在職中でも雇用保険被保険者証の再発行ができる場合があります。どのようなケースが該当するのか見ていきましょう。
目次
1.在職中の雇用保険被保険者証再発行とは?
在職中に、雇用保険被保険者証の再交付が必要になったときは、ハローワークで「雇用保険被保険者証再交付申請書」を記入し、再交付の手続きを進めます。
再発行ができるケースは、「預かっている事業主に被保険者証を紛失された」「被保険者証を誤って損傷された」などです。
もし再交付を受けた後に以前の被保険者証が見つかり、「被保険者番号」を複数取得している状況になったときは、速やかに事業主を通じてハローワークに申し出てください。
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雇用保険被保険者証とは?
雇用保険に加入していることを証明するもの。これを持っていると、自身が雇用保険加入者であるという証明になるのです。
雇用保険に加入した際、被保険者証が発行されるものの、多くの場合、労働者自身ではなく最初に就職した企業が発行手続きをします。そのまま本人には手渡さず、紛失しないよう企業が保管しているケースがほとんどです。
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2.在職中に雇用保険被保険者証の再発行が必要となるケース
在職中に雇用保険被保険者証の再発行が必要となるのは、どのようなケースでしょう。複数の事例について解説します。
- 紛失または棄損したとき
- 前職の退職時に受け取らず次の会社へ就職したとき
- 教育訓練給付金を受給しようとするとき
- 特別支給の老齢厚生年金保険を受給しようとするとき
①紛失または棄損したとき
雇用保険被保険者証は原則、労働者自身が保管する書類です。しかし多くの場合、発行手続きを行った企業がそのまま保管しています。この場合、労働者が退職するときに企業から手渡されるのです。
事業主が保管する目的の多くは紛失を防ぐこと。しかし労働者と事業主、どちらが預かっても誤って紛失や棄損する可能性は残ります。
②前職の退職時に受け取らず次の会社へ就職したとき
企業が雇用保険被保険者証を保管している場合、退職時に、手渡しや郵送によって受け取ります。
しかし退職して被保険者証が届く前に再就職になった場合、被保険者証を受け取っていない可能性が高いです。なかなか届かない場合、企業の対応が遅れているかもしれません。早めに前職の企業へ問い合わせるとよいでしょう。
無くても雇用保険加入手続きは行える
転職先で雇用保険の加入手続きをする際、必要なのは被保険者証に記載されている被保険者番号です。よって雇用保険被保険者証は必須とはいえません。
もし、雇用保険被保険者証がなく被保険者番号がわからない場合、雇用保険資格取得届に前職の企業の名称と勤めていた期間を明記すると、ハローワークで調べてくれます。
雇用保険に未加入だと受け取れない
そもそも雇用保険に加入できていないため、雇用保険被保険者証を受け取れないケースもあります。雇用期間が31日未満」「1週間の所定労働時間が20時間未満」といった労働形態だと、雇用保険の加入条件が満たされず、雇用保険被保険者証は発行されません。
もちろん、ハローワークでの再発行もできないので注意しましょう。
③教育訓練給付金を受給しようとするとき
教育訓練給付金の支給を受ける際、ハローワークで手続きをするために雇用保険被保険者証が必要になります。
教育訓練給付金とは、雇用保険に3年以上加入している在職中の人、または離職した人が教育訓練を受講したときにかかった費用の一部を支給する制度です。
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④特別支給の老齢厚生年金保険を受給しようとするとき
「特別支給の老齢厚生年金保険」という年金の決定請求の際、雇用保険被保険者証の提出が求められるのです。
この年金は60歳以上、かつ65歳未満の労働者に受給資格があり、老齢基礎年金は65歳から受給資格が発生します。雇用保険に加入している期間が1年以上あるケースでは、65歳までこの老齢厚生年金保険を受給できるのです。
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3.在職中に雇用保険被保険者証を再発行する方法
在職中の雇用保険被保険者証の再発行は、被保険者本人が行うこともあります。再発行の方法について、解説しましょう。
ハローワークの窓口
雇用保険被保険者証の再発行は、ハローワークで行います。本人が多忙で手続きできない場合は、代理人による申請も可能です。代理人申請には、以下のものが必要となります。
- 被保険者(本人)の身分証明書のコピー
- 代理人の身分証明書
- 委任状
委任状に決められたフォーマットはありません。代理人の住所や氏名、連絡先を記入し、代理人に委任する旨の一文を書きましょう。最後に、委任者本人の住所と氏名を記入・捺印します。
郵送
ハローワークによっては、郵送による申請が可能なところもあります。近くのハローワークに電話で問い合わせ、対応可能なところで手続きを進めるとよいでしょう。手続きにかかる期間は1週間ほど。郵送による申請では、以下3つの書類を添付します。
- 本人記入済みの「雇用保険被保険者証再交付申請書」
- 本人確認書類のコピー(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 長型3号の返信用封筒(切手貼付)
電子申請
雇用保険被保険者証の再発行は、「e-Gov」とよばれる、総務省が運営する行政サービスの総合窓口での電子申請も可能です。電子申請の入力画面は、紙の様式と同じもの。黄色い枠に必要事項を入力して申請書を作成します。
ただし電子申請の際は、あらかじめ「電子署名」の用意が必要になるので、準備しておきましょう。
4.在職中に雇用保険被保険者証を再発行する手順
在職中に雇用保険被保険者証を再発行する手順について、説明します。
- 再発行申請に必要なものを準備する
- ハローワークでの申請
- 手続きの完了
①再発行申請に必要なものを準備する
退職した企業の正式名称・本社所在地・電話番号
「株式会社」といった、省略しない形の正式名称を記入します。「前株・後株」もしっかり確認しましょう。企業のWebサイトで確認すると確実です。
顔写真付きの本人確認書類
本人確認ができるのは、顔写真付きの書類のみ。被保険者本人が手続きをする場合は原本を持参し、代理申請する場合は写しを持っていきます。
印鑑、もしくは本人の署名
印鑑は、代理申請の際に必要になるものの、シャチハタといったスタンプ式の浸透印は認められません。被保険者本人が申請する場合は直筆で署名するので、印鑑は不要です。
②ハローワークで申請する
再交付は近くのハローワークで行います。ハローワークに置いてある「雇用保険被保険者証再交付申請書」に必要事項を記入して提出すると、最短で即日発行されるのです。
申請書の最後に、被保険者として雇用されていた企業の情報を記入する項目があります。以下の情報をメモしておくとよいでしょう。
- 事業所の正式名称
- 所在地
- 電話番号
雇用保険被保険者証再交付申請書は事前に入手が可能
再交付の手続きに必要な雇用保険被保険者証再交付申請書は、ハローワークのホームページからダウンロードして印刷できます。郵送して手続きをする場合、印刷した申請書に必要事項を記入し、同封して手続きを進めましょう。
③再発行手続きの完了
ハローワークの窓口で手続きを進めた場合、最短だと即日で再発行できます。ハローワークに行くのが難しく、郵送で再発行の手続きをする場合、雇用保険被保険者証が手元に届くまで4~5日ほどかかる見込みです。
5.在職中に雇用保険被保険者証を再発行するときの注意点
在職中に雇用保険被保険者証を再発行する際、いくつかの注意点があります。それぞれについて、解説しましょう。
- 雇用保険被保険者番号が変わる場合もある
- 前職で本当に雇用保険に加入していたかを確認する
- 再発行後は本人が保管する
- 二重交付に注意する
①雇用保険被保険者番号が変わる場合もある
雇用保険被保険者証に記載されている「雇用保険被保険者番号」は基本、同一の番号が引き継がれていきます。しかし下記のケースでは、以前と同じ番号が使用できなくなる可能性も高いです。
過去の就労状況や転職のタイミングによって番号が変わる
雇用保険から外れて7年以上が経過し、雇用保険被保険者番号のデータが抹消された
②前職で本当に雇用保険に加入していたかを確認する
雇用保険被保険者証を受け取っていないのではなく、そもそも前職で雇用保険に加入していない可能性もあります。
事業主にとっては、労働者を雇用保険に加入させるのは重大な義務です。それでも、手続きを忘れて加入できていない可能性はゼロではありません。万が一、雇用保険に加入していなかった場合、再発行ではなく新規発行の扱いとなります。
③再発行後は本人が保管する
「雇用保険被保険者証」は事業主が保管しているケースが多く見られます。本来は被保険者である労働者本人が保管すべきもの。再発行後は本人の保管も検討してみてください。
なおこれまで被保険者が氏名を変更する場合、事業主が手続きを行い「雇用保険被保険者証」を添付することとされていました。しかし現在、添付の必要はありません。
④二重交付に注意する
雇用保険被保険者証の二重交付とは、2つ以上の企業で被保険者になっている状態のこと。「2つ以上の企業で働いたことがある」「雇用保険被保険者証を紛失した後、再交付をせずに転職して新規扱いになった」といったケースで二重交付が起こりえます。
雇用保険被保険者番号を2つ以上持っていると、短い被保険者期間の番号が手続きに使われてしまい、失業給付の額が本来より少なくなる可能性も高いです。
雇用保険番号や加入状況の照会方法
雇用保険番号や加入状況の確認照会は、ハローワークで行えます。ハローワークで配布している「雇用保険被保険者資格取得届出確認照会票」に必要事項を記入すると、本人もしくは代理人の来所、または郵送といった方法で確認照会ができます。
確認照会で提出する書類は、以下のとおりです。
- 雇用保険被保険者資格取得届出確認照会票
- 本人・住所確認書類
郵送で手続きをする場合、本人・住所確認書類の写しを添付してください。また、代理人による提出では委任状が必要です。
6.雇用保険被保険者証以外に在職中でも再発行が可能な書類
在職中でも再発行が可能な書類は、雇用保険被保険者証以外にもたくさんあります。再発行できる書類について解説しましょう。
健康保険被保険者証
健康保険被保険者証や高齢受給者証は、印字がかすれて見にくくなったり、紛失したりしたときに再発行できます。
再発行を希望する場合、勤めている企業を通じて「健康保険被保険者証再交付申請書」「健康保険高齢受給者証再交付申請書」を記入し、協会けんぽに提出してください。再交付した健康保険被保険者証は企業に送られます。
源泉徴収票
勤めている企業からしか発行できません。もし現在勤めている企業の源泉徴収票を発行してほしい場合、給与計算をしている部署に問い合わせましょう。
以前勤めていた企業に源泉徴収票の再発行をお願いする場合も、企業に問い合わせれば手続きされます。このとき、「労働者本人の氏名」「送り先の住所」「必要としている源泉徴収票の年度」を伝えてください。
離職票
離職したと証明する書類です。前職の企業が発行するもので、転職先の企業が在籍確認や退職理由を知りたい場合、提出を求めることもあります。再発行の方法は、以下の2つです。
- 前職の企業に問い合わせ、人事担当者に再発行を依頼する
- 近くのハローワークで再発行の手続きを行う
また再発行の手続きをする際は以下の書類が必要です。
- 離職票再交付申請書
- 身分を証明できる顔写真付きの書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
また代理申請をする場合、委任状と代理人の本人確認書類も必要です。離職票再交付申請書はハローワークの窓口で受け取れるほか、ハローワークのウェブサイトからもダウンロードできます。
退職証明書
在職期間や仕事内容などを証明する書類のこと。退職者や退職を予定している人が希望した場合、企業から発行されます。退職証明書は、次のような場面で必要になるのです。
- 退職した後に国民健康保険や国民年金、失業手当などの手続きを行うとき
- 転職先から提出を求められたとき
退職証明書は本人が希望すれば企業は発行しなければならない決まりになっています。よって再発行も必ず行われます。
年金手帳
年金手帳は本来本人が保管しているもの。しかし事業主が「被保険者資格取得届」を日本年金機構へ提出しなければならないため、入社した労働者から年金手帳を預かることもあります。
もし年金手帳を紛失して基礎年金番号がわからなくなったら、事業主が管轄の年金事務所に年金手帳再交付申請書」を提出し、再発行を申請します。