【DXの重要課題】レガシーシステムとは? 意味、問題点、脱却の方法を解説

近年のデジタル競争や新型コロナウイルスの蔓延を背景に、企業や行政におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)が注目を集めています。

またその過程で、一般的に認知があまりなかったレガシーシステムという言葉も、DX推進の重要な課題として関心が寄せられている状態です。

本記事では、このレガシーシステムについて、意味や問題点、脱却するための方法について解説します。

1.レガシーシステムとは? DXでどのような意味をもつのか

レガシーシステムとは、新しい技術の普及などにより、古くなった技術や仕組みをもとに構築された基幹システムなどのITシステムです。主にメインフレームと呼ばれる大型コンピュータやオフコン(オフィスコンピュータ)、構築から20年以上経過するシステムのことを指します。

時代遅れのシステムとも呼ばれ

  • 技術の老朽化
  • システムの肥大化・複雑化
  • ブラックボックス化

などの問題を抱えており、官民問わずDX推進の足かせになっています。

国を挙げて推進されるDXにおいて解決すべき重要な課題として扱われ、レガシーシステムの刷新は、DX実現に必要不可欠とされています。

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2.レガシーシステムが引き起こす「2025年の崖」問題

2025年の崖とは、レガシーシステム問題に対応できなければ、DX実現が難しくなるだけでなく、2025年以降には最大12兆円の年間経済損失が生じるという問題です。

レガシーシステムの改善はDXが注目される以前から存在する課題でした。しかし経済産業省が2018年に発行した『DXレポート』で明らかになった2025年の崖問題をきっかけに、対応の緊急度が高まります。企業がデジタル競争社会で生き残るにあたって対応すべき問題として、レガシーシステムが紹介されたためです。

2025年に予測されているレガシーシステムがもたらす悪影響は次の通りです。

  • データ活用や連携がうまくいかず、デジタル競争の敗者になる
  • システムの維持管理費が、IT予算の9割を占めるようになる
  • システムトラブルの発生やデータ滅失のリスクが増加する

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3.情報システムがレガシーシステムになってしまう原因

レガシーシステムが生まれてしまう原因は、単なるシステムの老朽化に限りません。むしろ人的なものが大きいといえるでしょう。今後の予防のためにも、原因をしっかりと押さえておきましょう。

担当者の退職などによるノウハウの消失

レガシーシステムは基本的に、運用する企業独自の設計になっています。そのため独自の保守運用のノウハウをもった人材が定年などの理由から退職してしまうと、システムがブラックボックス化、レガシーシステムとなってしまうのです。

このリスクは技術者の定年対象に限りません。デジタル人材は一般的な人材と比べて転職以降が強い特徴があるため、突然の退職などのリスクが高くなっています。もしもの時のために、ノウハウのマニュアル化など技術継承の対策を実施しておくべきです。

繰り返される部分最適

必要に応じて部署ごとにシステムを最適化したり、無理な新技術を導入したりすることを繰り返していると、システムが複雑化・肥大化し、ついにはレガシーシステムと化します。

これを防ぐためには、全体最適の視点や部分最適を行わせないためのガバナンスを効かせるなどの対策が必要になってきます。

システム開発会社への依存

自社にデジタル人材がいないことやコスト削減のために、システム設計をシステム開発会社に丸投げしてしまうことがあります。メリットを目的に取られる手段ですが、これもレガシーシステム化の原因のひとつです。

システム開発を外部に依存し、社内にシステムに関するノウハウを持った人材がいないために、適切な運用ができず、レガシー化のリスクが高まるのです。

保守運用を外部企業に任せることも可能ですが、今度はベンダーロックインと呼ばれる、システム構築を依頼した企業にしか頼れなくなる自体が発生します。

こうした自体を予防するためには、自社でしっかりとデジタル人材を確保・育成した上で、バランスよく外部業者に頼れる体制づくりが必要です。

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4.レガシーシステムから脱却するためにできること

経営やDXの重要課題であるレガシーシステムから脱却するためには、場当たり的な修正では足りません。システムの刷新、移行、変更など対策が必要になってきます。自社の状況に合わせて、必要なものを選択していきましょう。

もし社内に適切な判断ができる人材がいない場合は、専門家に相談しながら、適切な方法を選ぶとよいでしょう。

モダナイゼーション

モダナイゼーションとは、現代化を意味する言葉です。ITの分野では、レガシーシステムを現代に合わせて刷新する意味を持ちます。

具体的にはソフトウェアや蓄積されたデータを活かしつつ、最新の技術と組み合わせ、システム基盤を刷新することです。新しくシステムを開発するよりも、低コストで実行できるなどのメリットがあります。

マイグレーション

マイグレーションとは、移行を意味する言葉です。モダナイゼーションが既存システムのソフトウェアやデータを活かすのに対して、マイグレーションではシステムやデータを新環境に移し、レガシーシステムからの脱却を目指します。

物理的なオンプレミス環境から、クラウド環境にシステムに移行する、クラウドマイグレーションなどがあります。システム刷新にあたり、業務への支障が少ないことやコストが抑制しやすいのがメリットです。

SaaSなどのクラウドサービスの利用

レガシーシステムの運用を止める、もしくはその一部をクラウドサービスに移行するのも、ひとつの手段です。

オンプレミス型のレガシーシステムと比べ、保守運用が不要の上、機能アップデートも無料、低価格で運用できるなどのメリットがあります。一方でカスタマイズ性が低く、システム運用がクラウドサービスの質や機能に依存してしまうというデメリットもあります。

クラウドファーストとは?

行政や企業問わず、情報システムを導入・刷新する際に、SaaSやIaaSなどのクラウドサービスの利用を第一に考える、クラウドファーストという考え方が広まっています。

政府情報システムにおいても「クラウド・バイ・デフォルト」と呼ばれるクラウドファーストの原則が打ち出されていることから、今後レガシーシステムからの脱却に際して、クラウドの活用が加速すると予測されています。

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