ジョハリの窓とは?【わかりやすく解説】具体例、ワーク、4つの窓

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社内研修や人材教育のプログラムには、さまざまな内容があり、なかには自分を知るためのものが存在します。こうした自分を知ることに使えるジョハリの窓をご存じでしょうか?

ここではジョハリの窓のやり方や活用方法について紹介いたします。

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1.ジョハリの窓とは?

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対人関係に重きを置いたセミナーや研修を受けたことがある人はどのくらいいるのでしょうか?ジョハリの窓は、自己理解を深めるツールとしてグループワークでよく利用されています。

ジョハリの窓は、自己分析をしながら他者との関係を知ってコミュニケーションを模索する心理学モデルとして生まれました。ジョハリの窓はもともと1955年にアメリカで開催された「グループ成長のためのラボラトリートレーニング」の席上で「対人関係における気づきのグラフモデル」として発表されたものです。

心理学者ジョセフ・ルフトとハリ・インガムが考案

発表したのはサンフランシスコ州立大学の心理学者ジョセフ・ルフト (Joseph Luft) とハリ・インガム (Harry Ingham)で、二人のファーストネームを取ってジョハリの窓と呼ばれるようになりました。

ジョハリの窓はアメリカで注目を浴びるとともに、日本でも普及しました。特に企業のコミュニケーションの促進や能力開発、キャリアコンサルティングのフィールドで自己分析ツールの一つとして利用されています。

主観と客観の両面から自分自身を認識するための自己分析ツール

ジョハリの窓とは、自分と他人の認識のズレを理解する自己分析ツールです。自分の性格は自分が一番知っていると思い込んでいる人も多いでしょう。しかし実際は自分のことゆえに見えない性格なども多いのです。

ジョハリの窓は他者と自分の関係から自己分析、自己への気づきを促し、人間関係やコミュニケーションの円滑な進め方を模索するために作られました。

自己開示の度合いが判定できる

ジョハリの窓からは、自己をどれだけ開放しているのかという度合いがわかるのです。特に秘密主義で感情や考えを表に出さないという人は、ジョハリの窓で多くの気づきを得られるでしょう。

ジョハリの窓では自己をどれだけ周りに表現しているか、どれだけオープンな人間かについても判明します。その結果を受けて隠された才能や未知の能力を開花させることもジョハリの窓の目的です。

「他人は自分をどう捉えているのか」という「気づき」を通して自己理解を深める

ジョハリの窓では、自分で気づかない特徴や自分が他人からどのように思われているかについてもわかります。

  • 今まで知らなかった自分の能力を知る
  • 短所に気づく

これらが、自分を成長につながる手立てを模索する糸口となるのです。

従業員が自身で新たな能力を知ることも大切ですが、眠っているスキルを発掘してあげることも企業の役割です。

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2.ジョハリの窓のフレームワークが自己理解に効果的な理由

人にはopen self(公開されている自己)とhidden self(隠されている自己) が存在します。加えて、他者の視点からのblind self(自分は知らないが他者は知っている自己)やunknown self(誰にも知られていない自己)もあるとされています。

ジョハリの窓のフレームワークでは、blind self、つまり他者は知っているが自分は知らない自己の窓を、こじ開けていきます。自己を深く理解した上で、対人コミュニケーションを円滑にする方法が模索されるジョハリの窓は、自己分析のフレームワークとして多くの人に用いられています。

企業側で従業員のスキルや個性といった人材情報をしっかりと集約・管理できていれば、その情報を渡すことで従業員の自己理解を促すことが可能です。

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3.ジョハリの「4つの窓」の意味と具体例

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ジョハリの窓では、自分の特性や自分に対する理解を4つの領域に分類し、それぞれを「窓」にたとえて考察します。

  • 開放の窓
  • 盲点の窓
  • 秘密の窓
  • 未知の窓

個人の自己分析と、他者による分析の結果を統合し、これら4つの窓に当てはめていきます。

通常は、開放の窓(自分も他人も知っている特性)を広げること、そして未知の窓(自分も他人も知らない特性)を狭めていくことが目指されます。

開放の窓とは?具体例

open self:自分も他人も知っている自己のことで、自他ともに理解している性格などが該当します。

盲点の窓とは?具体例

blind self:自分では気が付くことができていないが、他人は知っている自己のことで、個人の思考のクセや思わぬ長所などが、これに当たります。

秘密の窓とは?具体例

hidden self:他人には知られていない、自分だけが知っている隠された自己のことです。コンプレックスやトラウマなども、こちらに該当します。

未知の窓とは?具体例

unknown self:誰からもまだ知られていない、自己も他人も知らない自己のことです。一般的には秘められた性格や才能などのことを言います。

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4.企業研修で「ジョハリの窓」理論が導入される目的

ジョハリの窓の利用シーンのひとつに、企業研修が挙げられます。ジョハリの窓に取り組むグループワークなどの導入により、企業は社員の対人関係スキルの向上を目指したり、会話の行き違いを少なくして社員同士のコミュニケーションを円滑にすることを目指します。

人材が自分自身を見つめ直す機会を与えること、それにより業務をより円滑に進めることができるようになること。これらを主とした目的に据え、いま多くの企業がジョハリの窓の企業研修に取り組んでいます。

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5.ジョハリの窓の実施方法の種類

ジョハリの窓を描くには、主に3つの方法があります。

  1. 紙やペンを用いて自由記述する手法
  2. 一般的な性格・能力の項目から該当内容を選択する手法
  3. 無料の診断アプリなどを利用する手法

①紙やペンを用いて自由記述する手法

自己や他人に対する認識を、自由なフォーマットで表現することができる手法です。紙とペンさえあれば実施可能であり、最もお手軽にジョハリの窓を体験することができます。

グループワークの場合には、記述される内容の量・質をチームメンバー間で統一することが困難になるため、記述内容に関して事前にすり合わせる時間を確保することが重要となります。

②一般的な性格・能力の項目から該当内容を選択する手法

「話し上手」「発想力がある」「向上心がある」など、あらかじめ選択肢が提案されている状態で、個人の特性に合わせて項目を選択していく形式です。自由記述よりも評価をスムーズに行いやすい一方で、表現の幅が狭まるため、的を射た評価はしにくくなる傾向があります。選択肢のテンプレートなどをダウンロードして実施することが一般的です。

③ 無料の診断アプリなどを利用する手法

自己分析アプリや、ジョハリの窓に関連するアプリをインストールして実施する方法です。4〜8名程度であればオンライン上で無料でグループワークを行うことができます。気になる方は、ぜひ検索してみてください。

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6.ジョハリの窓の使い方(ワークの基本)

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複数の実施方法があるなか、今回は「②一般的な性格・能力の項目から該当内容を選択する手法」についてご紹介します。ジョハリの窓を描くのに必要となる基本的な情報をおさえましょう。

ジョハリの窓を描くために必要な準備

性格や能力のカテゴリーは学者によって異なることも多く、明確にこれと決まったものはありません。準備するのは2種類の用紙で、1枚目は最終的に完成させるための用紙で、2枚目は自分や他人の性格や能力を記入するための用紙です。

基本のワークの進め方

1枚目は、格子状に4つに区切り、左上から時計回りに開放の窓、盲点の窓、未知の窓、秘密の窓となります。2枚目には、性格に該当するであろう要素を記入します。

心理学者オルポート(G.W. Allport)の調査では性格を表す言葉は17,950個に上るといわれていますが、適宜目的にあったものを選びます。ジョハリの窓を職場で行う場合、仕事への考え方や周囲とのコミュニケーションに焦点を当てることが多いでしょう。

性格を表す言葉は、

  • 勝気である
  • 社交的である
  • 流行に敏感である

のように直感的に回答できる項目を列挙します。この2枚の紙と筆記用具で準備は完了です。

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7.複数名のグループワークでジョハリの窓を描く方法

グループワークで行う場合、参加者1人当たり、1枚目の用紙を1枚、2枚目の用紙を参加人数分(自分を含めた参加者が6名の場合は6枚)用意します。

2枚目の用紙には自分の名前を書き、自分自身に当てはまる項目に丸を付けましょう。次に他の参加者の名前を書いた2枚目の用紙に、他の参加者の性格や能力を分析して、当てはまる項目に丸をつけ、記入後に該当する参加者に渡すのです。

すると手元には自分で記入した2枚目の用紙と他の参加者が記入した用紙が残るはずです。2枚目の用紙が全てそろったら集計しましょう。

そして1枚目の用紙を用意し、

  • 開放の窓:自分が丸を付け、他人も丸を付けた項目
  • 盲点の窓:自分が丸を付けなかったが他人が丸を付けた項目
  • 秘密の窓:自分が丸を付けて他人が丸を付けなかった項目
  • 未知の窓:他人も自分も丸を付けなかった項目

にそれぞれを振り分けます。少々手間がかかりますが完成したら参加者全員で結果を公開しましょう。

実施にあたっての注意点

ジョハリの窓は自己を見つめ直すとともに、相手に対してどのように感じているのかを公開するものです。人によっては今まで隠してきた感情や性格が吐露されることもあり、今後の人間関係に亀裂を入れないために留意すべき点を紹介しましょう。

まずジョハリの窓で使用する言葉にネガティブなもの、人間性を否定するものは入れないようにします。たとえば、臆病であるという項目がある場合、慎重のようにポジティブなワードに言い換えましょう。性格が暗いという項目は、性格が明るいという項目にして逆説的に判断します。

しかし、どれだけ注意しても繊細な人や自己否定傾向が強い人はネガティブに受け取ります。他人からどう思われているかという情報はセンシティブな問題のため、深刻にならないよう、あくまで研修やグループワークの一環として楽しみつつ実施しましょう。

また、自己分析や他己分析が苦手という人もいますし、心の奥に触れるためコンプレックスが刺激されることもあります。ジョハリの窓は上手に活用すれば、人間関係を円滑にするツールですが、向き不向きもあります。どうしても参加したくないという人に無理強いするような行動は慎みましょう。

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8.一人でジョハリの窓に取り組む場合の方法

ジョハリの窓は基本的には、知り合いを集めて行いますが、複数人集めるとなると時間や手間がかかります。また検査項目などは主催者が決めるため、内容に偏りが生まれる危険性もあるでしょう。

さらに知り合いといっても長い付き合いなのか顔見知り程度なのか、さらに人の短所を指摘できるタイプなのか本音が言えないタイプなのかでも大きく結果が変わります。メンバーによっては表面的な結果しか得られないこともあるでしょう。

そこで自己分析診断テストでジョハリの窓を行う自己分析ツールも登場しました。本格的な自己分析が可能で、主観的な自分と客観的に見た自分を比較分析でき、自己理解のズレを知りたい人にも選ばれているのです。

これは就職活動前に自己分析をより深く行いたい人や、自分に合った仕事がわからないという人にも適したツールです。ジョハリの窓は必ずしもグループワークで行うのが良いわけではありません。その時々に応じた形でジョハリの窓を応用しましょう。

ジョハリの窓から得た情報も、従業員のスキル・個性に関する重要なものです。研修履歴や従業員のスキル・個性などの情報を一元管理できる「カオナビ」を活用して、人材情報を戦略的に活用しませんか?
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9.実施結果の診断・活用法

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心理学のツールは結果が出たところがスタートです。ジョハリの窓をどのように活用すればいいのでしょうか。まず、シートの窓の意味から説明を始めます。

名称 意味
開放の窓 公開された自己(open self)
他人も自分もわかっている性格
盲点の窓 自分は認識していないものの他人からは見られている自己(blind self)
自分が気づいていない思考のクセや意外な長所など
未知の窓 自分も他人もわからない、知られていない自己(unknown self)
秘密の窓 自分は認識していても隠していたり、表に出せない隠された自己(hidden self)
コンプレックスや相談できないトラウマなどがこの窓に表れることも

分析結果の活用法:「開放の窓」を拡げるために

作成したジョハリの窓はそれ自体が興味深く、またショッキングでもあります。結果を見て意外な自分がいることに気がついた人、他人から見た自分にショックを受けた人などいるでしょう。

ジョハリの窓は実施後の活用がポイントとなります。ジョハリの窓の活用方法は、作成した窓から自分の伸ばすべき才能を見つけ出すことです。

コミュニケーション力を高めるには?

コミュニケーションをスムーズにするなら、左上にある開放の窓の領域を拡げるよう意識しましょう。

開放の窓には相手と自分の両方が一致した特徴が記入されており、ここにカテゴライズされた項目が多い場合、それだけオープンつまり自分を開示していることになるのです。

特に自分の才能や能力を発揮している人はこの項目が多い傾向にあります。逆に項目が少ない場合、人からはよくわからない人と思われている、もしくは自分のことを分析できていないと考えられます。

例えば左の窓の格子を下に下げる、つまり開放の窓を拡げて秘密の窓を減らします。今まで隠していた自分をさらけ出して、他人が自分について知っている領域を拡げましょう。

ありのままの自分を見せることはコミュニケーションを円滑にして、素直な自分になるということです。これは秘密の窓に分類されている隠された能力にもいえるでしょう。実は積極性があるのに周囲に伝わっていない場合、積極性を行動で示すことでありのままの自分を表現できます。

他者の視点を自分の「気づき」に

開放の窓を拡げるには右方向に窓の格子を動かす、つまり開放の窓を増やして盲点の窓を少なくすることも重要です。自分に対する正直な評価は社会のなかで役割を果たすために役立ちます。

自分が認識していないだけで意外な才能があるという可能性がこの窓には秘められているのです。

長所や短所を知る

たとえば自分では意識していなくても他人からは要領が良いと思われているなど、自分では気がつかなかった長所がわかることもあります。このような他人の評価をフィードバックすることで自分の成長につながるでしょう。

ジョハリの窓では、自分が思いもよらぬ長所に恵まれたケースだけでなく、自分で気がつかなかった短所を指摘されるケースもあります。

フィードバックを受けて意固地になったり怒りを感じたりする人も珍しくはありません。しかし、今後の成長を望むのであれば感謝をもってフィードバックを受け取りましょう。

アドバイスやフィードバックの受け取りが上手な人は、周囲もサポートしたい・見守りたいと感じるためより多くの助言を与えてくれ、結果、気づきのチャンスつまり成長のチャンスに恵まれるのです。

自分ではなかなか改善すべき性格や短所、クセに気がつきません。普段から一緒にいる同僚や上司から指摘してもらうと成長につながります。

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まだ見ぬ自分を開発

自分が知らない自分はジョハリの窓では右下の窓に表れます。右下の窓は未知の窓で開放の窓とは対極、つまり自分が知らず他人からも知られていない自分ということです。

年を重ねれば年を重ねるほど未知へのチャレンジは難しいですし失敗したらどうしよう、今まで通りでいいと感じてしり込みする人も多いでしょう。

しかしこの窓は新しい自分の可能性が満ちた窓今までの自分を変えたい、新しい自分を見つけたい人にはヒントとなるのです。

こうして新しく開発された才能は、未知以外のどれかの窓にカテゴライズされます。この才能が開放の領域に踏み込むことは、才能が開花、つまり自己開発されたということになるのです。

新たに開発するだけでなく、潜在的な能力・才能を発掘することも人材育成の役割の1つ。

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10.ジョハリの窓で「開かれた組織」の実現を

ジョハリの窓は同期や同僚同士のほか、上司と部下などさまざまな関係のなかで応用できます。

特に上司と部下の関係では、上下関係から本当の自分を見せられないという人もいるはずです。また少人数のチームなどでも職階が気になって自分が出せないこともあります。一方で上司が自分をどう思っているのかが気にならない人はいません。

ジョハリの窓のようなツールを使うことで、わかりやすくポジティブな形で上司の評価やこれからの期待値を知ることができるのです。

さまざまなグループや職場でジョハリの窓が効果を発揮します。職場では開放の窓を拡げることでお互いの考え方やアイディア、仕事に対する意識などが明らかになります。

お互いに隠し事をしない、無理をしなくても自分を出せる関係性はコミュニケーションも活発でそれぞれが成長するチャンスに富むでしょう。

ジョハリの窓を行った効果は、日常生活にも表れます。自分の開放の窓を拡げるようなイメージで人と接してみましょう。自分がまずオープンになることで相手も警戒感をなくし、ありのままの自分を見せてくれるようになるはずです。


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