LO活(ローカツ)とはLocalと就活を合わせた造語で、地方での就活をサポートするプロジェクトのことです。この記事ではLO活について詳しく紹介します。
目次
1.LO活とは?
LO活とは、地方への就職を考えている若年層をサポートするためのプロジェクトのこと。厚生労働省が地方人材還流促進事業の一環として「LO活プロジェクト」を立ち上げ、地方自治体と連携して進めているのです。
首都圏や近畿圏などに住む学生が、地方への就職を選択肢に入れられるよう支援することで、地方の求人とのマッチングにつなげています。
2.LO活の目的
LO活の最大の目的は、大都市圏から地方に人材を供給すること。その目的を果たすために、LO活では下記のような取り組みを行い、地方で働きたい学生をさまざまな面から支えているのです。
イベントなどを開催して、都市部の学生に就職先は地方にもあることを示す
Webサイトなどで地方の優良企業の情報や移住情報などを提供する
地方企業の求人と都市部の学生をマッチングさせる
3.Uターン・Iターン・Jターンとの違い
LO活は、Uターン・Iターン・Jターンとは異なります。ひとつずつ定義を確認しましょう。
Uターンとは?
Uターンとは、進学のために出身地を出て学んでいた学生が、卒業後に出身地に戻って就職すること。就職のために地方から都市部に移住して働いていた人が、再び地元に戻って働き始める場合もUターンに含まれます。
Iターンとは?
Iターンとは、主に都市部出身の学生が、出身地とは異なる地域に移住して就職すること。たとえば、東京や大阪など大都市出身の人が、大自然に憧れて緑豊かな沖縄の離島などに移住する場合が当てはまります。
Jターンとは?
Jターンとは、進学や就職のために出身地を出て都市部で暮らしていた人が、子育てなどのために出身地付近に戻り、就職すること。たとえば、福岡県の福岡市外出身の人が東京に進学して、卒業後に戻って福岡市内で働く場合などが当てはまります。
4.LO活の実態、現状
LO活プロジェクトは、東京圏・大阪圏の学生など、地方就職を考えている主に35歳以下の若者の就活をサポートしています。2016年度末までの実績は下記の通りでした。
- 地方で働きたいと考える人材数 24,348人
- イベントなどに誘導できた人数 11,618人
- ハローワークに誘導できた人数 3,381人
5.LO活の特徴
地方での就職希望者を応援するLO活の大きな特徴を2つ紹介します。
特設サイトが利用できる
インターネット上にLO活の特設サイトがあり、そこでは、イベント情報や地方企業の情報、助成・支援制度などさまざまな情報を集めることが可能です。
また無料で利用登録すれば、地方就職に関するメルマガ配信や個別相談などのサポートを受けられますし、実際にLO活を成功させた先輩たちのインタビュー記事も掲載されています。目を通すことでより地方移住をイメージできるでしょう。
セミナー・イベント
LO活では、自己分析や面接対策など就職全般に係るセミナーや、地方企業の説明会やガイダンス、移住フェアなどのイベントを開催しています。
各自治体によるイベントでは、企業そのものの情報だけでなく、地元の人と交流できる場が用意されている場合も。参加することで、地方での生活がよりイメージできるようになるでしょう。
6.LO活のメリット
LO活で地方就職を叶えた場合、下記のようなメリットがあります。
自然豊かな地域で生活できる
多くの場合、地方にはたくさんの自然が残っています。都市部のように人混みなどのストレスがなく、緑に囲まれた好立地で精神的に豊かな生活ができるのはメリットでしょう。
理想とするライフスタイルが、たとえば「オフの日には大自然の中で過ごしたい」「家族との時間や地域の人とのふれあいを大切にしたい」という人には、ぴったりの環境といえます。
生活費が安くなる
都市部と比べて地方では家賃や物価が安いことも多く、比較的生活費を抑えられます。給料の水準が多少低くても、家計に占める固定費の割合を低く抑えられるので、ある程度余裕を持って暮らせるのです。
畑仕事が好きな人は、家庭菜園を楽しみながら食費を支えることも可能でしょう。また近所の人におすそ分けをもらえることもあります。
人とのふれあいが増えやすい
地方は地域のつながりが強い傾向にあるため、お祭りなどのイベントを通じてさまざまな人とふれあえます。特に移住者を歓迎している地域では、移住者を受け入れる環境が整っているため、スムーズに溶け込むことが可能です。
またそのような地域では周りにほかの移住者がいることも考えられます。同じ立場の経験者としてアドバイスをもらえることもあるでしょう。
業務の範囲
地方企業は、都市部の企業より雇用人数が少ない場合が多くあります。そのため、若くても責任のある仕事を任されたり昇進したりする可能性が高く、たくさんの経験を積むことで早い段階での成長を見込めるのです。
責任のある仕事はやりがいにもつながります。仕事にやりがいを持てれば、生活への満足度も高まり、生き生きと暮らしていけるでしょう。
7.LO活のデメリット
LO活にはデメリットもあります。地方就職でのお悩みを見ていきましょう。
車が欠かせない
住む地域にもよりますが、生活や通勤に車が欠かせないことも多く、その場合、維持費やガソリン代などが発生してしまいます。車の運転が好きな人にとっては問題ないかもしれませんが、「余計な出費」と感じる人もいるでしょう。
ただし会社によっては、電車やバスでの通勤費が支給されるように、ガソリン代を支給してくれるところも。
給与は安め
家賃相場や物価指数が都市部と比べて低い傾向にある分、年収も低めになってしまうことがあります。食材などの物価が安くても洋服や娯楽費などは都市部と変わらないため、気を抜いていると給与の大半をつぎ込んでしまうことにもなりかねません。
ただし地方でも、仕事内容によっては高い給与をもらえることも。いずれにせよ、収入と支出のバランスを考えて生活することが重要でしょう。
レジャー施設や大きなイベントが少ないことも
都市部と比較して、レジャー施設や美術館などの文化的施設、コンサートなどの大きなイベントは少なく、新しい施設などもできにくい傾向にあります。
ただしその分、海や山などの自然に多く触れることが可能です。地域によっては、ごく身近な場所で名湯を満喫できることもあるでしょう。精神的な豊かさを育むことができる地方は、育児や介護にも良い環境といえます。
8.LO活、地方移住における支援
LO活で地方へ移住する際、生活の変化に対する不安を抱えることもあります。しかし今は地方移住に関する支援が多いので安心です。
住居
地域によっては、住まいに関わる補助金や助成金などを支給しています。新築や中古住宅の購入費、リフォーム費、引っ越し費用などを助成してもらえる場合があるので、移住する前に確認しておきましょう。
中には商品券を支給したり、水道料金を1年間免除したりする地域も。また「空き家バンク」を活用すれば、理想の住まいを見つけやすくなります。空き家の賃貸・売却情報が集約されているので、チェックしてみましょう。
福祉
住人に健康的で長く暮らしてほしいと望んでいる地域の多くは、福祉を充実させています。たとえば、長寿祝金の支給や介護予防教室の実施、無料の検診、乗り合いタクシーを提供するなど、高齢者の暮らしをサポートするサービス制度が整っているのです。
地方移住の際に介護が発生すると考えられる場合は、こうした福祉の充実度についても確認しておきましょう。地方自治体によって支援制度の充実度は異なるため、比較検討して移住先を選ぶことも重要です。
仕事
開業や新規事業のスタート、地方就職に際して、奨励金や補助金、助成金を支給する地域が存在します。
開業や起業を考えている人に対して高額の融資を行う、なり手の少ない農林水産業に携わる人を支援する、通勤支援制度として新幹線の定期券購入費や駐車場利用費の一部を支援するなど、自治体や地域ごとに多様な支援制度があるのです。
自分なりに、やりたい仕事と住みたい地域にある制度とのマッチングを行いましょう。
育児
地域ごとに子育てをサポートするさまざまな制度が用意されています。たとえば教育面においては、給食費の補助や修学資金の無利子貸与、奨学金の給付のほか、ランドセルなどの学用品に対して助成金を支給する地域があるのです。
また、医療費の助成や金券・ポイントによる還元、無料で予防接種を行うなど、子育てを多角的に支援する制度もあります。地方就職とともに将来の子育てを視野に入れている場合は、育児支援の充実度も地域選定のポイントとなるでしょう。
活動
移住者に早くその地域になじんでもらうため、活動費の支給や各種フリーパスポートを支給する地域もあります。活動内容の例は、コミュニティをつくってスポーツを楽しむ、創作活動や研究を行うなど。
こうした地域を活性化させる活動を行うにあたり、年間10万円を上限に支給する地域や温泉施設や地域の文化・歴史施設を無料で利用できるパスポートを配布する自治体などがあるのです。
体験
移住後の生活を具体的にイメージしてもらうため、移住体験を実施する自治体があります。お試し期間中の滞在費や交通費、水道料金の一部を補助するなどで金銭面をサポートして、少しでも気軽に訪れてもらえるよう配慮しているのです。
土地勘のない地域にいきなり移住するのはハードルが高いもの。移住体験は、地方での生活になじめるか、その地域に住み続ける自分を想像できるか、を見極める良い機会となります。
9.LO活の進め方、流れ、ステップ
LO活の進め方はどうなっているのでしょうか。手順を見ていきます。
- どのような生活を望んでいるか考える
- 計画を立てる
- どういった企業で働きたいかを考える
- 企業に応募する
- 採用になったら、現地の情報を集める
- 移住に向けて準備する
①どのような生活を望んでいるか考える
まず、どんな地域でどのような生活がしたいかを考えましょう。
海や山に囲まれた大自然の中で暮らしたいのか、ある程度整備されている地方都市がよいのか、住まいは戸建てかマンションか、賃貸物件か持ち家か、住むエリアは駅近がベストか、もしくは車が必要な地域でも構わないかなど、いろいろ想像してみましょう。
細かな点までイメージしておくと移住先を決めやすくなります。
②計画を立てる
理想の生活を叶えるには、何をいつまでに行えばよいのか、大まかにでも計画を立てておくことが大事です。住みたい地域の求人情報を確認しつつ、就職・転職活動にかかる時間なども考えてプランを練りましょう。
また、移住に必要な資金も考慮しておきましょう。準備に必要なことをリストアップしておくと漏れなく進められます。
③どういった企業で働きたいかを考える
通常の就職活動のように、自分はどんな企業でどのようなことをしたいのかを考え、しっかり自己分析します。「地方企業なら何でもよい」という姿勢で進めると失敗しやすいので、具体的に煮詰めていきましょう。
また地域によって求人の傾向も異なるため、自分の特性や志向に合う企業や職種があるかどうかも、併せて確認します。
④企業に応募する
LO活サイトの情報や各種セミナー・イベントを通じて業界や企業研究を行います。その後、働きたいと思った企業に応募していくのです。
志望動機を伝え自己アピールを行う際、重要となるのは地方就職を目指す動機。地方就職で叶えたい夢や移住する覚悟などを交えながら、本気だという点をアピールしましょう。
⑤採用になったら、現地の情報を集める
採用が決まったら、就職先企業と話し合った上で移住の手続きを進めていきます。
引っ越し先の住居を決める際は、インターネットなどで現地の情報を集めるだけでなく、現地に赴いて、職場のある場所はどんな地域でどのエリアなら通勤しやすいかなども詳細に調べましょう。住宅補助などがある場合は、その条件も頭に入れます。
⑥移住に向けて準備する
空き家バンクや自治体の支援を活用して、移住に向けた準備を進めます。空き家バンクを通すと、驚くほど安く住居を借りられたり購入できたりしますが、リフォームなどに時間がかかる場合もあるので、注意が必要です。
もし予定よりも時間がかかりそうなら、速やかに就職先に連絡しましょう。場合によっては、最初は仮住まいで準備が整ったら本来の新居に引っ越すなどの対応も必要です。