ミレニアル世代とは、1981年以降に生まれた世代です。ここでは、ミレニアル世代についてさまざまなポイントから解説します。
目次
1.ミレニアル世代とは?
1981年以降に生まれた世代で、20代前半~30代後半くらいに相当します。特徴はデジタルネイティブである点です。
またミレニアル世代は、金融危機や格差社会など厳しい社会情勢に身を置いているため、ほかの世代とは違った価値観や経済感覚を持っています。
2.ミレニアル世代を象徴するキーワード
ミレニアル世代を象徴するキーワードがあります。それぞれの特徴を解説しましょう。
- デジタルネイティブ
- 個人主義
- 共感と多様性
①デジタルネイティブ
生まれたときから、デジタル技術や整ったメディア環境のなかで生活してきた人たちのこと。
- パソコンやスマートフォンを使いこなす
- インターネットで検索する
- SNSやクラウドサービスを多用する
- インフルエンサーからの情報を活用する
などデジタルな文化を積極的に生活に取り入れているのです。
②個人主義
ミレニアル世代は、自分のセンスを大事に考えます。
- 他者に対する関心が希薄化している
- ステータスよりも、自分の感覚や感性を大切にする
- 自分の価値観にもとづき、今を愉しんでいる
- 自分の成長や自由をつねに追い求めている
といった個人主義的な考え方がみられます。
③コストパフォーマンス
ミレニアル世代は、所有欲より自身の体験に意欲を持ちます。たとえば家や車を自分で所有するより、シェアハウスやシェアカーといった形で他人と共有しながら、コストパフォーマンスを追求する傾向にあるのです。
④共感と多様性
デジタルネイティブであるミレニアル世代は、SNSやブログサービスといったツールを活用した情報収集・発信に熱心です。
自分が発信した情報を他者と共有し、情報を媒介として他者から共感を得て、それぞれが異なる価値観を持っていると認め合う姿勢を、自然と身に付けています。
日常からさまざまな価値観に触れて他者と共感する部分を見出しつつ、他人と違うのは当たり前という多様性の尊重ができる点は、ミレニアル世代を象徴する特性でしょう。
3.ミレニアル世代の仕事への価値観
ミレニアル世代が持つ仕事への価値観について解説しましょう。
- 多様な働き方を求める一方、不確実性への不安も
- プライベートにも重きを置き、仕事との境界線を設けない
- キャリアアップを求め、キャリアパスを長期的視点でとらえる
- 帰属意識が低い
①多様な働き方を求める一方、不確実性への不安も
ミレニアル世代は複数の仕事を掛け持ちしながら、多方面で活躍を目指すスラッシュキャリアやギグエコノミーに興味を持ちます。しかし半面、不安定な収入や不確実な将来に懸念を持っているのです。
②プライベートにも重きを置き、仕事との境界線を設けない
ワークライフバランスをさらに進化させ、仕事とプライベートの境界線を取り払い、長期的視点でキャリアを考えつつもプライベートを重視して、自分らしい生き方を模索します。
③キャリアアップを求め、キャリアパスを長期的視点でとらえる
長距離をその場に応じたスピードで走るように、さまざまな仕事に就くことを肯定的に考え、休憩もキャリア形成に重要な場面ととらえます。
キャリアアップを求めてさまざまな経験を積み、ときに職を変え、立ち止まりながらも長期的視点でキャリアパスを創造していく状況を意味しているのです。
④帰属意識が低い
2019年のデロイトによるミレニアル世代の意識調査(日本版)では、約50%のミレニアル世代が、現在の勤務先で就労する期間を「2年以内」と回答しています。ミレニアル世代は、企業への帰属意識が低いといえるでしょう。
4.ミレニアル世代と共に語られる世代
ミレニアル世代と共に語られる世代があります。ここでは下記4つについて解説します。
- Y世代
- Z世代
- α(アルファ)世代
- すべての世代に共通する特徴は「デジタルネイティブ」
①Y世代とは?
1981年頃~1990年後半頃に誕生した世代のことで、ミレニアル世代はY世代の一部に重なっているのです。またY世代は、青年期がバブル崩壊後の景気の長期低迷期であった点から、「氷河期世代」とも呼ばれています。
特徴は「帰属意識が低い」「ワークライフバランスを重視し、プライベートも充実させる」「個人の価値観を重視している」「社会貢献意識が高い」などです。
②Z世代とは?
1990年中頃~2012年頃に誕生した世代のことで、ミレニアル世代のあとに続く世代です。情報をSNSで得るのは当たり前という世代になります。
特徴は「商品やサービスに、実用性を求める」「消費に対してより慎重な行動を取るため、所有欲が極端に低い」「さまざまな価値観を認める多様性容認の姿勢がある」「ソーシャルネイティブである」「経済観念が非常にシビア」などです。
③α(アルファ)世代とは?
2013年頃~2020年代中盤までに誕生した世代のことで、Z世代の次に位置します。アルファベットでZの次の文字がないため、ギリシア文字の最初のαが使われました。
特徴は「幼少期からプログラム教育が実施される」「人工知能によりテクノロジーと人間の融合が進む」などとされています。しかし詳細な特徴は、α世代が社会で本格始動する2030年以降に確定するとされているのです。
④すべての世代に共通する特徴は「デジタルネイティブ」
ミレニアル世代やY世代、Z世代やα(アルファ)世代すべての世代に共通する特徴はデジタルネイティブである点。
すべての世代は、小さいころから「検索エンジン」「モバイルコネクティビティ」「高速インターネット」「インスタントメッセージ」「ビデオ・オン・デマンド(VOD)」「スマートフォン」「オンラインゲーム」「SNS」などデジタル世界で生活してきました。
IT化が進む社会にてデジタルネイティブである点は、大きなアドバンテージになると予想されます。
5.ミレニアル世代とZ世代の違い
ミレニアル世代とZ世代には、どのような違いがあるのでしょうか。それぞれについて解説します。
- 楽観主義と現実主義
- 商品やサービスの購入、利用時の価値観
- 所有欲
①楽観主義と現実主義
ミレニアル世代は好景気の時期も経験しており、賞賛により自己肯定感を育まれた世代です。Z世代と比較するとやや楽観主義的な傾向にあります。
Z世代は親の世代がリーマンショックを体験しており、自身も東日本大震災といった災害や社会的混乱を目の当たりにしました。そのためミレニアル世代よりも、現実主義的な価値観を持つ傾向にあるのです。
②商品やサービスの購入、利用時の価値観
ミレニアル世代は自身が体験して質や価値を確かめるカスタマー・エクスペリエンスを重視します。また商品やサービスにプラスの価値を求める傾向もあるのです。一方、Z世代は消費そのものに対して慎重に行動します。
③所有欲
ミレニアル世代はミニマル嗜好があるため、ミニマリストのような生活に対して抵抗感が少ないようです。
一方、Z世代は生活に困窮している人も少なくありません。そのため所有をかんたんに諦める傾向があります。所有によって満足を得るより、実用性や経済性を重視した選択のほうが心地よい選択となっているようです。
6.ミレニアル世代の消費行動とアプローチ
ミレニアル世代の消費行動とアプローチには、どのような特徴があるのでしょうか。それぞれについて見ていきます。
- ミレニアル世代の消費行動
- ミレニアル世代へのアプローチ
①ミレニアル世代の消費行動
デジタルネイティブの特性を生かし、商品やサービスサイト、SNSや口コミ、インフルエンサーの紹介などを駆使して情報収集します。特にインフルエンサーの影響は大きく、インフルエンサー・マーケティングを積極的に取り入れている企業もあるのです。
またミレニアル世代は、サブスクリプションやシェアリングエコノミーを重視する傾向もあります。
②ミレニアル世代へのアプローチ
ミレニアル世代は2021年現在、20代後半~30代です。数年後には企業内で購買担当者や決済責任者といった立場になる人も増える、もしくはすでにそうした仕事に就いている可能性があります。
BtoBビジネスを考えた場合、ミレニアル世代に応じたアプローチは欠かせません。
バイヤーイネーブルメント
購買担当者が適正に意思決定できるよう支援すること。
一般的に購買担当者が商品やサービスを購入する際、営業担当者から商品やサービス情報を入手します。しかしミレニアル世代はデジタルネイティブですので、営業担当者からの情報に依存せず、情報収集や比較検討します。
よって企業はBtoBビジネスを強く意識する必要があるのです。複数コンテンツの用意といった従来のアプローチではなく、購買プロセスごとのコンテンツを提供といった、効果的なバイヤーイネーブルメントの実施が急務です。
ストーリー性重視のアプローチ
商品やサービスのアプローチに、商品やサービスが持つビジョンやストーリーを伝えること。
ミレニアル世代は、インターネットやSNSなどからさまざまな情報を入手します。WebサイトやYouTube、インスタグラムやTikTokなどを用いて、共感が得られるようアプローチします。
多角的分析にもとづくアプローチ
ミレニアル世代は何を求め、何に価値を置いているのかといった視点から多角的に分析していくアプローチのこと。
ミレニアル世代の特徴であるコストパフォーマンスや共感、多様性や個人主義など、あらゆるニーズに対応しながら情報発信します。
経験につながるアプローチ
ミレニアル世代特有の自分自身で体験したいという嗜好を利用したアプローチのこと。
ミレニアル世代は、物を買って所有するより体験や経験に価値を置きます。誰も経験したことのない商品や新機能など、ミレニアル世代の体験意欲を満足させられるアプローチが必要です。