人事の仕事をしている方であれば、「労働力人口」という言葉を耳にしたことがあると思います。しかし、労働力人口の定義を知らない人も決して少なくありません。今回は、労働力人口についての知識と今後の課題などを合わせて詳しくご紹介いたします。
労働力人口とは?
総務省統計局では毎月一定の統計上の抽出方法に基づき選定された全国約4万世帯を対象に労働力調査を行っており、調査月の末日現在満15歳以上の者で下記に該当する者を労働力人口に含めます。
・従業者:主に仕事をしているまたは家事や通学の傍らに仕事をして、賃金や給与、諸手当、内職収入を伴う仕事を1時間以上した者
・休業者:仕事を持ちながら調査期間中少しも仕事をしていない者
※従業者と休業者を合わせて就業者と呼びます。
・完全失業者:調査期間中に仕事に就いていないが、仕事があればすぐに就業できる者または仕事を探していたり事業を始める準備をしていた者
労働力人口と非労働力人口の定義
解説で詳細を述べていますが、労働力人口の定義とは満15歳以上で労働力人口は就業者と完全失業者を合計した人口です。非労働力人口の定義とは就業者と完全失業者に該当しない人口のことを言います。
労働力人口の調査結果を参照する時に注意すべき点は、労働力人口には本業が学業である学生、専業主婦や病気療養等で内職をしている者、高齢者、休職者が含まれており、企業で求めている人材とかけ離れた人材が含まれているため、労働力人口の調査結果を見て「労働力人口って世間で言われている程少なくないな」と楽観視しないように気をつけましょう。
今後の労働力人口の推移予測と課題
総務省の調査により、2013年に15歳~64歳の生産年齢人口は7,901万人でしたが、2060年には4,418万人まで大幅に減少することが予測されています。
一方で就業を希望しながらも就業できていない非労働力人口は2013年時点で428万人おり、就業できない理由として出産や育児、介護や看護、近くに仕事がない、適当な仕事がないという理由があげられています。
超高齢化社会を迎え、今後労働力人口が減る中でどのように、就業を希望している人を活用できるようにしていくかが課題になります。
在宅での勤務が可能な人材には、パソコンのセキュリティ対策を十分に行い、資料作成やデータ集計、会議ロボットを利用した会議への参加を可能にして、自宅を離れられない人だけでなく、地方に住んでいる優秀な人材を在宅社員として雇用する方法があります。
すでに一部の企業ではこの方法で、難病を発症した社員を退職させずに在宅社員として雇用するケースや、重度の障害者の雇用などを実現させています。
他にも、業務改善システムの導入により新規雇用者を減らすことや、退職率が高いようであれば採用時のミスマッチや、職場に問題がないか会社に対して従業員満足度調査を実施して、採用した人材には長く活躍してもらいながら新しい雇用形態を模索することが必要です。