面接は、就職活動、転職活動を行う際に避けて通れないものです。
ここでは、
- 面接の目的
- 面接と面談の違い
- 採用活動のプロセス
- 企業の採用担当者と求職者ごとに見る面接の対応方法
- 面接する側・される側から面接の評価基準や面接中の質問意図、PRの仕方
などについて解説します。
目次
1.面接とは?
面接とは求職者と企業の採用担当者が、質疑応答や意思確認、求職者の性格や職務に対する意欲や適性、能力の確認を行うために実施されるもの。企業の採用担当者、求職者共に互いの理解を深めるための場です。
対面型の面接がほとんどですが、近年ではオンライン上で行う面接も増えてきています。
面接を英語で言うと
「面接」は英語で、interviewingやinterviewになります。就職のための面接はjob interviewという表現が使われることが多いです。
2.面接の目的
採用担当者の目的
面接を行う際、採用担当者は次のようなことを意識しながら求職者の確認を行います。
募集する業務に対しての資質
面接を行う前、ほとんどにおいて企業側は求職者の履歴書や職務経歴書を確認しているため、面接の機会を与えられた求職者は、経験や知識面において企業の求める人物像に近いと考えられます。そこで面接にて、その点を確認するのです。
意欲の有無
経験値や資質にとどまらず、応募した企業や職務に対して意欲的か否かを面接の際に確認します。
コミュニケーション能力
求職者と実際に会ってやり取りをすることで、その企業でうまくやっていける人材か、コミュニケーション能力があるかを見極めます。
求職者の目的
求職者側は、企業に対して自分の意思と意欲を伝え、今後の職務に対してのすり合わせを行うことを大きな目的とします。
職務の内容や企業の価値観を確認
具体的な業務内容や職場の雰囲気、企業理念が求職者自身の価値観と差異がないかなど、面接を受ける側が企業を見極める場でもあります。
就業条件の確認
就業条件が求職者の希望する働き方に合っているものか、面接の場にて確認します。求人票で明らかになっていない条件について確認することも、気持ちよく働くために重要です。
3.面接と面談との違い
面接と面談、よく似た言葉ですが何か違いはあるのでしょうか。
面接とは、一般的に企業側が求職者を選考するためのもの。基本的に企業側の質問に求職者が回答していくスタイルで進行し、形式としては個人面接のほかに、集団面接などがあります。
一方の面談は企業側の選考の場という側面を持ちつつ、求職者からも質問を投げかけながら相互に希望や相性などを確認し合う場。ただし面接でも、求職者から質問を投げかけて話をしていく場面も多いため、厳密な使い分けは難しいと考えられています。
4.面接以外の採用活動プロセス
面接以外の採用活動プロセスにはどんなものが挙げられるでしょうか。2017年にリクルートが発表した「採用活動プロセスごとの実施率」によると、面接による選考は99.4%の企業で実施されているという結果が出ています。
そのほかに実施されている採用活動プロセスには、
- 適性検査・筆記試験(94.9%)
- 内々定・内定出し(98.9%)
- 説明会・セミナー開催(98.1%)
- リクルーターによる接触(45.3 %)
- OB・OG訪問の受け入れ(48.3 %)
- インターンシップ(64.9 %)
などが目立つ傾向となりました。※()内は実施率
5.【企業向け】面接の対応、対策、対処法
面接担当者は多くの求職者にとって最初に会う企業の人間であり、企業イメージを左右する重要な存在です。ここでは面接官がするべき準備や心構えについて解説します。
面接担当者の教育
仮に面接官が求職者に対してコンプライアンスに違反するような態度を取ってしまった場合、優秀な人材が内定を辞退してしまうだけでなく、会社のイメージダウンなど社会的な信頼失墜につながる恐れもあります。
してはいけない質問は何かを認識
面接の場では「してはいけない質問」があります。どんなものがそれに当てはまるのか、認識を共有しましょう。特に人権侵害や男女雇用機会均等法に違反する質問はNGです。下記のような質問は禁止事項となりますので、覚えておきましょう。
- 本籍・出生地・人種・民族に関する質問
- 家族の職業や資産、住居状況など家庭環境や家族構成に関する質問
- 支持政党や信仰する宗教、人生観や社会観に関する質問
- 社会運動歴(学生運動や消費者運動など)に関する質問
- (女性に対して)「結婚予定の有無」や「子どもが生まれた場合の継続就労希望の有無」の質問
するべき質問を学ぶ
逆に、効果的な人事のために「するべき質問」があります。それはコミュニケーション力や成長力、苦しい局面で耐えられる忍耐力などを測るための質問です。
中途入社の面接でしたら、前職の入社・退社理由は、求職者の働き方への姿勢やヒューマンスキルを見極めるのに役立ちます。これまでに行ってきた業務や活動の実績を質問することで入社後の貢献度をイメージできるでしょう。スキルやノウハウについて確認することも求職者の熟練度・ポテンシャルを知る上で重要です。
人事考課エラーを知る
続いて人事考課エラーについて解説します。人事考課エラーは大きく分けて7種類です。
- ハロー効果
- 寛大化傾向
- 厳格化傾向
- 中心化傾向
- 対比誤差
- 論理誤差(論理的誤差)
- 逆算化傾向(逆算割付)
よく起こるものとしてハロー効果が挙げられます。
ハロー効果とは、求職者(被評価者)の優れた面、もしくは劣った面があるとその印象に惑わされ、評価全体に影響を与えてしまう傾向のこと。
たとえば元気よく対応する求職者に対して一辺倒に好感を持ち、能力について鑑みずに合格判断を出してしまう状況などです。評価は、多角的な視点から下すようにしましょう。
コミュニケーションを学ぶ
優秀な人材を見極めるためにも、面接官自身がコミュニケーションを学ぶことも重要です。圧迫面接にならず、かつ、求職者の答えを引き出しながら自社の魅力や特徴を伝えるためのコミュニケーションを知りましょう。
たとえば、面接開始の際は笑顔で求職者を迎え入れるということも第一印象を良くするために効果的な方法です。
「今日は雨ですが、足元は濡れませんでしたか?」など、簡単な雑談をはさんでから面接を開始すると、求職者がリラックスして本来の姿を面接の場で発揮しやすくなります。
評価基準の作成
複数人で面接を行う場合、個人の先入観や偏見を交えずに正しい評価を下す必要があります。しかし、会社と面接官が同じ評価基準の理解のもとで採用合否を判断できるようにしなければ面接の意味がなくなってしまうでしょう。
そのために下記の方法で評価基準を作成し、共有することが重要です。
どんな項目を確認するか話し合う
求人に際して、募集するポジションに求める要素や評価項目を担当者同士で話し合い、洗い出します。面接でどのような項目を確認するべきか、何に比重を置くのかを決めたら、共有できる形で一覧にして可視化するのです。
さらに優先度を決めて面接評価シートに落とし込んで運用しましょう。面接の結果から正当な評価を下すため、評価項目と質問はセットで一覧になっていること、誰が見ても客観的に判断できるようにすることが重要です。
決まった項目や意図を共有
項目が決まったら、面接官にそれぞれの評価項目となぜこれらの項目を確認する必要があるのか、意図を共有します。
このときも面接評価シートが役に立ちます。面接前にすべての面接官にシートを一読してもらえば、面接官の求職者に対する質問の軸がぶれることなく、正当な判断を下すことができるでしょう。
また、このときNGの質問やセクハラ、パワハラと捉えられるような質問をしないよう、面接官としての心得を伝えることも重要です。面接官としてのマナーについても正しく共有しましょう。
ロールプレイング
評価エラーを起こさず、決まった項目を確認するにはどのような面接を行えばよいのか、公正で有意義な面接を実現するために本番前に実際にロールプレイングをして、面接官をトレーニングすることも重要です。
特に経験の浅い社員が面接を行う際は、積極的にロールプレイングを行いましょう。これにより場数を踏み、面接官としてのスキルアップ効果も期待できます。さらにロールプレイングの参加者同士で互いにフィードバックすれば、改善点を見出すことも可能です。
面接の実施
上記の評価項目の確認と共有、ロールプレイングが済んだら、学んだことをもとに実際の面接に挑みます。最初の面接の際は人事担当も同席し、求職者の良い面や悪い面を確認し合って、互いの評価を照らし合わせてみるとよいでしょう。
面接後の振り返り
面接終了後は、適切な面接ができたか、どのような改善点があるか、面接官と人事担当者で振り返りを行います。質問の内容にとどまらず、面接官がついついやってしまいがちな面接時のNG対応についてもチェックを行いましょう。
具体的には下記のようなものが挙げられます。
- 面接の準備不足
- 質問が不明確で、何を聞きたいのか分からない
- 募集背景などの説明がないまま面接が終了してしまう
- 入社後のイメージが求職者に伝わらない
- 服装がだらしなく、不潔な印象を与える
面接後の情報管理
履歴書など面接で得た個人情報や、合否結果などは面接終了後に流出・紛失することがないよう、徹底した管理体制を敷くことが企業側には求められます。
履歴書だけでなく、選考過程の情報共有もペーパーレスで運用しましょう。これにより情報漏えいを防止できます。
さらに履歴書を扱う担当者の範囲や、個人情報の保管・破棄の方法、不採用者への返却の有無など、社内で規定を設けて運用しましょう。個人情報を保護するための厳重かつ厳格な管理につながります。
6.【求職者向け】面接の対応、対策、対処法
続いて、求職者が面接時に準備することや対策はどんなものか解説します。
面接前の準備
面接の前日に面接時間と場所、前後の予定を確認します。遅刻しないよう、事前に現地への行き方を調べておきましょう。
持ち物を確認
持ち物は前日のうちに準備しておくと安心です。企業に関する資料、志望動機や質問事項をまとめたメモ、筆記用具、地図、企業の連絡先など、必要なものをまとめてバッグにしまっておきましょう。
面接前の控え室でスマートフォンを見ることができない場合もありますので、時間確認のために腕時計を付けていくとよいでしょう。
そのほか、折り畳み傘、身だしなみを整えるために櫛や鏡、女性の場合はストッキングの替えを用意するなど、急なアクシデントに対応できるような準備も必要です。
服装や髪型を確認
当日、面接の控室に入る前には、面接にふさわしい清潔感のある服装や髪型になっているか確認します。
面接で最も気を付けるべき身だしなみは、清潔感。外見は面接で重要といわれる第一印象に直接影響を与えます。美醜ではなく「一緒に働きたい」と思ってもらえるためにも、清潔感は非常に重要な要素といえるのです。
中でも外部企業と渉外する機会の多い営業職や販売・サービス職の場合、清潔感が業務に影響することがあるため、特に意識する必要があります。
男性の場合
男性の場合のチェック事項の一例です。
- スーツ、鞄、靴は汚れていないか
- ネクタイは曲がっていないか
- スーツのボタンは留まっているか、ズボンのチャックの確認
- 肩回りに抜け毛や整髪料は落ちていないか
女性の場合
- 女性の場合のチェック事項の一例です。
- スーツ、鞄、靴は汚れていないか
- ストッキングは伝線していないか、替えのストッキングは持参したか
- 華美なアクセサリーを身に着けていないか
- 肩回りに抜け毛や整髪料は落ちていないか
想定問答
志望動機など、面接前に企業から質問されそうな事柄を想定して、事前にシミュレーションしておきましょう。これを行うことにより、慌てず正確に落ち着いて回答できるようになります。鏡の前でトレーニングを行えば、自分の表情も確認でき、より効果的です。
ほかによく聞かれる質問をまとめました。
- 簡単に自己紹介してください
- 長所・短所を教えてください
- 好きなことやモノは何ですか?
- 5年後、10年後に「こうなっていたい」というキャリアプランを教えてください
面接本番の対応
いよいよ面接本番、どのようなことに注意すればいいでしょうか。
時間の余裕
時間に余裕を持って10分前行動を心掛けましょう。面接当日は早めに家を出て、遅刻しないようにします。公共交通機関を利用する場合は、事故などの可能性も考慮に入れて移動の迂回ルートも調べておきましょう。
やむを得ず遅れそうなときは、企業の採用担当者に速やかに連絡を入れます。電車の大幅な遅延が発生した場合は途中駅で下車し、できるだけ早く連絡をしてください。その際、どのくらい遅刻することになるか大体の時間も伝えられるとよいでしょう。
マナー
受付や入室時には、マナーを守って失礼に当たらない対応を心掛けます。冬場は面接会場入り口でコートを脱いでおくのがベターです。携帯電話は必ずOFFにしておき、さらにここで身だしなみの最終チェックもしておきましょう。
遅刻は厳禁ですが、早すぎる到着もマナー違反とされます。受付で訪問の趣旨を伝え、担当者へ取り次いでもらいます。ここでも対応を見られる可能性があるので、落ち着いてハキハキと振る舞えるようにしておきましょう。
自己PR
自己PRは、あらかじめ用意しておきます。質問の形はさまざまですが、選考の段階で必ず一度は問われることになるからです。自己PRに関連する質問を通じて、企業が知りたいことは業務に必要な資質の有無。
その企業への入社意欲ではなく、「自分がその応募職種の仕事に適合している人材であり、入社後に成果を挙げられる」ことをできるだけ具体的な実績やスキル、エピソードを交えてアピールしましょう。
聞き方や質問
面接中はまずは面接官の話をよく聞くことが重要です。面接は一方通行の会話ではなく、会話のキャッチボールで成り立ちます。質問を最後まで聞き終わってから答える、質問されて内容と全く違う回答をしてしまうといったことがないように注意します。
面接官の質問の意図をよく理解し、求められている回答ができるよう冷静に挑みましょう。面接官が応募者から質問を受け付ける際は、最後に「何か質問はありますか」などで伝えられます。その際にまとめて質問ができるように準備しておきましょう。