経営目標とは? 種類、立て方、具体例をわかりやすく解説

経営目標とは、企業全体で取り組む目標のことです。従業員や部門、事業の細かな目標の大元は経営目標であり、企業を成長させるために欠かせない指標となります。

今回は経営目標の立て方や設定するメリット、経営目標を立てる手順や具体例などを詳しく解説します。

1.経営目標とは?

経営目標とは、企業全体で一定期間内に達成を目指す目標のことです。企業が最終的に達成したい目標ともいえ、経営目標はさらに細分化され、従業員全員や各部署、役職ごとに具体的な目標が設定されることがあります。

一般的に経営目標は売上高など、会社の損益に関する内容が設定されるケースが多く、さらに、特定の事業目標に基づいて経営目標を設定することもあります。

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2.経営目標と経営理念の違い

経営目標と経営理念の違いは、その役割にあります。

経営理念とは、企業が何のために活動し、どこに向かうかを示したもの。創業者や経営者の想いや考え、価値観が反映されたものでもあります。対して、経営目標は企業が達成すべきこと、従業員が行うべき行動を具体的化したものです。

経営理念は意思決定や行動の根底にあるべき考えかつ企業が追い続けるものといえ、経営目標は達成していくものといえます。経営理念を達成するための明確な方向性を従業員に示すため、経営目標には経営理念も反映されることもあります。

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3.経営目標を設定するメリット

経営目標を設定することで、組織に以下のようなメリットをもたらします。各メリットを詳しくみていきましょう。

  1. 組織力を高められる
  2. やるべきことや方向性を明確にできる
  3. パフォーマンスを評価できる

①組織力を高められる

経営目標があることで、目標に向かって一体的になることができます。漠然と日々の業務をこなす状態では、モチベーションが低下し、自分の仕事が何のためになっているのかが実感できなくなってしまうでしょう。

目標があることでやるべきことが明確になり成果が可視化できると、達成感からさらにモチベーションが高まりやすくなります。また、組織全体が目標に向かってモチベーションを高めて仕事に取り組めるようになることで生産性も向上し、組織力アップに有効です。

②やるべきことや方向性を明確にできる

目標は目指すべき方向性を示し、そのために必要なステップやリソース、戦略も可視化できます。目標は大抵の場合、達成するまでの期限が設けられています。

期限までに確実に達成するには必要なリソースややるべきことを明確にし、計画的に進めていくことが必要です。やるべきことが明確であれば主体的に行動でき、仕事の効率アップにも有効です。

③パフォーマンスを評価できる

経営目標の達成具合から、経営パフォーマンスを評価することもできます。パフォーマンスを評価するには、その基準となる指標が必要です。

目標がない状態では、パフォーマンスの良し悪しが評価できないでしょう。設定した経営目標やその結果をステークホルダーに提示することで、ステークホルダーからも客観的な評価が得られます。

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4.経営目標の種類と具体例

経営に関する内容であれば、経営目標の対象となります。ここでは、経営目標に設定されやすい4つの領域から経営目標の概要と具体例をみていきます。

収益に関する目標

収益に関する目標は数値化しやすく、明確な目標が立てやすい内容です。収益に関して目標設定されやすい指標は、以下のようにさまざまです。

  • 売上高
  • 営業利益
  • 経常利益
  • 当期純利益

収益に関する目標は年次で設定されることが多く、達成状況は四半期ごとに公表するケースが多くみられます。年次の収益目標のほか、中期・長期での収益目標を設定する場合もあります。

また、財務上の課題に応じて、事業継続や利益確保、事業拡大に関する目標を立てるのもよいでしょう。

収益に関する目標の具体例
・上半期の売上高◯◯億円、営業利益◯億円、当期純利益◯億円を達成する
・赤字事業を廃止し、年内の黒字転換を目指す
・20XX年までにY社を買収し、Z事業の拡大を目指す

組織に関する目標

組織としてどうなっていきたいか、今後どういった事業を展開していきたいかなど、組織のありたい姿を目指すための目標です。経営活動の指針となる目標となるため、企業の未来や現状の課題解決に目を向けて設定しましょう。

組織に関する目標の具体例
・20XX年までに現在開発中の製品を発表し、新事業を展開する
・シナジー効果獲得のため、20XX年までにY社を買収し既存事業を強化する
・主力ブランドの認知度を150%アップする
・◯◯事業の販売経路を拡大し、特にECからの販売を強化する
・AIを活用した新事業を展開し、新たな領域で事業を展開する

人事に関する目標

組織の人事、つまり従業員に関する目標です。採用や労働環境、育成や社内コミュニケーション、人材の多様性や多様な働き方など、目標に設定できる内容は幅広いでしょう。

近年は人的資本経営の推進も求められており、とくにダイバーシティに関する目標やその達成度は投資家などのステークホルダーからの注目度も高まっています。

人事に関する目標の具体例
・来年度の新卒採用◯◯人、中途採用◯◯人の採用を目指す
・リモートワークやフレックスタイム制を導入する
・20XX年までに副業を解禁する
・役員の女性比率を20XX年までに50%にする
・年内にコミュニケーション用のプラットフォームを導入する

社会貢献に関する目標

CSRやサステナビリティ、SDGsやボランティアなどに関する目標です。社会貢献に関する目標は、社会に対して利益をどう還元するかを示せます。

社会貢献目標は企業・ブランドイメージの向上による、新規顧客や人材獲得に有効です。人事におけるダイバーシティと同様に、企業の持続的な成長を図る指標としてステークホルダーからの評価が重要となる分野になります。

企業活動を通して社会にどういった貢献ができるか、事業内容を活かして解決できる社会課題があるかといった視点から目標を設定するとよいでしょう。

社会貢献に関する目標の具体例
・20XX年までにサステナビリティ・レポートを発行する
・自社独自のSDGsを設定する
・CSRに関する基本方針を制定し、発表する
・◯◯事業においてフェアトレードの取り組みを開始する
・20XX年までに温室効果ガスの排出量を◯%削減する

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5.経営目標設定のコツ|SMARTの法則

効果的な経営目標を立てるコツは、「SMARTの法則」を用いて目標設定することです。以下5つの要素の頭文字をとってSMARTの法則と呼ばれます。

  1. Specific(具体性)
  2. Measurable(測定可能な)
  3. Achievable(達成可能な)
  4. Related(関連性)
  5. Time-bound(期限)

SMARTの法則は、経営コンサルタントのジョージ・T・ドラン氏が提唱した目標設定のフレームワークです。1981年に提唱された比較的古い概念ですが、質の高い目標設定に有効として現代でも定番のフレームワークとして広く活用されています。

下記でSMARTの法則の各要素を詳しくみていきます。

①Specific(具体性)

目標は具体的であるほど、進むべき方向性ややるべきことが明確になります。具体性を高めるには、わかりやすい言葉や具体的な数字を用いることがポイントです。

具体的であれば人によって目標に対する解釈が異なることが避けられ、スムーズにゴールへと進めるようになります。

②Measurable(測定可能な)

目標の達成度を測定できるかも重要です。達成できているのか評価できない目標では、達成度の進捗や今後何をすべきかが明確にできないでしょう。測定できる目標にするためには、具体的な数値を入れることがポイントです。

都度測定できれば、達成のために何をすべきかを主体的に考えられ、PDCAを効率的に回しながら目標達成へと取り組めるようになります。

③Achievable(達成可能な)

達成可能な現実的な目標であるかも、目標設定に欠かせません。理想を追い求めると、達成不可能な非現実的な目標になってしまう恐れがあります。どんなに頑張っても、現状では達成できない目標ですと、従業員のモチベーションが低下してしまうでしょう。

かといって、かんたんに達成できる目標でもモチベーションは上がりません。目標は、努力することで十分に達成可能な範囲で設定することがポイントです。

④Related(関連性)

経営目標が、経営理念や自社の価値観と関連しているかも大切です。経営目標を達成することで、企業が目指すべき姿の実現につながるかがポイントです。企業が目指す姿と関連性のない目標では、達成しても組織の成長には大きく影響しないでしょう。

経営目標を達成することでどうなるのかを明らかにすることで、従業員も目標を達成する意義を感じなら取り組めるようになります。

⑤Time-bound(期限)

経営目標は一定期間内で達成すべきものです。中期・長期的な経営目標であっても、いつまでに達成したいかを明確にすることがポイントです。

期限が設けられていることで、目標達成までプロセスを明確にしやすく、期限までに達成する意識を持って取り組んで毎回達成できれば、効率的に組織を成長させていけます。

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6.経営目標の立て方

経営目標を立てる手順は、以下3ステップです。手順ごとに経営目標の立て方やポイントを解説します。

  1. 目的を明確にする
  2. 短期・中期・長期で達成したい目標を決める
  3. 経営目標を部署や従業員の目標に落とし込む

①目的を明確にする

まずは、経営目標を達成することで何を実現したいかなど、経営目標を立てる目的を明確にしましょう。目的が明確であるほど、具体的な経営目標が立てられます。そのためにも、自社の現状や競合の状況をしっかりと把握することがポイントです。

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②短期・中期・長期で達成したい目標を決める

大きな経営目標は長期で達成したい目標とし、その達成に必要な要素を分解して、短期・中期の目標を決めます。自社の状況をふまえて、最優先で解決・実現したいことを短期の経営目標とするのもよいでしょう。

SMARTの法則に則り、一つひとつの要素をしっかりと組み込むことで、効果的な経営目標が設定できます。

③経営目標を部署や従業員の目標に落とし込む

経営目標を定めたら、それをさらに細分化し、部署や従業員の目標に落とし込みましょう。部署・従業員が目標を達成した結果、経営目標の達成につながるイメージです。

自分に課された目標を達成することが企業全体の目標達成につながることが認識できれば、モチベーション向上にもつながります。

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7.経営目標設定時の注意点

経営目標はただ目の前の経営課題を解決するためのものではなく、経営理念やビジョンとの関連性を持たせることが重要です。

また、ただ設定した目標を部署や従業員に公表して割り振るのではなく、その目標を達成することでどうなるのか、何が実現できるのかといった最終的な姿まで伝えることで明確な意義を持って目標達成に取り組めるようになります。

目標を割り振る際は、部署・個人間で難易度に差が出ないよう、公平な目標を設定することもポイントです。

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8.経営目標の具体例

経営目標を立てる際は従業員も巻き込み、組織で一体的に取り組むことが重要です。自社の弱みの改善、強みの強化など、組織の成長に必要な要素を盛り込んでみましょう。

ここでは、経営目標の設定の参考になる具体例をご紹介します。実際の経営目標は具体的な数値や期限を入れ込むことがポイントです。

市場シェアの拡大

自社製品やサービスをより多くの人に知ってもらい、購入・利用してもらうことで利益につながります。シェア拡大には、認知度向上やリード増加が必要です。

改めて自社製品・サービスの顧客層を見直したり、新たな潜在層を見つけたりすることもシェア拡大のポイントです。マーケティング部門と連携し、リーチを増やしていきましょう。

利益の拡大

とくに、スタートアップ企業やベンチャー企業など、創業からまもない企業は利益の維持が課題です。利益維持を図るには同時に利益拡大が必要であり、そのためには財務状態を安定させる目標設定が有効です。

一方、創業からある程度年数を経ている企業は、市場シェアの拡大も目指しながら、現状の販売率や製品・サービスの改善を図るなど、包括的な目標を立てるとよいでしょう。

従業員エンゲージメントの向上

とくに、離職率や生産性に課題のある企業が設定すべき目標です。従業員エンゲージメントは生産性に大きく影響する要素であり、業績アップにも関係します。エンゲージメントが低いと生産性も低下し、さらには離職率も高まってしまう恐れもあります。

日頃からエンゲージメント調査やサーベイを実施し、従業員のエンゲージメントやモチベーションを把握しておくことがポイントです。業績が伸びない、離職率が高まってしまう原因はエンゲージメントにあるかもしれません。

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