公休日とは「会社が定めた休日」のことで、就業規則に規定されています。公休日がどのようなものなのか、詳しく説明します。
目次
1.公休日とは?
公休日とは、会社が定めた休日を指す言葉で、就業規則に規定されている休日を指します。多くの企業では、土・日曜日・祝日を休日に設定しており、会社が独自に設定している休日も公休日になります。労働基準法35条では法定休日について定められており、そこに会社が設定する所定休日を組み合わせた休日を、公休と呼びます。
公休日は英語でPublic Holiday
公休日は英語で「Public Holiday」といいます。
Publicには、「国民一般の」「国民全体の(ための)」「大衆の」「公共の」といった意味があります。一方、Holidayには、「休日」「休み」「休業日」といった意味があるのです。
2.公休日の意味と特徴とは?
公休日の意味と、以下のような公休日の特徴について解説します。
- 公休日の意味
- 公休日の特徴とは?
①公休日の意味
多くの会社では「週休二日制」のもと社員に休日を与えています。こうした会社が定めた「労働義務のない休み」が公休とされているのです。公休は、「法定休日」と「所定休日」を組み合わせた休日で、それぞれの意味は次のようになります。
- 法定休日…土・日曜日などの、労働基準法35条で定められた休日
- 所定休日…企業が自由に設けられる休日
労働基準法から考える公休日の意味
労働基準法35条にある休日の規定を「法定休日」と呼びます。
これは、労働者に与えられる休日の最低日数を明確に示したもので、最低週1日以上、あるいは4週間を通じて合計4日以上の休日のこと。また、会社が独自に規定している休日を「法定外休日」としています。
労働基準法には「公休」という言葉はありません。しかし、就業規則に規定された「休日」を公休とした場合、公休には2種類あるのです。
- 公休=法定休日
- 公休=法定休日+法定外休日
労働基準法は、労働者の最低条件を規定した法律です。労働基準法に満たない労働条件では違法となりますが、労働基準法を満たす労働条件はすべて合法となります。
②公休日の特徴とは?
公休日の特徴について、説明します。
最低日数がある
年間の休日数としては、「毎週1日」「4週間を通じて4日間」のどちらかが最低ラインになります。労働基準法で定められた「法定休日」がこれにあたり、1日8時間勤務の場合は年間休日の最低ラインが105日となるのです。
実際は多くの企業が週休2日制を採用しています。その場合の年間換算は休日数が120日前後となるのです。
公休日は原則、無給
週休2日制としている会社の休日(土日休み)をイメージするとわかるとおり公休は基本、無給です。また、「公休扱い」の日も基本、無給になります。公休は労働義務がない休日と位置づけられているので、有給とは別と考えてよいでしょう。
割増賃金が発生するケースも
割増賃金が発生するのは、以下のようなケースです。
- 法定休日に出勤…35%の休日手当
- 所定休日に出勤…休日手当は不要だが、労働時間が週に40時間を超えてしまう場合、時間外労働に対する25%の割増賃金が発生
法定休日を特定していない会社では、暦週(日曜日から土曜日まで)の後にくる休日を法定休日にするとされています。たとえば、土・日曜日が公休日の会社で日曜日から土曜日まで毎日出勤した場合、次のようになるのです。
- 日曜日…25%以上の割増賃金
- 土曜日…35%以上の割増賃金(法定休日)
このように週2日の公休がある場合、どちらか1日を休めていれば法定休日の出勤にはなりません。
公休日に出勤したら代休、振替休日を与えるのが望ましい
公休にもかかわらず何らかの事情によって出勤をした場合、その社員に対して企業は代休や振替休日を付与します。
ただし代休は義務化されておらず企業によっては付与しないところもあるのです。とはいえ従業員の健康やメンタルヘルスを考慮すると、振替休日もしくは代休を与えたほうがよいでしょう。
振替休日と代休は似ているものの、次のような違いがあります。
- 振替休日…あらかじめ休日と勤務日を指定して入れ替える制度で、休日手当が不要
- 代休…休日出勤の代わりに後から休みを与える制度で、休日出勤に該当する
3.公休日に類似する言葉
公休と意味が近いものや内容が異なるもの、さまざまな言葉について説明します。
- 公休扱い
- 休日
- 休暇
- 週休
- 有給
- 法定休日
- 特休
- 休業
- 欠勤
- 忌引き
- 祝日
①公休扱い
「公休」と「公休扱い」は似ている言葉であるものの、それぞれ違いがあります。
- 公休…企業が定めている休日
- 公休扱い…勤怠管理上にてよく使われる言葉で、欠勤にならない休日
親族の葬儀や結婚式などに参加した際、その日が勤務日であっても公休扱いになれば欠勤にならなくなります。公休扱いになれば、昇給・賞与・人事評価に影響しません。
②休日
「休みの日」を意味する言葉で、仕事を休める日です。「休日」と「公休」は一般的に違いが認められる言葉ではありません。どちらも「会社があらかじめ定めた労働などを休む日」となるのです。
ただし、それぞれ使われる場面が異なります。
- 休日…労働基準法で使われる言葉
- 公休…就業規則で使われる言葉
③休暇
本来、労働義務があるものの、社員の申し出によって労働義務が免除された日のこと。休暇には、次のような権利と義務の関係があります。
- 社員(労働者)が休む権利
- 企業が休ませる義務
休暇には、次のような法律で定められている種類があります。
- 年次有給休暇
- 介護休暇
- 看護休暇
このほかに、企業で独自に特別な休暇を定めている場合もあります。
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④週休
週に1回の休日がある制度のこと。
労働基準法では「毎週少なくとも1日の休日を与えなければならない」と定めています。
しかし、労働時間は1日8時間・1週40時間までと定められているため、多くの企業が「週休2日制」を採用しているのです。
週休2日制は、必ずしも毎週2日休めることを意味するものではありません。定義は「1カ月に2日の休みがある週が少なくとも一度あること」です。定義により、ほかの週が1日しか休みがなかったとしても、その企業は「週休2日制」になります。
⑤有給
有給と公休の違いは、下記のとおりです。
- 有給休暇…給料が発生する休暇のこと
- 公休…給料は発生しない
有給休暇は勤務年数を重ねるたびに増えるのです。
労働基準法では、有給休暇を「6カ月以上かつ全労働日の8割以上出勤した従業員に対して、勤続年数に応じた有給休暇を与える」としています。公休があらかじめ定められた休日であるのに対して、有給は労働者に認められた権利であるといえるでしょう。
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⑥法定休日
労働基準法で定められた休日のこと。法律では、企業は労働者に対して毎週1日、もしくは4週間で4日間の休みを与えなければならないと定めているのです。しかし多くの企業が週休二日制を採用しており、実質的に公休を週2日としています。
これは、労働時間が1日8時間で週40時間を上限にするよう法律で定められており、1日8時間働くと5日で40時間に達してしまうためです。
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⑦特休
「特休」と「公休」の大きな違いは、下記のとおりです。
- 特休…企業が自主的に制度として設けている休みの日
- 公休…法律によって定められた休みの日
特休は「特別休暇」ともよばれ、企業によってその制度はさまざまです。以前、良い業績をあげた社員に対して特別な賃金を付与することもありました。しかし最近、新たな休日を付与する企業が増えています。
このほか、高齢化社会を反映して、従業員の介護負担を減らす目的で「介護休暇」を与える企業も出てきています。
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⑧休業
企業との労働契約が続いたまま、連続した日数で休みを取ること。意味が似ている「休暇」との違いは、下記のとおりです。
- 休業…連続した日数で休みを取る
- 休暇…取得する休みの長さが休業よりも短い
取得する休みの長さについて法律上の規定はありません。
⑨欠勤
出勤しなければならない日に勤務を休むこと。社員の事情によって勤務を休むため、無給扱いになります。たとえば、月給20万円の従業員が20日の勤務日のうち3日欠勤した場合、賃金から3万円が差し引かれるのです。
欠勤のように、勤務しないと給料が支払われないという原則を「ノーワーク・ノーペイの原則」と呼びます。以上から「欠勤」と「公休」の違いは次のようになるのです。
- 欠勤…労働者の都合による休みの日で、減給対象となる
- 公休…企業があらかじめ定めた休みの日で、基本給が減ることはない
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⑩忌引き
忌引きと公休の大きな違いは、「法律で定められているかどうか」。
- 公休…法定休暇
- 忌引き…会社休暇
忌引きは会社休暇のため、法律で決められていない特別休暇という扱いになります。忌引きは企業が用意する福利厚生の一環で、従業員の満足度が高まる制度ともいえるでしょう。
規模が小さい会社では、「忌引き」そのものが定められていない場合もあります。もし葬儀に出席する機会があっても、企業によっては忌引きがない場合もあるので注意が必要です。
⑪祝日
「国民の祝日に関する法律」では「自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける」と定めています。
つまり祝日は「休日」です。仕事を離れて祝日の意義を考え、それにふさわしい一日を過ごせるようにしているといえます。現在、祝日は1年間で16日あり、下記のようになっているのです。
- 日にちが固定されている
- 毎年連休になるように定められている
- 「春分の日」「秋分の日」のように暦要項において記載される
4.公休日と公的保険とのかかわりとは?
公休日と公的保険とのかかわりについて、次に挙げる項目を説明します。
- 健康保険の傷病手当金
- 健康保険の出産手当金
- 労災保険の休業補償給付
①健康保険の傷病手当金
傷病手当金とは、病気やケガで休業中、被保険者とその家族の生活を保障するために作られた制度のこと。病気・ケガで休業した際、事業主から十分な報酬が受けられないときに支給されます。
また病気やケガのために会社を3日間連続して休んだうえで、4日目以降休んだ日に対して手当金が支給されるのです。ただし、事業主から傷病手当金よりも大きい額の支給を受けた場合、傷病手当金は支給されません。
公休日でも傷病手当金は支給される
傷病手当金が支給されるには、次に挙げる4つの要件が必要です。
- 業務外の事由による病気やケガ
- 実際に仕事に就けない
- 待期期間を含んだ4日以上仕事を休んでいる
- 休んでいる期間中、事業主から給与が支給されていない
傷病手当金は、同一の傷病について最長1年6カ月間支給されます。この期間中に復職して再度同じ理由で休業した場合も、支給対象となるのです。
支給期間・支給日数は、どちらも出勤日ベースではなく暦日ベースで考えます。出勤日にもかかわらず出勤しなかった日ではなく、土・日・祝日などの公休日を含んだ暦日で考えるのです。
②健康保険の出産手当金
出産手当金とは、社員が出産で休職する際に支給される手当金のこと。出産にかかわる期間は働けないので収入が減り、不安を抱えます。出産手当金は、そうした出産後の生活を助けるために支給されるものなのです。
出産手当金を受け取る要件は、以下の3つとなります。
- 勤務先の健康保険に加入している
- 妊娠4カ月以降の出産などである
- 出産のための休業である
ただし85日未満の流産に対しては給付されません。
公休日でも出産手当金が支給されるかはケースバイケース
勤務しなかった日についての給与を控除されていたかどうかで、支給されるかどうかが変わってくるのです。次にあげる事例で、それぞれの支給の有無を示します。
- 出産以前42日間に完全に休業し、報酬の支払いがない…公休日についても支給される
- 出産以前42日間に平日は出勤しており、公休日は休んでいた…出産手当金は支給されない
- 出産以前42日間に出勤していたが、平日に会社を休んだ…欠勤の理由を問わず出産手当金は支給される
③労災保険の休業補償給付
労災保険とは、勤務中や通勤中に負ったケガや病気の損害に対し、被災した社員や遺族に保険金を支給するもの。一環として、ケガや病気によって休業し給料を受け取れなくなったときに受けられる支給を「休業補償」と呼びます。
休業補償は2つです。
- 休業補償給付…業務中、労働災害が発生したときに支給される労災保険金
- 休業給付…通勤中、労働災害が発生したときに支給される労災保険金
どちらも休業して4日目から支払われ、金額は平均賃金の60%となります。
公休日でも休業補償給付は支給される
休業補償給付は、要件を満たしていれば企業の公休日でも1日につき平均賃金の60%が支払われます。労災の休業補償給付では通算3日間の待期期間があれば成立し、年次有給休暇・公休日・欠勤もカウントされるのです。
待期期間のカウント方法については、以下の事例を参照してください。
- 災害が労働時間内に発生し、その日の途中から労働ができなくなった…その日が休業1日目
- 残業中に災害が発生した…翌日が休業1日目