リードタイム/lead timeとは?【意味をわかりやすく】計算方法

リードタイムとは、スタートからゴールまでに要した時間のこと。ここでは、リードタイムについて解説します。

1.リードタイム(lead time)とは?

リードタイム(lead time)とは、あるプロセスの着手から完了までに要する時間(期間)を指す言葉です。たとえば、発注から納品までにかかる時間を納品リードタイムと表現します。主に製造や物流の領域で使用され、もともとはトヨタ自動車が生み出した造語です。

納期との違い

納期とは、商品やサービスをユーザーに納める期限のこと。一般的に納期は、「○月○日が納期となっている」といった使い方をします。一方、リードタイムは、商品発注から納品完了までの期間のことで、「○日間」といった使い方をします。

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2.リードタイムの関連用語

リードタイムにはどのような関連用語があるのでしょう。下記2つについて見ていきます。

  1. タクトタイム
  2. サイクルタイム

①タクトタイム

製品1個を製造するのに必要な時間のこと。「稼働時間÷必要生産数」で計算でき、ピッチタイムと呼ぶ場合もあるのです。

短いとより多く製造でき、長ければ製造が少なくなります。製品生産のリズムを可視化できる重要な値です。

②サイクルタイム

1周期に必要な正味時間のことで、余裕・損失を省いた作業時間です。「稼働時間÷実際の生産数」で計算できます。

通常、「ボトルネックとされるタクトタイム以外の工程をどのように解消していくか」「サイクルタイムとタクトタイムの乖離をどのように解消するか」が課題になるのです。

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3.リードタイムの計算方法

リードタイムの計算方法は、下記の2つです。

  1. 品目ごとのリードタイムを固定のものとし、納期から予定開始日を求める固定リードタイム計算
  2. ロットの大きさでリードタイムを変動させる変動リードタイム計算

計算式は、以下のとおりです。

  • 固定リードタイム計算:予定開始日=納期-(リードタイム+安全リードタイム)
  • 変動リードタイム計算:予定開始日=納期-〔(待ち+段取り+後処理+移動)+オーダーの所要量×1個当たりの実作業時間〕

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4.リードタイムの種類

リードタイムには4種類あります。それぞれについて解説しましょう。

  1. 出荷リードタイムと輸送リードタイム
  2. 生産リードタイム
  3. 開発リードタイム
  4. 調達リードタイム

①出荷リードタイムと輸送リードタイム

2つの内容は、下記のとおりです。

  • 出荷リードタイム:顧客からの発注や出荷計画などにもとづいて、工場や倉庫へ出荷指示が行われる時間
  • 輸送リードタイム:発注を受けた工場や倉庫から持ち出し梱包、発注先へ商品が到着、あるいは配送業者へ到達するまでの時間

②生産リードタイム

商品を製造する際、原材料の加工から完成商品として発注先へ出荷されるまでの期間を合計した時間のこと。生産に関するすべての時間を合計して計算します。

そのため滞留時間や待機時間など。生産工程における生産性のない時間もすべて含めて計算しなければなりません。また製造工程間の仕掛在庫の増加に比例して、リードタイムも増加します。

③開発リードタイム

商品開発を行う際、計画や立案に要する時間のこと。消費者のニーズは多様化し、ニーズが変化するスピードも速くなっています。開発リードタイムの短縮は、企業の持続的成長に不可欠です。

④調達リードタイム

生産に必要な原材料や部品などを工場に納入するために要する時間のこと。ここには、輸送・搬入期間や受け入れに要する期間なども含まれます。多くの種類の材料を使って作る商品は、調達リードタイムが長くなる傾向にあるのです。

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5.リードタイムを短縮するメリット

リードタイムを短縮するメリットは何でしょうか。それぞれについて解説します。

  1. 在庫管理コストの削減
  2. 収益の向上
  3. サービスの差別化の実現
  4. 問題点の可視化

①在庫管理コストの削減

在庫が増えてしまってもスムーズに納品できれば管理する在庫数を減らせます。たな卸しの際の時間も少なくすみ、在庫管理に関するスペースや人員、作業といったコストも減らせるでしょう。

在庫が少なければ、保管期間が長くなって商品の品質が劣化してしまうリスクも減っていきます。鮮度の良い商品を市場に出せるのは強みです。

②収益の向上

より多くの注文を受けるためにも、リードタイムの短縮は欠かせません。リードタイムを縮小できれば、生産性は確実に向上します。欠品による販売チャンスを逃してしまうリスクが減っていけば、収益も大きく向上するでしょう。

また生産性を向上させ出荷が早まれば、たとえ市場ニーズが変化しても過剰在庫を抱えず変化に対応できます。収益性の向上は、企業にとって大きなメリットです。

③サービスの差別化の実現

リードタイムが短いと、自社の強みになります。他社より早く商品を納入できれば、他社との差別化にもつながります。商品をどこよりも早く納入できる点は、速さを追い求める現代社会において、企業の大きな強みになるでしょう。

④問題点の可視化

リードタイムの短縮を目的として個々の工程を見直していけば、工程にある問題点をあぶりだせます。何気なく進めていた工程のなかに潜む非効率を可視化すると、作業工程のスリム化や生産性の向上につながるのです。

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6.リードタイムを縮小するデメリット

リードタイムを縮小するデメリットもあります。2つについて解説しましょう。

  1. 品質低下
  2. 小ロット生産のリスク

①品質低下

リードタイムを縮小すると、現場にて「早く生産しなければいけない」「早く納品しなければいけない」といった無意識の焦りが生じます。この焦りが、ミスや手抜きにつながれば、商品の品質は低下しかねません。

リードタイムを考える際は、「品質を維持したままリードタイムを短縮するにはどうしたらいいか」検討しましょう。

②小ロット生産のリスク

リードタイムを短縮すれば回転率を上げられます。在庫を抱えなくて済むため、小ロット生産が実現するのです。しかし小ロット生産には何らかの事情で生産工程がストップした時、欠品を出しやすくなる側面もあります。

欠品は企業の商品販売のチャンスを著しく損ねるでしょう。欠品しないような適正なリードタイムはどのくらいか、商品ごとの検討が必要です。

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7.リードタイムを短縮する方法

リードタイムを短縮するにはどうすればよいのでしょう。4つのケースとその方法を解説します。

  1. 出荷リードタイムと輸送リードタイムの場合
  2. 生産リードタイムの場合
  3. 開発リードタイムの場合
  4. 調達リードタイムの場合

①出荷リードタイムと輸送リードタイムの場合

リードタイムの短縮方法は以下のとおりです。

  • 倉庫管理システムの導入
  • 配送管理システムを用いた荷物の積み下ろしの効率化
  • ハンディーターミナルの導入による検品時間の短縮
  • 最適化した倉庫管理により、ピッキングをスムーズに進めるための導線を整備する
  • 検品、梱包作業の効率化

リードタイムの短縮とともに、リードタイムにおける商品の流れやリードタイムに関する情報を開示するのも有効です。

②生産リードタイムの場合

リードタイムの短縮方法は以下のとおりです。

  • 最新の生産設備導入
  • 生産計画の適正化
  • 実労働時間、実作業時間の短縮
  • 生産に必要な原材料や部品などのストック確保
  • 生産途中の仕掛かり在庫管理
  • 作業員の人員数の適正化
  • 作業員の適材適所の配置

商品の生産は、自社工場や外注先工場などさまざまな場所で行われるもの。生産拠点の特性にも配慮し、それぞれの現場におけるリアルなリードタイムの短縮方法を検討するとよいでしょう。

③開発リードタイムの場合

リードタイムの短縮方法は以下のとおりです。

  • 仕入れ先の変更
  • 開発工程の優先順位付けと簡素化
  • 原材料や部品の共有化

商品の開発に時間がかかってしまうと、トレンドにのった商品の販売ができなくなり、企業活動は下降線を描きます。開発リードタイムの短縮は、非常に重要な課題です。

④調達リードタイムの場合

リードタイムの短縮方法は以下のとおりです。

  • 外部調達に必要な時間の事前リサーチ
  • 仕入れ先へのリードタイム短縮の交渉

仕入れ先が海外の場合、想定以上の時間がかかる場合もあります。また国内外を問わず外部調達が多い商品ほど、綿密な事前リサーチを行う必要があるでしょう。仕入先のリードタイムが長い場合、改善点を提案しながら一緒にリードタイムを短縮していきます。