確定申告が必要な人・必要ない人とは?【わかりやすく】

確定申告が必要な人には、要件があります。ここでは、確定申告が必要な人についてさまざまなポイントから解説します。

1.確定申告が必要な人の条件とは?

所得税の納税額を計算した結果、納めるべき所得税がある人は確定申告が必要です。確定申告が必要な人の条件について、下記2つから解説しましょう。

  1. 給与所得がある場合
  2. 個人事業主である場合

①給与所得がある場合

給与所得がある場合は通常、毎月の給料から所得税が天引きされているため確定申告は不要です。ただし給与所得以外に副業収入がある人は、確定申告を行う必要があります。

注意点は、「副業の所得金額が1年間で20万円以下の場合、確定申告は不要」「使用していた衣服や家具などの売却益に所得税はかからず、よって確定申告は不要」の2つです。

②個人事業主である場合

個人事業主とは、「個人事業主として店舗経営をしている」「フリーランスで仕事をしている」など、会社に雇用されず仕事をする人のこと。

原則、個人事業主は確定申告を行わなければなりません。ただし「事業が赤字」「事業が黒字でも各種控除の金額が大きく、税金が発生しない」場合、年間の収支計算は必要となるものの、申告書の提出は不要です。

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2.確定申告の必要がない人

確定申告をする必要がない人は、どのような条件になっているのでしょう。3つから解説します。

  1. 副業収入が年間で20万円以下
  2. 事業主で年間の所得が38万円以下
  3. 公的年金などの収入が400万円以下で、一定の条件を満たす

①副業収入が年間で20万円以下

会社に雇用され給与の支払いを受けている人が副業をしていて、「年間所得が20万円以下」「副業が給与の場合、年間額面合計が20万円以下」の場合、確定申告は不要です。

本業では年末調整によって所得税を精算しています。よって副業にて少額の所得を得て追加の所得税が発生しても、確定申告の義務が免除されるのです。

②事業主で年間の所得が38万円以下

所得税では基礎控除として誰でも38万円の控除を受けられます。そのため所得の合計金額よりも所得控除が大きければ、確定申告義務は生じません。ただし以下の点に、注意が必要です。

  • 所得控除の合計額は人それぞれなので、38万円は目安程度に捉える
  • 2020年から、基礎控除額が48万円に変更される
  • 年間所得合計が2,400万円以下という条件付きとなる

③公的年金等の収入が400万円以下で、一定の条件を満たす

老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給者で、「公的年金などの収入額が400万円以下」「給与や不動産収入など、公的年金等以外の所得が年間20万円以下」2つを満たした場合、確定申告は不要となります。

目的は、高齢者の確定申告にかかる負担軽減です。

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3.確定申告をするとメリットがある人

確定申告により、メリットが発生するケースもあるのです。ここでは8つのケースについて、解説しましょう。

  1. 寄付の場合
  2. ふるさと納税の際、ワンストップ特例制度を利用しなかった場合
  3. 年末調整で申告できなかった控除がある場合
  4. 退職したのが年の途中で、就職していない場合
  5. 投資によって赤字が出た場合
  6. 確定申告する年に住宅ローンを組んだ場合
  7. 医療費控除の対象者
  8. 副業先で源泉徴収を受けている場合

①寄付の場合

所得税控除の対象となる団体などへ2,000円を超える寄付をした場合、寄付金控除が利用できるのです。寄附金控除額は、「その年に支出した特定寄附金の額の合計額」「その年の総所得金額等の40%相当額」いずれか低い額から2,000円を差し引いて求めます。

②ふるさと納税の際、ワンストップ特例制度を利用しなかった場合

ふるさと納税は、年収・家族構成・居住地域により異なる控除上限額内の寄付で、2,000円を超えた額が全額戻る制度です。

ワンストップ特例制度を利用すれば、確定申告をしなくても「所得税の還付」「翌年の住民税からその金額を控除」といった特典を受けられます。制度を利用しない場合、確定申告をしなければ節税のメリットを享受できません。

③年末調整で申告できなかった控除がある場合

会社から毎月給与の支払いを受ける人は原則、年末調整時に生命保険や地震保険、扶養などについて申告すると、会社側で年末調整を行います。

しかし「年末調整のために申告した内容に漏れがあった」「支払い証明書類が年末調整に間に合わなかった」場合、各自で確定申告すると節税できる可能性が高まるのです。

④退職したのが年の途中で、就職していない場合

年途中で会社を退職し、その後再就職しなかった場合、会社で年末調整をしてもらえません。その際年途中での退職ですので、納税すべき所得税額も低くなると考えられます。こうした場合、自身で確定申告を行えば、所得税の還付を受けられる可能性があるのです。

⑤投資によって赤字が出た場合

株や投資信託、FXといった投資で赤字が出た場合、投資による損失を確定申告すると、3年間の繰越控除を受けられます。そのため翌年以降の節税につながるのです。ただし繰越控除を受ける場合は、毎年の確定申告が必要となります。

⑥確定申告する年に住宅ローンを組んだ場合

確定申告をする年に、「住宅ローンを組んで住宅を購入した」「特定増改築を行った」場合、住宅借入金等特別控除を利用できるケースがあります。住宅借入金等特別控除は、初年度のみ確定申告です。2年目以降は年末調整でも受けられます。

⑦医療費控除の対象者

医療費控除とは、1年間の医療費総額が10万円を超える場合に利用できる控除のこと。医療費控除を受けるには、「確定申告書に医療費控除の明細書を添付して所轄税務署に提出する」「医療費の領収書は、自宅にて5年間保存する」必要があります。

⑧副業先で源泉徴収を受けている場合

主たる勤務先とは別にアルバイトや副業先で源泉徴収が行われていると、確定申告で所得税が還付される場合もあるのです。源泉徴収されているか、確認しておきましょう。

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4.確定申告における所得税計算の原則について

確定申告における所得税計算には、原則があるのです。ここでは確定申告における所得税計算の原則について、下記2つから解説しましょう。

  1. 税金の負担できる能力に応じた計算をする
  2. 個人と暦年を単位とする

①税金の負担できる能力に応じた計算をする

所得税は、「収入内容によって所得税の計算方法を変える」「高い所得であるほど高い税率で所得税を計算するといったように、金額によって税率を変える」など、個々の状況に応じて税額を算定します。

②個人と暦年を単位とする

所得税の計算では、一人ひとりを1単位として税額を計算するのです。たとえば夫婦で生計を立てており、夫が事業を行っていて妻が会社員として働いている場合、夫と妻は別々に所得税を計算し、それぞれで所得税を支払います。

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5.確定申告時の心構えとステップ

確定申告をする際に知っておきたい心構えとステップがあります。下記4つから解説しましょう。

  1. 個人事業主の場合、帳簿付けを忘れずに
  2. 必要書類をそろえる
  3. 確定申告書の記入
  4. 期限を守って税務署に申告する

①個人事業主の場合、帳簿付けを忘れずに

帳簿付けとは、いわゆる記帳のこと。日々の売上や経費といった一つひとつの取引を、現金出納帳や売上帳などの帳簿に記載します。2014年からは、青色申告・白色申告の両方に帳簿付けが義務付けられました。

よって個人事業主は、「手書きで帳簿を作成する」「会計ソフトを利用する」などで、帳簿付けを行わなければなりません。

②必要書類をそろえる

必要書類として挙げられるのは、「税務署に提出する申告書」「確定申告書」「青色申告決算書」「控除のための証明書類」「源泉徴収票」「支払調書」など。自身の確定申告に必要な書類を確認して、事前にそろえるのです。

③確定申告書の記入

確定申告書には、「サラリーマンが医療費控除などを使う場合に用いる確定申告書A」「個人事業主が用いる確定申告書B」の2種類があります。下記のような点に気を付けて記入しましょう。

  • 個人事業主は確定申告書と収支内容の記載書類を作成し、税務署に提出する
  • 青色申告は青色申告決算書、白色申告は収支内訳書を作成する

④期限を守って税務署に申告する

確定申告書などの税務署への申告期限は原則、2月16日~3月15日。提出は、以下のような方法で行います。

  • 紙の確定申告書などを税務署の窓口に持参、もしくは郵送する(郵送の場合、郵便局の消印日が提出日となる)
  • 自宅や申告会場のパソコンを使用し、e-Taxで申告する

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6.確定申告が必要な場合に内容を修正できるのか?

税額を少なく申告していた場合には修正申告を、税額を多く申告していた場合は更正請求をします。それぞれについて解説しましょう。

  1. 修正申告の方法
  2. 更正の請求が可能な場合

①修正申告の方法

修正申告とは、確定申告で税額を実際より少なく申告していた場合に行うもの。

まず、税務署に修正申告書を提出します。税務署から更正を受ける前ならいつでも修正申告可能です。

しかし税務署から更生を受ける前なら過少申告加算税がかからないため、できるだけ早く申告しましょう。税務署から調査を受けた後に修正申告を行うと、「新たに納める税金」「新たに納める税金の10%相当額にあたる過少申告加算税」の両方がかかるのです。

②更正の請求が可能な場合

更正の請求は、確定申告で税額を実際より多く申告していた場合に行うもの。更正の請求書を税務署に提出して進めます。更正の請求ができる期間は原則、法定申告期限から5年以内。

更正の請求書が提出されると、「税務署で内容を調査」「請求内容が正当と認められた場合、減額更正が行われる」「請求者に内容が通知され、納め過ぎた税金が還付される」のです。

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7.確定申告が必要な人の負担を減らすのに便利なものは?

確定申告が必要な人の負担を減らすのに、便利なものが2つあります。それぞれについて解説しましょう。

  1. クレジットカードで経費を支払う
  2. 会計ソフトを使う

①クレジットカードで経費を支払う

クレジットカードで経費を支払うと、「経費の内容や履歴の一元管理」「整理の簡素化」「クレジットカードの引き落とし日が支払日になるため資金調達計画が単純化」といったメリットを享受できます。

②会計ソフトを使う

会計ソフトを使うと、「項目を入力して仕分けるだけで、確定申告の用紙が完成」「レシートを撮影しスキャンすると、経費データとして取り込める」「毎月の収支を見直しやすくなる」といったメリットが得られるのです。