介護保険証とは? 受け取り方や必要になる場面、返却方法について

介護保険証とは、市区町村から交付される介護保険被保険者証のことです。ここでは、介護保険証について解説します。

1.介護保険証とは?

介護保険証とは、65歳における介護保険の第1号被保険者になると、医療保険の保険証とは別に、市区町村から1人1枚交付される介護保険被保険者証のこと。ここでは介護保険被保険者証の受け取り方について、解説します。

介護保険被保険者証の受け取り方

住まいのある市区町村の介護保険を取り扱う窓口が、65歳以上の人に介護保険被保険者証を郵送するのです。介護保険課や高齢者支援課など、担当部署の名称は各自治体で異なります。

介護保険証とは、65歳以上の介護保険第一号被保険者に交付される保険証のこと。住まいのある市区町村が郵送で発行しています

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2.介護保険証を使う場面とは?

65歳以上になって市区町村から発行された介護保険証を使う場面について、下記の3つを解説します。

  1. 介護サービス計画を立てる
  2. 要介護認定の申請を行う
  3. 介護給付費の支給申請を行う

①介護サービス計画を立てる

介護サービスと介護予防サービスを利用する場合、それぞれの計画作成が必要になります。介護保険の被保険者は、これらサービス計画の立案を目的として、最初にサービス事業者に対し介護保険証を提出するのです。

②要介護認定の申請を行う

介護サービスを利用する場合、申請書・介護保険証を市区町村に提出し、要介護認定の申請を行います。

市区町村は申請にもとづいて被保険者を「要介護1~5」「要支援1・2」「非該当(自立)」のいずれかに認定するのです。非該当以外に認定されれば、サービスを利用できます。

③介護給付費の支給申請を行う

介護給付費とは、福祉用具購入費や住宅改修費などにかかわる費用のこと。支給申請をする際、利用者は市区町村に申請書と一緒に介護保険証を提出します。

そして利用者は、サービスにかかわる費用の1~2割を負担するのです。残りおよそ9割は、介護給付として介護保険からサービス事業者に支払われます。

介護保険証を使う場面は、「介護サービス計画を立てる」「要介護認定の申請を行う」「介護給付費の支給申請を行う」の3つです

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3.介護保険証の交付対象者とは?

介護保険を利用する際、介護保険証が必要になります。介護保険証の交付対象者は、2種類です。対象者それぞれについて解説しましょう。

  1. 第1号被保険者
  2. 第2号被保険者

①第1号被保険者

65歳以上になると、介護保険の第1号被保険者となります。とはいえ第1号被保険者であれば、自動的に介護保険サービスを受けられるわけではありません。

介護保険サービスを利用する際は、保険者である市区町村へ介護保険被保険者証と一緒に申請書を提出し、要介護認定をしてもらう必要があるのです。

②第2号被保険者

介護保険の第2号被保険者とは、「40歳以上65歳未満」「医療保険に加入している」という条件を満たした人のこと。医療保険とは、「国民健康保険・全国健康保険協会・健康保険組合」のことです。

これらの医療保険に加入している場合、40歳になると特段の手続きをしなくても自動的に第2号被保険者になります。

介護保険の利用には、介護保険証が必要です。交付対象者には、第1号被保険者・第2号被保険者の2種類があります

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4.介護保険証を保有していると利用できる介護サービス

介護保険証を保有しているとさまざまな介護サービスが利用できます。ここでは、介護サービスを利用する際に必要な5つのステップと、介護保険負担割合証について解説します。

  1. 要介護認定の申請が必要
  2. 認定調査と主治医意見書の作成
  3. 全国一律の基準で行われる審査判定
  4. 介護サービスの利用方法について決定するケアプランの作成
  5. 介護サービス利用の開始
  6. 介護保険負担割合証について

①要介護認定の申請が必要

利用者は、申請書と介護保険証を市区町村に提出して、要介護認定の申請を行います。状況によっては、以下に挙げるような関係者らによる申請代行も可能です。

  • 家族
  • 生年後見人
  • 地域包括支援センター
  • 指定居宅介護事業者
  • 介護保険施設

②認定調査と主治医意見書の作成

認定調査と主治医意見書とは、下記のとおりです。

  • 認定調査…市区町村の職員が自宅を訪問して行う、本人の心身に関する調査
  • 主治医意見書…主治医が申請者の疾病や負傷の状況について意見を記したもの

介護サービスを利用する際は調査のうえ、これらの書面を作成します。

③全国一律の基準で行われる審査判定

コンピューターに調査結果と主治医意見書の一部項目を入力し、全国一律の判定方法により要介護度の一次判定を行います。そして一次判定の結果と主治医意見書にもとづき、介護認定審査会によって要介護度の二次判定を行うのです。

④介護サービスの利用方法について決定するケアプランの作成

要介護度が決定したら、介護サービス計画書や介護予防サービス計画書といった、いわゆるケアプランを作成するのです。作成に関する相談先は、「要支援1~2…地域包括支援センター」「要介護1~5…ケアマネジャーのいる居宅介護支援事業者」となります。

⑤介護サービス利用の開始

前のステップで作成したケアプランをもとに、介護保険のサービスや福祉サービスの利用を開始します。介護保険を使って利用できるサービスは、「要支援1~2…予防給付」「要介護1~5…介護給付」の2種類です。

⑥介護保険負担割合証について

介護保険負担割合証とは、各被保険者の負担割合を知らせるもの。被保険者によって費用の負担割合が異なるため、前年の所得をもとに負担割合を決定し、要介護・要支援の認定を受けた人と事業対象者に対し、原則7月に送付する運びになっています。

介護サービスを利用する際は、介護保険被保険者証と介護保険負担割合証の2つが必要です。

介護サービスを利用するには、5つのステップを踏みます。利用の際は、介護保険被保険者証と介護保険負担割合証が必要です

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5.介護保険制度とはどのようなものなのか?

介護保険制度は「高齢者の増加・核家族化の進行・介護離職」が社会問題となるなか、家族の負担軽減や社会全体で介護を支えるために成立しました。ここでは下記2つについて解説します。

  1. 介護保険制度成立の背景
  2. 介護保険制度の目指すところ

①介護保険制度成立の背景

介護保険制度成立の背景は、3つです。それぞれについて解説しましょう。

個人の生活に根ざした介護保険制度

介護保険法は、「加齢による心身機能低下・疾病・ケガ」により要介護状態になった高齢者が自立した日常生活を送れるよう制定されました。

介護保険法にて介護や医療サービスは、高齢者の身体状況や生活環境に応じて、介護事業者により総合的に提供されるものとされています。

サービス選択の自由度が増した

介護保険制度成立以前、自治体が介護の必要となった高齢者に必要と考えるサービスを、措置として決定していました。

しかし「サービスを選択できない・サービスが画一的である」点が問題視されていました。介護保険制度の成立により、「さまざまな介護事業者による多彩なサービス提供」「利用者は自分に合ったサービスを選択・契約できる」仕組みが構築されたのです。

介護の社会化について

1980年代、社会的入院や寝たきり老人が社会問題化していました。それにもかかわらず当時の老人福祉法では、高齢者が十分な療養生活を送れない状況になっていたのです。

現在はさらに高齢化が進み、「要介護状態の高齢者が増加」「介護期間の長期化」が顕在化しました。その結果、介護の社会化に向けた声が高まり、2000年に介護保険制度が施行されたのです。

②介護保険制度の目指すところ

介護保険制度の目指すところは、介護保険制度の基本理念にある「すべての高齢者が人間としての尊厳を保つ」「自立した生活を送れる」「地域社会で支え合いながら介護サービスの充実を目指す」ことにあります。介護保険制度は、下記の柱で成り立っているのです。

  • 被介護者の自立をサポートする「自立支援」
  • 本人が自由選択した介護サービスを総合的に受けられる「利用者本位」
  • 保険料に応じてサービス、給付金を受ける「社会保険方式」

介護保険制度成立の背景には、「個人の生活に根ざすサービス」「サービス選択の自由」「介護の社会化」などがあります

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6.介護保険法改正について

介護保険法は、平成27年に改正されました。ここでは、介護保険法改正について、下記5つの観点から解説します。

  1. 介護納付金における総報酬割
  2. 自己負担額の増額
  3. 共生型サービスの変更点
  4. 介護医療院について
  5. 福祉用具のレンタル価格の適正化

①介護納付金における総報酬割

介護保険法の改正では、介護納付金における総報酬割が変更されました。改正前までは、「介護納付金」と呼ばれる各医療保険者が納付する金額は、医療保険加入の第2号被保険者の人数で決定していたのです。

それが改正により、介護納付金に総報酬割が導入され、40~64歳の被保険者による負担は収入に応じて変動するようになりました。

②自己負担額の増額

介護保険の改正では、自己負担額が増額されました。改正前までは、サービス利用料の自己負担額は、所得に応じ、1割もしくは2割負担だったのです。

それが改正により、介護保険のサービス利用者のサービス利用料自己負担額が増額され、現役並み所得相当である340万円以上の所得がある高齢者は3割負担となりました。

また世帯の誰かが市区町村民税を納めている人の介護保険サービス費自己負担額の上限額は、3万7,200円から4万4,400円へ引き上げられたのです。

③共生型サービスの変更点

介護保険の改正で、共生型サービス(高齢者や障がい者が同じ事業所でサービスを受けやすくする新しいサービスの形)にも変更点があります。

改正前までは高齢者と障害者は別々の事業所でサービスを受けていました。しかし改正後は、障害福祉サービス事業所などでも、介護保険事業所としてサービスが提供できるようになったのです。

④介護医療院について

介護保険法の改正で、介護医療院(長期にわたり療養を必要とする要介護者に対し、医療・看護・介護・生活上の世話を行うための施設)が創設されました。

改正前までは、「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設(介護療養病床)」といった公的介護保険施設がありました。このうち介護療養病床が、新たに介護医療院に転換されたのです。

⑤福祉用具のレンタル価格の適正化

介護保険法の改正で、福祉用具のレンタル価格が適正化されました。従来の介護保険法では、福祉用具のレンタル価格は、レンタル業者ごとに異なっていたのです。そのため不当に高額な料金を設定する事業者の存在が、問題となっていました。

改正後は、「商品ごとの全国平均の貸与価格公表」「商品ごとの貸与価格の上限設定」「事業所へ機能や価格の異なる複数商品の提示を義務付け」といった対応策が取られ、利用者は相場観を見ながら商品を選択できるようになったのです。

介護保険法改正により、「介護納付金の総報酬割の導入」「自己負担額の増額」「共生型サービスの導入」「介護医療院への転換」「福祉用具レンタル価格の適正化」などが実現しました

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7.知っておきたい介護保険料のこと

介護保険制度は、「40歳以上の国民全員が納めた介護保険料」「国や市区町村の公費」を1:1の比率で合わせて賄われているのです。ここでは下記2つについて解説します。

  1. 介護保険料の支払い
  2. 標準報酬月額

①介護保険料の支払い

介護保険料の支払いは、40歳の誕生日の前日(満40歳になる日)が属する月から生涯続きます。介護保険料の支払い方法について、「第1号被保険者の納付方法」「第2号被保険者の納付方法」から解説しましょう。

第1号被保険者の納付方法

第1号被保険者の介護保険料の納付方法は、「年金からの天引きによる特別徴収」「納付書または口座振替による普通徴収」の2種類。

特別徴収の対象は、「老齢(退職)年金」「遺族年金」「障がい年金」などを受給していて、年金年額が18万円以上の場合です。介護保険料を引いた残りの年金が、支給日に口座へ振り込まれます。

第2号被保険者の納付方法

介護保険料は原則、健康保険組合や共済組合などの医療保険者が医療保険料と介護保険料を合算し、第2号被保険者から徴収します。

この場合、「厚生労働省が一人当たりの介護保険料の負担率を設定する」「それをもとに算出した介護保険料を医療保険者に通知する」状況になるのです。

②標準報酬月額

標準報酬月額とは、被保険者の毎月の給料などの給与の月額を、定められた幅で区分した月額のこと。

毎年4~6月の給与額を平均し、その額を標準報酬月額表の等級に当てはめて決定します。決定された等級に応じて、「健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料」などが決まるのです。

介護保険料の支払いは、40歳の誕生日の前日が属する月から開始されます。納入方法は、第1号被保険者と第2号被保険者とで異なるので注意しましょう

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8.介護保険証の返却について

介護保険の被保険者が死亡するといったように、介護保険の資格を喪失する場合、介護保険証の返却が必要となります。ここでは下記2つについて解説します。

  1. 介護保険における資格喪失届の提出
  2. 提出先と届け出人

①介護保険における資格喪失届の提出

介護保険証を交付されていた人で、「亡くなった方が65歳以上」「40歳〜64歳で要介護認定を受けていた」場合、14日以内に各市区町村の窓口へ介護保険資格喪失届を提出し、介護保険証を返却しなければなりません。

②提出先と届出人について

介護保険証の提出先は、死亡者の住民票のある市区町村です。届出人については、「亡くなった方の同一世帯の家族」「代理人」「相続人」と定められています。介護保険負担限度額認定証が交付されていた場合、これも返却するのです。

介護保険証は、「亡くなった方が65歳以上」「40歳〜64歳で要介護認定を受けていた」場合、市区町村へ返却します