くるみんマークとは? 認定基準や申請方法、目的を解説

くるみんマークとは、「子育てサポート企業」として一定の基準を満たした企業が受けられる証のこと。この記事では、くるみんマークについて詳しく紹介します。

目次

1.くるみんマークとは?

くるみんマークとは、厚生労働大臣から「子育てサポート企業」として基準を満たしている企業に与えられる証です。くるみん認定を受けるには、各事業主が以下のような対応を行う必要があります。

  • 次世代育成支援対策推進法に基づいて「一般事業主行動計画」を策定する
  • 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に「一般事業主行動計画策定・変更届」を届け出る
  • 自社ホームページや厚生労働省運営のWebサイト「両立支援のひろば」などで一般に公表する
  • 従業員に周知徹底する
  • 一般事業主行動計画に定めた目標を達成する
  • 「くるみん認定申請書」等を都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に提出する

くるみん認定を受けた企業は、くるみんマークを広告などに利用できます。それにより、子育てサポートの認定を受けた優良企業ということを社内外に示せるのです

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2.くるみんマークの目的

厚生労働大臣がくるみんマークを授与する目的は、少子化対策です。仕事と子育てを両立できる企業を増やして、子育て世代が抱える不安を緩和させていこうとしています。

子育てを積極的にサポートする企業が増えれば、少子化を防ぐとともに、安心して子どもを育てられる社会になっていくと考えられているのです。

「くるみん」には、赤ちゃんを優しく包む「おくるみ」と、「職場ぐるみ」「会社ぐるみ」の意味が込められています

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3.くるみんマークの背景にある次世代育成支援対策推進法

「次世代育成支援対策推進法」は、子どもが健やかに生まれ、育成される環境を整えるために成立した法律で、平成17年(2005年)4月1日に施行されました。

当初は平成26年(2014年)度末までの時限立法(期間限定の法律)でしたが、法改正によって令和7年(2025年)3月末まで10年間、有効期限が延長されています。

次世代育成支援対策推進法では、子育てにおいて国、地方公共団体、企業、国民が担うべき義務を明らかにすることも目的としています

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4.くるみん認定とは?

「くるみん認定」とは、厚生労働大臣が要件を満たした企業を「子育てサポート企業」として認定すること。くるみん認定を受けた企業には、「くるみんマーク」(愛称:くるみん)が与えられ、商品や自社広告、求人広告などにくるみんマークを付けて、子育てサポート企業という点を社内外にPRできます。

子育てサポート企業としてPRすると、企業のイメージアップや社員のモチベーションアップなどが期待できるでしょう

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5.くるみんマーク、くるみん認定の基準10個

厚生労働大臣から「くるみん認定」を受けて「くるみんマーク」を使用するには、定められた10個の認定基準をクリアしなくてはなりません。自社で推進するにあたって見落としのないよう、認定基準の内容を詳しく見ていきましょう。

  1. 行動計画の策定
  2. 計画期間
  3. 計画の実施と目標達成
  4. 計画の周知
  5. 男性従業員における育児休業や育児休暇の取得割合
  6. 女性従業員における育児休業などの取得割合
  7. 労働時間の短縮や始業時刻の変更といった措置
  8. 労働時間に関する事項
  9. 3つの措置について目標を規定して取り組む
  10. コンプライアンス遵守

①行動計画の策定

雇用環境を整備するために行動計画を策定します。行動計画には、「行動計画策定指針」の第六条「一般事業主行動計画の内容に関する事項」の第1項「雇用環境の整備に関する事項」に挙げられている以下の2項目のうち、1項目以上を盛り込みます。

  • 妊娠中もしくは育児中の労働者などが仕事と家庭生活を両立できるよう支援するために雇用環境を整備
  • 働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備

②計画期間

行動計画の計画期間は、2年以上5年以下と定められています。この期間内におさまるように注意しましょう。

③計画の実施と目標達成

策定した行動計画を実施し、目標達成したら、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へ申請します。なお申請にあたり、目標達成を証明する資料を添付しなければなりません。添付資料の例は、以下の通りです。

育児休暇といった制度導入後の就業規則の写し

育児休業を取得した女性・男性労働者の氏名、育児休業をした期間が記載されている書類

各制度について、従業員に周知するための措置を実施した年月日の分かる資料の写し

④計画の周知

策定(変更)した行動計画は、策定日からおおむね3カ月以内に、外部に公表するとともに従業員に周知しなければなりません。

  • 外部に公表する方法の例:自社ホームページや厚生労働省が運営する「両立支援のひろば」などへの掲載
  • 従業員へ周知する方法の例:社内の見やすい場所に掲示、メールを送信、イントラネット(企業内ネットワーク)に掲載など

⑤男性従業員における育児休業や育児休暇の取得割合

男性従業員の育児休業・育児休暇の取得率も認定基準のひとつに盛り込まれており、以下のいずれかを満たす必要があります。

行動計画期間内に、

  • 育児休業などを取得した男性従業員の割合が7%以上
  • 育児休業および育児休暇などを取得した男性従業員の割合が合計15%以上、かつ育児休業などを取得した人が1人以上存在する

⑥女性従業員における育児休業などの取得割合

行動計画期間内に、女性従業員が取得した育児休業などの割合が75%以上である必要があります。取得率の計算式は、「計画期間内に育児休業等を取得した者の数÷計画期間内に出産した者の数」です。※小数点第1位以下切り捨て。

なお、有期契約労働者のうち育児・介護休業法上の育児休業などの対象とならない人は、計算から除外できます。

⑦労働時間の短縮や始業時刻の変更といった措置

3歳から小学校就学前の子どもを育てている従業員に対して、以下のような制度を設ける必要があります。

  • 育児休業に関する制度
  • 所定外労働の制限に関する制度
  • 所定労働時間の短縮措置、または始業時刻変更等の措置に準ずる制度

※始業時刻変更などの措置の例として挙げられるのは、フレックスタイム制・時差出勤・ベビーシッターの手配および費用負担などです。

⑧労働時間に関する事項

労働時間では、行動計画期間終了日が含まれる年度内に、以下の2つを満たす必要があります。

  • フルタイムで働く従業員の法定時間外労働時間・法定休日労働時間の各月平均が45時間未満
  • 従業員月平均の法定時間外労働が60時間を超す従業員が存在しない

なお、認定申請時にすでに退職している従業員は、対象から除外されます。

⑨3つの措置について目標を規定して取り組む

以下のいずれかの措置に対して、目標を定めて実施します。

  • 所定外労働を削減する措置(ノー残業デー、フレックスタイム制など)
  • 年次有給休暇の取得を促進する措置(年次有給休暇の計画的付与制度の導入など)
  • 短時間正社員制度、在宅勤務制度、テレワーク制度など多様な働き方・労働条件の整備のための措置

⑩コンプライアンス遵守

企業には、法および法に基づく命令ほか、関係する法令に違反する重大な事実がないことが求められます。以下のような法令違反に注意しましょう。

  • 男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、パートタイム労働法、女性活躍推進法で勧告を受ける
  • 労働基準法、労働安全衛生法等に違反して送検・公表される
  • 長時間労働等に関する重大な労働関係法令に違反したにもかかわらず、是正意思がない

労働者が300人以下の一般事業主に対しては、特例が設けられている項目(認定基準5、6)も。詳しくは厚生労働省の「次世代育成支援対策推進法関係パンフレット」を確認しましょう

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6.くるみんマークの認定を受ける手続き、流れ、ステップ

くるみんマークを受けるための申請方法について、簡単に説明しましょう。

書類の用意

くるみん認定申請書(基準適合一般事業主認定申請書)、および「一般事業主行動計画」「行動計画に定めた目標が達成されたことを明らかにする書類」「公表および労働者への周知を行っていることを明らかにする書類」など8つの必要書類を用意します。

申請

都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に、くるみん認定申請書など8つの必要書類を添えて、郵送・持参・電子申請のいずれかの方法で申請します。なお添付する書類以外にも、必要に応じて追加書類の提出を求められる場合があるので注意しましょう。

10の認定基準を満たしていても、申請手続きを行って認定を受けなければ、くるみんマークの使用はできません

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7.プラチナくるみんマークとは?

プラチナくるみんマークとは、プラチナくるみん認定(特例認定)を受けた企業に与えられる証のことで、くるみんマークと同様、商品、広告、求人広告などに使用できます。

プラチナくるみんマークは、ピンク色、だいだい色、黄色、緑色、青色、紫色、淡いピンク色、淡いだいだい色、淡い黄色、淡い緑色、淡い青色、淡い紫色の12色から自由に選べます。

プラチナくるみん認定とは?

プラチナくるみん認定は、くるみん認定を受けた企業のうち、さらにレベルの高い取り組みを行って一定の要件を満たした優良企業に与えられるもの。

「プラチナくるみん認定申請書(基準適合認定一般事業主認定申請書)」に必要書類を添えて、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に申請すると、認定が受けられます。

子育てサポート企業として高い水準を継続し、さらにハイレベルの取り組みを行っている企業に対しては、特例認定である「プラチナくるみんマーク」が与えられます

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8.プラチナくるみんマーク、プラチナくるみん認定の基準12個

プラチナくるみんマーク、プラチナくるみん認定を受けるには、12項目の「特例認定基準」をすべて満たす必要があります。

プラチナくるみんマーク、プラチナくるみん認定は、くるみんマーク、くるみん認定の上位認定に該当するため、さらに厳しい条件が課されるのです。12項目をひとつずつ見ていきましょう。

  1. 行動計画の策定
  2. 計画期間
  3. 計画の実施と目標達成
  4. 計画の周知
  5. 男性従業員における育児休業や育児休暇の取得割合
  6. 女性従業員における育児休業などの取得割合
  7. 労働時間の短縮や始業時刻の変更といった措置
  8. 労働時間に関する事項
  9. 3つの措置の実施と目標達成
  10. 要件を満たす女性従業員の割合
  11. スキルアップやキャリア形成に関する取り組み
  12. コンプライアンス遵守

①行動計画の策定

くるみん認定と同様に行動計画を策定します。行動計画には、「行動計画策定指針」に掲げられている雇用環境の整備・労働条件の整備のうち、1項目以上を盛り込まなければなりません。

また、プラチナくるみん認定を希望する場合、行動計画策定の段階で、計画内容が特例認定に合致するかどうか、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)への確認が必要となります。

②計画期間

行動計画を実施する計画期間は、くるみん認定と同じ、2年以上5年以下です。

③計画の実施と目標達成

プラチナくるみん認定を受けるには、くるみん認定と同じように策定・変更した行動計画を実施し、目標達成する必要があります。

認定要件を満たしたら、「育児休暇など制度導入後の就業規則の写し」「育児休業を取得した女性・男性労働者の氏名、育児休業をした期間が記載されている書類」など、目標達成を証明する資料を添付して都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に申請します。

④計画の周知

策定・変更した行動計画は、くるみん認定と同様、策定日からおおむね3カ月以内に外部への公表や従業員への周知を実施します。

  • 外部に公表する方法の例:自社ホームページや厚生労働省が運営する「両立支援のひろば」などへの掲載
  • 従業員へ周知する方法の例:社内の見やすい場所に掲示、メールを送信、イントラネット(企業内ネットワーク)に掲載など

⑤男性従業員における育児休業や育児休暇の取得割合

行動計画期間内に男性従業員の育児休業・育児休暇の取得率が、以下のいずれかを満たしている必要があります。

  • 育児休業などを取得した男性従業員の割合が13%以上である
  • 育児休業および育児休暇などを取得した男性従業員の割合が合計30%以上、かつ育児休業などを取得した人が1人以上存在する

いずれもくるみん認定よりも高レベルに設定されています。

⑥女性従業員における育児休業などの取得割合

くるみん認定と同様、行動計画期間内に女性従業員が取得した育児休業などの割合が75%以上である必要があります。取得率を求める計算式は、「計画期間内に育児休業等を取得した者の数÷計画期間内に出産した者の数」(小数点第1位以下切り捨て)です。

なお、有期契約労働者のうち育児・介護休業法上の育児休業などの対象とならない人は、計算から除外できます。

⑦労働時間の短縮や始業時刻の変更といった措置

くるみん認定と同じように、3歳から小学校就学前の子どもを育てている従業員に対して、以下のような制度を設ける必要があります。

  • 育児休業に関する制度
  • 所定外労働の制限に関する制度
  • 所定労働時間の短縮措置、または始業時刻変更等の措置に準ずる制度
  • ※始業時刻変更等の措置の例:フレックスタイム制・時差出勤・ベビーシッターの手配および費用負担など

⑧労働時間に関する事項

労働時間についても、くるみん認定と同様、行動計画期間終了日が含まれる年度内に以下の2つを満たす必要があります。

  • フルタイムで働く従業員の法定時間外労働時間・法定休日労働時間の各月平均が45時間未満である
  • 月平均の法定時間外労働が60時間を超す従業員が存在しない

なお、認定申請時にすでに退職している従業員は、対象から除外されます。

⑨3つの措置の実施と目標達成

以下のすべての措置を実施する必要があります。

  • 所定外労働の削減のための措置(ノー残業デー、フレックスタイム制など)
  • 年次有給休暇の取得の促進のための措置(年次有給休暇の計画的付与制度の導入など)
  • 短時間正社員制度、在宅勤務制度、テレワーク制度など多様な働き方・労働条件の整備のための措置

なお所定外労働の削減、年次有給休暇の取得推進については、少なくともいずれか1つに数値目標を定めて、目標達成することが必要です。

⑩要件を満たす女性従業員の割合

計画期間の開始日から終了日の1年前までに、出産または出産予定の女性従業員の割合が、以下のいずれかを満たしている必要があります。

  • 出産した女性従業員のうち、子どもが1歳の誕生日を迎えるまで継続して在職している割合が90%以上
  • 出産した女性従業員と出産予定だったが退職した女性従業員の合計数のうち、子どもが1歳の誕生日を迎えるまで継続して在職している割合が55%以上

⑪スキルアップやキャリア形成に関する取り組み

育児休業などを取得している女性従業員、または育児中の女性従業員に対して、以下のような計画を策定し、実施する必要があります。

  • 能力を向上する計画
  • キャリア形成を支援する計画

また女性従業員に対する取り組みだけでなく、管理職に向けた取り組み(管理職研修など)の実施も求められます。

⑫コンプライアンス遵守

くるみん認定と同じように、法および法に基づく命令ほか、関係する法令に違反する重大な事実がないことが求められます。以下のような法令違反に注意しましょう。

  • 男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、パートタイム労働法、女性活躍推進法で勧告を受ける
  • 労働基準法、労働安全衛生法等に違反して送検・公表される
  • 長時間労働等に関する重大な労働関係法令に違反したにもかかわらず、是正意思がない

特例認定基準の1~4、6~8、12(くるみん認定の認定基準10に対応)は、くるみん認定の認定基準と同じです。ただし、特例認定基準の5、9~11の項目は異なるので、しっかり確認しましょう

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9.プラチナくるみんマークの認定を受ける手続き、流れ、ステップ

プラチナくるみんマークの認定を受けるためのステップは下記の通りです。

書類の用意

「プラチナくるみん認定申請書(基準適合認定一般事業主認定申請書)」と10の必要書類を用意します。10の必要書類は、くるみん認定の申請に必要な8つの書類に、以下2つの書類を加えたものです。

  • 計画期間の開始日から計画期間の終了日の1年前までの間に出産した女性労働者のうち、その出産後1年以上継続して在籍している女性労働者の氏名が記載されている書類
  • 特例認定基準11における計画およびその実施状況を明らかにする書類

申請

プラチナくるみん認定申請書に必要書類を添えて、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に郵送・持参・電子申請のいずれかの方法で申請します。なお添付書類以外に、必要に応じて追加書類の提出を求められる場合があるので注意してください。

プラチナくるみん認定とくるみん認定の申請方法は、似ているものの一部異なる箇所があります。間違えないように注意しましょう

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10.くるみんマークの認定企業事例

くるみんマーク・プラチナくるみんマーク認定企業の事例を、ご紹介します。

くるみんマーク認定企業

くるみんマーク認定企業として、以下2つの企業の事例を紹介します。

日本アイ・ビー・エム

日本アイ・ビー・エムは、2007年、2009年、2013年、2015年にくるみん認定を取得しました。主な取り組みは、下記の通りです。

  • 産後休暇は予定日の7週間前から取得可能
  • 育児・介護休業法が制定される前の1985年に育児休業制度を導入。1987年から、子どもが2歳まで取得可能
  • 在宅勤務、短時間勤務、フレックス短時間勤務などを導入
  • 東京と千葉の2カ所に事業所内保育所を開設
  • 女性従業員のキャリア形成における課題を解決するため、従業員から成る「Japan Women’s Council(JWC)」を設立
  • 働き方の課題分析や、経営層に対して解決策を提言

このように両立支援制度や多様な働き方の選択肢を提供することで、従業員がより高いパフォーマンスを発揮できるような職場環境を実現しています。

ベネッセコーポレーション

ベネッセコーポレーションは、2007年、2009年、2011年、2013年にくるみん認定を取得しました。主な取り組みは、下記の通りです。

  • 子どもが小学校3年生まで利用できる5時間短時間勤務制度を導入。利用期間は復職後1年以内で、以降は6時間短時間勤務制度を利用可能。1カ月単位で何度でも申請可能
  • コアタイムのないスーパーフレックス制度を導入。勤務時間は7~21時の間で選択できる
  • 月に5日間を上限とした在宅勤務制度を導入
  • 経済的支援の一環で育児支援メニューを用意。ベビーシッターや託児施設を利用した場合にポイントを補助

こうした両立支援の取り組みを進めた結果、1990年代後半には結婚・出産を理由とする退職が減ったり、新卒女子学生からの応募が大幅に増加したりするなど、大きな効果を得られました。

プラチナくるみんマーク認定企業

プラチナくるみんマーク認定企業として、以下2つの企業の事例を紹介します。

トマト銀行

トマト銀行は2017年に、中国地方の金融機関として初めてプラチナくるみん認定を取得しました。手厚い取り組みの内容は、下記の通りです。

  • 2006年に女性が働きやすい職場環境を検討するため「女性委員会」を発足。2014年からは「女性活躍推進委員会」と改称して、議論の内容を経営層に上申するなどの活動を継続
  • 育児休業制度は子どもが1歳の誕生月の末日まで取得可能
  • 男性の育児参画を促進するために、人事部から男性の育児休業取得を推奨するメールを送信。これにより男性の育児休業取得率が2017年度には51.5%まで上昇
  • 育児休業から早期復帰および経済的支援を目的に、育児支援給付金制度を導入。保育料の一部補助や16カ所の企業主導型保育園と提携
  • 復職に際して不安を抱える社員に電話カウンセリングを実施
  • 育児短時間勤務制度の導入、および毎年5月に短時間勤務者研修を実施
  • 従業員組合による育児支援・職場復帰プログラム「トマト・はぐはぐ・プログラム」を主催
  • 半年ごとに1日、年間2日の特別有給休暇を取得できるワークライフバランス休暇を導入。取得率は毎年99%以上

育児休業制度などの整備だけでなく、職場復帰への対策にも積極的に取り組んでいます。

中外製薬

中外製薬は、2018年にプラチナくるみんマーク認定を取得しました。労使で「次世代育成ワーキングチーム」を組織して、下記のような取り組みを行ってきたのです。

  • 育児休職制度を利用した際、最初に連続した14日間は有給扱い
  • 産後休暇・育児休職から復帰時に認可外保育施設等に預け入れできる場合は、月額5万円を上限に補助金を支給
  • 子の保育園等送迎時に営業車両を利用可能
  • 育児短時間勤務制度利用者にもフレックスタイム制度を適用
  • 在宅勤務制度の適用範囲を拡大
  • 時間単位で年次有給休暇を利用可能
  • 復職セミナーの開催

こうした取り組みによって、女性管理職の比率が2018年に13.3%まで上昇。2015年と比べて約2.5ポイント増加しました。

プラチナくるみん認定を受けた企業は、働く環境の整備によって高レベルでの効果を得られたことが分かります

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11.くるみんマーク、プラチナくるみんマークの認定取り消し

くるみんマーク、プラチナくるみんマークの認定を受けたにもかかわらず、取り消される場合があります。

くるみんマーク、くるみん認定の取り消し

以下のような状況になると、くるみん認定取り消しの対象となります。

  • 次世代育成支援対策推進法第13条に規定する基準に適合しなくなった:制度の廃止・改定によって要件を満たさなくなったなど
  • 法または法に基づく命令に違反した:常時雇用する従業員が101人以上の企業で、行動計画を策定した旨を届け出ないなど
  • 認定一般事業主として適当ではないとされた:不正手段を用いて認定を受けた、社会問題となる事件を起こしたなど

プラチナくるみんマーク、プラチナくるみん認定の取り消し

以下のような状況になると、プラチナくるみん認定取り消しの対象となります。

  • くるみん認定が取り消された
  • 「両立支援のひろば」に公表した次世代育成支援対策の実施状況が基準を満たさなくなった
  • 公表を行わない、または虚偽の公表をした
  • 法および法に基づく命令に違反した:プラチナくるみんの表示と紛らわしい表示をしたときなど
  • 特例認定一般事業主として適当ではないとされた:不正手段を用いて認定を受けた、社会問題となる事件を起こしたなど

くるみん認定が取り消された後、3年間は再取得できません。くるみん認定を取得できなければ当然、プラチナくるみん認定も取得できないので注意しましょう