ライフプランやライフイベントなど、人の一生を図式化してわかりやすくまとめることで、それまで見えなかった新たな視点から生活を見直すことができるようになります。
ここでは、企業における従業員育成にも役立つライフキャリアレインボーについて考えてみましょう。
「ライフキャリアレインボー」とは?
ライフキャリアレインボーは、アメリカの教育学者、ドナルド・E・スーパーによって考え出されたものです。
「キャリア」は、特に職業についての実績や経験について指す場合が多いものですが、彼は、キャリアを職業に限定せず、人生における様々な役割のことであるとしました。人間は、こうしたさまざまなキャリアを虹のように積み重ね、TPOによってそれぞれのキャリアを使い分けながら暮らしているという考え方が、ライフキャリアレインボーです。
ライフキャリアレインボーの考え方では、それぞれのキャリアをライフロールと呼んでいます。考え方によってライフロールの数は異なりますが、おおよそ6つから9つ程度のライフロールを積み上げることで、ライフキャリアレインボーを描きます。
ライフキャリアレインボー図を書いてみる
ライフキャリアレインボーは、企業の研修などで参加者に書かせることもあるものです。実際の書き方を見てみましょう。
まず、ライフロールをいくつ定めるかということを決めます。
これは、人生のステージと言い変えることもできるもので、一般的には、「子ども」「学生」「職業人」「配偶者」「親」「市民」「余暇を楽しむ人」などが挙げられます。
ライフイベント表などでは、子ども時代、学生時代、就職、結婚、休職、など、ひとつの直線状に人生を表します。しかし、実際には、誰かの配偶者であり、親であり、職業人であり、趣味人であるということも十分あり得ます。そのため、ライフキャリアレインボーでは、それぞれの属性を1本のラインとして、該当する箇所を塗りつぶし、虹のように重ねていく手法で人生を表します。
現在の状況について考える
ライフキャリアレインボーを書いた時、「余暇を楽しむ人」は、基本的に誰であっても、人生を通してあるライフロールでしょう。また、一定の年齢から先は、「市民」としても過ごすことになります。
一方、学生時代は人によって長さの異なるものですし、社会人になってから再度学問を始めれば、一度途切れた後で再び学生になる可能性もあります。職業人も同様で、定年前に、休職や退職、転職などをする可能性もあります。
こうしたライフイベントをひとつひとつ考えながらライフキャリアレインボー図を完成させたら、次に、現状について考えてみましょう。
もし、今現在、余暇を楽しむ人であり、子どもであり、職業人であるなら、それぞれのバランスはどうなっているでしょうか。親孝行ができていない、仕事が忙しすぎて趣味にかける時間がない、といった問題を認識するにあたっても、ライフキャリアレインボーは役立ちます。
ライフキャリアレインボーによる人材育成
ライフキャリアレインボーは、人材育成のために利用することもできます。社員にライフキャリアレインボー図を書かせることで、具体的に今の状況と将来的な人生における仕事の在り方を考えるきっかけになるからです。
男性であっても女性であっても、子どもが生まれて親になれば、日々の過ごし方やキャリアに対する考え方も変わってきます。また、退職時までに行いたいことや、その間の余暇の過ごし方についてもそれぞれの希望があるでしょう。
人生をライフキャリアレインボーとして視覚的に見据えることで、それぞれのライフステージにおいてどのような働き方をしていくかを具体的に考えることができます。ライフロールの積み重ねとそのバランスを大切にキャリア形成をしていくことが大切です。