健康経営優良法人とは?【わかりやすく】メリット、認定基準

健康経営優良法人とは、従業員の健康管理について戦略的に取り組んでいる、優良な法人のことです。認定制度により選ばれています。

1.健康経営優良法人とは?

健康経営優良法人とは、従業員の健康管理や健康増進の取り組みについて、特に優良と認められた法人のこと。認定を受けると従業員や求職者、関連企業など周囲から社会的な評価を受けられます。

健康経営優良法人認定制度の歴史と主催

日本健康会議が認定する健康優良法人認定制度の創設は、2016年度。もともと2014年度より、東京証券取引所の上場会社から、健康経営に優れた企業の「健康経営銘柄」の選定が行われていました。

しかし健康経営の普及により、未上場企業や医療法人といった法人、中小企業も対象とした幅広い認定制度が必要だという流れになり、始まったのです。

健康経営とは?

健康経営とは、従業員の健康を経営的な視点でとらえ、戦略的に実践していくこと

企業が健康経営に取り組めば、従業員がより健康でいきいきと働き続けられます。過労や体調不良による離職も減り、ワークライフバランスにも対応できるでしょう。その結果、従業員の定着率がよくなり、人材確保にもつながるのです。

健康経営に取り組むメリット3つ

従業員の健康経営に取り組むと、以下3つのメリットが得られます。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

  1. 生産性の向上
  2. 医療費の適正化
  3. 企業イメージとワークエンゲージメントの向上

①生産性の向上

従業員が健康で、生き生きと働いていれば、作業効率も上がると考えられます。また従業員の病気による退職も減り、健康で働き続けるため人材確保につながるでしょう。逆に体調不良時に働くと、「作業が進まない・ミスが発生する」といった原因になります。

②医療費の適正化

今後の高齢化社会に向け、企業の健康保険組合では、健康保険料の負担が増していくと考えられます。しかし健康経営によって従業員が健康を維持すると、病院に行かなくてもよくなり、医療費が減ると考えられるのです。企業や社会の負担も軽くなります。

③企業イメージとワークエンゲージメントの向上

健康経営優良法人に認定されると、「健康経営をしている」と社内外にアピールできます。こういったイメージは株価や商品の売上高にも反映するでしょう。また従業員が「会社に大切にされている」と感じるたえ、エンゲージメントと生産性が向上します。

ワークエンゲージメントとは?【わかりやすく解説】
従業員エンゲージメントを見える化して、離職改善&生産性アップ。 タレントマネジメントシステムで、時間がかかるエンゲージメント調査を解決! ⇒ 【公式】https://www.kaonavi.jp にア...

日本健康会議

日本健康会議とは、少子高齢化が急速に進むなかで、国民の健康寿命を延ばし、適正な医療を行うために組織された活動団体です。

経済団体や医療団体、保険者などの民間組織や自治体が連携し、職場や地域で具体的な対応策を行っていきます。働く世代の健康増進と、高齢者の就労や社会参加を促して、経済を活性化させることも目的としているのです。

健康経営優良法人認定制度の目的

健康経営優良法人認定制度とは、優良な健康経営に取り組む法人を「見える化」し、「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業」として顕彰する制度のこと。

認定を受けると、従業員を大切にしているイメージが社内外に伝わります。また「健康経営をしている」点が、業務の入札や業者指名の条件になっている場合もあるのです。

健康経営優良法人であるメリット

健康経営優良法人に認定されると、企業にとって多くのメリットがあります。

  1. 従業員が会社に満足し、健康で働き続けられる
  2. 世間から従業員を大事にする会社だと認められる

①従業員が会社に満足し、健康で働き続けられる

社内では、従業員の過重労働による体調不良や精神の不調が減ります。離職が避けられ、人員確保が叶うでしょう。

また従業員が健康で生き生きと効率よく働くため、生産性や業績も向上するでしょう。従業員は「会社に自分が大切にされている」「生きがいを持って働こう」と感じるため、モチベーションが高まってよりよい環境になります。

②世間から従業員を大事にする会社だと認められる

健康経営優良法人に認定されると、「ホワイト企業だ」と、対外的な評価が高まります。それにより下記のような効果が得られるのです。

  • 働きやすい企業という評判で就職希望者が増え、優秀な人材が確保できる
  • 金融機関や投資家から価値を認められ、融資や出資が受けやすくなる
  • 健康企業であるため、入札や指名が受けやすくなる

健康経営優良法人とは、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる優良な法人のことです

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは?

・1on1の進め方がわかる
・部下と何を話せばいいのかわかる
・質の高いフィードバックのコツがわかる

効果的に行うための1on1シート付き解説資料をダウンロード⇒こちらから


【人事・労務の「めんどうくさい」「時間がかかる」を一気に解決!】

カオナビならコストを抑えて労務管理・タレントマネジメントを効率化!

●紙やExcelの帳票をテンプレートでペーパーレス化
給与明細の発行や配布がシステム上で完結できる
年末調整の記入や書類回収もクラウドで簡単に
●人材情報の一元化・見える化で人材データを活用できる
●ワークフローで人事評価の運用を半自動化できる

詳しくはこちらから

2.健康経営優良法人認定制度のカテゴリー

健康経営優良法人認定制度は、下記のようになっています。

  1. 大規模法人部門(ホワイト500)
  2. 中小規模法人部門(ブライト500)
  3. 健康経営銘柄(東京証券取引所の上場企業から1業種1社が選ばれる)

①大規模法人部門(ホワイト500)

健康経営優良法人認定制度の大規模法人部門は、

  • 製造業そのほか:301人以上
  • 卸売業:101人以上
  • 小売業:51人以上
  • 医療法人:サービス業は101人以上

が対象となっています。認定基準は5つあり、下記のとおりです。

  • 経営理念
  • 組織体制
  • 制度・施策実行
  • 評価・改善
  • 法令順守・リスクマネジメント

ホワイト500

健康経営優良法人の大規模法人部門の中で、健康経営度調査結果の上位500法人を「ホワイト500」と呼びます。

「健康経営優良法人2020」からは制度の変更があり、それまでは大規模法人部門の認定法人全体を「ホワイト500」としていました。ホワイト500に入るには、自社の取り組みをしっかりとアピールする必要があります。

②中小規模法人部門(ブライト500)

健康経営優良法人認定制度の中小規模法人部門は、従業員数が大規模法人部門以下の法人が対象となっています。
認定基準は大規模法人部門と同じで5つではあるものの、一部の項目が細分化されています。中小規模法人部門では、所属している保険者(全国健康保険協会および健康保険組合)が健康宣言をしていないと認定の申請ができません。

ブライト500

「健康経営優良法人2021」から、中小規模法人部門の優良な上位500社に「ブライト500」という称号が与えられるようになりました。

基準は、「健康経営優良法人のなかでも優れた企業」「地域において健康経営の発信を行っている企業」。大規模法人部門の優良法人の条件と同レベルのものが求められています。

③健康経営銘柄

健康経営優良法人認定制度より以前にあった取り組みが、健康経営銘柄の認定です。経済産業省と東京証券取引所が共同で、上場企業の中から1業種1社を健康経営に優れた企業として認定します。

選定のポイントには、「経済産業省が実施している健康経営度調査に回答しており、その評価が高い」といった要素が挙げられます。

認定企業に求められるもの

健康経営優良法人や健康銘柄に選定された企業には、今後、健康経営を普及拡大していくためのアンバサダーとしての役割が期待されています。

企業が健康経営を行えば、「生産性が向上した」「企業価値が認められた」などについて積極的に発信し、普及拡大させられます。また日本が健康長寿社会だと世界に示せるでしょう。

健康経営優良法人認定制度は、大規模法人部門と中小規模法人部門に分かれているのです。東京証券取引所の上場企業には、健康経営銘柄の認定があります

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは? 効果的に行うための1on1シート付き解説資料をプレゼント⇒こちらから

3.健康経営優良法人の認定基準

企業が健康経営優良法人の認定を受けるためには、要件を満たす必要があります。一体どのような要件なのか、見ていきましょう。

  1. 健康管理を重視した経営理念
  2. 取り組みの組織体制がある
  3. 制度や施策を実行している

①健康管理を重視した経営理念

「従業員の健康管理を重視した経営方針がある」と表明する、つまり経営理念として明文化し、社内外に周知するのです。

そのため「健康経営に取り組む」という意志を従業員や取引先、投資家や金融機関に伝えます。その後はどのように健康経営を実践していくのか、組織づくりや方法を決めて公表するのです。

②取り組みの組織体制がある

健康経営の理念を公表し方針が決まったのち、必要とされるのは組織体制づくり。そこで「専門部署の設置・専門資格を持った職員の配置・担当職員に研修の実施」などを行います

健康経営は従業員全員が対象になり、会社全体で取り組むもの。そのため企画立案の段階から、役員会といったトップレベルの討議事項として扱う体制を用意します。

③制度や施策を実行している

経営理念が定まって組織体制も整ったら、実際に制度や施策を実行します。具体的には下記のような内容です。

  • 従業員の健康課題を把握し、必要な対策を検討する
  • 健康経営の実践に向けた基礎的な土台作りをし、皆のやる気を引き出す
  • 従業員の心身の健康を作るため、具体的な取り組みをする

大規模法人部門と中小規模法人では基準が違う

認定基準は大規模法人部門と中小規模法人部門とでは、「制度・施策の実行」について満たすべき項目数が異なります。大規模法人部門は全14項目のうち11項目以上。

中小規模法人部門は下記が必要です。

  • 「従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討」から2項目
  • 「健康経営の実践に向けた基礎的な土台づくりとワークエンゲージメント」から1項目
  • 「従業員の心と身体の健康づくりに向けた具体的対策」から3項目

健康経営優良法人には認定基準があります。大規模法人部門と中小規模法人部門とでは基準が異なっているのです

労働力不足の解消、生産性向上、エンゲージメント向上で注目される「キャリア自律」とは? 要点や具体的な取り組みがわかる キャリア自律の解説資料をプレゼント⇒こちらから

4.健康経営優良法人の申請の流れ

健康経営優良法人の申請方法は、「大規模法人部門・中小規模法人部門・健康経営銘柄」でそれぞれ異なります。申請から認定されるまでのスケジュールや手順をしっかり把握し、一丸となって取り組みましょう。

スケジュールを確認

健康経営優良法人の申請のスケジュールは毎年、経済産業省のホームページで発表されます。当年度分が未定でも「いつ頃発表される予定か」が掲載されているので、日程をチェックしておき、見逃さないようにしましょう。

その場合は前年度分のスケジュールが掲載されており、目安として参考になるので確認しておくことが重要です。

大規模法人部門の申請方法

大規模法人部門の申請方法は、以下のような流れになっています。

  • 健康経営度調査に回答する
  • 回答の結果をもとに、認定基準に合っているか判定され、申請書および誓約書を受け取る
  • 保険者との連名で申請を行う
  • 健康経営優良法人の認定委員会により審査を受ける
  • 日本健康会議により認定を受ける

中小規模法人部門の申請方法

中小規模法人部門の申請方法は、以下のような流れになっています。

  • 健康宣言エントリーシートを健康保険組合に提出する
  • 自社の取り組み状況を自主確認する
  • 取り組みが確認できれば、健康保険組合へ認定申請書を提出する
  • 健康経営優良法人認定委員会に申請書を提出し、審査を受ける
  • 日本健康会議により認定を受ける

健康経営銘柄の申請方法

健康経営銘柄の申請方法は、以下のような流れになっています。

  • 「従業員の健康に関する取り組みについての調査」に回答する
  • 健康経営優良法人の認定基準に合っているか判定を受ける
  • 健康経営度が上位であれば候補として選定される
  • 東京証券取引所で財務指標の審査をする
  • 経済産業省と東京証券取引所により選定される

健康経営優良法人認定制度に申請する流れは、「大規模法人部門」「中小規模法人部門」「健康経営銘柄」でそれぞれ異なります。スケジュールや手順をチェックしておきましょう