労働政策審議会は労働政策について審議を行う委員会のことです。労働政策審議会の情報を知ることは、すなわち日本企業が今後取り組む議題といっても過言ではなく、人事担当者は可能な範囲で労働政策審議会の動向を押さえておきたいものです。
本記事では労働政策審議会の意味を説明しながら、どのような分科会があり、どのような役割を持っているのか全体像を説明していきます。
労働政策審議会とは?
労働政策審議会とは厚生労働省に置かれている審議会のひとつで、労政審と略称されることもあります。2001年に統合が行われ現在は7つの分科会、そのもとに11の部会が置かれています。分科会はそれぞれ労働条件分科会、安全衛生分科会、勤労者生活分科会、職業安定分科会、障害者雇用分科会、職業能力開発分科会、そして雇用均等分科会と名付けられています。
労働政策審議会は厚生労働大臣によって任命された労働者・公益・使用者それぞれ10名、合計30名の委員で成り立っていて任期は2年ですが再任も可能です。このメンバーによって労働政策に関する重要な事項の調査審議が行われ、そこで意見があれば厚生労働大臣に伺いを立てることができます。
それぞれの分科会に任された役割とは?
前述の通り労働政策審議会には、7つの分科会がありそれぞれの役割を持っています。
労働条件分科会は賃金の支払いや労働契約、また休息や労働時間、災害補償など主に労働条件に関わることの審議を行います。安全衛生分科会は労働衛生に関わること、勤労者生活文化会は財産形成の促進や中小企業退職金共済関連、障害者雇用分科会は障害者の雇用促進関連の審議を行います。
最近では女性の社会進出が目覚ましくなっているため男女の雇用均等を呼びかけたり育児、介護で職探しが困難な人の雇用を促進したりするための雇用均等分科会の存在が注目されています。
また高齢化社会に合って、高齢者の雇用・再就職支援や職業紹介、失業対策に関する審議を行う職業安定分科会も重要な分科会です。職業能力開発分科会は公共職業訓練や職業能力の向上に努めるための役割を担っています。
労働政策審議会の今後の課題
女性の社会進出、高齢者の再雇用問題、育児・介護休暇、また最低賃金の設定など目まぐるしく時代が変わる中で、現在の労働審議会に関わる委員の選び方に疑問が上がっています。
労働審議会委員は以前からの主要関係者から選ばれていることが多く、どうしてもメンバーが固定されがちであるため、今後は幅広い分野からのメンバーで構成すべきとの声も上がっています。
この意見を受け、2016年6月には塩崎厚生労働大臣自身も労働政策審議会委員の選び方の見直しを言及していることから、今後の変革に期待が持てるといえるでしょう。
また労働政策の遅延化や内閣府で決まった方針がそのまま厚生労働省に降ろされてくる構図も課題点として指摘されています。時代の変遷に合わせて既存の仕組みを取っ払い、新たに構築することが必要との声が高まり始めています。