間接部門とは、企業における直接部門を支援する部門のことです。間接部門の特徴や部署の種類、またその必要性と課題について解説します。
目次
1.間接部門とは?
間接部門とは、企業において売上と直接かかわる「直接部門」を支援する部門のこと。たとえば以下のような部門が該当します。
- 人事部
- 総務部
- 法務部
- 企画経理部
- 情報システム部
- カスタマーサポート
間接部門は企業の売上や利益に直接的にかかわりませんが、企業を支える屋台骨として重要な位置に存在するのです。
間接部門の対義語は「直接部門」
販売や製造などを担い、企業の売上や利益に直接結びつく部門のこと。たとえば以下のような部署です。
- 営業部
- 販売部
- 製造部
- 顧客サポート部
顧客と直接接触する最前線部門なので「フロントオフィス」とも呼ばれるのです。直接部門では、販売数や顧客獲得数など定量的な数値目標が掲げられ、目標達成率が評価に影響する傾向にあります。
2.間接部門の分類
間接部門は、役割の違いで「バックオフィス」「ミドルオフィス」に分類されます。それぞれの特徴を説明しましょう。
バックオフィス
間接部門のなかでも主に事務や管理業務を担当する部門です。予算管理や労務管理、人材確保などを担い、企業活動を後方から支援します。
バックオフィスは企業における資源全般(人や物、お金や情報など)を管理する部門のため、フロントオフィスと密接な関係にあるのです。バックオフィスには以下のような業務が挙げられます。
- 経理
- 財務
- 人事
- 労務
- 総務
- 法務
- 情報システム(IT)
ミドルオフィス
フロントオフィスとバックオフィスの中間的な役割を持つ部門です。フロントオフィスとバックオフィスの橋渡しや顧客に関連した業務を担い、双方がよりスムーズかつ効率的に動けるようにサポートします。
- 営業戦略の企画立案
- 収益管理
- 広報
- マーケティング
- コールセンター業務
3.間接部門にあたる部署と役割
間接部門にはさまざまな部署があり、それぞれの責任や役割は異なります。各部署の特徴と業務内容について説明しましょう。
- 人事部
- 総務部
- 経理部
- 労務部
- 法務部
- 経営企画部
- 情報システム部
- 監査部
- カスタマーサポート
①人事部
人材採用や人員配置、社員研修など人事業務全般を担当する部署です。人材採用では面接や応募書類などの管理に加えて、企業説明会や社員募集の広告作成などを行います。
また採用した人材を適切な部署に配置するための調整も人事部の仕事です。新入社員や幹部社員に対する研修の実施および手配も人事部が中心となって行います。
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②総務部
社内環境の整備や社員に対するサポート全般を担う部署です。主な業務としては以下のものが挙げられます。
- 備品や機器の購入
- 書類管理
- 建物管理
- 福利厚生の整備や調整
備品や機器の購入は総務部が担う業務のなかでも特に頻度が高めです。単に必要なものを購入するだけでなく、いかに手間とコストをかけずに調達するか、考える必要があります。
③経理部
企業のお金(財務)に関する業務全般を担う部署です。業務内容は、日々の業務で生じるキャッシュフローを把握すること。主な業務としては以下のものが挙げられます。
- 請求書や領収書の発行
- 伝票整理
- 経費精算
- 給与計算
- 帳簿作成
- 決算書作成
- 税務申告
- 保険料の納付
お金の動きと流れは企業の根幹をなすため、経理部の役割は企業にとって必要不可欠です。似た言葉の「会計」は企業全体の資産管理を指し、経理は会計の一部に含まれます。
④労務部
社員の労働に付随するさまざまな事務業務を担当する部署です。主な業務としては以下のものが挙げられます。
- 社員の勤怠管理
- 社会保険の手続き
- 年末調整手続き
- 労働環境整備
なかでも勤怠管理は給与計算や評価にかかわるうえ、過重労働を察知する観点からも重要です。また健康診断の実施や社内設備の点検といった、労働安全衛生管理も労務部の大切な業務になります。
⑤法務部
企業における法的業務全般を担う部署です。「業務が法律を逸脱していないか」「企業の利益増加を実現するための有効な法的手段は何か」など、リスク回避と利益追求の両面で重要な役割を担います。主な業務には以下のとおりです。
- 各部署からの法律相談
- 契約法務
- ガバナンスとコンプライアンス
- 法令調査
- 訴訟対応
⑥経営企画部
経営に関する業務および経営課題の解決を担う部署です。主な業務には以下のものが挙げられます。
- 予算策定
- 経営目標(経営戦略)の立案
- 市場調査
- 事業ポートフォリオの見直し
- 経営会議の運営
予算と決算を比較したうえでの業績評価や、予実分析や売上見込みの更新なども経営企画部の仕事です。
⑦情報システム部
社内のシステム(インフラ)の開発や運用を行う部署です。情報システムは主に「基幹システム」と「情報システム」にわけられ、前者は企業の根幹システム、後者はPCやサーバーなどネットワークシステムの管理が中心になります。
業務効率の最適化という点で、情報システム部は企業にとってなくてはならない部署といえるのです。
⑧監査部
企業の業務や会計を監査する部署です。企業の不正や不祥事の把握と防止、ガバナンス強化などを目的として監査を行います。監査の結果を通して、経営陣や各部署に対してアドバイスや提言も業務の一環です。
社内の一部門とはいえ、あくまで第三者的な立場から監査し、経営状況や不正状況などを客観的にチェックしていきます。
⑨カスタマーサポート
自社サービスへの顧客対応を業務とする部署です。主な業務は電話やメール、チャットなどで寄せられる顧客への問い合わせや訪問対応、苦情の受付など。
顧客と接する機会が最も多い部署であるうえ、対応の良し悪しが顧客満足度や企業に対する信頼度に大きな影響をおよぼします。
4.間接部門が必要な理由
間接部門が企業に与えるさまざまな効果や影響を説明します。
- 企業活動の支援
- コスト削減
- 人材管理
①企業活動の支援
企業活動を支える屋台骨ともいえる役割を担います。直接的に利益を生み出すのは直接部門ですが、スムーズに活動できるようサポートしているのは間接部門だからです。
資金の管理や調達、人材管理や契約書のチェック、法的なチェックといった間接部門のサポートがなければ直接部門は業務に専念できず、場合によっては遅滞しかねません。
②コスト削減
間接部門はコスト削減にて重要な役割を果たします。直接部門は利益アップのため活動しますが、どれだけ売上を生み出してもコストがふくらんでしまえば差し引きで利益が生まれなくなるからです。
間接部門は「ヒト、モノ、カネ」の適切な調達と管理を行い、無駄なコストを省いて企業の利益をより高めているのです。
③人材管理
企業の成長と業績に直結する人事管理において、間接部門の管理は不可欠です。近年、単なる社員情報管理だけでなく、経営戦略の達成を目的とした「戦略人事」が求められ、人材の確保、社員の育成や適材適所の人員配置などを主業務とする傾向にあります。
よって間接部門には、社員の能力を引き上げ、その社員が直接部門や間接部門で活躍していくという好循環を作ることが求められるのです。
5.間接部門の課題
間接部門は企業にとって欠かせない働きをしますが、同時にさまざまな課題を抱えているのも事実です。間接部門が持つ課題について説明します。
- 人事評価が困難
- 業務の属人化
- 直接部門との対立
- 業務効率が悪い
- 人手不足
①人事評価が困難
間接部門は直接部門とは異なり、売上や契約数、ノルマなどで目標値を設定できません。そのため数値をもとにした評価の仕組みを作るのが難しいのです。
「昇給や昇格の基準が不明確」「現状の評価制度では社員が成長しない」といった悩みを抱える企業が多く見られます。
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②業務の属人化
属人化とは、「その社員でなければ業務を円滑にこなせない」という状態に陥ること。間接部門は専門的な知識やノウハウを扱うため、特定の人にしか業務がこなせない状態も多く見られます。
担当者が休んだり離職したりすると、業務が一時的にストップするといった問題が起こることも少なくありません。
③直接部門との対立
間接部門はコスト削減や人材管理などさまざまな面で直接部門をサポートしますが、サポートや改善案の内容によっては直接部門の不満を買ってしまいます。
「現場のことも知らず、なぜそんな案にするのか」「間接部門が勝手に決めるな」と直接部門が反発し、対立してしまうケースも少なくありません。
④業務効率が悪い
紙や印鑑を使ったアナログな業務もいまだに多く書類の管理や配布、回収や提出などに手間取って業務効率が悪くなるのも少なくありません。
近年、テレワークを導入する企業も増えています。しかしクラウドサービスを活用していなければ、そのつど出社しなければならないため、社員の負担が減りません。
⑤人手不足
たとえば欠員が出たり、業務量が多くなったりしたときほか部署から代わりの人材を補填するのが難しくなるのです。また間接部門は人件費削減の対象になりやすいため、人手不足の深刻化にて社員の業務負担が大きくなってしまう問題もあります。
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6.間接部門で活用できるITシステム
間接部門の業務効率を高めるにはITシステムを導入するとよいでしょう。間接部門で活用できるITシステムを説明します。
- タレントマネジメントシステム、人事評価システム
- 経理システム、会計システム
- 労務管理システム
①タレントマネジメントシステム・人事評価システム
タレントマネジメントシステムは、社員の情報を一元管理できるシステムです。社員の個人情報や能力、実績や取得資格などをひとつのシステム上に集約できるため、戦略人事や人材育成につながります。
また人事評価システムの導入で、本来曖昧になりがちな間接部門の人事評価基準を明確にできるのです。
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②経理・会計システム
関連する制度や法令に従って会計処理を行うシステムです。主な機能は、帳簿の作成と出力、伝票や決算書の作成、自動仕訳や予実管理機能など。
これらのシステムを導入すると、会計業務の効率化やミスの軽減、税制度に対応した正確な処理が可能になります。
③労務管理システム
企業の労務管理業務の効率化を行うシステムです。主な機能は、雇用や保険に関する書類の作成や給与計算、年末調整手続や勤怠管理など。
労務管理システムの導入によって、それまでアナログで対応していた書類作成などの労務業務をシステム上でスピーディーに行えます。
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