいた内定率も、最終的には回復を示した
  • 新型コロナウイルス感染症の影響を受けにくい公務員や教員の進路を選択した者が増加した
  • 当初は志望していなかった企業に就職した学生が増加した

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4.就職内定率に影響を与える?就活ルール廃止と新型コロナ

就職内定率に影響を与えると考えられている、

  • 就活ルール廃止
  • 新型コロナウイルス感染症
    について、
  • 就活ルールの廃止
  • コロナ禍が与える就職活動への影響

といった観点から簡単にそのポイントを解説します。

就活ルールの廃止

就活ルールの廃止とは、

  • 新卒一括採用の見直し
  • 通年採用の拡大

のことです。

従来定められていた就活ルールが、2021卒の新卒採用から廃止されることが決定しました。ここでは、新しい就活ルールも含めて解説します。

これまでの就活ルール

これまでの就活ルールとは、経団連によって定められた就職活動のルールです。

  • 企業説明会など広報活動は、大学3年の3月以降
  • 面接など採用選考活動は、4年の6月以降
  • 正式な内定は、10月以降

に行うことが定められていました。

就活ルールは、

  • 極端に速い就職活動の防止
  • 学業時間の優先的確保

を目的としています。

就活ルール廃止後

就活ルールに関しては、

  • 今までの就活ルールは、経団連が制定
  • 2021年卒以降の就活ルールは政府が主導して制定

ということが決まっています。

現時点で政府は、「今後の経済情勢と企業の採用活動の関係を見極め、あり方を含め検討する」といった回答をしています。また、23年春卒・24年春卒も、「変更する必要が生ずる可能性は高くない」と確認が済んでいます。そのため、従来の就活ルール廃止後も、当面の間は就活ルールが大きく変更される可能性は少ないでしょう。ただし、25年春卒以降の扱いは未定となっています。

コロナ禍が与える就職活動への影響

コロナ禍が与える就職活動への影響については、さまざまな指摘がされています。

ここでは、

  • 初期面接はWeb上で、最終面接は対面で
  • オンライン説明会が盛況
  • スケジュールが後ろ倒しに

といったポイントから解説します。

初期面接はWeb上で、最終面接は対面で

コロナ禍が与える就職活動へのひとつ目の影響は、

  • 初期面接はWeb上
  • 最終面接は対面

で行われるケースが増えていることです。

コロナ禍で対面での面接は実施しにくい状況にあることから、エントリーシートの提出のほか、選考過程の初期段階はWeb面接によって人物の絞り込みを行う企業が多くなっています。一方、選考の後半になるほど対面による選考が重視される傾向あります。最終的には対面による人物評価で判断する企業が多いことがわかります。

オンライン説明会が盛況

コロナ禍が与える就職活動へのふたつ目の影響は、オンライン説明会が盛況であることです。オンライン説明会の利点は、距離的な障壁を排除できることです。21年卒向け説明会の参加者数を見てみると、昨年比3倍以上の増加となっています。オンライン説明会でより多くの説明会参加者を確保できたことがわかります。

オンラインしかできないことを逆に利用することで、就活の機会を増やすなど新たな就活モデルが誕生していることがわかります。

スケジュールが後ろ倒しに

コロナ禍が与える就職活動への3つ目の影響は、スケジュールが後ろ倒しになりがちなことです。新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中で、

  • 採用人数
  • 採用スケジュール

の見直しや調整に翻弄されています。

感染状況によっては、

  • 説明会の中止を余儀なくされる
  • 面接の日程が延期になる

など、当初の計画通りに進まないことが多く発生しています。就職活動のスケジュールが全体的に後ろ倒しになっていることがわかります。