受領書とは? 領収書との違い、役割、書き方、重要事項

受領書とは、商品やサービスを受け取ったと相手に通知する書類です。ここでは受領書についてさまざまなポイントから解説します。

1.受領書とは?

発注者が商品やお金などを受け取った際、相手に対し受け取ったと通知する書類のこと。まず受領書と間違えやすいもの、そして受領書が不要な場合はあるのか、2点について解説します。

受領書と間違えやすいもの

受領書と間違えやすいものは、下記の3種類です。

  1. 納品書
  2. 領収書
  3. 見積書

①納品書

商品の明細が記載されている書類のことで、商品を取引先に納品する際、商品と一緒に取引先に提出します。受領書との違いは、下記のとおりです。

  • 受領書:商品や金銭を受け取ったと相手に通知する書類
  • 納品書:納品する商品の明細を相手に通知する書類

②領収書

受注者が代金の振り込みや受け取りについて証明する書類のこと。受領書との違いは、下記のとおりです。

  • 受領書:発注者が商品やものを受け取った場合に発行する
  • 領収書:受注者が代金としての金銭を受け取った場合に発行する

③見積書

仕事の依頼を受けた際、受注者が取引先に対して提出する書類です。見積もりの対象とした商品やサービスなどの内容や数量、単価と合計金額、納期などが記載されています。

見積書は受注者が商品やサービスを比較・検討するため取引先に求める書類です。将来の取り引きにつながるかもしれない重要な書類といえます。

受領書が不要な場合はあるのか

2020年に改正された電子帳簿保存法によって、一部をのぞいて紙の領収書が不要になりました。ただし電子化後に受領書を破棄できるのは、税理士といった専門家が確認したあとに限定されています。

受領書は、発注者が商品やお金などを受け取ったとき、相手にそれらを受け取ったと通知する書類です

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2.受領書の役割

受領書はビジネスシーンで広く用いられる書類です。受領書の役割は何か、下記4点から見ていきます。

  1. 納品の有無の確認
  2. 信頼関係の維持
  3. 取引の円滑化
  4. 証拠の保管

①納品の有無の確認

商品やサービスのやりとりが契約どおり適正に行われているかどうか、確認する役割があります。そのため受注者側にとっては、取引先への納品が完了したと証明する書類に、発注者にとっては、受領を受注者に報告する書類になるのです。

②信頼関係の維持

受領書の発行によって、商品やサービスが適正に納品されたと証明されます。商品やサービスを発送した側は、不達といった最悪の事態にならなかったと確認できるのです。このように取引状況を確認できるため、相互に信頼関係を構築できます。

③取引の円滑化

受領書を発行すれば、取引が円滑に完了したかどうかを確認できます。特に初めての取引だったり取引金額が極めて高額だったりする場合、取引情報の確認が重要になるでしょう。受領書の発行によって、取引の円滑化に大きな役割を果たすのです。

④証拠の保管

受領書によって、相手が商品やサービスを受け取ったと証明されます。このように何らかの取引があったと証明きる書類を、証憑書類と呼ぶのです。受領書は証憑書類のひとつ。万が一、取引でトラブルが起きても、証拠としての役割を果たしてくれます。

受領書の役割は「納品の有無の確認」「信頼関係の維持」「取引の円滑化」「証拠の保管」の4つです

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3.受領書の書き方

受領書を書くには、記載項目を覚えておくとよいでしょう。受領書に記載すべき項目とテンプレートの活用について解説します。

  1. 発行日
  2. 宛名
  3. 発行元の正式名称と住所
  4. 担当者の押印
  5. 受領した物品の内訳
  6. テンプレートの活用

①発行日

発行日とは、受領書を発行した日付のこと。受領書を発行した日付の記録は、トラブルの際、証拠になります。可能であれば、受領書を発行した日付と納品された日付、両方を記録しておきましょう。より確実に取引を把握できるため、大きな証拠になるからです。

②宛名

宛名には、企業名や担当部署、担当者の氏名を記載します。その際、正式名称を再度確認して間違いのないよう記載しましょう。ビジネス書類で宛名の間違えは厳禁。正式名称は取引先が発行する書面だけでなく、ホームページや書類などでも確認します。

③発行元の正式名称と住所

受領書を発行する際、発行元の企業名や住所、電話番号やメールアドレスなどの連絡先、担当者の氏名を記載します。名称は略称でなく、正式名称を記載しましょう。受領書の発行元の証拠が残るため、間違いなく正しく記載しなければなりません。

④担当者の押印

商品を受け取ったと証明するため、押印か手書きのサイン、どちらかが必須です。一般的には、取引き担当者が押印やサインを行います。ただし会社単位での取引・取引金額が多額の場合などは、社印を押すケースもあるのです。

⑤受領した物品の内訳

受領書は、商品やサービスを受け取ったと証明します。そのため受領した商品やサービスの名称、単価や数、合計金額といった内訳を詳細に記載するのです。正しい数字を記載しないと、あとでトラブルになる場合もあります。注意しましょう。

⑥テンプレートの活用

受領書を作成する際は、テンプレートを活用するのがおすすめです。受領書には、さまざまな記載項目があります。項目の設定や記載漏れを防ぐためにも、必要な項目が網羅されたテンプレートを賢く活用するとよいでしょう。

さまざまなビジネス書類のテンプレートが無料で利用できるサービスもあります。

受領書には記載すべき項目があるのです。記載項目が網羅されているテンプレートを活用するとよいでしょう

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4.受領書における注意事項

受領書を作成する際、何に注意すればよいのでしょう。下記5つについて解説します。

  1. 発行のタイミング
  2. 金銭のやり取りがあれば印紙は必要
  3. 受領書の保管期間
  4. 返送する際の敬称
  5. 受領書の電子化も可能

①発行のタイミング

受領書の発行期限について決まりはないものの、できるだけ早く発行しましょう。

取引の当事者間で認識にズレがあると、トラブルに発展する可能性もあります。受領書を発行しないケースもあるため、取引では事前に受領書の発行の有無を確認しておきましょう。

②金銭のやり取りがあれば印紙は必要

受領書は「金銭または有価証券の受取書」に該当します。よって「記載金額が5万円未満なら非課税」「記載金額が5万円以上100万円以下なら200円分の印紙が必要」となるため、印紙を貼る際は、割印を押すことも忘れないようにしましょう。

③受領書の保管期間

信憑書類は取引に関する証拠になるため、一定期間の保管期間が定められています。保管期間は書類の性質によって異なるものの、多くは7年間です。受領書も原則、7年間保管しておくとよいでしょう。

④返送する際の敬称

受領書の提出者の欄に、

  • 「様」「御中」など敬称がある
  • 宛先に敬称がない、または「行」

とある場合があります。この場合、下記のように対応しましょう。

  • 提出者の「様」「御中」を二重線で訂正する
  • 取引先の「行」を「様」「御中」に訂正する

⑤受領書の電子化も可能

ビジネス文書の電子化に伴い、受領書の電子化も進んでいます。受領書を電子化すれば、
サインや署名、印鑑なども電子タイプを活用できますし、受領書の保管場所にも困りません。さらに手軽にアクセスできて、バックアップにより紛失リスクを回避できるのです。

受領書を正しく作成・発行するには重要事項があります。また受領書の保管期間は原則、7年間です

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5.受領書の作成で困ったら

受領書の作成に困った場合、どこに相談すればよいのでしょう。ここでは受領書の作成についてアドバイスしてくれる窓口を紹介します。

  1. 商工会議所
  2. よろず支援拠点
  3. 東京都中小企業振興公社

①商工会議所

設置されているビジネスサポートデスクでは、受領書の作成以外にも下記のようなさまざまな課題に対して、無料で相談にのってくれます。

  • 資金調達
  • 弁護士や税理士などの管轄である専門分野
  • 事業引継ぎ支援
  • 創業支援、起業支援

②よろず支援拠点

よろず支援拠点とは中小企業や小規模事業者のため、国が日本各地に設置した無料の経営相談所のこと。受領書作成といった課題解決から、先進的な経営アドバイスの提供や専門家チームによるアドバイスなどトータルサポートが受けられます。

③東京都中小企業振興公社

東京都中小企業振興公社は東京都における団体です。「弁護士・公認会計士・税理士・行政書士・中小企業診断士・ITコーディネーター」などの専門相談員に電話やメール、来所やオンラインなどで相談に乗ってもらえます。

受領書の作成で困ったら、「商工会議所」「よろず支援拠点」「東京都中小企業振興公社」といった窓口を上手に活用しましょう