雇用保険資格喪失届とは? 提出方法や記入時の注意点、届け出後の修正方法について

雇用保険資格喪失届とは、労働者の死亡時や退職時に必要な書類です。ここでは雇用保険資格喪失届について、詳しく解説します。

1.雇用保険資格喪失届とは?

雇用保険資格喪失届とは、労働者が死亡・退職したとき、事業主からハローワークへ提出する書類です。ここでは下記3つについて解説します。

  1. 事業者が雇用保険資格喪失届を提出する理由
  2. 労働者が退職していなくても提出が必要なケース
  3. 雇用保険資格喪失届と混同しやすい書類

①事業者が雇用保険資格喪失届を提出する理由

労働者が退職・死亡した場合、事業主は当該労働者を雇用保険の被保険者から外す必要があるからです。雇用保険資格喪失届の提出は、退職の事実があった日の翌日から起算して10日以内が提出期限になっています。

労働者が被保険者でなくなったと確認できていない場合、離職した労働者が雇用保険による失業給付を受けられないといった不利益を被る場合もあります。

②労働者が退職していなくても提出が必要なケース

労働者が退職していなくても、次のように提出が必要なケースもあります。

  • 労働者が取締役に就任したため、給与が役員報酬のみとなった
  • 1週間の労働時間が、20時間未満に変更になった
  • ただしこれには以下のような条件が伴います。
  • 取締役と事業主が雇用関係ではなく、委任関係の上に成り立っている
  • 雇用保険の被保険者の条件に該当しなくなる

所定労働時間の変更は臨時的・一時的な場合のみ、資格喪失手続きは不要となります。

③雇用保険資格喪失届と混同しやすい書類

雇用保険資格喪失届と混同しやすい書類があります。ここでは「離職票」「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失手続届」について解説します。

離職票

離職票は、事業主が退職した労働者に発行する書類です。退職した労働者は、事業主から発行された離職票を持参してハローワークに行きます。そしてハローワークで必要な手続きを経たあと、提出された離職票の内容に応じて決定された失業手当を受けるのです。

健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失手続届

健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失手続届は、事業主が日本年金機構に提出する書類です。事業主が日本年金機構に書類を提出すると、退職した労働者を健康保険や厚生年金保険から外せます。

雇用保険資格喪失届とは、労働者が死亡・退職したときに、事業主からハローワークへ提出する書類です。混同しやすい書類もあるので、注意しましょう

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2.雇用保険資格喪失届の入手方法と提出方法

雇用保険資格喪失届についておさえておきたいのは、入手方法・提出方法です。ここでは下記のような入手方法と提出方法について、解説します。

  1. 書類のダウンロードと印刷
  2. 郵送による提出
  3. 窓口での提出
  4. 電子申請

①書類のダウンロードと印刷

雇用保険資格喪失届は、各都道府県のハローワークのウェブサイトからダウンロードできます。ダウンロードして印刷する際の注意点は、下記のとおりです。

  • 第1面・第2面のある申請書は、両方とも印刷する
  • A4の白色用紙に等倍で印刷する
  • 光学式文字読取装置(OCR)で読み取るため、基準マークに欠損やかすれといった印刷不良がないか確認する

②郵送で提出する場合

雇用保険資格喪失届をハローワークに郵送で提出する場合の注意点は、下記のとおりです。

  • 添付書類も一緒に郵送する
  • マイナンバーを記載しているため、特定記録や簡易書留など受け取り確認ができる方法を選択する
  • ハローワークから発行される書類の返送のため、希望する郵便種類を明記して料金分の切手を貼付した、返信用封筒を同封する

③窓口で提出する場合

雇用保険資格喪失届をハローワークの窓口に提出する場合の注意点は、下記のとおりです。

  • 雇用保険資格喪失届は、事業所がある管轄ハローワークの雇用保険の窓口に提出する
  • 提出時には「雇用保険被保険者離職証明書」も同時に提出する
  • ハローワークに書類を確認、受理されたら「離職票-1」「離職票-2」を受け取り、速やかに退職者に渡す

④電子申請

電子申請する場合には、電子政府の総合窓口「e-Gov」を使います。注意点は、下記のとおりです。

  • 「e-Gov」での申請は、離職票交付あり・なしの両方を申請できる
  • 資料は、PDFといったファイルで添付する
  • 申請後は「離職票-1 兼 資格喪失確認通知書」「離職票-2」「資格喪失確認通知書」「離職証明書」を電子公文書としてダウンロードできる

雇用保険資格喪失届は、ウェブサイトからダウンロードで入手できます。提出は、郵送・窓口・電子申請のどれかで行うのです

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3.雇用保険資格喪失届の主な記入項目

雇用保険資格喪失届の主な記入項目について、下記5つを挙げて解説します。

  1. 喪失原因
  2. 離職年月日
  3. マイナンバー
  4. 被保険者でなくなった理由
  5. 離職票交付希望

①喪失原因

雇用保険資格喪失届に記載されている事項から該当する区分を選択し、記入します。

  • 1.死亡、在籍出向など「離職以外の理由」である
  • 3.解雇、希望退職者の募集など「事業主の都合による理由」である
  • 2.自己都合退職、重責解雇、期間満了、60歳以上の定年など「3以外の理由」である

②離職年月日

離職年月日には当該被保険者の最終在籍日、すなわち離職・死亡・移籍出向・役員就任などで資格を失うにあたり、被保険者であった最後の日を記入します。

具体的には、「最後に就労した日」「本人の申し出日」「病気といった事情で長期欠勤していた場合は労働者として拘束を受けた最後の日」「死亡の場合は死亡した日」です。

③マイナンバー

マイナンバーとは、住民票を持つすべての国民一人に1つ与えられる個人番号のこと。2018年5月以降、雇用保険資格喪失届の記入に関しても、被保険者のマイナンバーの届け出が必要となりました。

マイナンバーの提出を拒否したい場合、社会保険労務士欄の直下スペースに「本人事由によりマイナンバー届け出不可」と記載します。

④被保険者でなくなった理由

離職した理由を具体的に記載します。離職理由の内容によっては、失業給付の受給資格の可否や失業給付の給付日数が大きく変わる場合も。

そのため雇用保険資格喪失届で離職理由を記載する際は、「離職に至ったいきさつについて詳細に記載する」「離職理由が契約期間満了の場合、契約期間を限った理由について具体的に記入する」ことが必要です。

⑤離職票交付希望

離職票とは、以下のような書類です。

  • 労働者が会社を退職した際に、会社から退職者に渡される
  • 退職者がハローワークに提出すると、失業給付の手続きを行える

離職票の交付を希望する場合に「有」の区分を選択して記載し、作成した離職票も一緒にハローワークに提出します。また離職日に労働者が59歳以上の場合に限って、本人の希望の有無に関係なく離職票が交付されるのです。

雇用保険資格喪失届の主な記入項目には、「喪失原因」「離職年月日」「マイナンバー」「被保険者でなくなった理由」「離職票交付希望の有無」などがあります

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4.雇用保険資格喪失届の届出の際に必要な添付書類について

雇用保険資格喪失届を届け出る際、あわせて提出する添付書類があります。届け出のあとに提出する可能性がある書類とともに解説しましょう。

添付書類一覧

添付書類は、手続き内容で異なります。被保険者が離職したり死亡したりした際は、下記のような書類が必要です。

  • 出勤簿
  • 退職辞令発令書類
  • 労働者名簿
  • 離職証明書(離職票が必要ないときには不要)
  • 賃金台帳
  • 離職理由が確認できる書類

離職証明書

離職証明書とは、退職の決まった労働者が離職票を請求するために交付する書類のこと。「事業主控」「ハローワーク提出用」「雇用保険被保険者離職票-2」の計3枚複写になっています。

離職証明書に記入する退職理由によっては、失業給付の支給時期や日数が大きく異なる場合もあるため、正確な記入が必要です。

賃金台帳

賃金台帳とは、使用者が事業場ごとに、賃金支払いの都度、遅滞なく記入しなければならない書類のこと。賃金計算の基礎となる事項や賃金額などが記載されています。

賃金台帳は、「労働者を雇用したとき」「高年齢雇用継続給付を受けようとするとき」などの場面で添付が求められるのです。ただし離職票交付を必要としないときの添付は不要です。

届け出の後に提出する可能性がある書類

届け出の後に提出する可能性がある以下の書類について、解説しましょう。

  1. 雇用保険被保険者資格取得喪失届等訂正取消願
  2. 雇用保険被保険者資格喪失確認通知書

①雇用保険被保険者資格取得喪失届等訂正取消願

雇用保険被保険者資格取得喪失届等訂正取消願とは、ハローワークに届け出た書類の内容に不備を見つけたときに提出する書類のこと。このような場合、雇用保険被保険者資格取得喪失届等訂正取消願を速やかに、ハローワークへ提出します。

②雇用保険被保険者資格喪失確認通知書

雇用保険被保険者資格喪失確認通知書とは、雇用保険の資格が喪失した事実を証明する書類のこと。すべての退職者に発行される書類ではなく、離職票を受け取る場合、発行されません。

雇用保険被保険者資格喪失確認通知書は、離職票の交付無と記入して資格喪失届を届け出た後、離職票を交付する場合に必要となります。

雇用保険資格喪失届を届け出る際には、添付書類が必要です。また届け出の後に提出する可能性のある書類もあります

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5.雇用保険資格喪失届に関する注意点

雇用保険資格喪失届に関する注意点として、以下に挙げる3点を解説します。

  1. 「氏名変更届」の文字を消す
  2. 用紙を紛失してしまった
  3. 雇用保険資格喪失届を取り消したい

①「氏名変更届」の文字を消す

雇用保険資格喪失届・氏名変更届は、同じ用紙で届け出ます。そのため雇用保険資格喪失届として用紙を使用する際は、下記が必要です。

  • タイトル「氏名変更届」の文字を、黒いボールペンを用いて二重線を引く
  • 下部に記載の第14条第1項の文字を消す

②用紙を紛失してしまったとき

雇用保険資格取得手続きの際は通常、必要事項が記載された資格喪失届も一緒に受け取ります。しかし雇用保険資格喪失届を紛失してしまった場合、移行用の資格喪失届を使用します。移行用の資格喪失届とは、様式第4号のことです。

③雇用保険資格喪失届を取り消したいとき

取り消しが必要となるケースとして、以下のようなものが該当します。

  • 届け出た書類の内容に誤りがあるため、訂正が必要となった
  • 1人の被保険者が2つ以上の雇用保険被保険者番号を持っていた
  • 届け出た内容が事実と相違しており、届け出そのものを取り消す

雇用保険資格喪失届を取り消す際は、雇用保険被保険者資格取得喪失届等訂正取消願を提出します。

雇用保険資格喪失届に関する注意点を押さえておくと、手続きを適切かつスムーズに進められるでしょう