雇用形態とは?【わかりやすく解説】具体例、変更手続き

ライフスタイルの多様化や企業の働き方改革が進んだことで、さまざまな雇用形態が生み出されつつある現代。IT技術の普及もあり、多様な働き方が広く日本社会に浸透しつつあるのです。

しかし、多様な雇用形態といっても、一体どういうかたちがあるのでしょう?

ここでは、

  • 雇用形態とは何か
  • 雇用形態にはどのような種類があるのか
  • 雇用形態変更の手続き
  • 雇用形態ごとのメリット・デメリット

などについて説明いたします。

1.雇用形態とは?

雇用形態とは企業とそこで働く従業員が雇用契約を締結するときの雇用契約の採用種別のこと

一般的な雇用形態には「正社員」「契約社員」「アルバイト・パート社員」「派遣社員」などがあります。

働き手の正社員志向は根強いです。

しかしその一方で、自分のライフスタイルに合った働き方を模索する人も増えています。その結果、派遣社員やパート社員をあえて選択する労働者が増加しているのです。

雇用契約とは?

雇用契約とは労働者が使用者との間で賃金をはじめとする労働条件について合意し、対価として労働力の提供を約束する契約のことで、正式には労働契約といいます。

民法第623条では

「雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる」

と定めています。

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2.雇用形態の具体例

近年、働く側の意識が変わったことで、正社員とアルバイトといった従来の雇用形態のほかに、新しい雇用形態が誕生しました。

その中から、代表的な雇用形態について個別に見ていきます。

  1. 正社員
  2. 派遣労働者(派遣社員)
  3. 契約社員
  4. パートタイム労働者
  5. 短時間正社員
  6. 業務委託(請負)契約
  7. 家内労働者
  8. 在宅ワーカー

①正社員

正社員とは、期間の定めのない労働契約によって企業に雇われている労働者の中でも、企業が定めている就業規則の中の所定労働時間の上限、すなわちフルタイムで労働する者のこと。

正社員、もしくは正規社員という呼称で広く社会で用いられている言葉です。しかし、正社員や正規社員という呼称について、法律上、明確な定義はありません。

②派遣労働者(派遣社員)

厚生労働省による派遣労働者の定義は、「労働者が人材派遣会社(派遣元)との間で労働契約を結んだ上で、派遣元が労働者派遣契約を結んでいる会社(派遣先)に労働者を派遣し、労働者は派遣先の指揮命令を受けて働く」こととなっています。

法律上の雇用主は人材派遣会社です。

③契約社員

契約社員とは、あらかじめ労働契約に雇用期間が定められており、期間満了によって労働契約が自動的に終了するかたちで働く社員のこと。

1回当たりの契約期間の上限は、例外を除いて基本的に3年と定められており、契約が更新されれば引き続き就労します。

④パートタイム労働者

パートタイム労働者とは同じ事業所に雇用されている正社員と比較して、1週間の所定労働時間が短い労働者のことを指します。

パートタイム労働法が別途制定されており、

  • パートタイマー
  • アルバイト

など呼称は異なっても条件を満たしていれば、パートタイム労働法の適用対象となります。

⑤短時間正社員

短時間正社員とはフルタイムで働く正社員と比較して所定労働時間(もしくは所定労働日数)が短い正社員のこと。

子育てや介護によってフルタイムで働くのがむずかしい人、高齢者などフルタイムでの勤務を希望しない人、にとって働く機会が広がります。

雇用契約の条件として、

  • 期間の定めがない
  • 1時間当たりの基本給および賞与・退職金などの算定方法が同事業所に雇用される同種のフルタイムの正社員と同等

のようにしているケースが多く見られます。

⑥業務委託(請負)契約

業務委託(請負)契約とは、仕事の注文主の指揮命令を受けない、いわゆる「事業主」として扱われる契約のこと。

業務委託契約の場合、受注した仕事の成果物に対して報酬が支払われます。

ただし、働き方の実態から「労働者」と判断された場合、労働基準法の保護対象になります。

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⑦在宅ワーカー

在宅ワーカーとは在宅就業者のことで、業務の委託を受け、パソコンなどの機材を用いて仕事を行います。在宅ワーカーも「事業主」として扱われています。

しかし昨今、委託者と在宅ワーカーとの力関係によって問題も生じているのです。

このことから委託者には、厚生労働省が発行する「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」に基づいた、一定の対応が求められています。

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3.従業員の雇用形態変更時に必要な手続き例

従業員の雇用形態を変更する際に、必要となる手続きがあります。

ここでは、

  1. 正社員からパートタイマーに変更した場合
  2. 派遣社員を直接雇用に変更する

という2つの事例を挙げて、必要な手続きを説明いたします。

具体例1:正社員からパートタイマーに変更する場合

正社員として仕事をしていたものの、さまざまな理由でパートタイマーに雇用形態を変更するケースです。

この場合、正社員からパートタイマーという異なる雇用形態になるため、まず労働契約を新たな内容で結び直します。トラブル回避のためにも、契約内容の変更は雇用契約書という形で書面にて交付しましょう。

新たな契約の下でも「1週の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が、一般社員の4分の3以上」の加入基準を満たしている場合(常時501人以上の特定適用事業所には別途加入基準あり)、正社員であったときと同様、社会保険の被保険者となります。

しかし、固定的賃金の変更などで給与がダウンする場合、変更月から引き続く3カ月間に支払われた給与の平均に2等級以上の差が生じた場合のみ、社会保険料の随時改定の手続きが必要です。

具体例2:派遣社員を直接雇用(正社員など)に切り替える場合

派遣社員を直接雇用に切り替える場合には、3つの留意点があります。

(ただし紹介予定派遣に限っては、派遣期間中であっても雇用契約の締結は法律上、認められているため、直接雇用する際は、これらの留意点に注意して、契約を結びましょう)

  1. 派遣元事業主は、派遣社員の雇用期間終了後の派遣先事業主と派遣社員の直接雇用契約に関して制限してはいけない
  2. 紹介予定派遣など派遣元事業主の職業紹介を通して直接雇用した場合、派遣先事業主は紹介手数料を支払う必要がある
  3. 派遣社員を派遣期間中に直接雇用することは、派遣元事業主から債務不履行、不法行為による損害賠償を請求される恐れがあるため控えるたほうが良い

派遣社員を直接雇用した場合、社会保険と雇用保険の資格取得手続きも必要になります。所得税に関しても年末調整の対象になりますので、前職の源泉徴収票を提出してもらいましょう。

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4.雇用形態別・メリットとデメリット

正社員が最も待遇が良いのか?

一般的に、いくつかある雇用形態の中では、正社員が最も待遇が良いと考えられています。確かに正社員のメリットとして、

  • 雇用期間の定めがないため雇用が安定している
  • ボーナスや退職金制度の適用がある
  • 昇給昇格のチャンスがあり責任のある仕事ができる
  • 福利厚生や研修制度が充実している

などが挙げられるでしょう。

正社員のデメリット
しかし、考え方によっては正社員にもデメリットがあります。

正社員になればフルタイム勤務になり、残業発生時には定時退社が難しいこともありますし、転勤やジョブローテーションの影響を受けることもしばしば。

また、安全衛生委員会など業務以外の活動を求められることもあり、時間的にも制度的にも兼業がしづらい点を考慮しなければなりません。

社会保険の加入条件について

社会保険の加入は、労働契約における勤務時間や収入などの条件で決まります

パートタイマーやアルバイトといった雇用形態でも週の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が、一般社員の4分の3以上の場合には、加入が必要となるのです(常時501人以上の特定適用事業所では、別途加入条件あり)。

派遣社員は、派遣元企業で社会保険に加入します。

労働災害保険

労働災害保険とは、労働者が業務上、または通勤途中で負傷したり病気に見舞われたり死亡したりしたとき、被災労働者や遺族を保護する制度のこと。

労働災害保険は、どのような雇用形態であっても雇用されている人全員に、適用されます。

雇用保険

雇用保険は、労働者の失業に対して生活や雇用の安定、再就職の支援などを行う制度のこと。

雇用主は、週20時間以上勤務する従業員を、正規・非正規社員など雇用形態を問わずに雇用保険に加入させる義務があります。

厚生年金、健康保険

社会保険制度は、厚生年金と健康保険の2つから成り立つもので、厚生年金と健康保険への加入要件の一つは、就業時間が概ね週30時間以上となります。

その他にも、

  1. 所定労働時間が週20時間以上
  2. 月額賃金88,000円以上
  3. 勤務期間に1年以上の見込みがある
  4. 従業員数501名以上の企業(500名以下の企業は別途条件)
  5. 学生は除外

といった5項目すべてを満たす人も加入対象です。