労災保険のメリット制とは?【わかりやすく解説】計算方法

メリット制は、事業場において発生した労働災害の割合に応じて、労災保険の割合やその額を増減させ、保険料の負担を平等にする仕組みです。今回は、人事担当者が押さえておきたい、労災保険のメリット制と特例メリット制の適用について紹介します。

「メリット制」とは?

労災保険の割合は、業種ごとに災害の危険性が違うので種類によって決まっていますが、事業の種類が同じでも災害率は異なってきます。そこで、労災保険率もしくは労災保険料の額を、事業場における労働災害の発生率に応じて増減させる制度が「メリット制」と呼ばれるものです。

メリット制は、継続事業・一括有期事業・単独有期事業によって異なりますので注意が必要です。労災保険では事故率が低いほど保険率もしくは保険料が軽減されるということです。また通勤災害は、メリット制とは関係ありませんので、人事担当者は覚えておきましょう。

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労災保険のメリット制について

労災保険のメリット制で注意したいのが、「一定の規模以上の事業」を対象にしている点です。連続している3年度中において継続して常時100人以上の雇用をしている場合、もしくは、常時20人~100人の雇用をしている場合、事業の種類で決められた労災保険率から非業務災害率を引いた率を、使用労働者数に乗じた計算を行って、算出した数が0.4以上であれば対象となります。

そして、一括有期事業において建設の事業もしくは立木の伐採の事業であり、確定保険料が100万円以上となるものも対象です。また、新しく設立された事業所の場合には、適用までに4年間かかるという点も重要なポイントです。

労災保険のメリット制では、原則として、過去3年間の労災保険の納付済保険料額に対する支給済保険給付額の割合を算出して、それに応じて、3年間の最終年度の翌々年度の労災保険率を±40%の範囲で増減します。

この労災保険率の増減は、±40%だけではなく一定の基準によって±30%というケースもあります。

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特例メリット制の適用について

特例メリット制の適用は、建設の事業もしくは立木の伐採事業以外の事業を対象としており、中小企業事業主が行っている事業であること、かつ都道府県労働局長の認定をうけ、「快適職場推進計画」に基づいた、働きやすい環境のため方策を立てた事業であることが条件になっています。

対象となる中小企業とは、企業全体で使用している労働者数が常時300人以下である事業主を指しています。

金融業もしくは保険業、不動産業もしくは小売業の場合は50人以下、卸売業もしくはサービス業については100人以下を常時雇用している場合も対象になります。

特例メリット制では、「快適職場推進計画」に基づいた安全衛生措置を講じた年度の翌々年度から3年間にわたってメリット制が適用になります。適用には申告が必要ですので、人事担当者は申告を忘れないようにしましょう。